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説教好きな冒険者~全てに怒れる召喚されし者~  作者: アールエス
容疑者トキ
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サーカス?、容疑

「先生?これってどう言うことですかね?」

「んー・・・多分新たな仲間のせいだろうな?」

トキ達が孤児院に戻るに連れてワー!キャー!と

悲鳴が聞こえ出す。


孤児院に着くと入口に野次馬が集まっており

人波をかぎ分けて入ると

庭に3つの大きな輪が設置されている。

全て縦に立てられて正面から見ると

虫眼鏡の形をしている。


そんな物を設置した覚えのないトキが見ていると

突然ドラムロールが流れ出す。

どこから聞こえるのか探していたら

ライガーのレイとティグロンのモールが

東と美並を乗せて現れる。

そして輪に向けて走り出して

跳躍し輪のなかをくぐり抜ける。


人よりも大きなレイ達が連続して輪をくぐり抜けると

歓声が上がる。

悲鳴と思っていたら違っていたみたいだ。


一通りくぐり抜けるとブラッドが輪に油をかけて

火を着けて火の輪を作り出す。

火の輪を作り出すと東達は降りる。

レイとモールだけでくぐるみたいだ。

レイが走り出すとモールは地面に潜る。


レイが火の輪をくぐり抜けると

地面からモールが飛び出して

火の輪をくぐり再び潜る。

その繰り返しを3回して東が火の輪を消す。


「皆様!レイ達の輪くぐりショーを

ご覧いただきありがとうございました!」


東が大きな声でお礼を告げるとレイ達が頭を下げて

東達も左足を引いて膝を曲げ右腕を左胸に当てると

低く礼をした。

礼をするとブラッドがお捻り用の篭を前に出して

住民が篭に銅貨や銀貨を投げ入れる。

東達も礼を止めて姿勢を戻したが

投げ入れるのを見て再び礼をする。


暫く拍手が鳴り響き止むと

フィルの相談室にいく人間と

街中に戻る人間に別れ離れていった。


「・・・先生?これって?」

「あれだな…新たに商業ギルドに登録だな!」

「急いで行ってきます!」

ヴァイスは両手で指折りながら走っていった。

頭のなかで新たな商売に火が着いたのだろう。


サミン達は呆然とする中でトキは庭に入り

片付けをしている東達の元に向かう。

「おい?どういうつもりだ?」

「どういうつもりだって?

レイ達が受け入れられる様に試行錯誤して

考えた興行だけど?」

「そうか・・・レイ達の為なら良いが

やるなら一言いえよ?

じゃないと商業ギルドから何してると

文句を言われるからな?

後でお捻りを計算して・・・るな?」

トキがお捻り用の篭を見ると

西尾と美並が貨幣の数を数えていた。


「東?これは週に一回するつもりか?」

「そのつもりで色々考えてる。

暫くは輪くぐりがメインとなると思うが

玉乗りを覚えさせて

モールにはイルカショーみたいなやつを

覚えさせていくつもりだ!」


「・・・サーカスでもするつもりか?」

「・・・そこまでは考えてねえよ?

けどこの孤児院はあれだろ?

『働かぬもの食うべからず』だろ?

だから芸を覚えさせていけば困らんなと

思ってな!」


「そこまで考えてるなら良いが

それなら新たな土地が欲しいな?

流石に狭いだろ?

この庭にはフィルとルティの行列が出来る。

興行中に列を退かすとなると

誰が何番目に並んでいたか困るだろ?」


「そこはフィルとメリルさんの考えで

行列に並んだ人には券を配って

何番目か分かるようにしてるぞ?」

「そんな事までしてんのかよ…

だからあんなにスムーズにフィルの列が出来たのか…」

トキはフィルの相談に並ぶ人を見て

紙を持っている人が多く

横入りする人がいないことに感心した。


「先生ー!登録完了しましたー!」

ヴァイスが走って戻ってくる。

「ついでに小物販売の権利も得ましたので

何時でもレイ達の小物が作れます!

どうします?何から作りますか?」

既に小物販売の登録まで終わらしてるみたいだ。


「そうだな・・・ぬいぐるみを作るか!

雛形は俺が作るからヴァイスは

冬の時期で仕事してない人を集めてくれ!

そして裁縫セットを渡して

孤児院で大量生産するぞ!」

「了解です!ルティ達のより大きくするんですよね?」


トキは上を見上げて考えると

頭を元の位置に下げて頷く。

「そうだな!ルティ達のは小指程度の大きさだが

30cm程度の大きさで作るか!

これから忙しくなるぞ!

土地買いに建築、ぬいぐるみ作りをして・・・

あぁそうだ!東達はガデルから大道芸習えよ!

そしてお前らは冒険者以外の副業として

働けば稼げるだろ?」


トキはやることを指折りして数える最中に

東達に提案して孤児院へと戻っていく。

ヴァイスもこれからの計画に向けて

トキの後を追い掛ける。


「え?ちょちょっと!?」

「もう遅い・・・あぁなってるトキは

止められないし止めてもいつの間にか実行してる。

仕方無いから教えてやるから覚悟しとけよ?」

「・・・お手柔らかにお願いします…」

ガデルに諌められ観念して教えを乞う東。


「あールティちゃん戻ってきたー!」

「会長!」

冒険者ランクSパーティー『暴威の盾』の

一員であるメリルがラゼを見つけて

大声を上げる。

ラゼもメリルを会長と呼んで

ルティを抱っこしたまま向かっていく。


「ねえリファイ?いつの間にラゼは

メリルさんの事を会長呼びしてるのかな?」

「え?知らなかったんですか!?

もう随分前ですよ?

確か・・・内乱の時からですね?」

「そんな前から!?知らなかったよ・・・」


サミンが部下の事を知らなかった事で落ち込んでる。


「存じないならこれも知らないですよね?

ラゼはトキさん公認のルティ愛護会で

メリルさんから親善大使、

広報部門の部長に任命されてますよ?

ラゼはルティの可愛さを国中に広めるんだって

張り切ってます!」

「僕の知らない間に・・・

下手したらべラムの代名詞がルティになるんじゃ…」


「・・・なりそうですね…

僕も想像できましたし・・・

そこは王子に任せますよ」

「任されてもねぇ・・・

リファイはヴァイス君の影響受けたんじゃない?

僕も人のこと言えないけどね?」

サミンは乾いた笑いをしてリファイを見ると

そっと顔を背けられ頭を悩ましながら

リファイと共に孤児院へと入っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

トキ達が迷宮から帰還して数日が経った頃。

べラムの一画にある建物の一室に

男女複数が集まっている。


「まだ落とせないのか!

いつまで時間を掛けるつもりだ?」


「そう言われても旦那様?

あそこはある人物が仕切ってますから

縦に顔を振らない限り難しいですよ」


「誰なんだ?仕切ってる奴は?」

「冒険者の中では『先生』と呼ばれてる者で

名前までは・・・」


「『先生』だと?大層な2つ名じゃないか!

その『先生』とやらが邪魔してるのか・・・?

なら考えがある・・・

冒険者なら一度失敗すると信用失うからな!

例えどんな手を使ってでも信用を落とせば良い!」


「しかし相手はランクAだと聞いておりますよ?

流石に難しく思うのですが・・・」

「・・・同意見です」


「そんなのお前らが考えろ!

こちとら新たな仕事が掛かってるんだ!

お前らは私の失態を主人に晒すつもりか!

それをさせない為に優秀なお前らに頼んでんだ!

その気持ちを汲み取るのもお前らの仕事だろうが!

分かったならさっさと行動に移せ!」

「・・・了解しました」


2人の影が部屋から出ると

旦那様と言われていた男が苛つきながら

机の上に用意してあるワインのコルクを

オープナーで開けてグラスに注ぐ。

注いだワインを一気に飲みほし

椅子に座ったまま眠りにつく。


「そろそろですね・・・」

1つの影が再び部屋に戻る。

その手には縄を持ち旦那様と呼ばれた

男の首を締め上げる。

男は苦しさに目を覚まして抵抗するが・・・


次の日の昼過ぎ・・・

「先生ー!大変です!」

「ヴァイスか・・・どうした?」

「先生が殺人の容疑で警備隊が来てます!」

「・・・え?ごめん、もう一度頼むわ」

「先生が殺人の容疑で警備隊が来てます!」

「なぁあにぃいーーーーー!!?」

トキの言葉が孤児院に響き渡った・・・

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cont_access.php?citi_cont_id=565217839&s お読みいただきありがとうございます。 評価や感想、ブックマーク等して 頂ければ励みになりますので よろしくお願いします。
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