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説教好きな冒険者~全てに怒れる召喚されし者~  作者: アールエス
新たな迷宮~冬の風物詩を添えて~
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洞窟入口

「とまあさ…成り行きで洞窟の迷宮に入ったけどさ?

東達はなんて説明を受けたわけ?」

「ブラッドから受けたのは・・・」

現在洞窟の入口から少し離れた場所で

互いの情報共有の為に立ち止まっている。

東はふと思い、壁にトキと移動してひそひそ話を始める。


「なあ?俺達は良いけどよ?

トキは異世界の人って知られて良いのか?」

「あー・・・サミンには?」

「ブラッドがトキの居場所知ってるからと言って

本当の話はしてないぞ?

正直宥めるのに苦労はしたけどな?

目の前で連れ去られたんだ!慌てるだろ?」

「それはそれはご苦労様。

なら俺は森の中で過ごしていたとしか

伝えてないからな・・・

今更言っても通用する・・・するな…

いや、でもなぁ・・・王子だしな・・・」

「悩んでるならよ?シルの親戚が

神の遣いだったで良いんじゃねぇか?

実際、そうだったんだし?」

「う~ん・・・嘘ではないよな…

よし、それでいこう!」


トキ達は壁から戻ると

「何の話してたのかい?」

「サミンか!東から質問があったんだよ。

東達の事をな?東達は実は異世界の人でな?

それを話して良いのか質問されたんだ。

ある事情で俺が保証人として引き取ってるんだが

こいつらは今は廃れた国に召喚されたらしくてな?

そこから逃げ出してここにいるんだよ!

まあ、匿ってると言っても良いかもしれないが

召喚された人なんて珍しいし軍事利用されるだろ?

ガデルから聞いたが悪用する国も珍しくない。

ならどうするか?ってなった時にな?

スーサイドで生活していた俺なら大丈夫だろうと

思って密かに異世界の常識を教えながら

孤児院で生活させてたんだよ」

「クリプス辺境伯には内緒で行ってるのかな?

異世界の人が実はべラムに居ましたなんて

事実が知れ渡ると責任問題が発生して

色々と問われるんだけど?」


「スーサやゾラム侯爵は知ってるぞ?

東達と遭遇したのゾラム侯爵領地内での話だからな?

まあ、あいつらが黙っていた理由もあるんだろう。

深くは追求しないでくれるか?

俺の功績だけでも異端なのに他に異端がいたなんて

知られたら王国内でも問題が発生するだろ?

べラムに戦力が集まってる。

反乱するつもりでは?

と考える貴族も現れかねないからな?

だから冒険者として功績を作って誰にも

後ろで指を指されない様にしたかったんだよ。

べラムは辺境だから魔物も他より多いし

スーサイドなんて危険な森があるんだ!

だからと言わないが東達の事は内密にしてくれるか?」


トキはサミンにお願いすると

サミンは腕を組んで頭を悩ませる。

頭を左右に振り、目を瞑り考える。


トキの言う通りスーサイドという

危険度ランクSSの森がクリプス辺境伯の領土にはある。

何かあれば軍が動く前にべラムの冒険者が

動き出さないといけないのは分かってる。

だから戦力を募ってても異論はないが

召喚された者なら問題がある。

異世界の人は本来は存在しないし

下手したらトキの言う通りの軍事利用する者も

現れる可能性が高い。

もしかしたら文化侵略だってあり得る。


ぶつぶつ呟くサミンは色々と考え抜いた。

そして目を開け、頷く。

「内緒にしてた事については

クリプス辺境伯とゾラム侯爵に話を聞くよ。

だが今は迷宮内だ。

拘束すると下手したら君達が

命の危険に晒される可能性がある。

だから今は知らない振りをするよ…

そして今回、何故ここに迷宮が出来て、

何故トキ君がフェンリルに連れ去られたのかを

説明してくれないか?」

サミンは知らない振りをすると告げると

東達はほっとする。


そして先程話し合った通りに

フェンリルはシルの親戚で神の遣いで来た。

迷宮はバルハラ平野に迷宮が出来た影響で

出来てしまった。

トキが連れ去られた理由は

神様がフェンリルに御告げして

一部のフェンリルが話せる事を隠す為の行動だった。

神様がトキを選んだ理由は

召喚された者達を匿ってるのを見て

評価しての結果だと告げた。


「なるほどね・・・色々と疑問があるけど、

今はこの迷宮を攻略して迷宮核を破壊しないと

いけないのは分かったよ!

なら先に進まないといけないね?

トキ君がリーダーとして動いてくれるかな?」


「ん?俺で良いのか?」

「君以外に適任者がいるかい?」

「俺からも頼むよ!」

「私達まだ迷宮なんて行ったこと無いしね?」

「危険を分かってるトキ君なら任せられるよ!」

「某は許より主の命に従います」

「ワン!」

全員から言われてトキは納得して

この攻略組のリーダーとなった。


先ずは各自の手持ちの物を

調べる事にしたトキだったが前方から

ザッザッと歩く音が聞こえる。

今はまだ入口から少しの位置の為に

光があるが奥の方は暗闇で何も見えない。


「東達は武器持ってるか?」

「当たり前だろ?伊達に冒険者やってねえよ!」

「なら・・・棍棒と何持ってる?」

「棍棒は確定なんだな?」

「違うのか?」

「違わないな!べラムでは普通だしな?

俺は剣だ」

「私は魔法が使えるから棍棒だけね」

「僕は短剣と魔法が使えるよ」

「あー確か東は水と風のダブル、美波は火、

西尾は風だったな?使える魔法。

サミンは?」

「僕は剣と槍だね。

槍は柄の部分が三節棍みたいに

なってるから特殊な槍だよ!

普段は折り畳んでるから剣がメインになるけどね?」


サミンは告げると後ろを向いて腰から

穂先をカバーしてある三節棍を取り出して見せる。

30cmの長さで繋がれた三本の棍棒。

三本目の端の部分に紐がついており

引っ張ると槍に姿を変えた。


「面白い武器持ってんな?

後で改良させてくれよ!

その紐切れたら槍に成らないんだろ?」

「その時は短剣として扱ってるよ。

基本的に剣で戦うから問題ないけどね」

「主?」

「あ~すまん面白そうな武器を見るとついな。

さて目の前に現れたのは・・・

普通の緑色のゴブリンが10、20、30か?

なら東達とブラッド!いつもの狩りをして

前列を倒していってくれ!」


トキが槍をサミンに返して洞窟の奥を見ると

ゴブリンの群れがそれぞれ武器を持って現れる。


「前列だけじゃなくて全滅でも良いか?」

「出来るもんならな!」


東は自信満々にトキに告げると発破を掛けられる。

ゴブリン達は東達を目指して走り出す。

各々が奇声と聞こえる様な鳴き声を出して。


「クキャアァァ!」

「ギャキャキャキャ!」

「キヒャァアァ!」

「打ち方用意!」

ゴブリンの奇声に負けない声でトキが指示すると

東達は前に出向いて

東は棍棒、ブラッドは小さな金属バットを持ち

美並と西尾が近くに落ちてる石を拾いだす。


サミンは何が起きるか分かっておらず

首をかしげてトキの隣にいる。

シルはこれから起こる事を待ち望む様に

そわそわしている。


ゴブリンとの距離が20mとなった時に

「打ち方始めぇえ!!」

トキが大声上げると洞窟内に響き渡り

ゴブリン達が歩みを止める。


なんだ?なんだ?と周囲を見ているゴブリンの体に

ゴンッドンッと衝撃が走る。

衝撃が走ったゴブリンは衝撃の元を見ると

自分の体に石がめり込んでいるのが見え

痛みで叫ぼうとした瞬間に頭を撃ち抜かれて

意識を失った。


後列のゴブリン達は前列がいつもとは違う声を上げて

倒れていくのを見て驚き前を見ると

人間と牛の姿の甲冑を着けた者が

棍棒を振っている。

その後ろ隣で何かを前に投げている人間が2人。


良くわからないが遠距離で攻撃を受けていると

判断したゴブリン達は死骸となったゴブリンを

盾にして進み始める。

ドン!ボキッ!バキバキ!

音を立てて仲間だった盾が凹んでいく。

盾を見ると遠距離攻撃の元が分かった。

そこら辺に落ちてる石がめり込んでいる。


ゴブリン達も石がきていると分かり

自分達も石を投げるが相手まで届かない。

届いても逆に打ち返されて死んでいく仲間が続出し

一番後ろにいたゴブリン数体は

仲間への連絡に向かい始めた。


向かい始めて暫くすると音が止む。

なんだ?と振り向くと既に20体以上の仲間が

洞窟内で緑色の血を流して倒れていた。

慌てて逃げ出すゴブリン達だったが

「逃がさないぜ」

この言葉を聞いて意識を失っていく。

仲間がドン!と頭に打ち込まれていき

倒れた頭に石がめり込んでいる。

最後の1体も逃げるが・・・

ヒュン・・・ドゴッ!ザザー・・・

逃げることが出来ず前のめりに倒れて滑り

意識が暗闇へと落ちていった。


「あ~ラストはブラッドだったな?」

「仕方無いだろ?ブラッドはバット!

俺は特注でも棍棒だからな?」

「す・・・凄いね…

あんなに当たるもんなのかい?」

「べラムでは練習場あるからな。

皆が・・・とは言わないがある程度は当たるぞ?

帰ったら案内してやるよ!」


トキはサミンに告げるとゴブリン達の元に向かい

左耳と魔石を取り出して1ヶ所に集めた。

最後の1体を集積所に放り投げると

火葬をイメージして白炎をゴブリン達に着けて

10秒も待たずに骨まで燃やし尽くした。


「迷宮って迷宮自身が死骸を

回収したりしないんだな?」

「いや、するけどな?

ここは入口付近だからな・・・

フェンリル達を出し抜いて入ってくるのを

防止する為に燃やしたまでだ!

これから先は何があるか分からないからな?

憂いを無くして進みたいから燃やした」

「本音は?」

「出番が欲しかったって言わすなよ!」


トキにどつかれた東は悶絶して

地面をゴロゴロと回りだす。

東はふと止まって地面を良く見ると

流れていた緑色の血が乾いたわけではなく

完全に消えていたのを見つける。

東はしゃがみ、地面を触り濡れていないのを

確認してへぇと呟いた。


「確認終わったか?なら先に進むぞ!

後、ところ構わず触るなよ?

罠が起動するかもしれないからな」

「罠もあるのかよ!・・・気を付けるわ…」

東は立ち上がりトキとシルを先頭に

洞窟の奥へと進んでいった・・・。

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