模擬戦闘、5分前以上の集合
キン!ガン!ダン!シュッ!
トキとガデルの間に様々な音がなる。
現在2人はゾラム侯爵の統治する街ニバルへ
走りながら模擬戦をしている。
模擬でも命を掛けた戦闘である。
「ガデル?面白いな!まさか両手使いの意味に
そんなのがあるなんて!
やっぱり戦いは愉しいね!!」
「ありがとうと言えば良いかな?
前に友から言われた事あってな!
お前の技は楽しませると・ね!」
ガデルはトキに2本の短刀を投げる。
トキに同じ速さで並んで飛んで来る。
2本の幅の間隔が短い。鍔が無いから出来る芸当だろう。
短刀の側面を左に殴り木に2本共に刺さる。
目の前にガデルが右手で鞘を持ち腹へと殴りかかる。
手甲で防ぐと木に刺さっていた短刀が顔に向かって来る。
短刀の柄に目に見えにくい細い金属糸をつけている。
其を左手に巻き付けて木の短刀を抜き、
トキへと向かわせていた。
ガデルの両手には金属で編み込んだ鎖帷子みたいな
手袋を着けている。
今は実力見せるために見えてるが手袋は
本来茶色の手袋を上に着けて2重にしている。
トキは後ろへ跳躍して逃げるがガデルは
鞘を戻し2本の金属糸を両手に巻き付けて
短刀を自由自在に攻めてくる。
「素晴らしい!俺の目に狂いは無かった!
大道芸と思われる程の技術で
人を殺しに掛かる!ガデルの友は見る目あるな!
短刀で切り、柄で殴り、金属糸で自由に!
ガデル!君は本当に両刀使いではないな!
君こそ両手使いの意味に革命をもたらした!
本来両手使いは大剣を両手に持つや
剣と盾の両手使いが有るが君は違う!!
大道芸を暗殺技術にして昇華させている!
君の友の前で誇らせてくれ!素晴らしいと!
きっと喜んでくれるだろう!笑顔でな!
だかその友の笑顔が見れないのが悔しいな!
ちゃんと一緒に復讐しよう!ガデルの未来の為に!!」
トキはガデルと友ルドバへの称賛と友の復讐を
言葉にする。
「嬉しいね!技を技術を見て俺の心友ルドバに対して
称賛をくれるとは!そして悲しんでくれてる!
復讐も誓ってくれた!トキ!!君は本当に!本当に!!
駄目だな・・・年取ると涙が出やすくなる…
模擬戦闘の最中なのにな・・・霞んでくるよ…
俺は…俺は!!本当に良い主人に恵まれた!!
ありがとう!トキ!!俺と会ってくれて!!
ありがとう!解放してくれて!!
ありがとう!心友ルドバを誉めてくれて!!!
そしてこれが・・・俺の今ある技術の傑作だ!!
受け取ってくれ!トキ!!
これが俺からの感謝の気持ちだ!!!」
「その思い!!ありがたく頂こう!!!」
ガデルからの感謝の言葉と傑作の技術を立ち止まり
正面から受け取るトキ。
ガデルは霞む目でトキを狙い短刀を投げた。
今までどこにあったのか8本の短刀が
八方から上、横、斜めから飛んで来る。
短刀の柄に金属糸が付いており追尾する。
6本の柄も回転しながら同様に投げた。
柄は頂点が直角に曲がっており
ブーメランの様に回転している。
2本は両手に持ち時間差で攻撃する。
金属糸は指に巻き付けている。
全てが同じ時間での攻撃と複数の時間差での攻撃。
6本の柄に時間差で8本の短刀、ガデルの柄2本。
全てを賭けた攻撃がトキに襲いかかる。
トキは獰猛に笑い籠手のギミックを解放する。
右手の腕を柄を落とす様に斜めに振り抜く。
右手の籠手から前腕ぐらいある4本の鉤爪が現れる。
反りのある鉤爪。新たに伸びた腕で柄を落とした。
それを見たガデルは両腕を後ろに動かし短刀8本を
その場から引かせる。
そして腕を前に振り勢いつける。
トキは左籠手のギミックを発動する。
左腕に魔力を流し蛇腹が扇子みたいに広がる。
左腕に盾が現れ短刀を全て防ぐ。
短刀の金属糸を右手で切り裂く。
後はガデルの持つ2本の柄のみ。
盾と鉤爪を用いて相対する。
ガデルは涙流しながら笑顔になる。
笑顔のまま柄をトキに力強く
ガデルから見て上と左側から殴りかかる。
トキは上の柄を左で横の柄を右で防ぐ。
ガァン!ガァン!
大きな音をたてて周囲に響いた。
フィルとブラッドは終わりだと認識したが
ガデルからの攻撃は終わってなかった。
足元に落ちてる柄と短刀を地面から蹴りあげ
トキへと向ける。
トキは後ろへ下がるが腕の防いでいた柄の力が
抜けているのを感じた。
ガデルは柄を離し地面の武器を空中へと蹴りあげ
16の武器が何度も持っては打ち、切り、突き、薙ぐ、
投げを行い落ちては蹴りあげの
繰り返しでトキへと襲い掛かった。
トキは何回か防ぐが防ぎきる事が出来ず傷を負う。
短くても刀。切られていく。短くても柄。打撲する。
今までの相手と違うタイプのガデル。
トキの相手はほとんどが巨体だった。
そして大きな武器を使う。
それが今相手してるのは人間。
短い武器を使い傷を負う。
負いながらも獰猛な笑顔は絶やさない。
逆に般若へと変わりゆく。
これは模擬戦闘。でも命を賭けた戦い。
トキは少しずつガデルの攻撃に追い付いていく。
驚くガデルだが徐々にだが速度をあげていく。
トキも加減を緩めて上げていく。
いつの間にか互いにガデルの武器を使い戦い合う。
柄と短刀を用いて打ち、切り、突き、薙ぐ。
互いに落ちた武器を蹴りあげ互いに空中で奪い合う。
そして完全にトキのギアは上げていく。
5%から現在20%へと加減を緩めてる。
遂に速度に耐えられなくなったガデルが
逆に追い込まれていき首もとに短刀が当てられる。
模擬戦闘は終了した。
ガデルの猛攻を真似ていき上回る速度で
トキは勝ちを得た。
その場でガデルは額から
大量の汗を流して肩で息をする。
トキは息いつもより荒いが変わりはしなかった。
ガデルが正常に戻ると言葉を紡ぐ。
「俺の傑作を真似て勝つなんてな!
トキお前凄いな!俺は全力出したが
お前はまだ隠してるよな?
戦ったから分かる!加減してるとな!
なんだろうな?遥か高みの存在?と
戦ってる感じがした!
改めて言うが何者なんだ?お前は?」
「俺は・・・冒険者のトキさ!
以前は浮浪者のトキを名乗ってた!
そしてガデルの言う通り全力は出してない!
俺でも分からないからな?ガデル?
俺はまだ成長している!育ち盛りだ!
前に盗賊のアジト殲滅させた時も全力じゃない。
ガデルには俺の秘密2つ教えてやるよ!
楽しませてくれたお礼だ!
ゾラム侯爵の件が終われば全部教えてやるよ!
確りと受けとれよ?
1つは俺は危険度ランクSSのスーサイドで
1年半暮らしてた!内緒だぜ?
もう1つは俺の魔力と殺気や怒気等の気配を
記念に見せてやるよ!魔力は初めて人に見せる!
生徒のヴァイスでも見たことないぞ?
じゃあ魔力、気配と見せるから離れて座れよ?
俺の気配は尋常じゃない!
危険度ランクSSいやXXの魔物を畏怖させた…
それじゃ始めるから座ったら始めるぞ?
フィルとブラッドも座れよ?
そして・・・気を確り持て!!死ぬぞ?」
ガデルは驚いたが咀嚼するように頷き
フィルとブラッドの位置まで下がり
全員が座る。
ガデルは胡座だが魔物達は器用に正座する。
トキは全員が離れて座ったの確認して
目を閉じて魔力を練りだした。
本来魔力は人間の目に見えない。
だがトキの纏う魔力は色鮮やかに魅せる。
青から始まり黄色、赤、緑、紫、白、黒と
変化させる。
魔力の流れに歪は見えない。
綺麗に体を中心に2mの円を作り色を魅せる。
そして圧縮していき眩しい光と共に
体に魔力を纏い服を着てる様に魅せる。
体の部位毎に色を変えてる。
頭に赤、体に紫、右腕に黄色、左腕に青、
右足に白、左足に黒を纏い最後に全体を緑にする。
ガデル達は目の前の光景に感動していた。
誰もが認める美しく綺麗な芸術を見ている。
今の光景に感動しない人はいないと断言するほどに…
澄んだ色を放ち歪さは一切無い。
透明度の高い魔力。鮮やかに吸い込まれる魅力。
心から感動した。神を見たと言える程に。
だか神は悪魔へと変貌した。
トキは魔力を止めて気配を出していく。
殺気を空間へと流していく。
地面から唸りが聞こえるほどの気配。
濃密に鋭くなっていく。
見えない殺意が見えるほどに
どす黒く濁った色に周囲に見せる。
トキの後ろには赤黒い何かを感じる。
見てはいけない。ここに居たらいけない。
無意識的に、意識的に死を連想させる。
魔物なんて優しく思える程に禍々しい。
気配を察した周りの生き物は音をたてて
慌てて逃げていく。
直径10kmの範囲に生き物はいない。
逃げ遅れた生き物は気絶していく。
幾つかの鳥は木から空中へと離れるが
気配に当てられ落下する。
ガデル達は思わず下を向く。
顔が青ざめて体が硬直し震え出す。
体から大量の液体を流している。
心臓の鼓動高まり捕まれてる。
思わず助けてと言いたくなる。
絶対に顔をあげてはいけない。
魂が消える。死ぬは生ぬるい。
そう感じるしか思えなかった。
言葉に意味はないと肌が教える。
逆らう?侮る?権力?命令?怨む?
絶対にしてはいけない死神がいる。
「ふぅ・・・もう大丈夫だぞ?」
トキの言葉に我を思い出す。
走馬灯を見ていた。
震えは消え、硬直も解け、汗も止まり、
心臓も通常へとゆっくり動く。
「?何でガデルは正座知ってるんだ?」
自然とガデルも正座していた。
した事の無い姿勢だがせずにはいられなかった。
ガデルはフィルとブラッドを見ると
優しく肩を叩かれ仲間入りだと顔に出してた。
君ら経験者なんだなと優しく頷きかえした。
「?まぁ…3人仲良くなって良かったよ!
これで仲間だな!
一応、1分経ってないけど動ける?」
3人共に驚く。あの長く永遠と思える時間が1分?
馬鹿なあり得ない!そんな表情を見せる。
「嘘じゃないって!殺る前が10時42分!
今は10時43分!ほら見ろよ!」
トキは懐中時計を見せる。
本当に時間は同じだった・・・
「フィルとブラッドは良いとしても
ガデルは着替えろよ?
それで出たら驚かれるからな!」
ガデルは言われるまま自分を見ると全身が濡れて
地面に3人分の大きな水溜まりが出来ていた。
トキは地面に囲いを作りテントを張る。
囲いにはお湯を用意して体を洗わせる。
ガデルは慌てて用意したテントに入り
お風呂で気の抜けた声を出して落ち着き
着替えてテントから出てきた。
「あ~さっぱりしたぜ!ありがとな!
冒険者でこんな思い出来るのお前らだけじゃないか?
魔法使いなんてここまでする魔力無いし
ストレージっだっけ?空間魔法も珍しいからな!」
機嫌良く現れるガデル。
本来なら風呂なんて入れないが模擬戦闘で
見せた体力見て走っても汗をかかないから
入らせた。これから血道を歩くが関係無いと。
「おぉ!上がったか?
飯もあるから食べてから行くか!
昼飯早く食べないと戦いになったら
否応なしに食べれないからな!
熱いから気を付けろよ?」
トキはガデルに釜戸で焼いた串焼きを渡す。
もうガデルは驚かなかった。
異常が体を持って目の前にいる。
何でもありだと風呂で納得し理解していたから。
礼を言って食べた串焼きは旨かった。
数本食べて水分も確り取りニバルへ向かう。
走ってる時に串焼きについて聞くと
ペインボアだと言われてなんとも
言えない顔をした。
滅多に食べれない高級食材のペインボア。
危険度ランクがAある猪型魔物だが
傷を常に作り敵へ反撃すると蓄積された痛みが
相手へ向かう。最悪ショック死するほどの痛み。
ペインボアは攻撃すると傷が消え綺麗になるが
特殊な生態が有名で植物を食べるとき
蔓に傷つけられながら食事する魔物。
SかMか分からない生態?を持つ魔物と
知ってるから苦々しい顔でお礼を言った。
「もうそろそろで着くぞ!
まさかブラッドまで俺に付いてくる速度持つなんてな!
まさか・・・お前も隠してるか?
そういや、危険度ランクSの牛鬼人だもんな…
で同じ危険度ランクの喋るグリフォンのフィル…
そしてその主人のトキ・・・
お前ら絶対に冒険者ランクBは嘘だろ!!
あの迷宮ホウリョで活躍した奴等だろ?」
「ん?ホウリョの出来事を知ってるのか?」
「当たり前だ!王国にしか広まってないがな!
べラムに凄い冒険者が出たと有名だぞ?
何でも・・・千の魔物いる部屋で活躍した
『白影』の二つ名持つ白髪の子供に
赤と黄色の子狐、喋るグリフォンに
ミノタウルスから進化した魔物を従魔した若者
まぁ、トキとフィルとブラッドだと理解してるがな!
しかもフィルは街の住民の相談役してて
子狐は愛護部屋作って商売してるとかな!
べラムに孤児院作ってスラムの改革して
子供全員が冒険者ランク平均Eで文字や算数を
使えてそこらの大人より賢いとか!
べラムで新たな狩りの方法が流行ってるとかも
聞いてるぞ!ブラッドが流行らしたとかな!」
トキは思わず足を止めてしまった。
フィルとブラッドは有名になってる事に嬉しがる。
「ガデル・・・本当に有名なのか?」
「あぁ!本当だ!俺は元偵察部隊だぞ?
だがなパーティー名だけは知らないんだよな…」
「・・・パーティー俺達組んで無いし…
考えろよ?人間は俺と子供の2人!
後は魔物だらけ!これでパーティーと言えるか?」
「・・・言える訳無いか…」
「だろ?しかし・・・ヴァイスに二つ名か・・・
あいつ知ってんのかな?有名になってる事に…
俺・・・知らなかったし、知りたくなかった…」
トキは話を聞いて呆然としてしまった。
あと少しで反乱軍との戦闘だが知らない事実が
目の前に現れてしまったから。
「・・・すまない…今言う事じゃないな…
本当にごめん…まぁ…元気出せよ?」
ガデルは今のトキ見て謝る。
それほどに落胆しているトキがいるから。
「まぁ・・・その…あぁそうだ!その不満をさ!
反乱軍にぶつけろよ!ストレス解消するぞ!」
ガデルは思わず悪魔の囁きをしてしまった。
この事を言った事にガデルは後に後悔する。
『励ましのつもりがあんな事になるなんて・・・
思わず哀れんだよ・・・反乱軍に…』
後にガデルはアイサとゾラム侯爵に会った時に呟いた。
2人もヴァイスの行動見て同じ考え持ったのだろう。
『私達もね…敵なのに…生きて!!って思わずね…
まさかあんなになるなんて思わなかったわ…』
『10歳とは思えなかった…有名になる事に
恐れを抱くとはね…貴族も考えないと・・・』
2人は鎮圧後にガデルへと呟いた。
同じ考えを持つ同士がいると身分関係なく感じた…
「ガデル…そう…そうだな!よっしゃ!
やるぞ!殺るぞ!!ぶつけて解消してやらあ!
反乱した事を!生きてる事を後悔させてやるぜ!」
トキの言葉にガデルは何か言いたかったが言えなかった。
自分の言葉にやる気に満ちてるトキを止めれなかった。
現在ゾラム侯爵の街ニバルにヴァイスとルティとラグと
アイサとゾラム侯爵とシーサとゾラム侯爵軍5000。
暗躍部隊としてニル補佐官、ラキュ隊長、
ラレギルド長、一部の警備隊、住民、ギルド員の500。
外に反乱軍ダスティと盗賊含む1万の軍勢。
離れた場所にトキとフィルとブラッドとガデル。
時間は午前11時48分。
反乱軍は12時丁度に攻め込む作戦をしている。
さて開始まであと少し5分前集合にも間に合った。
ニバルを舞台に賽を投げ入れる。
後は劇を見てのお楽しみ・・・




