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説教好きな冒険者~全てに怒れる召喚されし者~  作者: アールエス
新たな迷宮~冬の風物詩を添えて~
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大扉の前

トキ達がログハウスを出す1時間前。

「やっとボス部屋らしい大扉に着いたな?」

「これがそうなのか?凄い大きいな!?

俺の10倍以上の高さがあるぞ?」

東が頭を下から真上に向けて見ていき

扉の頂点を見上げてトキに告げる。


「首が痛くなる位大きいね?

これってどうやって入るのかな?」

サミンも同じ様に見上げて驚いている。

美並や西尾も同じ様に見上げては感嘆の声を出す。

シルは見上げきれなかったのか

ブラッドに持ち上げてもらい見ている。


扉は20mある大扉。

扉の表面には凹凸があり何かが刻まれている。

トキは少しずつ扉から下がって全体を見渡すと

樹木の枝の様に分かれた角をもつ鹿のデザインが

刻まれているのが分かる。

トキは東達が見上げてる隙を見て

ストレージからカメラを取り出して撮影する。

パシャッ・・・シュッ・・・

トキは撮影終えると一瞬で元の位置に駆け抜けた。


「ん?今後ろから懐かしい音が聞こえたような…」

「懐かしい音?」

「美並は聞こえなかったか?

・・・って何スマホで写真とってんの!?

お前からか!あのカメラの音は!?」

「私の消音してるから聞こえるはずないわよ?

スマホで写真取るのいけなかったかしら?」

「あのー・・・美波さんは何を持ってるんですか?」

「あーサミン王子は知らないですよね?

これはスマホと言って連絡や撮影が出来る

私達の世界の日用品ですね!

この世界に来て充電できなくて暫く電源オフ

してたんですけどまだ電池残ってたみたいで

記念に撮ってみたんですよ!」

美並がフラッシュをたいてスマホで撮影してる姿を見て

東とトキは驚愕する。

堂々とスマホをサミンに見せている美並が

常識人だったはずの美並が異世界に

文化侵略しようとしてるように見えたからだ。


「スマホ?さつえい?分からない言葉が

ありますがそれがあれば便利なんですか?」

「そうですね!これは『美並ちょっと来い!』」

サミンに説明しようとしてる美並の言葉を遮り

トキと東は美並を壁の近くに呼び出した。


「何よ!あんた達も映した写真みたいの?」

「いや、そうじゃねぇよ!

何スマホ出してんの?」

「東の言うとおりだぞ!?

それはこの世界に無いからな?

良く持ってたな?それは文化侵略する代物だぞ?

俺でも自分達用にカメラを作ったが

他人には見せてないぞ!?」

「さっきの撮影音お前かよ!

ってか、良くカメラを作ったな!」

「撮影自体は簡単な原理だからな!

それよりもだ!サミンに堂々と見せるの止めろ!

異世界文化を壊したいのか!?」

「あんたらねぇ・・・

スマホ見せた所で作れると思ってんの?

私の専用魔道具として思わせとけば良いでしょ?」


「いや、でもな?没収されて

解体されたらどうするんだよ!

俺達では元に戻せないんだぞ!」

「東?論点がずれてるぞ?

まぁ、美並の言葉にも一理あるがな?

出来るだけ持ってるなら持ってると

早く言ってくれればこの事態は起きてないんだ。

その事は自覚して欲しいんだよ…

後からサミンに口止めはしとくか…」

トキは観念してサミンの所へと

東達と共に戻っていく。


「えっと・・・良いのかな?話を戻しても?」

「あぁ…サミンには誰にも話さないと

約束してくれれば問題ない…

これは文化侵略しかねない代物だからな?

もしこれが運用されたら

情報戦争が起きかねない!

あー情報戦争ってのはな?

味方の情報及び情報システムを防護し、

かつ敵のそれを攻撃・攪乱・妨害する

敵味方相互の情報活動を言うんだが

サミンは分かるだろ?この意味が!

相手より早く情報を知れるんだ!

その結果相手の出方が早かろうが遅かろうが

相手の動きに対応出来る。

そんな代物がこの世界に繁栄されたらどうなるか

情報技術が革新されたとしたら?

まず手紙なんてものが無くなるだろうな!

そして紙の生産が減少し

紙の価格が高騰し庶民が買わなくなる。

人と人を結ぶ手紙が失われたら

外働きしている家族と連絡が取れず

異変が起きても気付かれない!

その通信技術が庶民にも使えればいいが

基本は雲の上の存在である

サミン達王族が使うだろうな!

そして貴族も真似をして使い出す。

そして・・・まぁ、さっきの話に戻る!

紙専用業者の仕事が無くなり

失業するものが増えていきスラムに移住する者達が

続出するだろう。

サミンは賢いと思ってるから言ってるからな?

これの価値を知りながらも悪用する人間は

絶対に出てくる。

諜報活動にも使えるんだからな!

だから約束しろよ?この件は誰にも話さないとな!

じゃないと記憶を消させてもらうから…」


トキは密かに右手に魔力を纏わせる。

そして『消失する思い出(メモリーズロスト)』を準備した。

サミンの答えによっては記憶を消した方が早いから。

サミンは言われた言葉を頭の中で咀嚼するように

何度も繰り返す。

そして内密にすると公言しトキは右手の魔法を

霧散させた。

トキは美並に合図して美並が映した大扉の写真を

サミンに見させた。


サミンは目の前の大扉と寸分違わない物が

美並が持っている小さな掌サイズの物に

映ってるのを見て何度も扉とスマホを見比べた。

そして同じものが映ってるとサミンの中で

判断すると目を見開いてスマホを凝視する。


この小さく薄い箱の中に絵でも描けないような

同じものが映ってる。

これがあれば便利を通り越して恐ろしく思えた。

サミンはこの中に他の機能があると

先程聞かされた事を思いだし

更に畏怖する。


「サミンは分かったみたいだな?

これが美並の居た世界には日用品として存在する。

つまり誰もが情報を早く受け取れる。

そして見た通り絵をこの中で保存することが出来る。

未来の文化だよな?

もし突然そんなのが流行したら?

流通したらどうなるかな?

王族の利権を奪おうとする者が悪用するとして

先ずは何をするか?

王族を貶めようとする為に偽情報を流すだろうな。

それを見た民は王族に対して信用を失う。

信用を失った王族を討たんとする悪用者が

反乱を促して一揆が始まる。

そして民を仲間にした悪用者が先導に立ち

討伐へと向かうだろうな!

これは悪用するとこうなるの例だが

あり得ない話では無いからな?

それを肝に命じて内密にするんだな!」


トキがスマホの利便性に対する

悪用例を挙げて話すとサミンは

冷や汗を流して顔を青ざめて何度も頷いた。


トキの後ろで美並も短慮な考えでスマホを

出したことを後悔して唇を噛み締める。


「さて両者共に分かった所でそろそろ

扉の中に入って闘いたいんだが良いかな?」

トキは場の雰囲気を変えるように告げる。


「そ、そうだな!だけどどうやって入るんだ?

この扉を力付くで開けるなんて

この人数では無理だろ?」

「考えがあるからちょっと待ってろよ!」


トキは扉の表面を調べるように触り、

ある一ヶ所が凹ませれる場所を発見する。

トキはその箇所を押すとギギギと音を立てて

扉が開いていく。

扉の向こうは暗闇で何も見えない。


「さて開いたから準備は良いかな?

これからボス戦に入るが

トイレ休憩は今のうちだぞ?」

「この場所まで来て扉を開けといて

トイレ休憩は無理だろ?」

「なら行くか!何があってもやられるなよ?」


トキとブラッドを先頭に東、サミン達は

扉の向こう側に入る。

入ると扉が閉まり暗闇から獣の叫び声が木霊する。

突然、周囲が明るくなり

目の前に居たのは大扉に刻まれている

樹木の枝の様に分かれた角をもつ鹿。

だが大きさが扉と同じ大きさ程あり

トキ達は驚きを隠せなかった。

「どう戦おうか・・・」

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cont_access.php?citi_cont_id=565217839&s お読みいただきありがとうございます。 評価や感想、ブックマーク等して 頂ければ励みになりますので よろしくお願いします。
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