表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Crossing  作者: ぜろろ
7/20

猫の恩返し【7】

さて、教団本部に乗り込むにあたりいくつか注意点がある

まず極力戦闘は避けることだ

さっきも話したが奴らの中にはかなり危険な人間もいる

戦闘慣れしているというのはもちろんだが、その真の恐ろしさは奴らが使う魔術にある


魔術と言われても信じられないかな?

いや、君の場合はそうでもないのか

魔術はこの世界の理を曲げる力

人間では届き得ない神の領分に踏み込むための禁忌の術


といっても魔術の習得自体はそう難しいものではない

まったくの素人でも正しい手順さえ踏めば魔術を使用することはできる

ただ、それを保持し使用し続けるとなると話は別だ


魔術とは、本来人が使用していいものではない

使用にはそれに見合った覚悟と魂の力が必要となる

また、魔術を知っているということ自体が禁忌に触れることに当たる

常人であれば1つの魔術を1月も保持していれば狂気に陥ってしまうだろう

魔術の使用に当たっても1、2回が限度

それ以上は精神が焼き切れてしまう


いわゆる魔術師と呼ばれる連中でも、普通使いこなせる魔術は3個くらいってとこだ

もちろんその魔術の程度にもよるがね


さて、話を教団に戻そう

かの教団の名前は【Future】

黄衣の王を信仰する教団だ

黄衣の王ってのはいわゆる【古き7神】の1柱だが、それは今どうでもいい

奴らはまだ、王の復活には至っていないようだからね

奴らのアジトで王とうっかり鉢合わせなんて事態にはならないはずだ

ただ、現団長には要注意だ


もちろん注意すべき人間は何人かいるんだが彼は特に警戒してくれ

ここに写真がある

若いだろ

まだ20代後半といったところだ

名前は近衛正樹

今から約1年前、Futureの団長に就任した

恐るべきことに、彼はほんの数年前までは一切魔術のことを知らなかったらしい

しかし調べた範囲の話だが、現在彼は10以上の魔術を習得している


なぜか人体錬成や復活の類の魔術に興味があるらしい

数年で10個なんて、恐らく彼は世界に数人しかいない高位魔術師と同等の才覚を有している

ただね、私は彼の魔術センスを警戒しているんじゃない

もちろん彼の使う魔術は危険だ

ひょっとしたから町一つ吹き飛ばすくらいの魔術を有している可能性だってあるからね

ただ、私はたった数年でそこまでの魔術師となった彼の覚悟と決意、それこそ真に彼を警戒すべき理由だと考えている


いいかい

人間の思いの力、覚悟の力を侮ってはいけない

人の覚悟は時に神の思惑すら凌駕する


人の運命ってのは神様によって定められているらしい

私たちがいつ産まれ、どのように生き、どうやって死ぬのか

それはあらかじめ決まっている事柄らしい


ただ、人の思いってのは、覚悟ってやつは私達人間が築き上げていくものだ

それには運命を捻じ曲げる力があると私は信じている

そういう人間を、強い覚悟によって自らの運命を変えた人間を私は何人も知っている

近衛正樹は、なにか普通とは違う、常軌を逸した強い意志を持っている

私の勘だけどね


とにかく彼には極力近づかないことだ







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ