タッグトーナメント(10) ☆
タッグバトル開始のゴングと共に俺達は動き出した。
タイミングを合わせた近接・遠距離の同時攻撃を一発お見舞いするつもりだったが……。
金髪縦ロールの少女はその場を動かず、左腕を目の高さで構えてこう言った。
「グラペイン、発進!!」
少女の左腕にあるブレスレットから十字型の光が輝く。
緑色の光が辺りを照らすと、空中から落下音が聞こえてきた。
そして、轟音と共に何かが現れた。
「な、何だぁぁぁぁっ!?!?」
ドズンと地面が激しく揺れ、決闘場が砂塵に塗れる。
巻き上がった風を受け、俺は後方に吹き飛ばされそうになった。
剣を地面に差して耐えると、眼前に巨大なモノが現れた。
「おいおいおい、こいつは……」
深青色をした鋼の躰。
無骨で大きな脚部に、太い腕。
全体的に厚みを帯びていて、重量級ファイターを彷彿とするフォルム。
5階建てマンションもかくやといった巨体を見上げると、緑色の瞳が光った。
あーっ、このロボ見たことある!
「主人公機のグラペインじゃねえか!!」
メタルソルジャー・グラペイン。
宇宙銀河同盟が超怪獣に対抗するために作り出した試作1号機。
作中で何度も改造されることとなるベース機体。
間近で見るとこんなにでっかいのか……じゃなくて、これを呼び出したという事は!
「……知らないけど、何かのゲームのロボットな訳?」
「グラペインだよ。あの子、SRPGの流派使いだ!」
少女の後ろには守護神もかくやという巨大ロボが命令を待っていた。
うへえ、あんなのと闘うの?
普通にやったら勝てそうにない……と思っていたら、
少女は髪をかきあげて、ふふんと得意げな表情でこちらを見てきた。
「成程、あなたもコッチに呼ばれた人でしたか。グラペインを知っているなら話が早いです。降参するなら今のうちですよ?」
この子、既に勝った気でいやがる……。
ちょいとカンに障るな。
「大口叩くねえキミ。だが俺は知ってるぜ。あの初期機体じゃ近接攻撃しか出せないだろ?」
「んにゅにゅ、知ってましたか。でも貴方なんて一発受けるだけでピチューンですよ!」
「ふーん。キミ、あのロボを満足に動かせる? でかい図体でも案外見かけ倒しだったりしないか?」
「むむむーーっ、馬鹿にするですかぁ! そこまで言うなら見せてあげます! ……グラペイン、搭乗!!」
グラペインが動き出して掌に少女を乗せる。
そして、胸のコックピットへ滑り込むように搭乗した。
「もう容赦しませんっ! アスカさん、最初から全力で行きます!」
「まっかせて! 岩蟹起動!」
ゴーレムマスターが決闘場の砂を集めて出したのは、以前の闘いでも使った機動多脚戦車。
形成された岩蟹は、俺達にではなくグラペインへと向かって走り出す。
「ドッキングモードに移行。アスカさん、いつでもどうぞ!」
「行っくよーー、リリアちゃん!」
「「合体!!」」
岩蟹はその巨体のままジャンプをして、グラペインの背中へとぶつかった。
すると、ガチンという音と共に2つの機体が合体した。
「ドッキングだと!?」
「ふふ、ふふふふ……! グラペイン=マキシマム、爆誕です!!」
ゴーレムは、巨大ロボのバックパックのように背中へと装着された。
さらにゴーレムは自在に形を変え、背中からキャノン砲のような長い砲塔を形成する。
「ゴーレム砲……! 自ら武器に変形しやがった!」
「さあ覚悟してください。私達のグラペインが”最強”だという事、その身に教えてあげます!」
* * *
「何という重厚感! リリア選手の搭乗するグラペインと、アスカ選手のゴーレムが合体しましたぁぁぁ!!」
「グラペイン=マキシマム……やはり圧巻ですニャ! 一回戦ではテンネレシオム選手の魔術攻撃も、ポルクス選手の物理攻撃も、この姿となったグラペインには有効打を与えられず、あえなく敗退となりましたニャ」
「正に最強! ユーリ選手とクラウディア選手、この機神にどう立ち向かうのか!」
* * *
剣が通じない相手、魔法が通じない相手にどう対抗する。
ダンジョンでの修行の際、俺達もその問題を突破しなければならなかった。
最終的に出した答えは単純。
魔術と剣技を融合させて、ゴリ押せばいい!
「俺達も合体するぞ、朱!」
「変な発言しないでよね! ……同調だってば! いいから発動するわよ!」
「おう!」
朱が持つ異能力は『異なる精神体へと同調する能力』。
発動すると朱の意識は同調先へと移り、俺は一つの身体に二つの精神という精神複合体となる。
「これが俺達の切り札……スーパーモードだ!」




