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大鉈使いブレイズ その1 ☆

 俺はブレイズとの決闘を受ける事にした。

 スピカが予約決闘を確定させると、たまたま闘技場が分割されてない時間に会場が取れたんですニャと教えてくれた。

 闘技エリアが4倍になるのか。一対一の決闘なのに広すぎやしないか……その時はその程度しか考えてなかった。


 決闘場へと来た時、何故会場が分割されなかったのか、その理由を知る事となる。

 満員の観客。割れんばかりの歓声。

 なっ。こいつら全員、俺とブレイズしか出ない決闘を見に来たのか!?

 俺の想像とは異なり、会場は熱気に包まれていた。


 あれ。もしかして俺、注目されてる?

 そういえば宿屋から出るときに、ナズナから「きょ、今日は頑張ってくださいね! ファイト、です!」とエールを送られたな。

 あまり気にしてなかったが、あれは俺が今日決闘する事を知った上での発言だ。

 もしかしたら、決闘の記事が闘スポに乗っていたのかもしれん。


 そういえば、俺は7戦7勝で昇格戦。ブレイズも同じく昇格戦。

 注目のカードという奴か。確かに観客の興味をそそりそうではある。


 決闘場へ続く通路から男が出てくると、歓声はより一層強まった。

 あいつがブレイズか。

 徐々に近づいて来て、それが見覚えのある人物だと気づいた。


「ああーーっ! アンタ、闘技場の入口でいちゃもんつけてきた男!!」

「ン゛ア゛ァ? ……ああ、そんな事もあったかァ」

「アンタがブレイズだったのかよ!!」


 背の高い、茶髪でボサボサ頭の男。額にバンダナをして、赤色のジャケットと白いズボンを着ている。

 手には巨大な武器――ゴツい形をした大鉈を持っていた。

 ん? この格好、何か既視感があるような……。

 男は俺を見て、鋭い目つきのまま口角を上げた。


「そうだ。ようやく対面できたな、ユーリ」

「……まるで俺のことを知ってる口ぶりだな」

「そりゃあ知ってるとも。お前の闘い方は独特だからな。お前、他人の技を使えるんだって?」


 最近自重せず使ってたから、流石にバレたか。


「……だとしたら、どうするんだ?」

「ハッ、どうもしネェよ」


 ガシガシと頭を掻く男。

 直後、射貫くような視線を投げかけて来た。


「最初から本気で来い。俺を舐めたら承知しネェ」


 思わず竦むような強烈な殺気を浴びせられる。

 流石に破壊者デストロイヤーと言われるだけある!

 俺は怖気づく心に活を入れるように、剣を抜いた。


 あれから何度も稽古したけども、追い込められて超必殺技を閃くなんてイベントは当然の如くなかった。

 という事は、いつも通りに闘うしかないんだよな。

 勝てるかどうかは正直分からない。

 ぶっ殺される覚悟はしてきたが……。カッコ悪く負けるのだけは絶対にしたくない。

 これだけ観客がいたら、もしかするとエルクーシアが見てるかもしれんし。

 最後まで足掻いてみせるさ。


 決闘のゴングが鳴り、大歓声が響き渡る。

 ブレイズは大鉈を地面に刺して、片手で手招きをした。

 仕掛けてこいと、そういう事か。

 それなら一丁やったりましょうか!


雷迅脚ライトニングステップ!』『尖鋭の一射(シャープシュート)!』

 高速歩法を発動して接近しつつ、次に繋がる仕込みをかける。

 ポケットから取り出した小石に氣を注入し、手裏剣のように投擲。


双迅戦斧ダブルライトニングアクス!!』

 即座に鞘を掴み、闘気オーラを雷氣に変換する。

 手に持った鞘と剣がバチバチと雷氣を帯びる。

 ……これが双斧に見立てた、鞘剣ってな!

 脚に更なる雷氣を流し込み、より一層踏み込んで斬りかかる。


 ブレイズは地面に大鉈を刺したまま、小石を片手で掴んでいた。

 コイツ、避けないのか?

 ……そう思った瞬間、ブレイズは驚異的な反応速度で反撃をする。


「おらああッッ!!!」


 至近距離の上段蹴り。

 双斧とかち合うが、蹴りの衝撃で吹き飛ばされた。

 双斧で攻撃したはずが、防御するハメになっただと!


「ヌルい手を使ってるんじゃネェお前! 最初から本気で来いと言ったろう!」

「じゃねえと……()()()()()ぞ!!」


 嘘だろオイ!? これでも本気出してるんだけど!

 ……いや、冷静になれ。

 相手の言葉に惑わされるな。相手のペースに呑まれるな。

 一の手で通用しなかったらニの手で挑む。

 それが俺の、ユーリの闘い方だろ!!


一刀繚乱レイジングブレイド!!』

 再度接近して、高速剣技で斬り込む。

 ガキィン!!

 ブレイズは大鉈を持ち、斬撃を阻んできた。


「まだまだ足りネェ! もっとお前の技を見せろ!!」


 ガキン、ガキンと至近距離で刀をぶつけ合う俺達。

 こいつ予想以上にパワーが強ええ!!

 やっぱり、そう簡単に事は運ばんか!

 俺は次なる手に移る。


霞渡かすみわたり!!』

 ブレイズが大鉈を振るった瞬間、俺はスキルを発動する。

 俺の姿は霞のように揺らぎ、距離にして一歩分ズレた場所に再出現する。

 これは一瞬で立ち位置をズラす歩法。

 ほんの僅かな距離しか移動できないのだが、一瞬でも相手の攻撃テンポを崩せれば充分!


雷火絶刀らいかぜっとう!』『……雷火絶刀らいかむとう!』

 最速の斬撃と、最速の突きの連続発動技コンボを解き放つ。

 狙いは奴の喉元!!


「甘ェ!」


 ドゴッッ!!!

 俺はモロにアッパーカットを受け、宙に浮き上がる。


 な、なんだと……! 雷火無刀が通用しない……。

 ガシリと服を掴まれた。


「……その手は”見た”。俺に通用すると思ってんじゃネェぞ!!」


 しまっ――!

 俺は頬に鈍い衝撃を受け、後方へと吹き飛ばされた。


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