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テスト終わり、地球での会話

「終わり!全員手を止めろ!」

教室にトキの声が響く。

トキの言葉に動いていた手を止め

カリカリと聞こえていた音が止まり静かになる。


「では回収するからな?

名前の書き忘れが無いか確認しろよ!

っても、もう回収するから駄目だけどな~」

トキは先程の張り詰めた発言と一転して

呑気に話して各自の机にある

テスト用紙を回収していく。


回収していくにつれて廊下で監視していた

孤児院の子供達が少しずつ離れていく。

最後の一人が消えると同時にトキは回収し終えて

教壇に立った。

「えー皆さんお疲れさまでした。

結果は明後日に発表します!

明日は休みとしますので

クラスメイトは休んでください!

ヴァイス達も休みだから確りと休めよ?

決して店は開けるなよ?

開けた途端に人集まるからな?

では解散!」

トキを残してそれぞれが教室から出ていく。

トキは暖炉に新たに薪をくべて

教室でテストを確認する。


「・・・やっぱり主義については難しかったかな?

かけてる人間が少ないな…

間違えた・・・書けてる奴は少ないな…

魔物が知るわけ・・・!?」

トキは一枚の用紙を見て驚く。

「な、何故?何故あいつは知ってるんだ!?」

震える手でテスト用紙をもう一度見直す。


「・・・天才か?違うな…

確りと勉強したんだろうな…

負けないようにと・・・」

トキはテスト用紙を置いて窓を見る。

今日1日は降りそうな雲をしている。

しとしと降る雪を見て考える。

「明日はもう一度見直して

採点して指弾でも練習するか…」

トキは呟きテスト用紙をストレージにしまう。


トキはそのままストレージに入れていた

ナイフと円弾を取り出して一人黙々と刻んでいく。

円弾の外側に切れ込みを縦に幾つも入れて

ギアの形にしていく。

「・・・失敗した・・・

深く掘りすぎた…

仕方無い…これは暖炉に入れるか」

トキは失敗した木製の円弾を暖炉に入れる。

ついでに切り屑も入れて温まるトキ。


「トキ?まだいたのか?」

「東かどうした?」

「いや、外歩こうとしたら俺達がいた教室の

窓が曇ってたからな?

滴が垂れてるし暖炉の火を消し忘れてないか

見に来たんだよ」

「・・・立派になったな…」

「どういう意味だ!こら!」

東がトキに怒り出す。


「だってよ?誰が思うんだ?

火の消し忘れなんてな?

暫く居たが誰も来なかったんだぞ?

いつもならボケに来るシルやルティまで来なくて・・・」

「あいつらなら庭で駆け回ってたぞ?

なんだ?寂しかったのか?」

「そういうわけではないんだがな…

そうか・・・狐と犬が走り回ってたか・・・

あれを思い出すな?童謡をな?」

「あー雪やこんこって奴か?」

東の言葉に二人はハッとして一瞬だけ身構えた。

そして何もない事にホッと溜め息を吐く。


「・・・ここまでは良いみたいだな…」

「・・・そうみたいだな…

ピー音と伏せ字来ないし…」

「お前もついに分かってきたみたいだな?」

「そりゃ隠れて何度も著作権に引っ掛かりそうな

言葉を話して伏せ字が出たらな?」

「お前・・・俺が忙しいときにそんな事してたのか?」

「何処まで行けるか試したかった…

未だに基準が分からんけどな?」

「ん?ルティやフィルが居ない時にだろ?

誰がしてたんだ?伏せ字とかを」

「子供たちの笑い声がピー音になってた…」

「そうか・・・調べるのご苦労様。

大変だったな…」

「お前らほどじゃないがな?

活躍して王様に会ったんだろ?

どうだったんだ?偉そうだったか?」

「・・・双子だった…

そして兄が弟の影武者していた。

弟が王様だったな…」

トキは王城の事を思い出して話す。


「え?逆じゃねえか?普通は兄だろ?」

「世の中めんどくさいで爵位を譲る家族があるからな…

すんなり受け入れてしまってたよ…

そういえば逆だな?」

「会ってもう数日経つのに今気づいたのか!?」

「仕方無いだろ…色々あったんだから…

そして早く謁見終わらしたくて

その考えに辿り着かなかったな」

「あーお前の今の性格ならそうだろうな」

「だろ?というか昔の性格なんて

スーサイドで棄ててきたから忘れたんだよな。

貴族を叱ってから後戻り出来なくなって

今の俺があるからな」

「貴族を叱るなんて普通は無いんだけどな?

あ、さっきの話戻して良いか?

思い出した事があってな?」

「さっきの話?」

トキは東に聞き直す。


「童謡の話だよ、雪やこんこって奴のな?」

「あーそれがどうしたんだ?」

「お前さ?犬が走るのが一番だと思ってるだろ?」

「そりゃそうだろ?・・・もしかして違うのか!?」

トキは驚き、東の肩を掴む。

「いてぇな!何すんだよ!

そこまで驚くことじゃねえだろ?」

「あ、済まん。ついな?」

東の肩から手を離すトキ。


「脱臼したらどうするんだよ!」

「そこまで掴んで無いだろ?

全力なら肩から先無くなってるぞ?」

「怖いこと言うな・・・

お前ならあり得そうで体が震え出した」

東は腕を交差して両肩に手を置いて震えだした。


「本当に震えるなよ…

まだ人間辞めたつもり無いからな?

あー済まん済まん。暖炉の火が消えかけてるわ!」


トキは謝りながら暖炉に薪をくべて

弱まった火の勢いを強くする。


「体の震えはそっちだったか…

いや?違うな…しかし雪降るんだな…」

「そうだな…」

トキと東は窓を見て物思いにふける。


「で?さっきの話はどうなった?

あれが一番じゃないんだろ?」

「ああ、あれは2番な?

1番は枯れ木に雪の花が咲くみたいな歌詞だよ。

ついでに言えばこんこは狐の鳴き声じゃなくて

来んこ、来む=降れの意味な?」

「そうなのか?知らなかったな…

狐の鳴き声と勘違いしていた…

そして1番は雪の花か・・・

そういえば今年最初の雪だよな…」

「・・・お前は花が違う歌を思い出したろ?」

「バレたか…このネタは俺たちしか出来ないよな?」

「そりゃそうだろ?異世界組しかできないネタだ!」

「だよな・・・そう言えば中島どうしてんだろうな?」

「中島ねぇ…見事に繋がったな…

俺達の召喚組に居たが離れたからな…

今はどうしてるか…」

「今頃誰かと寄り添ってんのかねぇ」

「もしそうなら幸せが溢れだしてんだろうな」

「「・・・」」

二人は降りゆく雪を見て思い出していた。

あの中島は今頃どうしてるんだろうと・・・


「なあ聞いていいか?」

「俺も聞きたいところがあったが…先いいぞ?」


「中島って誰だ?」

「さあ?想像人物?」

架空の人物を二人は存在してるように話していた。


「だよな?今必死に思い出してたが

眼鏡掛けて魚の名前を呼ぶ人物しか浮かばなかったぞ?」

「偶然だな?俺も海鮮一家の友達しか浮かばなかったな」

「あれもまだやってんのかね?」

「さあ?2年もいたら分からないからな?」

「2年か…長いようで短い期間だよな…」


「そうだな・・・

俺は1年半は森で生活してたからな…

気づいたら前の森のボスを倒してるわ、

森のボスを仲間にしてるわ、

迷宮攻略してるわ、

戦争に参加してるわで濃い時間過ごしてるな…」


「俺はある国に召喚されて、

その国が滅びるし、サバイバルするし、

奴隷になるし、魔物に変化したし、

異世界でテストを受けるしで

不思議な時間だったな…」


「まあ、テストは俺の個人的趣味に近いけどな?」

「前も言ってたな?

そう言えばよ?あの問題難しかったぞ?

社会の主義について幾つあるのか、

その主義が目指してるものは何かを答えよってやつ!

答えた奴いるのかよ?」

東は捲し立てるようにトキに迫るが

トキは窓を見て考えて口にする。


「・・・今だから言えるがいるぞ…

20人中7人が答えてる。

そのうち2人が魔物だ!」

「魔物?シルと誰がいるんだ?」

「・・・」

「ここで黙秘権かよ!?」

「・・・採点してないからな?

本当にあってるか分からんから黙秘権を行使する!」

「あ?採点の為に残ってたんじゃないのかよ?」

「指弾用の木製円弾作ってて残ってたんだよ…

作ったが失敗したから燃やしたがな。

今頃灰になってるだろうな?」

トキは暖炉を見る。


「あー国語の時に作ってた奴か?

あれで魔物倒せるのか?」

「俺なら出来るだろうな・・・

他のクラスメイトの実技テストしてみないと分からんが

引き寄せるぐらいの効果はあるだろ?」

「石と一緒かよ!」

「まあ、あれから改造して商品として

扱えるまでにはするから試してみてくれ!」

「何故俺が?・・・そう言えば冒険者登録してたな…

久しぶりに冒険者の仕事してみるか」

東は思い出したように呟く。


「この雪降る寒い中でか?外出ると危険だぞ?」

「街の中でも仕事あるんだよ!

雪掻きの仕事がな。

Gランク仕事だが小遣い程度にはなるし?」

「あーあったな、そんなの…

Gランクなんてやってないから忘れてた…」

「お前はAランクだからな?

忘れても仕方無いだろ?

たまにはやってみたらどうだ?

初心忘れるなってな!」

「済まん…俺、最初Gランクじゃないんだわ」

「俺もそうだった…まあ、良いや!

俺は外の景色見に行くから!

何かあったら連絡しろよ!」

「俺に言う台詞じゃねえな?

まあ、気をつけて行ってこい!」

東は別れの挨拶をして教室から出る。

トキは暫く窓を見てから暖炉の火を消して

教室から出ていった・・・。

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