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説教好きな冒険者~全てに怒れる召喚されし者~  作者: アールエス
新たな迷宮~冬の風物詩を添えて~
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ライガー、ティグロン

膝まで地面に陥没している状況で

目の前にはライガー達が集まっており

鋭い爪を覗かせている。

爪の先には涎を垂らし頬を上げて

獲物が罠に嵌まり勝ち誇る顔を見せている。

後ろの方では子供達の活躍を喜びあう

姿を見せるライオン達。


「ガルル…ガア!!」

待ちきれなくなったのか1体の虎型魔物が

俺に向かって鋭い牙を剥き出しにして

噛み殺そうと襲い掛かる。


「まだ早いんじゃねえの?勝ち誇るのはさあ!」


左手にある手甲を上に向けて盾を展開し

虎型魔物の牙を防ごうとした。

ガキン!・・・・・・ザクッ!

「ザクッ?・・・ッツ!?」

上からの攻撃に集中していて

ライガーの横からの攻撃に気づかずに

左脇腹を削られ傷を負ってしまう。


痛みを堪えて左手の盾を斜めに傾け

虎型魔物を滑り落とし

地面に右手の鉤爪を刺して真上に跳躍し

空中で振り返る。


「流石にあのままはきついなあ…」

手甲を元の姿に戻して怪我を負った脇腹を触り

緑色の光が優しく包み治癒させていく。

落下する手前に風を上空に押し上げて

体を上昇させ態勢を整え仁王立ちし眼下を見下ろす。


「さてと指輪着けて傷を負うなら

弱体化は成功してるみたいだな?

両指に指輪を着けて跳躍しても20m・・・

30%出してもこのくらいなら問題ないか?」

着けてる指輪を見て納得し頷くトキ。


地上ではトキに向かってキャンキャン吠える

魔物の姿を見て思考する。

・・・まだあれでも子供なんだよな?・・・

まだジャイアントカリブーが倒されて間もないはず。

なのに大人の体躯をしたライガーやティグロン、

虎型魔物が存在している。

ちらりとライオンと虎の親達を見ると

頑張れと吠えてるのか応援してるように見える。


「虎が母親ならライガー、

ライオンが母親ならティグロンだったかな?

普通の虎は良いとして・・・

あいつら連れて帰りたいな…

珍しい動物は歓迎しないとな?

ブラッドも元々はミノタウルスとして

迷宮に居たんだし連れて帰ることは出来るはずだよな?

よし決めた!無理矢理連れて帰る!!」


トキがそう決心して空中から落下を始める。

ライガー達も落下していく姿を見て

間合いに入るまで警戒し攻撃のタイミングを

測っていると相手の人間が手甲を外して

何も無い場所に手甲を投げて消えるのを目にする。


手甲を投げたのはライガー達の真上。

落下してくる武器を警戒して見ていたが

未だに落ちてこなく混乱する。

だが直ぐに人間へと視線を戻して

出方を見ようとすると

「キャゥゥン・・・」

遠くから仲間のの鳴き声が聞こえ

ライガー達が声のする方に顔を向けると

地面に潜っていたはずのティグロンが

空中に浮いていた。


良く見ると地面が賽の目上に切り分けられ

ティグロンが網のような物に

引っ掛かり捕らえられていた。

網の上には入口を掴むように人間が

肩から担いで降りてくる。

なんとか抵抗しようと網を引っ掻くが

削られるのが自分の爪のだけで

切れる様子が一向に感じないティグロン。


「ガルル・・・」

仲間が捕まり唸り声を上げるライガー達。

徐々に毛並みが逆立ち始め

バチバチと音を立てて怒りを露にし

白い雷が体に体に纏い始める。


「ライガーは電気属性か!

昔のプロレスラーみたいだな?

名前は変えさせてもらうか…

ライトニングライガーかな?

面白いねえ?怒れるライガーは初めて戦うよ!」

トキは網の入口を縛り壁際に投げて

ライガーの近くまで歩みだす。

他の虎型魔物も炎を纏いだし

フレイムタイガーへと変化する。


だがライガーが雄叫びを上げると炎を戻して後ろに

引き下がり始めるフレイムタイガー達。


「んん?一騎討ちでもするつもりかな?

良いねぇ!好みだよ!

やっぱり戦いは一騎討ちじゃないと楽しくないよなあ!

さあ!さあさあ!!始めようか!!!

ギアがあがりだしてきたぜええ!

お前が何処まで追い付けるか

楽しみで楽しみで仕方ないなああ!!」

トキも指輪を全て外して外套のポケットに入れる。

トキは再びストレージからシロクロを取り出し

左右に填め直す。

勢い良く右手を振り抜き腕の長さと同じ

鉤爪が素早く固定される。


トキは右手を顎の近くに持っていき

左手を前にだして肘から垂らすようにし

左半身が前に出るように構える。


牛並みの大きさを持つライガー対トキ。

先に仕掛けてきたのはライガー。

全身を電気で筋力強化し通常以上の力を出す。

地面が抉れる程の蹴り出しで音を置き去りにして

その場から消え去る。

走った跡はバチバチと電気と共に穴が残り

無作為に駆け抜ける。

左と思ったら右に、右と思ったら左に

窪みと電気玉を残して姿を隠す。


トキは姿が見えないので目を閉じて

音を頼りに戦うことにする。

ヒュン・・・ドッバチッ!

ヒュン・・・ドッバチバチ!

ヒュン・・・ドドドッバチバチバチ!!

音が近くに来ているのを感じて

薄い風を周囲に流していく。

薄く流した風が網と同じ役割を出して

無作為の動きから動きの癖を見つけた。


トキは目を開けて次に来る場所目掛けて走り出す。

「ガル!?」

ライガーが目指していた場所にトキが現れ

鳴き声をあげてしまう。

その声に向けて垂らしていた左腕を

動かして手の甲でライガーの顔をビンタし

体に痺れを、電流が走るのを感じた。

当てられたライガーは事前に電気を顔に集中させ

トキの左腕を帯電させた。


ライガーが姿を表すと全身が白く輝いており

体から出た雷が地面に穴を開けていく。

互いに姿を見せている状況で眩しすぎて

目を閉じたトキを見て好機と判断し

爪に雷を集中させ口を開けて

光速のレーザーを放射する。

熱を感知して咄嗟に数m左に避けたトキだが

外套にレーザーが当たり焼き焦げる。


外套の香ばしい匂いがする中で

トキは熱源に向けて走り出す。

トキは目を閉じたまま嗅覚と触覚、聴覚を頼りに

ライガーに向かいだす。

近づくに連れて明るくなる瞼の裏側。

トキに気付いたライガーはレーザーを止めて

同じ様にトキに向かって駆け抜ける。


ライガーはトキとの距離残り5mの位置で

跳躍し雄叫びを上げて右腕を振りかぶる。

トキも跳躍したのに気づいて立ち止まり

右腕を後方に振り前方に捻りを加えて

振り上げた。


ガキン・・・バチバチバチ・・・ドスン・・・

互いが交差し終えるとライガーは地面に着地する。


互いが後ろ向きの状態で戦意を消し

トキは鉤爪を、ライガーは電気を納めた。


互いに向き合い数秒後・・・ザシュ・・・

ライガーの右腕から赤い血が流れだし

その場で倒れる。

トキも同じく右肩に三本線が出来、

傷は焼かれ流れないままその場で崩れる。

そして・・・・・・


「この傷は勲章として受け取っておくよ」

「ガルル・・・」

現在はライオン達に見守られて

ライガーの傷を直しているトキ。


トキは崩れる瞬間に左腕の手甲を展開し

地面に突き刺してなんとか耐え抜いた。

ライガーの元には兄弟達が集まり

倒れたライガーの傷を舐めて治そうとしていた。


傍観していたライオン達も子供の許に

駆け寄り同じ様に舐めてしんぱいしている。

トキはフルバルを長くして杖代わりにし

ライガーのもとへ向かっていく。

トキに気付いたフレイムタイガー達は

前に出てトキへと威嚇の声を上げるが

ライガーに止められ間を開ける。

「それじゃ悪化するから俺に任せな」


そしてライガーの怪我を治し終えて

ライガーを背もたれにして地面に座り

ティグロン達を撫でている。

「良い勝負だったな?」

「ガルルゥ…」

「また戦いたいからよ?俺の許に来ないか?」

「ガルゥ?」

「お前達も良ければ俺の許にこいよ!

世の中は広いからよ!

こんな迷宮の中ボスでいても面白くないだろ?

なら一緒に行こうぜ!

そして俺達でこの迷宮の大ボスを倒そう!

そうしたら見えている世界が広がって

もっと強くなれるからよ!」

トキは立ち上がり広間に響くほどの声を上げて

ライガーと対面して手を差し出した。


ライガー達は仲間内で話し合うのか

ティグロンに押されて広間の外に出される。

トキは螺旋の坂の降り口で扉を開けて待っている。


時間が経ち四叉路に戻って・・・

「・・・という訳で仲間になった!

ライガーとティグロンだ!」

『ガルル!』

「通りで遅いわけだ・・・とでも言うわけ無いだろ!

何連れてきてんの?

しかも俺達がシルの解読を謎解きしてる間に

戦ってるのおかしくねぇ?

こっちの苦労を考えろよ!

あー忘れてたってのなんだったって話だよ!」

東達に説明すると苦言を言われるトキ。


「いやさ?お前らのお守りにしたら助かるなと

思ってな?

ほら、お前ら弱いだろ?」

「どんだけ上から見てんだよ!

強者からの奢りか!?

なんだよ!てめえはよ!」


東の唾が出るほどの叱責を受けている間に

「ワン!」

「ガルルゥ!」

「ワウゥワン!」

「ガル!」

「分かりました…」

シルは先輩としての言葉を告げると

ブラッドに掴まれてライガーの背に乗るシル。

互いに年が近いのか仲良くなり走り出す。


「・・・」

「迷宮の魔物ってテイム出来るんだねぇ?」

「サミンか!ブラッドも元々は迷宮生まれだからな?

出来て当然だろうよ!

牛ぐらい大きいから乗れるけど乗るか?」

「良いのかい!?魔物に乗るなんて初めてだよ!」

トキはティグロンを呼んでサミンが背中に乗り

ゆっくりと歩きだす。


「凄いね!馬より安定感ある!

だけど揺れに慣れてないときついかもね?」

サミンは嬉しそうにティグロンに乗って外周を一周する。


「なあ?美並?俺がおかしいのか?」

「おかしくないわよ?トキ達がおかしいだけ!」

東は美並のもとに行き慰めてもらっていた。


「さてと、新たな仲間が出来た事だし

先に進もうか!」

シルが解読した『ロスアシュ』をトキが解読し

左の道を進んでいった。

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