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王都の午後

 闘技場受付に行くと、ナビコと受付のお姉さんが待っていた。


「何よー! さっきの戦い防御してただけじゃない! もっとドカバキッと技を使って活躍しなさいよね!」

「ナビコちゃんそう言わずにですニャー。あ、ユーリさんは勝利おめでとうございますニャ」


 はぁ、やかましい妖精だな。

 毎回攻撃スキルで決着させるとか、どんな縛りプレーだよ。


「今回は攻めるタイミングが合わなかったんだよ。勝ったから別にいいだろ?」

「よくなーい!」


 コイツは一体何を期待してるんだ。

 ホームランがないと野次飛ばしてくるおっさんか。

 まあいいや、どうせご飯食べたらコロっと忘れるだろ。


「お金も入ったことだしメシ食べに行くぞナビコ。あと、治癒頼むな」

「ちょっとー! ボクの事便利な回復アイテム扱いしてない!?」

「はいはい、後でな。メシ食った後で聞いてやるから」


 俺はお姉さんから賞金ファイトマネーを受取り、闘技場を後にした。

 さっきの闘いで大分消耗したし、今日はここらで体を休めることにしよう。


 そういや闘技場のお姉さんが言ってた、リングで会計が出来るってやつ。

 信じてない訳じゃないが、流石に手持ちの(ゴールド)が少ないのは落ち着かない。

 闘技場通りの、道を挟んだ真向かいに銀行はあった。

 銀行に入って闘技者である事を伝えると、リングの提示を求められる。

 リングを魔道具に当てると、残高が表示された。


 残高は200Gだった。

 ということは1戦の報酬は100G……魔石4個分か。

 あまり期待はしていなかったけど、しょぼいな。

 宿代が一泊10G、昨日のメシ代が合計5Gだから……。

 1戦の報酬だけじゃ、1週間も滞在できないじゃん。

 昇格すれば報酬が増えると言っていたから、それに期待することにしよう。


 俺は全額引き下ろして、バッグに放り込む。

 さて……お腹も空いたし、メシだメシ。

 初陣を勝ったことだし、今日はちょっとだけ豪勢なものが食べたい。

 商業地区をぶらついて、お店を探すことにしよう。


 * * *


 俺は商業地区にある大衆食堂で、たらふくご飯を食べた。

 数日ぶりに肉を食って満足した。

 ナビコはまだデザートを食べている。ご機嫌だ。

 これでさっきの小言は忘れた事だろう。

 お茶を飲んで優雅に昼下がりを堪能していたら、そいつは急に現れた。


「お、お前ー! 何でここに!?」


 こちらを指差して驚く男。

 いや、背がちっこいから少年かもしれん。


「……誰?」

「”迅雷の”ザップだよ! 今日闘っただろーが! もう忘れたのかよ!」


 あぁ、何だツンツン頭クンか。

 そういえば、そんな人もいましたね。


「おのれ、ここで会ったが百年目。お前に再戦を申し込む!」

「……おいおい、忘れたのか? 闘技場の掟を」


 俺は、受付のお姉さんから貰った手書きの用紙を突きつける。

 何箇条かの1つに、こう書かれていた。


 ”街中ではなかよく!!

 闘いは闘技場の中だけにするニャ

 街中で見かけても煽ったりケンカしたりは絶対にしちゃ駄目ニャ

 聞き分けがないと、警官のお兄さんが物理的な指導に来るニャ♡”


「ぐっ、そうだった。……あいや、話はそれだけじゃない! お前、何であのスキルが使える!」


 雷迅脚ライトニングステップの事か。

 うーん。流石に本人の前で使ったのは軽率だったかな。

 いつかはバレるけど、俺がラーニング出来る事はなるたけ伏せて起きたいんだよなぁ。

 さて、どう言い訳するか……。


「あれは師匠の修行を血の滲むような努力をして、ようやく獲得したスキルだぞ! 何故お前が使える!」


 スキルって普通は修行して獲得するものなの?

 すぐラーニング出来てしまった事は、若干後ろめたい。

 それにしても、こいつも誰かに師事していたのか。

 どこの世界も師匠は弟子に無理難題言うものなんだなぁ。


「それは、俺も師匠との修行で獲得したからだ」

「なっ……! まさかお前、同じ門下生だったのか……!?」


 まぁ俺が修行で獲得したのは、雷迅脚じゃなくて開眼だけどな。

 ツンツン頭の言葉に、俺は敢えて肯定も否定もせず、言葉を続ける。


「今でも思い出せる、あの辛く地獄のような特訓を――」


 組み稽古、ホント辛かったわ。

 途中から難易度が急上昇して、完全スパルタになってたからな。

 出来ない事があるとやれるまで徹底的に繰り返すし。

 落ちる木の葉を全て両断しろとか、動かずに攻撃を避けろとか、無茶言うなっつーの。

 あ、いかん。思い出すとホントに涙が出てきそうだ。


「そうか、お前もあの修行を耐え忍んだんだな……!」


 ぽんと肩を叩かれ、同情された。

 同門だという勘違いを信じたっぽい。

 ちょろい奴め。

 それからツンツン頭と雑談という名の修行よもやま話をしたら、何故か話が盛り上がった。


「そうだ。お前も上を目指すなら忠告しておくが……闘技者ファイターの中には卑怯な手を使うやつもいるらしい。注意しろよな!」


 やっぱりそういう輩もいるのか。

 ま、気にしすぎても普段の調子が出ないし、なるようになると考えるさ。

 俺はツンツン頭に礼を言い程々に話を切り上げて、宿屋に戻ることにした。

 その日は早めに寝て、明日に備えた。


 * * *


「ユーリさん、おはようございますニャ! 今日も決闘けっとうですかニャ?」


 翌日も闘技場を訪れる。

 一晩寝たら体力は全快していたし、全力で挑めるってものだ。


「もちろん。あと2勝でしたっけ? 今日中に次のランクに上がっておきたい所ですね」

「おおっ、強気ですニャー! 男の子はそれくらい気概がある方が良いですニャ!」


 にゃっはー! と笑顔でマッチング手配をするお姉さん。


「お待たせですニャ。次の決闘けっとう相手が決まりましたニャ!」

闘技者名ファイターネームはミリアム! 弩使いのミリアムちゃんですニャ!」

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