森との違い・・・
「率直に聞くけど…どうだ?」
「キュゥ…キュゥ…」
「主殿…ルティ殿と同意見ですが
森の虫のほうがまだ手応え有りますね…
練習するにはちょっと…」
「そうだな…俺もこんな結果ではな…」
トキ達は馬車が有った場所で話し合う。
足元には大きく削れた地面。
1km先に倒れた馬車と人の群れ。
3割の速度で動いた結果、
俺とフィルが着いた途端に全てが吹き飛んだ。
俺達の前の空間に有った風が
強風となり前方に押された。
ルティも同じらしいが
人がスライディングしたように風に押されて
頭を地面にぶつけ、木に足が当たり
複雑骨折している。
「「「・・・・・・」」」
トキ達は悩んでしまった。
危険度SSの森スーサイドでは普段5割の力で
生活していたから。
生活の当初は全力でも
速くて見えないし追いつかない。
攻撃も効かない、防御も意味をなさない。
擬態能力も高く見つからない。
強靭で俊敏な大型で特殊な魔物と肉食植物が
跋扈する森で実質1年半生活していた。
トキ達は気付かなかったが
生活していた拠点には特殊な磁場が
発生しておりこの星ディクロス内でも
1、2を誇る重力場でもある。
体に掛かる負荷が強烈に地面へと向く。
地球でも重力はある。
立った人が垂直に手を伸ばし物を落とすと
物は落ちる。普段から感じる力だ。
地球での重力が100としてエクサクロスは平均50と
半分なので地球人は体の負荷が弱くなり
軽く手振りして出る風は微風から弱風に変わる。
本来負荷が変われば人体に影響するが
地球で押さえられてた魔力は解放され
魔力は体への補佐の役割もあり
地球と同じ重力を感じさせる。
つまりエクサクロス人より地球人が強い。
(単純な力勝負ならだが・・・)
トキ達はどうなのか?
スーサイドの拠点の重力は200する。
地球よりも強い負荷で生活していた。
また魔力も解放されるため
魔力が体の補佐をして
地球と同じ重力を感じさせる。
そして日々の生活の中で魔力も身体力も増加。
つまり現在トキ達は超人となっている。
さて今いるエクサクロスの土地の重力50に対し
スーサイドの土地の重力200。4倍の重力。
魔力で体を補佐して地球と同じ重力を感じてても
超人なので加減しないと生活出来ない。
「このままだとダメだな…3割でこれだ…
なら3割が30%ならもっと下げて
5%の力で調整するか・・・」
「主殿・・・」「キュゥ・・・」
「自覚しよう・・・俺達は超生物だと…
強力な力は身を滅ぼす…
早目に判明して良かった!
スーサイドの様に過ごすと
危険と見なされ討伐対象だ!
権力争いの道具にもされる!
なら穏便に生活出来る様に
していけば問題ない!」
「そうですな!主殿!」「キュイ!」
「後はルティとフィルのいる設定も
考えないとな…」
・・・まさか鍛えた力が枷になるとは
・・・召喚された人より強い?
・・・ハハハ!いやまさかね…
俺達は力を押さえて生活する事を決める。
たまに発散の為スーサイドへ戻り力を使う。
スーサイドへはフィルがいれば問題ない。
設定は森で小さい頃から過ごしていた。
フィルは先生の実験で言語理解を取得。
フィルは俺といる事で言葉を覚えた。
森で先生と共に自給自足の生活。
先生から世界を見ろと魔法で飛ばされた。
大元はこれで筋を通す。
服装は悪党から奪った物に着替える。
全身を覆う青ローブに黒のインナー、
白いズボン、黒の長靴を着用。
学ランはストレージへ保管。
トキ達は5%の力で近くの木に攻撃して
普通の傷をつけて安堵する。
試しに30%でやると指でつついただけで
木は根元から倒れたので驚いた。
「設定や力については覚えたな?」
「はい!」「キュイ!」
「よし!なら悪党は縛って
馬車を戻して助けよう!」
トキ達は再度助けに行く。
まだ誰も起きてないので力で馬車を立てる。
中には男性、女性、男の子がいて怪我している。
男性と男の子は黒を基調のいわゆる貴族の服装、
女性は本格的なメイドの服装。
まぁ怪我は俺達のせいだが・・・
助けて魔法で回復させて業者、護衛と一緒にする。
馬も倒れてたが死んでないので安心し
回復させて今は馬車と連結し安静にしている。
手遅れの者は集団から離して寝かしてる。
悪党は後ろに手を回して手首を縛り
足首を連結するように縛り上げる。
まるでむかで競争の様に。
そして地面に寝かせる。
馬車を街道から避けて
馬車の右に悪党、左に助けた人達と分けて
配置しルティを馬車の上に
俺とフィルは悪党達を監視する。
「お父様!?メリア!?大丈夫ですか!?
皆さんも大丈夫ですか!?」
馬車の反対側から若い男の声が聞こえる。
男の子が起きたのかな?
悪党をフィルに任せて俺は近くに行く。
男の子が起きて周囲を起こそうとしていた。
「良かった!気がつかれましたか!
大丈夫ですか?貴方達は悪党に
襲撃されてたみたいですけど
覚えてますか?」
俺は、しゃがんで子供の目線に合わせて話す。
「襲撃は…覚えてます・・・
あ、貴方は誰です?
あの仲間ではないのですか?
襲撃者達はどうしたのですか?
何で皆外で寝てるんですか?
無事なんですか?」
一人だけ起きたのに不安を感じたのか
俺に勢いつけて話し出す。
「落ち着いてください!
俺はトキといいます!
皆は気絶してるだけですし
怪我は魔法で治してます!
何人かは手遅れでしたが…
悪党は反対側で捕縛してます!
今は俺の仲間が見張ってますよ!
襲撃中から今までの事については
皆さんが目を覚ましてから話しますよ!」
俺は優しく話し掛けて男の子を宥める。
「分かりました・・・
ちゃんと話してくださいね!
後、襲撃した者達を見ても
良いですか?捕縛してるか確認もしたいので」
「ええ 良いですよ!けど俺の仲間見ても
驚かないでくださいね?」
襲われたのに度胸あるなこの子と思いながら
一緒に歩いて向かう。
男の子は馬車を回るとグリフォンがいる事に驚く。
倒れそうになるが咄嗟に俺は抱いて補助する。
男の子は怯えながらも近づいて
グリフォンをじっくり見る。
「主殿?この子は?」
「グリフォンが喋った!!!」
喋った事に驚いて気絶した。
「フィル…また監視頼むな」
「了解です!」
俺は男の子を抱いて馬車の反対側に戻る。
そして男の子以外が目を覚まし事情を説明する。