大鉈使いブレイズ その2 ☆
「いってええええ!!!」
俺は吹き飛ばされた後、思わず頬に手を当てた。
頬を殴られたなんて久しぶりだな!?
中学ん時、親父に殴られた時以来か!?
かなりフルスイングで殴られたと思うが、頬は腫れ上がることなく、じんじんする程度で済んでいる。
流石ゲーム世界。怪我が大したことない。
それにしても、あいつ攻撃の割り込みがメチャクチャ早い。
スキル名を叫ばなかったという事は、あの蹴りも拳もただの体術。
情報屋から聞いていた通りの総合格闘家か。
それに……”見た”だって?
何の事かは分からないが、決闘は自由に見学できる。
俺が闘った試合をどこかで見たのかもしれない。
という事は、俺のスキルはある程度バレてそうだな。
仕方ない、次の手だ。
俺は剣を鞘に収めて、両手を大きく構える。
『虎魂!』
青い闘気を纏い、ブレイズに向けて突撃する。
『狗地牙突!』『紅蓮脚!』
闘気を地氣と火氣に変換し、連続貫手をしてから飛び蹴りをする。
ブレイズは全く防御をせず、頭部狙いの飛び蹴りを右手で掴んできた。
「遅えッ!!」
……かかった。
『刈卷一太刀!!』
足を取られた状態で、俺は体を捩じりながら剣を抜き放つ。
瞬速の居合斬りが、ブレイズの胸板を切り裂いた。
格闘技はこの一斬を放つためのブラフ。
ブレイズは勘のいいヤツだ。居合技の予備動作を見られたら避けられる。
だから、避けようがない状況で撃たせてもらっただけの事よ!
ブレイズは驚くどころか白い歯をこぼし、喜びの表情を見せた。
こいつ、攻撃を受けたのに物怖じしてねえ!
ブレイズは捉えた俺の体ごと、地面に叩きつけた。
「………ッッ!!」
俺は声にならない声を出す。
叩きつけられた衝撃で、俺は地面からバウンドしていた。
ブレイズは大鉈で切り上げ、ジャンプして空中で追撃をかける。
空中でもみくちゃに殴られる俺。
『ヴァルカンッレイドッッ!!』
ブレイズのスキルが発動する。膝蹴りと踵落としの連続技!
為すすべもなく全てを体に叩き込まれる。
もんどりを打って地面に落ちる俺。
ブレイズは更に大鉈で斬りかかってきた。
こいつ、追い打ちまで……!
着地の際受け身を取り、ゴロゴロと転がり大きく距離を離す。
マジで痛え!!
しかも、空中コンボとか一体何なんだよ!?
ブレイズはこちらに駆け、追撃を仕掛けてくる。
くそ、息つく暇もないな!!
『ブロークンパルスッ!!』『流渦槍!!』
『カタパルトパイルッ!!』『流刃斬!』
技と技、大鉈と剣がぶつかり合い、火花が散る。
くそっ、相殺しきれない。俺が力負けしている!?
「まだ足りネェ! 本気で来いって言ってるだろうが!!」
「ああそうかよ!! そこまで言うならやってやらぁぁぁ!!!」
『龍気!』『虎魂!』
『龍虎連王撃!!』
闘気を体中に漲らせて身体と技を強化。
拳の嵐を喰らえ!!
ドガガガッ!! ドゴガガガッッ!!!
全身に拳を打ち付けられるブレイズ。
アイツ、また避けねえ!! 嫌な予感がするぜ!
奴は拳打の合間を縫い、俺の頭を拳でガシリと掴んできた。
『グランドヴォルケイノッ!!』
顔を掴まれたまま、一瞬で後方へと飛ばされる。
炎に身を包んだ突進技!!
このままじゃ闘技場の壁に激突する――!
『頑健ッ!』
両腕を眼前に構え、防御スキルを発動する。
鈍い破砕音を立てて、俺は壁と激突する。防御が間に合った!
俺はすぐさま壁から脱出して奴を見る。
ブレイズは大鉈を大きく構えていた。
赤く輝く大鉈には、明らかに力が集中している。
あれは、ヤバイ―――!!
『ランパート……コラプスッッ!!』
『頑健ッ!』
爆炎渦巻く斬撃が、俺の防御をぶち抜いた。
まるで城壁を崩す破城槌!!
防御スキルがまるで薄紙のように無効化され、俺は体ごと吹き飛ばされた。
頭の中に星が見え、一瞬意識を失った。
ゲボッ、ゲハアッ!!
ダウンをして呼吸を整える俺は、身の危険よりも強烈な違和感を覚えた。
……あれは、超必殺技だ!!
この世界ではなく、元の世界のゲームセンターで見た技。
何で今まで気づかなかったんだ!
グランドヴォルケイノやヴァルカンレイドも……全てあのキャラクターの技じゃないか!
間違いない、俺はこのキャラクターを知っている!
人気格闘ゲーム・アークテンダロンの主人公、ネロ=ディヴェンスだ!!




