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Crossing  作者: ぜろろ
8/20

猫の恩返し【8】

近衛正樹か……。


佐藤は九条探偵事務所のソファに座っていた。

もうすっかり日も暮れていた。

九条は助手の様子を見てくるといって外出してしまった。


あの男、どこかで見た気がするんだよなぁ

しかしどうしても思い出せない


佐藤は頭を掻きむしる。


それはまあいい

今はタマのことを考えよう

九条さんはタマはまだ無事だと言っていたが……

恐らくは勘だろうな……

しかしあの人のいうことはなぜか説得力がある

今はそれを信じよう


その時、佐藤は誰かに呼ばれた。

否、正確には呼ばれた気がしたのだ。

実際に声がしたわけではないのだが外に来るように呼びかけられた気がしたのだ。

事務所のカーテンを開けると外に1匹の美しい猫が立っていた。


ついてきなさい


こいつ、頭の中に直接……!

あ、言ってみたいセリフ第7位くらいの奴だ♪

まさか言える日がくるとはな


猫はゆっくりとどこかに歩き出す。


やばい、とりあえず書き置きとか残しとくか


九条へのメッセージを残し佐藤は事務所を後にする。


【猫に呼ばれたので出かけてきます】


「ねえ、あんたバステト様だよね」

そうだ。といってもこれは仮の姿だがね


声は頭の中に直接響く。


「どこに向かうんですか?」

ついてくればわかる


バステトの後を追いかけ着いた先は今は使われていないビルだった


我が眷属はここだ


バステトはビルの中に進んでいく。


え…、ってことはここが教団本部?

正面から入っていったぞ

戦闘は避けるように言われてるが…


佐藤はゴクリと唾をのみビルの中に入る。


行くしかないな


最初は暗くてよく見えなかったがそこに黄色いローブの人間が何人も倒れていた


こいつら、さっきの…!


男達は気を失っているようだ。

バステトが階段を上っていくのが見えた。


一瞬で…

さすが神様だな


佐藤も階段を上っていく。


この先にタマが

そして多分団長も…


佐藤は自分が震えていることに気が付く。


しっかりしろ

俺はもう逃げない

今度こそタマを救ってみせるんだ


佐藤はぴしゃりと自分の頬を叩く


佐藤が上の階にたどり着くとそこにはバステトとこちらには気づいていないらしい黄色いローブの男、そして気絶しているタマの姿があった。


「タマ!」


思わず声をあげるとローブの男は佐藤に気が付いたようだ

男が振り向き、それがFuture団長近衛正樹だということがわかる


「なんだお前は?見張りがいたはずだがいったいどうやってここに…」


近衛は佐藤を睨みつけてくる。

バステトが一歩前に進む。


我が眷属を返してもらうぞ


バステトは素早い身のこなしで近衛に飛びかかる。

バステトの爪が近衛の右目に直撃する。


「ぐはぁ…!!なんだこの化け猫は!?」


近衛は身悶え、右目を抑えている。

そして何かをぶつぶつと呟き始める。

すると彼の周りにいくつも光の点が現れる。

それらは一点に向かって集まり、やがて1つの集合体となった。

メラメラと真っ赤に燃えるそれは【炎の化け物】

そう表現するのが正しかった。

化け物は佐藤とバステトに明らかな殺意を向けていた。


これが炎の精って奴か…

見るのは初めてだ


佐藤は大きく深呼吸をする。


「名乗り遅れたな。俺は佐藤武。タマを迎えにきた。俺はそいつのご主人様だからな」





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