要塞への帰還
スーサがいるトキの作った要塞・・・
「大変だー!巨大な魔物がこっち来るぞ!」
物見櫓で監視していた兵士から伝令が伝わる。
伝令から伝達されスーサへと情報が届く。
本部の中ではスーサは机の前に座ってる。
スーサの周りにはラジュマ王国第2王子サミン。
ルード伯爵の次女、ラゼ=ルード。
ザラン男爵の次兄、リファイ=ザラン。
ゾラム侯爵夫婦とヴァルカ。
東達とワイズ賢国に居た戸川達計13名。
総勢20名が本部に存在している。
ハンズ第1王子、護衛としてシルド達は
王国軍としてヴァーリとシャジの軍勢に対する
指揮に出向いている。
「何?どんな魔物だ?」
「鼻が長く30mの巨大魔物です!
多分ですが象型魔物だと考えられます!
もしあの長い鼻や体で体当たりされたら
この要塞は…」
「騎乗してる者はいるのか!」
「監視によると数名の影が見えると!
ただ櫓より高い位置の為、どの軍の者かまでは…」
「こんな時に限って・・・
皆の者!撃退準備だ!私も指揮に回る!」
「スーサ殿、我々も向かいます!」
サミンが立ち上がり手伝いを告げる。
「いえ、ここは私にお任せください!
何かあれば私の父上、ゾラム侯爵と共にお逃げください!
それまで持ちこたえて見せますよ!」
スーサはヴァルカに後を任して
要塞の城壁へと向かった。
「俺達も行った方が言いかな?」
「私達が行っても足手まといになるだけでしょ!
スーサさんに何かあった時のために
私達はサミン王子の援護に回るわよ!」
東と美並が話し合い役割を決める。
スーサが本部を出て要塞の城壁に着く。
スーサがいる場所は正門の真上。
「皆の者、撃退準備は出来てるか!」
「スーサ様!準備完了してます!
いつでも各自が打てる状態です!」
城壁には冒険者と魔物、魔物同士が一組となっている。
冒険者や猿、熊型魔物が棍棒を持ち、
狼型魔物が魔法玉を作り撃ち出し、
冒険者達が敵へと打つ。
そうしてこの要塞は敵から守ってきた。
出来て間もなく短い間だが防いできた。
だが今回は大きさの異なる魔物。
冒険者達も普段と異なる魔物に恐怖を抱いてる。
魔物達も見慣れない魔物に強がってはいるが
内心では不安を抱く。
「皆の者、怯えるな!」
スーサは城壁にいる者たちを見て告げる。
冒険者達はスーサに意識を、視線を向ける。
「私にも皆が抱いてる感情が分かる!
私も同じだからだ!
だが、それは普段と同じだろう!
冒険者や魔物達は生活のために
恐怖と戦い勝ち抜いて今があるのだ!
考えてみよ!今までの敵と違い的が大きいではないか!
当たらないなんて事は決してない!
確実に当たるのだ!
体を狙う必要もない!
足元を狙えば動きが鈍る!
例え外れても足元に窪みが出来て動きが鈍る!
さて皆の者?何を怖がる必要がある?
まだ距離があるではないか!
私達は近距離で戦いを行ってるのか?否!
遠距離で戦ってるのだ!
誰も真似できない戦いかたをしているのだ!
誰が剣で打つ?槍で打つ?斧で打つ?
誰が投げて当ててる?
そんな兵士がこの戦場に他にいるか?否!
私達だけなのだ!私達にしか出来ない戦法なのだ!
怯える必要はない!撃ち打ち討ち抜いて
この戦場で豪華な食事といこうではないか!
誰もが羨む食事だ!
さあ皆の者討とうではないか!!!」
「うおぉぉぉおぉぉぉおお!!!」
戦場の声すら聞こえなくなるほどの喚声が
要塞に戦場に響き渡る。
「では!皆の者構ええ!」
冒険者や魔物が一斉に構える。
独自のバッティングフォームを各々が構える。
狼型魔物も横に並び補填準備に掛かる。
全員の意識が大型の象型魔物へと向けられる。
ドシン!ドシン!と地鳴らしながら向かってくる
敵に集中する。
「でわあ!始「ちょっと待てえ!!!」え?」
スーサが指示しようとをすると象型魔物から
聞き覚えのある声が聞こえた。
声が聞こえると少しの間が空く。
「気のせいか?」
「気のせいじゃねえよ!」
誰かが象型魔物の鼻からジャンプ台の様に飛んで来る。
そしてそのまま空中を走ってくる。
「え?トキくん!?」
トキが空中を走って近づいてくる。
「ぜ、全員!構え解けえ!」
スーサはトキを見て全員に指示して
冒険者達は構えを解いた。
トキが城壁へと降りてきてスーサに近づき
スーサの頭をチョップする。
「味方を攻撃するな!この馬鹿が!」
「痛いな!あんな魔物が近付いてきたら
攻撃するのが当たり前だろ!」
「だからと言って確認を怠るな!
物見櫓に双眼鏡置いてるだろうが!」
「え?」
「え?じゃねえよ!ちょっと来い!」
トキはスーサを掴んで空を飛び
物見櫓へと向かった。
物見櫓には監視兵が驚いて敬礼する。
物見櫓の中には双眼鏡が掛けられてあった。
「ほら、見ろや!あるじゃねえか!」
トキは指差ししてスーサに告げる。
「私も初めて知ったんだが・・・」
「なんだと?おい、監視兵!どういう事だ!」
「私もさっき交代したばかりで・・・」
「教えられてねえのか?双眼鏡のことをよ!」
「単なる置物だと…」
物見櫓の上には台があり
時計や花瓶などが飾られていた。
「・・・どういう事か説明してもらおうか?」
機嫌悪く睨みながらスーサに問い詰めるトキ。
「わ、私も今知ったから!知らないんだよ!」
「あの…さっきまでメリルさんが見張ってましたよ?」
「なんだと?そのメリルは?」
「リーダーに呼ばれたからと戦場に向かいました!」
「・・・後で説教だな…
で?てめえは双眼鏡を知らなかったと…」
「はいぃ!申し訳ありません!」
睨まれてトキに謝罪する監視兵。
「チッ…仕方ねえ・・・とでも言うわけねえだろうが!
確り報告、連絡、相談はしろや!
これはなんですか?なんて当たり前だろうが!
知らないで済ますな!ボケが!
いくら置物だと言ってもな?
各々に意味があるんじゃ!
時計はなんのためだ?え?時間を見るためだろうが!
花瓶は落ち着かせるためか?俺は知るわけねえがな?
それでもよ?双眼鏡ぐらい知っとけや!
こっちは迷宮攻略して出てきたら
戦況変わってて聞きに来たのによ?
何で怒らせるような事起きるかなあ?なあ?
教えてくれよ?え?なあ?おい?聞いてんのか?
頭を下げたままじゃわかんねえよ!」
「トキくん?そろそろ許してやってはどうかな?
ほら、そんな時間は無いんだろ?」
スーサがトキを見て宥めて監視兵をフォローにまわる。
「スーサ?お前の為にも怒ってんだぞ?
お前が本来まともな監視兵を置いて居たなら
攻撃するなんて事起きなかったんだからな?
未然だったから良かったがな?
下手したらお前の息子ヴァイスを
自分の指揮で殺してたんだからな?
そこら辺踏まえてどう思ってんだ?え?
息子殺しの英雄とでも言われたいのか?あぁ?
本気で思ってたなら張っ倒してるところだぞ?
まあいい、このまま怒ってても戦況が
分からんからな?ちゃんと説明してもらうからな?
後、監視兵!監視するときは双眼鏡使う事を義務にしろ!
分かったか?」
「はい!了解しました!」
監視兵は頭を下げたまま返事をする。
床には湿ってる部分が出来ている。
「さて、今から仲間を連れてくるからな?
本部に移動させてやるから
資料集めとけよ?スーサ?」
「あぁ!分かったよ…」
トキはスーサを掴んだまま本部に降ろして
自分はマンモスの所へ飛んで戻った。
「・・・トキくん自重してないな・・・」
スーサはトキの現状をボソッと呟き本部へ
急いで戻った。
トキはヴァイス達に事情を説明して
マンモスで要塞近くまで向かい、
マンモスから降りてマンモスをクリスタルに戻す。
地面を歩いて本部に向かい、
スーサから戦況について話を聞くのと同時に
迷宮での行動についての報告を
簡単に済ませた。
「簡単に言えば森でマンモスを仲間にして核を破壊。
町では無人の筈の迷宮に喋るコボルトがいて
コボルトが人間のように振る舞いアーニア達に
お前達のせいでこうなったんだからな?と
崩壊と共に文句を言われてあいつらは落ち込んでる。
砦はうっとおしい吸血鬼がいて
病人の癖に偉そうだったがヴァイスが倒した!以上!」
「簡単に済ましたね?色々ありそうだけど
今は聞かないことにするよ…
こっちの戦況としてはワイズ賢国の策略で
ヴァーリとシャジが寝返った。
ワイズ賢国の策略に捨て駒扱いされていた反乱軍が
反乱し戦っている。
王国軍とはまだ対立してるから
三つ巴の戦いかな?アサンは王国軍と共に戦ってるよ!
詳細はこの資料を見てくれ!」
トキはスーサから資料を渡されて読んだ。