情報、ガデルの過去
さて今俺は目の前にいる偵察豚の肉君に
反乱軍に付いて話を聞いている。
本当は偵察部隊隊長のニクルだが
見た目の肥えた体からそう呼んでる。
顔?ライトノベル等でよく見る脂ぎった奴だ。
話を聞くと腕が折れた補佐官は優秀な奴で
こいつはいるだけの存在らしい。
全て補佐官に任せて贅沢に過ごしてる。
その金も補佐官が集めてる。
何で反乱軍はこいつを隊長にしたんだ?
疑問に思ってると偵察豚が話してくれた。
補佐官は偵察豚の奴隷らしい。
ダスティから受け継いで諜報や偵察をしていると。
本来はある貴族のお抱えの諜報部隊隊長だった。
しかし反乱軍にその貴族がやられて
ガデルは使えると判断され今に至る。
良くみると不思議な腕輪を着けている。
本来この世界の奴隷は首輪を着けている。
通常の首輪や呪刻印入り首輪などある。
呪刻印は首輪の内側に刻まれていて
呪いの種類は死、麻痺、行動制限、痛みがある。
基本的に呪刻印入り首輪は高価な物で
安い物で行動制限、高い物で死の刻印がある。
主人への服従を主人の呪文と主人の血を垂らす事で
刻印が稼働し主人以外外れなくする。
呪刻印は服従違反すると作動する。
動きを止めさせ、痛みを与え、
体を感電し麻痺させ、死を与える。
行動制限と麻痺は時間や方法が異なる。
行動制限は一定時間は口手足を止める、
麻痺は半日は体を感電させ麻痺させる。
同じ様に感じるが全く違う効果を与える。
石化と麻痺の違いがある。
そして補佐官には周りに気付かれないように
特殊な呪刻印入り腕輪を施してる。
首輪には無い針が腕輪に付いており
違反すると猛毒針が刺す仕組み。
毒が流れると意識が混濁し平衡感覚を失い、
数秒は呼吸不全で死に至る。
特殊な方法で作られる解毒剤で治るが
高度な技術と希有な植物で作られる為
一般的に存在しない。
そんな腕輪をしたガデルは現在俺の武器で
地面に伏せて意識を失ってる。
服従違反してないため毒は流れない。
だからあの疑問が出る質問したのだろう。
『何が目的なのだ?武器を降ろして投降しろ!』
主人に対して服従してる言葉だ。
後で解除してやろう。
俺は偵察豚からの情報を得て纏めた。
・王国反乱軍は王国の第3王子
ストレイ=ラジュマ(20歳)が主犯。
・43の貴族の内20の貴族を纏めている。
・20の貴族も世代交代させられ若者中心。
(18~26歳の年齢で次男や三男が多い。
父親、長男や反対派は牢獄入り)
・20の貴族に反乱軍を出している。5の貴族は完了済
残りの3の貴族は秘密裏の作戦が露見の為
反乱軍は傍観している。
・ゾラム侯爵にいる反乱軍はダスティ=サバイ(25歳)
(隣の領地のサバイ男爵の次男)
・クリプス辺境伯には反乱軍は向かってない。
(理由は秘密裏の存在が気付かれてしまった為らしい
そのせいで反乱軍が動きを早めたとの事)
・各反乱軍が10の貴族を制圧後に王都へ攻め込む。
攻め込む時の軍勢は約10万人予定。
・残りの10の貴族は爵位が高い為王国軍が来ると判断
反乱軍は差し向けているが捨て駒。
・ストレイ王子の近衛隊に他国訛りの人物がいる。
・ゾラム侯爵の中央まで反乱軍は1日の距離。
数は1万の軍勢。魔法使いや魔物使いの部隊有
・末端としてそこらの盗賊等も採用している。
・他国は傍観予定。同盟国のヴァーリ武国と
アサン海国、シャジ魔導国は兵の派遣予定。
・ゾラム侯爵の中央に秘密裏に潜入している
部隊が暗躍している。
分かる範囲でこんなところだ。
「私が知る限りの大切な情報は教えたんだ!
寛大な処置を与えてくれるだろ?
命だけは助けてくれ!!」
偵察豚は話終えて椅子の足元にすがり付き懇願する。
足元に頭を下げて懇願する姿は
土中の虫や茸を探す豚に類似していた。
「寛大な処置をね・・・
どうするかな?ってさっき言ったしな!
有言実行しないとね!人として!」
「どう言う・・・何を言ったのか覚えて無いのですが…」
「あれ?偵察部隊隊長なのに記憶力が悪い?
悲しいな…悲しいよ俺は…忘れられたなんて…
ならもう一度言わないといけないな!
『茸でも探してたら良いのに森から出ちゃったのか!
人里は危険だと理解しなかったのかな?
家畜として逃げて来たのかな?
なら被害出したから処分しないとね?』
自分でも良く覚えてるよ!流石俺!!
さて?理解はしてくれたかな?ニクル隊長?」
「ま…待ってくれ!!私は被害を出してない!!」
「やだな~隊長?忘れたのかな?
物忘れは大変だな?確りとメモ取らないとね!
お前ら拠点付近の村襲ったよな?
そして偵察して新たに襲撃予定!
実行犯で実行未遂だ!その証拠も有ったしな!
俺は命じてない?部下が勝手にやった?
人間社会ではね?部下のミスは上司のミス!
部下の行動の責任は上司が責任持つのが常識!
知らないかな?分からないかな?例としてさ
部下の功績を自分の功績にするなんてあるよな?
お前がそうだよな?補佐官の情報を俺に与えて!
今がその例だよ?ニクル隊長?
さあ!終わらせようか!無駄な時間稼ぎをさ!!」
「ま…待ってくれ!!私は「ドン!!」・・・」
ブラッドの振り下ろしが見事に頭に当たった。
「ブラッド?指示する前に行うなよ!
分かってたけど目の前の強風に焦ったぞ?
靴も汚れたしな?」
「モォォ…」
「反省したなら問題無い!では次の行動をしよう!」
俺は赤い汚れを落として
意識を失ってるガデルの元に向かう。
しゃがんで腕輪を見る。
「言われて見ると鎧と合わない腕輪だな…
黒い腕輪なんて合ってないぞ?」
ガデルの鎧は茶色の革鎧をしている。
元偵察部隊隊長としての動きに合わせて
金属鎧より動きやすいのを着ている。
「主殿?助けるのですか?襲撃犯ですよ?」
「あぁ!助ける!そして諜報員として採用する!
奴隷だったから違反出来ないしな!」
「まぁ…あれより使えるみたいですからね!
助けるのに私は問題無いですよ!」
「モォモォ!」「ブラッド殿も同意だそうです!」
「なら外してやるか!
こいつにふさわしくない腕輪をな!」
俺はガデルの腕輪を外す事にした。
腕輪には繋ぎを金属で厚く接着した跡がある。
外れなくするためにだろう。
この世界に溶接技術あるのか?
まぁ、俺には関係無いけどな!
腕輪と腕に1cm程の隙間がある。
分りやすい例えで1円玉の半分の大きさ。
俺は念の為にガデルの腕輪を着けている
右腕を針が刺さらない様に
土で纏わせ硬質化させて金属も纏わせた。
腕が火傷しないように慎重素早くに行い
ガデルの表情は苦痛の表情を出してない。
俺は腕輪の溶接部分と反対側に
俺の右手の人差し指に白炎の刃を作り腕輪を溶断する。
白炎は蒼炎より温度が高い。
時間を掛けるとガデルの腕に纏わせてる金属も
熱を持ち出すので素早く終わらせた。
本当は腕輪を高温で熱して水で急速に冷やして
金属疲労で壊そうとしたが腕を保護してる
金属も破断するので止めた。
無事に腕輪の破壊を成功しフルバルを持ち上げ
腰に戻す。ガデルに回復を行い経過観察中。
纏わせた土や金属も回収した。
起きる間俺は腕輪を見ていた。
呪文らしい刻印に針穴が4ヵ所。
腕輪の幅は2cm程。針穴は直径約5mm。
服従違反すると出てくるんだろうな。
俺には効かないけどな。
スーサイドで鍛えられた体に状態異常耐性。
実は1年間いた理由の1つでもあるが
スーサイドの植物や魔物の毒の抗体が体に複数あり
石化、催眠、麻痺、混乱、幻覚、魅了等
あまり効かない。
あまり効かないだけなので少なくは効くが
回復するので行動に問題は出ない。
状態異常を起こす魔物や植物が
いないなんてあり得ない。
危険度SSの森スーサイドだよ?
強靭で俊敏な魔物や肉食植物が跋扈する森。
その中で生き残ろうと進化して
状態異常をもたらす魔物や植物。
大変だったよ?足を石化させて狙うわ!
体を麻痺させて喰おうとするわ!
眠らせたり、幻覚見せたり、魅了したり、混乱させて
養分にする植物に襲われてばかり。
毒なんて当たり前。何度激痛に襲われたか。
異世界ってそのへん便利だよな!
毒の抗体複数持てて良く生きてるよ。
死ぬよ?地球ではね!ふぐ毒が良い例だよな!
テトロドキシンだっけ?名前あってるか知らんけど
とりあえず今は毒人間でもあります。
これは仲間には一切話してない。
話せる内容じゃないしな。
「ん…私は・・・」
色々考えてるとガデルが起きてきた。
「やあ!起きたか?体に異常は無いか?」
「お前はさっきの!?何故私は・・・」
「お前は生かしたからな!色々使えるようだし!
俺の専用諜報員として採用するからな!
その対価に腕輪無いだろ?」
「!?・・・腕輪?腕輪が…腕輪が外れてる!?」
ガデルはあった筈の腕輪が無いのに見て驚く。
そしてゆっくりと腕輪があった場所を擦る。
腕輪が無い事を目で見て手で触り理解する。
「腕輪はこうなってるから!」
俺は半分ずつ両手に持ち上げガデルに見せる。
半分に割れてる腕輪を見て改めて驚く。
今は支障出てないが大火傷するほどの火魔法で
外れない様に接着された腕輪が目の前にある。
その腕輪は意識がある時に付けられた。
心友と言っても過言では無い貴族の
ルドバ=シレモ子爵とデルは昔からの幼なじみであり
ルドバが表ならと敢えて裏の道を進んだガデル。
ガデルは活躍して出世しルドバ直轄の
諜報部隊隊長となった。
道は違えど人の為、民の為にと
互いに切磋琢磨していた。
情報交換と言う名で互いに友情も育んでいく。
だがある時に部下が反乱軍と繋がりを持つ。
ガデルは知らずに各地を回ってた間に
シレモ子爵領に反乱軍が襲撃してきた。
襲撃を受けて急いで駆けつけると終わっていた。
「あれ?隊長?帰ってきてたんですか?」
「これは…これはどういう事だ!メノス!!!」
「見ての通りですよ?シレモ子爵は
家族全員、一族郎党排除しました!!
これからは私…いや俺が統治する!!!」
目の前には広場で張り付けにされたルドバと
家族、関係者全員がいた。
全員が首に傷を受けて血を流してる。
「ガ…ガデル…か?す…すまなか…た…まもれ…た…」
「ルドバアァァァァアァァァ!!」
ルドバが振り絞る声でガデルに最後の言葉を告げる…
ルドバの最後の声に名前を呼び慟哭するガデル…
「さあ!!ガデル隊長?いや、ガデル!!俺と来るんだ!!
仲間も一緒だぞ?良かったな!!」
「誰が…誰がお前に付くかあぁぁ!!!メノスゥゥ!!!」
ガデルは嘗ての部下に短刀を両手に持ち向かいだす。
しかし…メノスの前に知らない集団が立ちはだかり
武器を落とされ地面に強引に伏させられる。
「どうすんだ?メノス?いや…メノス子爵かな?
こいつは処分するのか?
反対した仲間の許に行かせるか?」
「いや・・・こいつは使えるからな!
俺に服従しないなら強制的に服従させてやるさ!!
ラキャ?お前新しい奴隷の首輪持ってたよな?
それをこいつはに使わせてくれよ!!
俺とお前の仲だろ?」
「あいつの新作か?良いが首輪じゃなくて
奴隷の腕輪な!!違反したら猛毒が刺さり死ぬ!!
それでも良いのか?」
「問題は無いさ!毒以外にも機能があるんだろ?
直ぐに死なせない様にしてんだろ?」
「あぁ!!正解だ!!普通はこの話聞いたら
死にたがるからな!2重の対策として
毒と数回の行動制限が描けてある!
しかも違反する度に・・・だ!」
「面白いな!それ!!その腕輪気に入った!!
おい!そいつを拷問部屋に連れていけ!!」
「了解しました!メノス様!!」
ガデルは強引に拷問部屋に連れていかれた。
様々な道具が置かれた赤く染まり異臭放つ部屋。
裏の人間が情報を得るために使われる。
その部屋に連れ込まれて
手足を固定する椅子にガデルは座らされ固定される。
「おい!!どういうつもりだ!!メノス!!」
「うるせえな!メノス様だ!メ・ノ・ス・様!!
おい!そいつの口塞げ!
煩く聞こえて敵わんわ!!」
「おい!メノ…ヴヴゥヴヴゥ!!」
「やっと落ち着けたかな?では腕輪を着けようか!
そういえばラキャ?腕輪の留め具無いのか?」
「あぁ!こいつはな?これで止めるんだよ!!」
ラキャはメノスの目の前でガデルに腕輪を着け
腕を厚い布で保護させて腕輪の接着面に型を着けて
熱した金属を流し始める。
「ゥヴヴゥ!ヴヴゥヴゥ!!」
「ハハハハハハ!!面白いな!俺もやって良いか?」
「あぁ!良いぜ!何回か流さないといけないからな!」
いくら保護してるからといっても流してるのは
熱された金属の液体。熱がガデルに襲いかかる。
「ゥヴヴゥ!ヴヴゥゥヴヴゥ!!」
「ハハハハ!!何を言ってるか分かんねえよ!!
あ!そっか?口塞がれてるもんな!!ハハハハ!!」
悪魔の様に笑いながら金属の液体を流すメノスとラキャ。
何度も意識を失うが熱で強制的に起こされる。
何度目かの流しを受けて腕輪が光だし接合した。
「これでこいつはあんたの奴隷だ!
今の内に呪文と血を垂らしな!」
「分かってるさ!『・・・・・・』
後は…これで完了だ!!あのガデル隊長が奴隷だ!」
メノスは嬉しそうに笑い出し拷問部屋に響く。
ガデルはこの時意識を失っていた。
暫くして意識を戻したガデルはメノスを睨む。
「おぉ!怖い怖い!そんな事してると
腕輪が作動して死ぬぞ?その前に・・・」
「ヴヴゥ!ゥヴヴゥ!」
「これが例の機能か!凄いな!
体から熱が出てるよ!!」
「だから言ったろ?猛毒が出る前に腕輪から
熱が出て体が焼けるように熱くなるとな!!」
ガデルの体から人間から出ることの無い熱が出ていた…
頭が焼かれる、体が腕が足が内蔵が焼かれていく…
そんな熱を感じながらも生かされてるガデル。
「さてとガデル?これで腕輪の効果が分かったろ?
何回かすれば猛毒が刺さり死ねるが
その前に何度も熱が体を走る!ハハハハ!!
愉快だ!あのガデル隊長を服従できるなんて!!
しかもだ!死ねない熱を走らせれるなんてな!!!」
「メノス!これで腕輪の試験完了だ!お疲れさまだ!
で?どうする?こいつはお前が預かるのか?」
「そうだな・・・それも面白いが他の人間に
扱わせて楽しむのも一興だな!」
「そうか!分かった!ならゾラム侯爵に攻め込む
ダスティにやるか!あいつなら上手く使うだろうや!」
「分かった!それじゃ!ラキャこいつを頼むな!」
「任せとけ!輸送中も遊んでやるよ!ガハハハハ!」
こうしてガデルはダスティに渡されニクルの側で
仕事をさせられていた・・・