弩使いミリアム その1 ☆
今度の相手は、身長と同じくらい大きな武器を持った少女だった。
うわ女の子かー。闘い辛いな。
それにしても何あの武器。でっかい。
遠目から観察をしてみる。
角の様に両サイドに飛び出た金属板とそれに張られた弦。
木と鉄で出来た無骨な形の複合物。
……クロスボウか。
そういえば、お姉さんが弩使いって言ってたわ。
確か、闘技者名はミリアム。
「うんしょ、よいしょ」
呑気な掛け声とは裏腹に、慣れた手つきで弩、もといクロスボウの準備を進める少女。
がちゃ、ばちん。きりきり、がこん。
「ふう。調整、間に合いました!」
少女はいい笑顔になる。さわやかだな。
手にクロスボウを持ってなければ、だが。
可憐な見た目とは裏腹なゴツい武器が、ミスマッチを醸し出している。
それにしても飛び道具使いか。
初めて相手するタイプだ。警戒した方がいいかもな。
試合開始のゴングが鳴る。
少女はがちゃりとクロスボウを構え、スキルを使用してきた。
「いくよっ、アーちゃん!」
『速射撃ち!!』
ドドドド!!
相手が構えた時点で、回避行動を取っていたのが功を奏した。
さっきまで居た場所に矢が連続で打ち込まれる。
うおぉい、いま三連射ぐらいしたぞ!
そのクロスボウの構造、一体どうなってるんだよ!!
がちゃこん。
クロスボウにあるレバーを大きく上下させて、次弾を装填する少女。
お手軽装填だな!?
じゃねえ、また飛んでくる!
『速射撃ち!!』
ドドドド!!
少女を中心に、弧を描くように走って回避する俺。
ダダダンッと、等間隔に地面へ矢が刺さった。
止まっていたら蜂の巣にされる!
走れ、走りながら考えろ!
この状況で有効なカードは……!
手持ちのスキルをカードと見立て、脳内で手札を構築する。
この中から有効な一手を取らねば、倒すどころか接近すら出来ない!
『尖鋭の一射!』
『開眼ッ!』
嫌な予感を感じ、咄嗟に開眼を発動する。
俺はスローモーションの中で状況把握に努めた。
少女は戦闘開始時点からほとんど移動していない。
俺との距離は約10メートルほど。
既に矢は放たれていた。
空中を飛びこちらに向かっているのが見える。
速射撃ちは連続発射スキルだったが、これはどういうスキルなんだ?
よく見ると短い矢が一列に連なっていた。
ロケット○ンシルみたいな感じだ。
恐らくこれは防御貫通の射撃スキル。
もし防御に徹しても、確実なダメージが来るから避けるべき……なのだが。
既に矢はすぐ近くまで接近していた。
あ、この矢、避けられませんわ。
万能と思える開眼にも弱点がある。
それは、物は見えても、動けないという事だ。
マンガやアニメで時を止める能力があるけど、その類の力ではない。
あくまで視るだけ。
だからこそ、開眼という名前を付けたのだ。




