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説教好きな冒険者~全てに怒れる召喚されし者~  作者: アールエス
第4章 ラジュマ王国の反乱 ゾラム侯爵篇
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朝練、ブラッドの変貌

トキ達が朝練していると庭に人が集まってくる。

ヴァイスとアイサ、ゾラム侯爵までいる。

ガデルはあくびしながら現れる。

使用人達は朝の仕事を終えたのか

全員が庭に集まる。

・・・火は止めたのかな?

以前もクリプス辺境伯の家でも起こった事だ。

「またか・・・仕方ないか?」

「ブモオォ?」


今トキとブラッドは模擬戦闘している。

武器はそこら辺の木の枝をトキが持ち、

ブラッドは木製バットを使ってる。

木の枝は直径2cm。長さは30cmぐらいの細い枝。

木製バットは地球でのバットと同じ形。

その2人が打ち合いしている。


本来ならトキの持つ枝が折れるが

折れずにガン!ガン!と力強く叩き合ってる。

しかし木の叩き合う音は少なく

ブラッドが叩かれている。

「しかしブラッド?お前もう少し防御に気を使え!

ほら!「ガン!」足元にまた当たったぞ?」

「ブモオォ…」

「落ち込むのは後な?相手は気にしないぞ?

殺し合いなんだからな?今は模擬戦闘だが

気を付けないと死ぬぞ?」

トキは説きながら足元に枝が当たる。

「お前は振り回し過ぎるんだよ!

力強く速いから普通は相手は死ぬ!

けどな?動きが単調なんだよ!」

トキが足元狙うように枝を右から横に振るう姿を見せる。

ブラッドはバットを自分の体の右に先端を下にして

縦に防御する。

ドスン!…ダン!


トキは右足を強く踏み動きを止めて左手に枝を投げ

ブラッドの顔に枝を左から当てる。

顔に当たる枝は枝から聞こえない音を出して

ブラッドは左によろめく。

「武器下ろしたら動きが固定されるからな?

技術ある者なら小さい武器を自在に動かす!

お前も見たろ?俺とガデルの模擬戦闘をな?

短刀をあんな風に使うんだ!

どこから来るのか分からないからな?気を付けろよ?」


トキは間合いを取り再度打ち始める。

木の枝には魔力を纏い硬質化している。

枝から手を離すと魔力は止まり元の固さに戻る。

なら離させればいいと考えるブラッドは

トキの右腕からの正面に降り下げ攻撃に合わせて

バットを右片手で右斜め下から振り上げる。

「考えたな?でも残念!

隙は好機とは違うからな?

わざと打たせる隙もあるから覚えとけ?

実技テストで出すからな?」


トキは空いてる左手に魔力を纏いバットの

振り上げ攻撃を止める。

振り切る前にバットの先端に左手を当て下に力を入れて

横にバットが流させる。

そして振り上げ攻撃を頭に直撃する。

これまでブラッドは一度もトキに攻撃が当たってない。

枝との打ち合いはするがさせられてる。

上手くトキが誘導して捌かれている。

「ブラッド?疲れたか?弱まってるぞ力が?

速さもさっきと違い鈍いから

直ぐに避けれられる!

しかもバットの先端が下がってきてるぞ?」


ゾラム侯爵達、回りから見てブラッドの

バットを振る速さが変わってる様に見えなかった。

変わらず速い振り抜く姿が見えており

どこが遅くなったのか分からなかった。

バットの動きも同様である。

「ヴァイス君?トキの言葉通り遅くなってるな?」

「ガデルさん!そうですね?汗も流してますし!

そのせいですかね?数cm下がってますね?」

「ヴァイスとガデルさんには分かるのか?」

「ラベル様?分からないのですか?

姉様は分かりますよね?」

「ヴァイス・・・全く同じに見えるわよ?」

「ヴァイス君?あれは経験者しか分からないからな?

まぁ…俺も若干しか分かってないがな!」

「ガデル殿は凄いですね!その若干が分かるとは!

古参しか分からないぐらいの違いですよ?」

「ガアガア!」

「ラグ殿もガデル殿を誉めてますね!

滅多に誉める姿見せないのに!」

「フィル?ありがたい事だと理解するが

ラグは普段は森生活だろ?確実に見せないだろ?」

「・・・まぁそうですね…」


・・・ガデルには見えてるのか!経験者だからか!

・・・ラグ?お前は門番してただろ?

・・・離れて良いのか?仕事中に?

トキは打ち合いながら考える。

「さてブラッド?ギャラリーも集まってきたから

若干上げるぞ?追い付けよ!お前なら出来る!」

トキの攻撃スピードが上がり出す。

なんとかブラッドは防ぐが疲れている体では

ギリギリのところだった。

ブラッドは無意識にバットを短く持ち

振る速度が上がりトキの攻撃を耐えていく。

「考えないで体が反応したのか?

反射的に短くして動きを小さくしたか!

それならこの速度に耐えられるな!

では朝練最後の攻撃をしようか!」

トキはブラッドの目の前から消えた・・・


ゾラム侯爵達も何処に行ったか探してる。

ヴァイス達だけは見えていた。

ガデルは違和感で気づく。

ブラッドはトキを探してると徐々に

地面の影が大きくなってるのに気づいた。

上を向くとトキが遥か上空から落ちてくる。

まだ高い位置の為に速度を上げて落下している。

顔を下に足を上にして抵抗下げている。

木の枝を左手で横に構えて薙ぐつもりだ。

一つの流星が落ちてくる。


ブラッドは流星を受け止める為に

バットの先端を左下に構える。

両手持ちして力を増加させる。

流星が徐々に近づくにつれてブラッドの腕が太くなる。

流星との距離が残り100mを切る。

速度を保ち地面との衝突に対して恐怖していないトキ。

獰猛な笑顔がブラッドへと近づく。

残り50m。

ブラッドは構えを整え最高速度で振る感覚を

頭に作り目を閉じた。

残り10m。

2人の顔が目の先に見えている。

5m。ブラッドは目を開けて力強く振り上げ

イメージ通りに振り抜く。

回りには目に見えない速さで振り抜く。

トキは落下しながら木の枝を横に振るう。

目に見える速さでゆっくりと。

バットと枝が衝突する前にトキは力を入れて振り抜く。

脱力からの振り抜き。

回りには木の枝がぶれて見える。

木製バットと木の枝が衝突した。

ガァン!!ブワァ!!・・・・・・パキッ…

激しい衝撃音と風に目を瞑り

吹き飛ばされない様に踏ん張るゾラム侯爵達。

衝突後の静かな空間に割れる音が響く。

音の正体を知るために衝撃が収まった庭で

ゆっくりと目を開けるゾラム侯爵。

目の前の光景には振り上げたブラッドと

頭を下に落下してきたトキの姿。

互いの間に木の枝とバットが均衡して止まっている。


「終わったな・・・」

「ブモオォ…」

2人が言葉を交わすと・・・ピキ…ピキピキピキ…

音をたててブラッドの木製バットが半分に割れた。

トキはブラッドに攻撃が当たらない様に

木の枝をストレージに収めて

体に風を纏わせ高く空へと飛ぶ。

上空で姿勢を戻してゆっくりと地面に降りた。

ブラッドは腕を下げてトキと対面する。


「ブラッド!最後の攻撃は良かったな!

ただ力任せの攻撃は身を滅ぼすからな?

理解してるだろ?その腕の血でな!

力み過ぎて血管が切れたんだ!

靭帯も切れてるだろ?腕が上がらないはずだ!

筋肉も断裂して我慢してるな?

何度も言うが模擬戦闘だ!

そこまでやる必要無い!実戦でもそうだ!

その攻撃に相手が耐えたらどうするんだ?

痛みに耐えながら戦うのか?回復してくれると?

俺達が近くに居たならな!でも現実は違う!

1人なんだよ!仲間が居ても補助受けてもな!

だから考えろ!!相手の思考を!動きを!

読めば変わるぞ?誘導出来るからな!

出来なければ逃げろ!戦略的撤退だ!

次の為に離れるんだ!恥ではないからな!」

トキは仮想の強敵でも同じ事するのかと説く。

自分を傷つけてまで勝つなと

そうなるぐらいなら逃げろと告げる。


「いいか?お前は危険度ランクS魔物の牛鬼人だ!

強い!一般人は一瞬で葬れる力を持っている。

だがな?所詮Sなんだよ?上には上がいる。

そこで満足なのか?なら構わない!だが違うだろ?

上を目指してんだ!Sの壁をぶち破れ!!

どうすれば破れるか考えろ!!その考えは力だ!

お前が持ってる武器なんだよ!思考は武器だ!

考えてみろよ!あの俺との戦いをよ!

勝つ為に何をした?何を考えた?進化だろ?

ミノタウルス…牛人だったお前が俺に勝つ為に

進化したんだ!牛鬼人にランクも上げてな!

だから先を目指せ!その先には俺がいる!

現状に満足するな!日々精進しろ!

そしていつか俺に傷を負わせるぐらいに強くなれ!!」

トキはブラッドに強くなれ、現状に満足するな、

先を見続けろ、振り返り考えろと力強く説いた。

いくら強かろうがいつかは負ける、死ぬ。

なら今考えて強くなれば生き残れる。

例え勝つ為に逃げても文句は言わない。

諦めからの逃げなら俺が介錯すると考えてるトキ。


「ブモオォォォ!!!」

ブラッドは理解したのかトキに頷いて

雄叫びを上げた。

主人はやはり凄い人だった、日々精進している。

そんな主人に強くなれと言われたのだ。

なら強くならないでどうするんだ!

そんな気持ちを含めて泣きながら雄叫びを上げる。

決して痛みからではない。

高尚な主人が死ぬまで付き従う忠誠の涙。

そんな主人からの言葉を受けての涙。

意味持つ涙を流してる。例え普段はふざけていても

主人の心は常に高く、強さに飢えている。

主人は以前言っていた。

『強者は上を目指したいのに目指せないよ?』と。

自分は異常で強者でありながらも慢心しない。

上を目指してると宣言している。

なら主人の思いに答えるのが私の役目ではないのか?

フィル殿やルティ殿とは違う付き合い方。

共に闘い共に上を目指す仲間としてついていく。


ブラッドは改めてトキに忠誠心を持ち

上を目指すと思いを馳せる。

「・・・ブラッド?お前…」

トキはブラッドを見て驚く。

傷付いた腕が修復していく。誰も回復させてない。

腕が治ると体から煙が現れる。

「ブラッド・・・上を目指すんだな!」


トキは理解した。以前見た光景。

ブラッドがミノタウルスから牛鬼人へ進化した

あの時と同じ煙に包まれていくブラッド。

以前と違うのは灰色の煙が赤黒くなっている。

ブラッドは忘れがちだが3本角で赤紫色の体。

3mある身長を持つ魔物である。

その魔物が新たに進化を求めて

変貌しようとしている。

なら主人として見守ろうではないか。

進化して人に害為すなら介錯しよう。

トキは静かにフルバルに手を伸ばして

右手に持ち戦闘態勢に入る。

トキの気配が大きくなりブラッドの煙を見て

ヴァイス達は急いで全員を一ヶ所に纏めて

ルティは元のゼクスマーブルテイルになる。

フィルとヴァイスはルティと共に前に立ち

何があっても動けるように身体制限を解除した。


「ヴァイス?何が起こってるの?」

「姉様!ブラッドが進化しようとしてます!

以前も同じ光景を!煙に包まれていくブラッドが

ミノタウルスから牛鬼人へなりました!

もし暴れても僕達が守りますので

そこから離れないでください!!」

アイサはヴァイスに質問して

戦闘態勢で緊張しているヴァイスから答えを聞く。

魔物が目の前で進化する?

そんなの見たことも聞いた事も無い。

でも現実に起きている。

危険度ランクSが進化するなんて。

反乱軍の鎮圧終わったのに新たな脅威に

晒されてる。弟達に頼るしか無い事に

不甲斐なさを感じていたアイサ達。


「モオォ!!!」

赤黒い煙がブラッドから霧散していく。

徐々に姿を表すブラッドの進化した姿。


「・・・忠誠心がそっちに行ったか…

介錯は予定してたがなぁ・・・

相応しい姿になってまぁ…」


ブラッドは赤黒い甲冑を着て現れた。

甲冑は日本の安土桃山時代を思わせる。

当世具足と呼ばれる日本の甲冑名称の一つ。

3本角は左右と前に兜を貫いている。

そんな形だと言われれば納得する兜。

どう佩楯はいだて臑当すねあて

そで籠手こて手甲てこう

面頬めんぽうが着いている。

面頬(めんぽう)は牛の顔を隠してる。

人の顔の黒い仮面だな・・・

身長は変わらず3mのまま。

・・・着てるの日本の甲冑だよな…

・・・しかし違和感あるんだよ…

・・・刀じゃなくて大小の金属バットではな?


「モオォ…あ…主…様…」

「喋るのか!?フィルと同じになったか・・・

渋い声出すな?フィルの声変わりした後の声と

反対に熟練された大人の渋みを感じるぞ?

ブラッド?言葉が分かるか?危害を与えるか?」

「ブモオォ!大…丈…夫…です…

それ…がし…は…い…ぜん…の…まま…です…

はなす…のに…じか…んが…かか…ります…」

「それは仕方無い!練習しとけよ!

それ…がし…某ねぇ…完全にあっちに行ったな…

ブラッドは・・・ちょっと待てよ…」

トキは図鑑を出して調べる。

「なるほどな・・・危険度ランクSSか!

牛鬼人から牛鬼侍となったわけだな!

侍なのに金属バットねぇ・・・

まぁちゃんと力と鎧外せるか調べとけよ!

もし必要なら手伝うからな!」

「了…解…しまし…た…主…様…」

ブラッドは危険度ランクSSの牛鬼侍となった。

まさか西洋の文化溢れる世界で

日本文化と触れ合うとはな・・・


「ヴァイス達大丈夫だ!!戦闘態勢を解除しろ!

なんか有れば俺か対処するから安心しろ!

しかしまさかの展開が最近多すぎだな…

安穏にはさせないとあいつらに釘刺されたかな?

なら神?がその気なら説教だな…

もしあいつらならもう一度正座させてやる!!」


ブラッドは進化した結果に自分の願望からではなく

坂口先生達の嫌がらせもあると予測したトキ。

こうしてゾラム侯爵達の目の前で

ブラッドは進化した。牛鬼人から牛鬼侍に。

驚きが多過ぎて思考が遥かに飛んだまま

立って気絶しているゾラム侯爵達。

俺達は倒れないように気遣う。

まだ今後については先になりそうだ・・・

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