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大闘技場

 俺は冒険者ギルドで魔石を換金した。

 手持ちの魔石全部で100Gになった。


 俺が外から来た人間だからか、ギルドのお姉さんが王都に来たなら必ず訪れたほうがいい! とお勧めしてきた場所がある。

 その施設は、街の中心部にあるらしい。

 俺は観光がてらそこに向かうことにした。


 街の中心に近づくほど何か聞こえてくる。

 これは……声。しかも、歓声だろうか?

 その歓声に誘われて歩みを進めると、目の前に建造物が現れた。

 アーチ状の柱が幾重にも重なる、円形の巨大建造物。


「こ、これは……闘技場コロセウムーー!!」


 古代ローマか!!!

 いや、コロセウムも現代まで現存するくらいだし、今が古代ローマとは限らないな。

 建物はかなり綺麗に見える。


 というかコロセウム、めちゃくちゃデカい。

 コロセウムの実物を見たことはないけど、こんなに大きいのか。

 そういえば、現実リアル闘技場コロセウムは5万人の観客を収容できたって何かで見たことがある。

 歓声はここから聞こえて来ているようだ。


 それにしても、何で王都にコロセウムが?

 ゲーム時代の王都には色んな建物があったが、コロセウムは存在しなかった。

 元々武闘会みたいなコンテンツが予定されていたけど、ゲームの都合上没になったのが復活したとか?

 それとも、二周目で開放される新規要素?

 詳しくはわからんが、何かの必然性を感じる。


 色々と考えていたら、入り口にいた制服姿のお姉さんが俺に声をかけてきた。


「あー! もう始まっちゃいますニャ。早く入ってくださいニャ!!」


 なんだなんだ、やっぱり何かイベントやってるのか。

 まさかとは思うが、殺し合いしてるとかじゃないよね?

 お姉さんは俺の腕を掴んで、コロセウム内にひっぱろうとする。


 おおおお、ちょっとちょっとー!

 距離近いですよお姉さん!

 って、よく見たらこのお姉さんケモミミだ。

 栗色のショートヘアから出たネコミミが、ぴこぴこ動いている。

 おお、飾り物じゃなく本物だ。

 獣人じゅうじん、キタコレ!


 俺の感動をよそに、ぐいぐい引っ張るお姉さん。

 なすがまま連行され、俺はコロセウム内に入っていた。


「そこの階段から上がれますニャ。さあ、行ってらっしゃいニャ―」


 ネコミミのお姉さんに笑顔で見送られる。

 なんか勢いで連れてこられたけど、いいのかな。

 反応に困ってたら、お姉さんが淋しげにこちらを見てきた。


「四年に一回なんですニャよ? この瞬間を見逃したら、お兄さんきっと後悔するニャ」


 そ、それほどのものなのか?

 お姉さんの言葉に、ちょっとだけ興味が出てきた。

 んー……。見るだけ見てみるか。


「わかった、行ってくるよ」


 お姉さんに手を振って階段を登る。

 長い階段を抜けると、視界が開けた。


 割れんばかりの歓声があたりに響く。

 階段状に下がっている観客席は満員だ。

 観客は一心にグラウンドを見つめている。

 グラウンドには、武装した人の列――

 いや、軍隊の模擬戦……!?


 見たことのない光景が、そこにあった。

 マジかよ。俺、とんでもない所に来ちまった!!


 * * *


 母さん、俺は今、異世界の闘技場にいます――

 ……はっ。

 あまりのことに現実逃避しかけた。

 ねぇ、とナビコがポーチから話しかけてくる。


「なに、ここ?」

「俺もよくは知らんが。闘技場、つまり闘う場所じゃないか?」

「ふーん……」


 グラウンドを見つめるナビコ。

 こんな広い場所ではぐれたら、流石に見つけられる自信がない。

 あちこち飛び回るなよ?


 観客席に空席はないので、完全に立ち見だ。

 気付いたら、グラウンド上から誰もいなくなっていた。

 辺りにファンファーレが鳴り響く。

 騎士っぽい集団に囲まれるようにして、派手なマントを着た男が入ってきた。

 お偉いさんかな。誰だろう?


 男は会場内のステージへと上がる。

 少し準備をした後、会場から男の声が聞こえてきた。

 お、すごい。

 こんなに離れているのにはっきり声が聞こえる。

 よく分からないが、魔術の一種かもしれない。


「まずは、4年に1度の本大会を無事開催できたことを大変喜ばしく思う。各国、各種族の御尽力に深く感謝する」


 声からすると、オッサンというよりオジサンだ。

 会場に向けて、深い礼をするオジサン。

 これ、校長みたいに退屈な話しが長々続くパターンか? と思っていたら、オジサンはくわっと目を見開き力強く演説し始めた。


「大闘技場……。

 此処は最強の者を決める闘いの場である!!

 腕を試したい者――結構。

 願いを持つ者――結構。

 欲望を満たしたい者――大いに結構!

 汝、望むならば、己の力を示すべし。

 相手に打ち勝ち、決闘けっとうに勝利せよ!!


 夢幻とも思える決闘の果てに、何れ最強の者が決まる。

 この闘技大会の優勝者だ。

 優勝者には1つ、願いを叶える権利が与えられる。

 どんな願いでも、必ず、叶える事ができる権利だ!

 ゆえに、願う者は大闘技場の旗の元へ集まるが良い。


 ……闘技者ファイターよ!!

 己の肉体を駆使し、技を研鑽し、精神を高め上げ、諦めぬ心で、その手に勝利を掴め!

 その願いを、その欲望を歓迎しよう。

 種族、身分、年齢、性別、思想、素性、何も問わない。

 闘技者ファイターとなる条件は1つだ。

 勇気と、強さを持つ者であれ!!

 大闘技場は、何人なんぴとも拒まない!!


 そして、歓喜せよ諸君!!

 熱狂の日々がまたやって来た!!

 予期せぬ展開に息を飲む昼が!

 熱く心を燃え上がらせる夜が!

 またやって来た!!

 我々は決闘の一瞬も見逃さず、あまねく全ての光景を見届けようではないか!!


 ……今ここに、国王ルッセントゥス=テルニス=クラウディウスが、大闘技大会の開催を宣言する!!!」


 ワアアアアアアァァァァッ!!!!

 ワアアアアアアアアアアァァァァッ!!!!


 耳が痛くなるほどの歓声が辺りに響く。

 会場のボルテージは最高潮に達したようだ。

 しかしあのオジサン、国王だったのか。初めて見た。

 まぁ王都っていうくらいだし、国王がいるのは当たり前なんだけども。


 それにしても、凄い演説だった。

 人の心を動かす演説ってのは、ああいうのを言うんだろうな。

 何も問わない、何人も拒まない。

 腕に覚えのあるつわものが集まる最強決定戦か。

 ……滾るじゃないか。

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