初めての戦果
連投4 取りあえずここまで
「——天角解放のリミットに到達。天角をロックします」
バリバリと電撃を周囲に広げながら、2つに分かれていた角が1つに戻る。
目の前にいるアラクネ型クィーンの胸には巨大な穴が空いており、全身にも電撃が流れたらしく所々で内部から煙が上がっている。
結構ギリギリの戦いだったな。
サポート女さんが勝率90%越えだとか言ってたから余裕だと思ってたんだけど。
「あなたの戦闘は無駄が多すぎます」
おっと。ダメ出しが入った。
ていうか思考を読むのやめてくれません?
「——天角の充電に入ります。しばらく戦闘行為を控えるようにしてくだい」
無視された……。
サポートしてくれるのはありがたいんだけど、上下関係おかしくない?
俺の立場って君より上なんだよね?
「はい。あなたが主であることは残念ながら認めます」
……もういいや。
デフォルトで失礼なんだこの人。
そう納得したわ。
でもサポート女さんと他愛無いやりとりをしたおかげで一息つけたな。
クィーンも完全に破壊しただろうし……ん?
改めてクィーンの顔を見ると、人型のその目がこちらを見つめていることに気付く。
その表情には先ほどの不気味さや、恨みなどは感じず、むしろどこか安心したようなあどけない顔に見えた。
「——ようやく自由になれて良かったですね……了解しました」
サポート女さんが訳知り顔(顔はないけど)で何やら語りかけている。
どういうことだ?
そして、ゆっくりクィーンの眼の朱い光が消えていった。
「——彼女のコアを吸収して上げてください」
吸収って、どうやるんだ?
あ、角で貫けば出来るっぽいな。
一瞬、口で食べるのかと思ったわ。
「そちらでも可能です」
そっすか。
クィーンのコアは、俺が空けた大穴の少し下あたりにあるらしい。
そこに向けてゆっくり角を突き刺す。
すると、何かを貫いた感触のあとに大量の力が吸収されるのを感じた。
「彼女からのプレゼントだそうです」
え、死の間際にアイツと会話してたのか?
戦ったのは俺なのに完全に除け者にされるとは……。
しかしプレゼントか。一体なんだろう——
「——アラクネの能力を解析中…。いくつかのスキルを解析することに成功。能力を再現できます」
出たぁー!
相手の力を貰う能力!
これは夢が広がる!
「マナマテリアルが不足しているため、再現できるスキルに限度があります」
なるほど、コストが掛かるのか。
でもそんなの全然かまわない!
取りあえずどんなスキルがあるか教えてくれ。
「【魔力感知カット】、【眷属ネットワーク】、【擬態】、【魔導糸】の4つです。現在のマナマテリアル保有量だと1つの再現が可能となります」
【魔力感知カット】と【魔導糸】はクィーンが使ってるのを見たから、どんな物かだいたい分かる。
しかし、魔導砲は手に入らなかったのか……残念だ。
この【眷属ネットワーク】って何だろう。
あと【擬態】っていうのは人の姿に化けたりも可能なのか?
「【眷属ネットワーク】は小型の機虫などを眷属にできます。眷属にした相手と視覚や聴覚などのセンサー類、また一部のスキルを共有する事が可能です」
明らかに便利!
眷属を使って戦闘したり、索敵や情報収集なんかもできる能力だな。
「【擬態】は角を隠したりする程度で、現在の状況では人には化けられません。しかし、副次効果として個体情報と保有するスキルなどを隠蔽し、誤認させる力があります」
何それ。
むしろ副次効果が本体じゃねーか。
それって相手に、こちらの性能を隠したり勘違いさせるってことだろ?
恐ろしい能力を持ってたんだな、あのクィーン。
勝率90%越えとか完全に誤情報だっただろ。
「————」
スミマセンっした!
調子に乗りました!
怒らないでください!
「——怒ってません」
……くっ、絶対に嘘だとか思っちゃだめだ!
相手にはこっちの思考が筒抜けなんだから!
違う事を考えねば……。
そういえば『現在の状況では』ってことは、【擬態】でいずれ人にも化けられるようになるのだろうか?
「可能です」
【擬態】さんマジで有能だった。
これで馬じゃない生活にも希望の光が差した。
さて、そろそろ大体の情報は出揃っただろう。
この4つの内から1つかぁ……どれにするか。
あ、サポート女さんはオススメを言わないでいいからな。
自分で決めるから。
「——【眷属ネットワーク】を推奨します」
なんでぇ!? なんで言うのぉ!?
「ここで【眷属ネットワーク】を再現すれば、この施設内にいる大量の蜘蛛型バグスを眷属化できます」
理由まで淡々と言わないでいいよ!
あっさり説得されそうで怖いわっ!
ていうか、大量の小さい蜘蛛を眷属にしてどうすんの?
全部を連れていくってなると、かなり大所帯になって管理が大変そうなんだけど。
「【次元収納】に格納すれば問題ありません」
……ん?
その【次元収納】ってアレか?
異次元に、物を仕舞うことができるってやつ?
異世界ファンタジー小説でよく見かける、ぶっ壊れスキルのアレ?
……まるで、使えるような言い方だったけど?
「? 使えます」
あれー?
俺はいつから青いネコ型ロボットになったんだろう。
「初期から内蔵されているスキルです」
いやいや、さっきスキル一覧はざっと見たがどこにも……。
と俺は自分のスキル一覧を見てみると、
◆————————————◆
【スキル】
・天穿
・纏雷
・厳槌
・雷伝
・***[ロック]
・***[ロック]
・雷属性強化
・魔力供給
・分析再現
→・次元収納
・超?復
・ア?イ??ト調?
◆————————————◆
あったわ。
戦闘系のスキルじゃないからか、随分と下の方に書いてあったのね。
というか文字化けしているようなスキルがあって、そっちにばっかり目が行ってた。
……クィーンさんの保有スキルすげぇなって思ってたけど、俺の方が圧倒的にヤバイのを持ってる気がする。
というか、この文字化けしてるスキルは何なんだ?
「これは主が起動したことで、新たに発現したものです。定着するまでに時間がかかっていると予測します」
お。つまり俺特有のスキルかな?
チートとか来るのだろうか。
なんかいいな、ワクワクする。
それじゃあ定着するのを楽しみに待つことにしよう。
その後、少し説明を聞いてみた所。
サポート女さんの言う通り【眷属ネットワーク】を再現して、小さい蜘蛛を捕獲しまくった方が後々で役立ちそうだと結論が出た。
【擬態】も非常に魅力的だったが、人に化けるにはそのためのパーツが必要らしい。
アラクネさんの身体とか使えそうなものだが、女性の身体だしなぁ……。
取りあえず今は保留でいいだろう。
「——【眷属ネットワーク】を再現します。よろしいですか?」
OKだ。やってくれ。
「——再現しました」
やけにあっさりだったな。
というか全然変化が感じられない。
「機能を停止してる蜘蛛型の機虫がまだ施設内にいるので、そこで使用してみてください」
ふむ。了解した。
じゃあ行くか!
「——注意。何か忘れている事はありませんか?」
ん? 忘れている事ってなんだ?
「……」
——いっけねぇっ!
美少女を守るために巨大蜘蛛と戦ってたんだ俺っ!
完璧に忘れてたっ!!
勢いでここまで書いてみたものの、かなり大変でした。
少しずつブラッシュアップしていく事になるので、そういう事が苦手な方は申し訳ありません。




