オーガ討伐、森の終わり
「言いたかないが作者に感謝だな…
もっと強い敵連れて来いよ!」
トキは獰猛に笑いながら残りのサイクロプスへと
駆け抜ける。
ドシン!
2体のサイクロプスが潰されて
赤褐色の巨大なオーガが現れた。
顔はケルベロスの様に三つ首で30mはある巨体。
腕が4本ありそれぞれが斧、剣、盾、槍を持っている。
床には潰されたサイクロプスの残骸が残り
白い床が緑色に染まる。
「連れてこいと言ったが…マジかよ…」
トキは巨体を見上げて呟いた・・・
「ガアアアアア!!」
ドスンドスン!
巨大な足音を立ててトキへと近づくオーガ。
シュン・・・ドガン!
トキの横を一瞬で剣を振り下ろして笑い威嚇する。
「えぇぇぇ・・・」
トキは巨大な剣を見て嘆いてしまった。
ヒュッ!
剣がそのまま横に振り抜かれてトキは吹き飛ばされた。
ドン!
「カハッ」
壁に当たり地面に倒れるトキ。
あまりの衝撃に肺の中の空気が抜ける。
「すぅぅ…はぁ…はぁ…これは苛めか?
あり得ねえだろ…」
フルバルを杖に立ち上がるトキ。
シュン!
トキの横を槍が刺さる。
「ハハ、ハハハ、ハハハハハ!
笑うしかねえよ!
ギア20%じゃ無理じゃねえか!
上げてやるよ!楽しませてくれよなあ!」
トキは笑いながらフルバルを持ちオーガへと走る。
オーガの間合いに入ったトキに巨大な斧を振り下ろすが
トキは一瞬で避けて更に加速する。
オーガは斧を持ち上げ盾を前につき出して
防御態勢をとった。
盾は覗き穴がある現在式の長方形の盾。
トキはフルバルを槍へと変形させるが
丸みを帯びており受け流される。
トキはそのまま濡れている床を滑りながら
フルバルを床に刺して床を削りながら停止する。
「良いねえ!ちゃんとした相手に会えた気がするよ!
最近は加減しないと壊れるからなあ!
お前は・・・ん?これ山場か?
まだ戦争終わってないんだよな?」
ふと疑問に思うトキ。
「まあ、良いか!
砦も同じぐらい強いのがいるんだろ?
なら前哨戦で相手してもらおうか!」
トキは疑問を吹き飛ばして笑いながら
掌に小さな竜巻を作り出す。
掌から竜巻を離して風を纏わせ徐々に大きくしていき
オーガと同じ大きさの竜巻を目の前に作り出した。
トキは前方へと竜巻を押し出してオーガを
その場に固定させた。
オーガは逃げようとするが速い風速に弾かれて
逃げ出せずに居た。
「さておさらいといこうか!」
トキは左手に白炎の玉を作り出した。
大きさはバスケットボールぐらい。
「この炎を1つでは消えるかもしれないが・・・」
数十の白炎の玉がトキの周囲に作り出される。
「この数ならあの時の再現が出来るよなあ?
火災旋風をよお!」
ゴオォォォと吹き荒ぶ竜巻の中でオーガは
ビクッとした。火災旋風。
作者の記憶を覗いたオーガにとって
強烈な記憶がある言葉。
オーガは急いで竜巻から逃げようとするが
あらゆる行為をしても出れない。
「オーガは知ってるみたいだなあ?
火災旋風をよお?
じゃあ体験しようかぁ!」
トキは白炎を投げると同時に周囲に作り上げた
炎の玉を投げ入れた。
「まだまだ足りないなあ?」
トキは白炎をどんどん竜巻に投げ入れる。
すると普通の竜巻から
炎の竜巻へと変化して周囲に高温を放ち始めた。
「ガアアアアア!!」
竜巻の中でオーガは悲鳴を上げる。
炎により酸素を奪われ窒息し
高温で蒸し焼きされるオーガをトキは
眺めている。
炎で見えないはずだが苦しんでると
笑いながら見ている。
既に天井まで達している竜巻は
白から黒へと変色している。
床も高温により溶け始めて溶岩と化していた。
緑の液体が蒸発し既に存在しない。
「これで終わりじゃないよなあ?」
トキはまだ戦いがあると思っている。
炎の竜巻が徐々に勢いが弱くなっている。
本来なら回りの空気を取り込むがそれが起きてない。
「ガアアアアア!」
オーガが体を真っ赤に溶岩と化して
火災旋風から出てきた。
オーガは竜巻を吸い込み消していく。
目の前にあったはずの高温の竜巻が姿を消した。
代わりにあるのが高温を放ち
進化したオーガ。
三つ首が一つになり腕も2本になっている。
持っている物は高温の斧に炎を帯びた盾。
「ガアアアアア!!!」
オーガは吸い込んだ炎の竜巻をトキへと口から放った。
トキは5重の土壁を作りその場から離れる。
5重の壁は見事に粉砕され溶岩の一部となった。
「効かないとはなあ?楽しいねぇ?
そんな君にはプレゼントあげようかあ!」
トキはフルバルを斧に変えてオーガへと向かい
切り裂いていく。
オーガの体から高熱の赤い液体が吹き出していく。
「炎属性のオーガの血も熱いのか?
凄いねぇ!全身兵器じゃないか!」
トキは嬉しそうに声を出して切り刻んでいく。
オーガも負けじと炎斧をトキへと振り
対応していく。
盾に守られ刻む回数が減っていくトキは
踊るようにオーガと戦う。
まるで激しいタンゴを踊っているみたいに。
「さて踊りも終わりにしようか!
お前の戦利品は大きすぎて使えないからな?
半分に折ってやるよ!」
トキは盾に向かってフルバルを振り抜いた。
真っ赤に燃え上がる盾がトキへと襲うが
関係ないとばかりにトキは燃えながら
飛びながら盾を刻んでいく。
ドン!ドドン!ドドドド・・・
刻まれた盾が地面へと落ちていく。
驚くオーガだが反撃に炎斧を飛んでいるトキに
攻撃をすると片手で燃える斧を掴み
受け止めた。
「悪いな!もう人間じゃないみたいなんだわ!
燃えても熱感じないしな?
斧の形のまま残したいが無理そうだな?」
掴んでいる斧が悲鳴を上げる。
罅が入り刃先が落ちていく。
オーガは驚くしかなかった。
人間を相手にしてると思っていたら
炎をものともしない。
頑丈な盾が刻まれ、振り抜いた斧も掴まれ
罅が入り柄だけとなった。
オーガは畏怖した。
燃えても生きてる人間に。
後ずさりながらも棍棒と化した斧をトキへと振り抜く。
トキは落下して避ける。
そしてオーガの後ろへと回り込みフルバルを大きくして
膝裏のした部分を力強く叩いた。
オーガは何をされたかわからないまま
地面へと膝を着かされる。
オーガが下を向くと首筋から
感じたことのない寒気に襲われる。
そして視界が速度を増しながら
地面へと向かっていく。
ドシン!
オーガの頭は地面と激突して
首から高温の液体が噴水のように溢れだした。
オーガは激突する寸前・・・
「楽しかったぜ!」
この言葉が聞こえた・・・
トキはなにもなかった様に燃えている体を消火する。
トキは燃える盾の一部と棍棒をストレージに
回収して溶岩と化していた床を凍らせて
土を多い白い床を土へと変えた。
「・・・これって確かマンモスが持ってた
袋の中なんだよな・・・
外に影響なければいいが…」
トキが呟いた途端に床が天井が元の白い部屋に戻った。
中央から水晶が置かれている台座が出現する。
「異世界だから?で済ませれるか!
溶岩地帯だったんだぞ?
元に復元なんてあり得るかああ!
・・・ん?待てよ?ここは次元が違うのか?
完全に袋の許容量超えてるし…
まあ、良いや…考えるのは止めよう…」
トキは怒鳴るが冷静に考え直して思考を停止した。
そして台座にある水晶に手を伸ばすと
水晶が分裂してクリスタルと水晶に分かれた。
クリスタルはそのままトキの掌に収まり
水晶は台座に置かれたまま。
「突っ込まねえぞ?
とりあえずクリスタルがあればブレイブマンモスは
召喚出来ると・・・
で、水晶に触ると・・・」
トキは水晶に触れると視界が歪んだ。
歪みが消えると外に出ている。
マンモスの後方に配置されたようだ。
トキはぐるりとマンモスを回ると未だに
遊んでるヴァイス達が存在した。
「トキ?探検終わったのか?ずいぶん早かったな?」
「早かった?時間大分経ったと思ってるんだが…」
トキはストレージから懐中時計を取り出すと
出る前から1分しか経ってなかった。
「異次元袋かよ…」
トキは呟きストレージに懐中時計を戻して
クリスタルを確認する。
「それがクリスタルか?
でも本体ここでヴァイス達と遊んでるぞ?」
ガデルは疑問に思った。
「多分だが受信用のクリスタルなんだろうよ!
願えばクリスタルから現れるみたいな感じなんだろ…
とりあえずこれ手に入れるのに疲れたから
休むわ!ガデルは糸をほどいてヴァイス達に遊ぶのを
止めさせて迷宮核探すように言っててくれ!
俺は木陰でマンモスの上で寝るから!」
トキはガデルに指示してマンモスに登った。
ガデルは言われた通りにマンモスを解放して
ヴァイス達と共に迷宮核を探した。
シルはトキの隣でマンモスの上で寝ている。
ガデル達もマンモスの上で核を探している。
暫くすると・・・
「パオーン!」
マンモスの鼻が地面を指している。
ガデルとヴァイスはマンモスから降りて
指してる地面を見ると最近埋められた後が残ってる。
二人は顔を合わせて頷き掘り起こす。
すると直径30cmのいびつな形の玉が見つかった。
「ガデルさん?これって…」
「だろうな!破壊するからちょっと離れてろ!」
ヴァイスは少し離れてガデルは離れたのを確認すると
上に投げて短刀を核へと投げて破壊した。
目の前の森が蜃気楼だったように消えていく。
森を徘徊していたサイクロプスが丸見えとなり
ガデル達の手によって討伐される。
バルハラ平野に現れた一つの迷宮は無くなった・・・
「マンモスは消えないんだな?」
「主人を見つけたからじゃないですかね?」
ガデル達はマンモスが消えないことに疑問を残して
マンモスに乗り、
二つ目の迷宮の街へと向かった・・