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情報屋の忠告

 翌日。俺は情報屋のいる中華な建物が並ぶ一帯へとやって来ていた。

 俺は路地裏には行かず、大通りにある建物の扉をノックする。

 程なくして中から声がして、扉が開かれた。

 黒い丸眼鏡をした白髪の男が俺を迎える。

 そう。俺は情報屋のいるアジトへとやって来ていた。


 俺は木製の小さな引き出しと壺が並ぶ、中華薬局っぽい部屋へと入る。

 日の光が差し込んでいるのに、相変わらず部屋は薄明るい。


「急に尋ねて来たことに驚かないんだな、情報屋」

「いエ、そろそろ来る頃合いだと思ってましたかラ」


 何だと? こいつハッタリを言ってるのか?


「ふん、まあ良い。今日はアンタに用事があって来た」

「闘技者・ブレイズの情報を聞きに来タ、でしょウ?」

「……って、俺が言おうとした事言うんじゃねえよ!」


 何こいつ怖い。もしかして闘技場の出来事、全部監視されてるの?


「いえいエ、簡単な推測ですヨ。ブレイズの情報は私からお教えしましたシ、彼が決闘場を押さえた事は知っていましタ」

「それニ、彼は優秀な闘技者に決闘を申し込みする事がありましたかラ。今度の標的は貴方ではないか思いましてネ」

「……アンタの情報網って一体どうなってるんだ?」

「それは企業秘密ゆエ、簡単にはお答えできませン」


 やっぱりコイツ怪しい。けど情報収集力だけは本物なんだよな。


「で、情報はどこまで教えてくれるんだ?」

「それは貴方の出す金貨次第となりまス。価値ある情報にハ、価値ある金貨ヲ。それが情報屋の信条です故」

「相場がわからん。いくら出させる気なんだ?」

「そうですネ。闘技者としての情報だけで良ければ100G程度でしょうカ」


 100G!? おいおい、前のランクの一勝分だぞそれ!


「……ちょっと高くないか?」

「いえいエ、これは価値ある情報ですかラ。それ位は頂かないと商売上がったりでス」

「ちっ、わかったよ。しょぼい内容だったら承知しねえからな!」


 俺は前払いでゴールドを渡す。

 来る前に銀行でお金引き出しておいてよかった。


「確かに受け取りましタ。でハ、彼の事をお教えしましょウ」

「大鉈使いブレイズ。最近、彼はこう呼ばれていまス。……破壊者デストロイヤート」


 情報屋は、ブレイズに関する詳細を語りだした。

 そいつは、決闘相手を文字通り”破壊”するため破壊者(デストロイヤー)と呼ばれるようになったらしい。

 相手が絶命するまで、完膚なきまでに破壊する暴虐の男。

 既に何人もの闘技者が医務室送りになっているとの事。


 二つ名が付くのに決定的だったのが、”城塞”の異名を持つ防御型闘技者・スルドを一撃で死亡……医務室送りにさせた事。

 スルドは全身鎧に身を包み両手盾を持つガチの防御型。

 それを相手に開始1分で決着を付けたという。


 うわぁ、闘いたくねえええ。

 一体どれだけの攻撃力を持ち合わせているんだよ。


 さらに情報屋は話を続けた。

 ブレイズのファイティングスタイルは、バリバリの近接型。

 大鉈を巧みに使い、斬る、叩く、吹き飛ばす、防御する。

 それだけでなく格闘術にも優れ、蹴り技、投げ技、体術も使う。

 パワーとテクニック両方を兼ね備えた、隙のない総合格闘家らしい。


 故に、無敗。累計七戦七勝をしてランクを駆け上ってきたという。

 ……ていうか、無敗とか俺と同じじゃん。次で昇格戦な所まで同じだ。


「少し前までハ、過激な闘い方から顰蹙を買っていたのですガ、不思議な事ニ、最近では彼を応援する者が多いのでス」

「……うん? 決闘相手を殺すような酷い奴なんだろ。人気が出るとは、どういう事だ?」

「強いという事ハ、それだけで人を惹き付けるものでス。しかシ、彼はそれだけに留まらない魅力を持っていル」

「――強者を打ち倒ス。彼の決闘ハ、全てそこに集約されているのでス。それが観客達に徐々に認識さレ、彼の決闘は見応えがあると最近評判なのでス」


 プロレス界に現れた新人が、過激なパフォーマンスをしてバッシングを受けるも、あまりに勝ち続けるものだから固定ファンが付いちゃった感じか。

 しかし、何となく人物像が分かってきた気がする。

 要するに、そいつはバトルジャンキーだ。


「他に情報はあるか?」

「あることにはありますガ。その前に私から忠告がありまス」

「ユーリさン、恐らく貴方は敗北すル。……決闘の辞退をお勧めしまス」


 ……は? 喧嘩売ってるのかコイツ??


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