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新たなスキル

段々とチートっぽくなっていきます。

「新しいスキルが発現している——」


 ジラのその言葉に俺の心は高鳴った。

 メンテナンス完了をしたので、ジラもこの身体について総点検を行ってたらしい。

 その際にスキルを確認したら、新たに俺特有のスキルがなんと2つ増えていたそうだ。

 

 ジラが言うには、スキルというのはそう簡単に発現するものではなく、長い修練を積むか、壮絶な経験をして、ようやく得る事が出来るものらしい。


 俺はけっこう壮絶な経験してるもんな。

 巨大な蜘蛛の機械と戦ったり、猪の魔物を蹴り倒したり……。

 多分、あの猪を倒したから新しくスキルが増えたのではないだろうか?

 

 俺はそう思ったが、ジラはどこか不服そうだ。


(——。あの程度のことで発現するなんて信じがたいです)


 そう言われてもな……。

 発現して悪いものでもないだろう。

 俺に文句を言われても困る。


「取りあえず、どんなスキルなの見てみるかな……」


 スキル一覧を表示してみる。



◆————————————◆

【スキル】

 ・天穿テンセン

 ・纏雷テンライ

 ・厳槌イカヅチ

 ・雷伝ライデン

 ・***[ロック]

 ・***[ロック]

 ・雷属性強化

 ・魔力供給

 ・分析再現

 ・次元収納

 ・眷属ネットワーク


 ・超回復

 ・アライメント調整

→・ランナーズハイ (new!)

 ・セカンドウィンド (new!)

◆————————————◆



 確かに、新しいスキルが2つ追加されていた。

 またもランナー関係の単語だ。


 しかし、今までの発現した俺の特有オリジナルのスキルは、その名前から連想するものとは全く違う内容だった。


 試しにこの2つの詳細も表示してみる。



◆————————————◆

【ランナーズハイ】

 走れば走るほど、魔力が回復する。

◆————————————◆



「なんでだよ! どうして、走ったら魔力が回復すんの?」


 車のバッテリーか何かだろうか?


 ちなみに、前の世界での「ランナーズハイ」とは、

 走り続けている時に、ある時点から快感・恍惚感を感じることである。

 βーエンドルフィンという快感ホルモンによってその快感がもたらされている事が、検証実験から分かっているそうだ。


 ——それにしても、


 全然、魔力、関係、ない!!



 若干呆れながら、もう1つのスキルの詳細も見てみる。



◆————————————◆

【セカンド ウィンド】

 走れば走るほど、魔力消費量が軽減される。

◆————————————◆



 ……うん。わかってた。

 そんな能力じゃないかと、うすうす気付いてたよ。

 

 「セカンド ウィンド」とは、

 長距離を走る時に、循環器や呼吸器等の心肺機能が、酸素不足に順応するまで苦しい状態が続く「デッドゾーン」を乗り越えた時に感じる、身体が楽になる状態の事だ。


 もちろん、魔力は、まったく、関係、ない!!



 しかし——。

 走るほど、魔力が回復する。

 走るほど、魔力消費を軽減するって……。


「永久機関が、ここに誕生したのでは……?」


 あれ?

 しかも【超回復】の効果で、走って休憩を取ると魔力の絶対量が増えるんだったか?

 何だよ、このコンボ……。


(——。規格外としか言いようがありません……)


 魔力タンクとして、一旗揚げられるのは間違いなさそうだな。

 

(天角の充電も捗りそうです)


 ん?

 今の言葉には、ちょっと嬉しさがあったような気がする。

 ジラは天角の充電が早くしたいのかな?


(——肯定します。昨日に引き続き戦闘に使用してるので貯蔵が足りてません)


 なるほど、貯金をしっかりするタイプなのか。

 俺はそういう管理が苦手だったので、サポートしてくれる人がしっかり者で助かる。


(——さっそく、走ってきてください)


 え、今から?

 もう夜なんだけど……。


メインは前世では、夜もトレーニングと称して走り回っていたではないですか)


 あの……前世での生活を知ってる感じで喋ってるけどさ。おかしいよね?


 俺の個人情報が漏洩しすぎている。

 というか、そういうのは見ることが出来ても、遠慮するもんじゃないか?


(——。さ、マスターに許可を得てきて下さい)


 おい。無視すんなって!

 ってか、走りに行くのは決定事項なのか?


(できる時に貯金はしとくべきですよ?)


 聞きたくねぇ。そんなお小言……。

 まぁ、俺も走るのは好きだからいいか。



「アイリ―! ちょっといいか?」


 結局、俺はアイリに事情を説明して外を走ってきていいか尋ねた。


「うーん、晩御飯の後じゃダメ? ハヤテたちは食べないだろうけど……」


 とアイリがちょっと困った顔になる。

 ご飯の後じゃないとなんでダメなんだろう。


「その……1人でご飯を食べるの、ちょっと寂しいかなぁって」

「一緒に食べますっ!」


 そんな寂しそうな顔すんなよ。

 そうだよな。最近、お爺さんを亡くしたばかりだ。

 こんな大きな家で1人の飯は、アイリには寂しいだろう。


 俺たちはガレージの奥にある部屋の窓ごしで、一緒に晩ご飯を食べることにした。

 と言っても、俺を何も食べずにアイリとたまに会話していただけだったが。


 コアは口から吸収できるそうだし、その気になればご飯くらい食べられないかな?

 今晩は頼めなかったが、今度はアイリに俺の分も少し作ってもらって、いっしょに食べてみよう。


 

 あとは、早く【擬態】で人の姿になれるようにした方がいいかもしれない。

 これからも、アイリを寂しくさせる機会がありそうだし。


 クチールに蓄えている先代物資アーティファクトを見せて、マナマテリアルを貰うことができたら色々と考えよう。


 しばらくするとアイリの食事も終わった。

 彼女はこの後、お風呂に入るそうだ。


 お風呂——


 男のハートが激しく反応したが、その直後にジラからピリピリとした威圧が飛んでくる。


(——マスターに変なこt)


 しないって!

 いいだろ、頭によぎるくらい!

 健全な男子なら当然の反応だって!


(そういう事にしておきましょう。では走りに行ってください)


 相変わらず、主従関係を全く感じさせないな。

 心なしか、スパルタなマネージャーみたいになっている。


 だが、俺も久しぶりに自由に走れるのは嬉しい。

 外に出ると、気持ちが少しずつ高揚してくる。


 さて、いっちょ走りますか! 


 町の外へ出て、少し離れると俺は全力で駆けだした。



◇◆◇



 月明りの下で走り続けているが【アライメント調整】のスキルのおかげか、夜の平原でも問題なく走れている。


 この平原はところどころに大きな岩場や、巨大な機獣の残骸などがあるものの、見通しが良い。

 周りには小動物の気配しか感じられず、魔物のなどはいなかった。


 しかし、脚力があがったから加減が利かないな。

 30分ほどで、ずいぶん遠くまで来てしまった。


 新しいスキルの調子はどうなんだろうか?


(——すでに天角の充電率が50%を超えています。1時間ほど走れば完全充電可能と確認が取れました)


 ふむ。

 昨日の戦闘で消費した魔力を、今日までに回復しきれていなかった事を考えると、まさに急速充電って感じだな。


 さすがに戦闘しながら完全充電するのは難しそうだが。



 と平原を走り続けていたら、視線の先に鬱蒼とした森が見えてきた。


 さすがに森の中は走りづらいかな?

 森の中を覗けるくらいまで近づいて、足を止める。


(森の中から複数の魔物の気配を感知。——提案。戦闘訓練をするべきです)


 戦闘訓練って……。ああ、今日の魔物との戦いで俺がビビったことを気にしてんだなジラは。

 

 確かに、戦闘に慣れた方が良いのかもしれないが、何も視界が悪い夜の森でやる必要はないだろう。


(戦闘というのは、いつ、どんな場所で起こるか分かりません)


 むむ。ごもっともだな。

 じゃあ少しだけやっていくかぁ……。


(特に天角を使用しない戦闘を学んでください。レクチャーします)


 おっと。

 ジラ先生の戦闘講座が始まる感じですか?


 それは正直助かる。

 戦闘訓練って言っても何をやっていいか分からなかったからな。


(それでは、しばらく戦闘行為の権限を譲ってください)


 ん?

 ああ。俺が許可出さないとダメなのか。

 そういうとこだけ主従関係しっかりしてんのな。


◆————————————◆

ジラによる【演算アシスト】【行動制御】を起動しますか?

 →YES

  NO

◆————————————◆


 ポチっと。

 ……お。身体が思い通りに動かなくなったな。


(——抵抗しないでください。制御しづらいです)


 悪い悪い、変な感覚だったから、ついな。


(それでは、森の中にいるブラック・ウルフ30匹の殲滅に入ります。しっかりと見学していてください)


 さ、30匹!?

 ちょっと待って! そんなにいるの!?

 急に大量殺戮を宣言されても、困るんですけど!


(——行きます)


 やめぇーてぇー!!



◇◆◇



 ——アイリside——


「ハヤテ、ずいぶん遅いけど大丈夫かな……」


 ハヤテたちが出かけた後、私はお風呂に入ってから居間でゆっくり休んでいた。


 出来れば、ハヤテとジラが返ってくるまで起きていたい。 けれど、いつになったら帰ってくるんだろう。


 わたしはおじいちゃんの機獣を撫でたりしながら、2人の帰りを待った。



 日付が変わるちょっと前になって、

 ようやくハヤテたちが帰ってきた。


 ハヤテが家に近づいてくるのが何となく分かる。


「ハヤテ―? おかえり。ずいぶん遅かったね」

「あ、アイリ。ただいま。……ただいま」


 帰ってきたハヤテは、どこか疲れたような様子だった。

 まぁこんな長い時間、走ってきたら疲れるよね。


「ずいぶん汚れちゃってるね。こっち来て。タオルで拭くから」


 よく見ると、ハヤテの夜闇のような紺色の身体には、泥などの汚れが目立つ。


「……あ゛りがどう」


 なぜかハヤテの声が涙声のように聞こえた気がしたけど……。


 多分、気のせいだよね。



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