先生の魔法そして・・・
「本当にすみませんでした…
そんなに過酷な状況に置かれて
1年間も生活させて
自分はトキ君にとって良い思いしていて
本当に、本当にすいませんでした!」
先生の謝罪と同時に先生達が俺に頭を下げる。
「もう良いから・・・話を進めて?
また怒られたいの?先生?」
苛立ちながら先生に答える。
坂口先生は慌てて顔を上げて話をする。
最初は危険度Dランクの森「イニシャル」
英訳で初期を意味する。
つまり最初の修行場所として比較的
怪我をさせないような動物しかいなく
強力な魔物や肉食植物は存在しない森へ
転移する予定だったが
転移先を間違えてスーサイドの上空へ
送ってしまったらしい。
先生の転移魔法は緯度と経度と
星の中心の位置から高さ等を
用いて地理座標を指定し転移するもの。
なので詳細に世界の事を把握しないと
海の中に突然転移する可能性がある。
地球でも地理座標の指定として
緯度と経度を用いる。
例として北緯○度、南緯○度。
東経○度、西経○度と。
しかし先生は咄嗟の強制転移で
緯度と経度をそれぞれ逆にしてしまった。
偶然にも逆になった事で
偶然逆の位置にあったイニシャルから
スーサイドへ転移先が変わった。
そして星の中心位置から高さの位置を
0を3つ多く付けて間違えてしまい
地面ではなく上空になったらしい。
転移について説明受けて再度謝られたが
内心ホッとしていた。
偶然座標軸が逆になったにせよ
高さの位置を間違えたにせよ
まだ地面の上であるため良かった。
下手したら海や地面の中、火山や溶岩の中で
死んでもおかしくなかった。
高さも超高度の為時間を掛けて
魔法の使用が出来るようになった。
この魔法の説明を受けて先生は意外と
賢い頭脳を持っていると感じた。
賢くなければ先生の転移魔法は
意味を成さない。
基本的に小学校で習う経緯度の知識、
そして星の大きさを求める計算力と
ほぼ全ての位置座標を知りうる頭脳、
危険が無いかの危険察知能力等の知恵がなければ
活用は難しいだろう。
俺には到底出来ない。
というか何故その転移魔法を選んだかが
1番の疑問である。
理由を聞くと
『現在の地球ならネットを使えば
調べてどこでも簡単に旅行へ行けるから』
だそうだ。
・・・密入国ですよ…先生・・・
いずれ捕まらない事を祈りながら話を進める。
今後について話し合った結果で
・これから森での事後処理を終えて出ること
・町へ出て見聞を広めること
・世界を周り各召喚された者の探索
(この部屋では詳細までは分からないらしい)
・これから自由に行動する事
・先生達は何かあれば図鑑に手紙を挟む
・先生は最後の1人になるまでここに残り見守る
(この部屋と世界では様々な時間の流れが異なる。
世界で18歳の俺が100歳まで
生きた時間に対して
この部屋では召喚された時と同じもしくは
数日過ごした程度の時間差がある。
理屈は分からないが
精神年齢は上がるが体年齢はあまり
変わらないらしい。
つまり先生は若い?まま現在の地球へ戻れるが
最高神との約束でムルの教育をしなければ
いけないらしく、いつ戻れるかは不明。)
召喚された者の探索と自由行動は
相反するように感じるが
自由に動いていたらいずれ分かると
言われて納得した。
という事で改めて異世界エクサクロスの
土地を自由に回る。
フュンフマーブルテイルのルティと
グリフォンのフィルと共に。
ここで簡単に異世界エクサクロスの説明をする。
国の領土面積は要所要所でするとして
大小様々な国があり気候も場所によって変わる。
スーサイドの森はラジュマ王国に属する。
危険度SSのスーサイドの森は
スーサ=クリプス辺境伯が管理している。
国は王国、帝国、神聖国、獣王国、亜種国、
魔導国、武国、賢国、機工国、海国が大きな国だ。
それぞれが○○王、○○帝、○○皇と呼ばれる。
例外として神聖国は○○聖皇。
後は地図に国名が記載されていない
黒く塗りつぶされた未開の領土がある。
未開の領土は通称「差界」と呼ばれる。
危険度、文明、生態系等が全ておいてに
エクサクロスよりも強烈な差がある為そう呼ばれる。
つまりエクサクロスと差界の
2つの名前の世界がこの星にある。
星の名はディクロス。
ディクロスを管理してるのが
ムルエクサとフラクロの2人だ。
ちなみに召喚を行った国は神聖国と武国らしい。
1年スーサイドにいたので今召喚者は
どうしてるかは不明。
坂口先生はムルとフラに振り回されて
トキしか把握出来なかった。
基本的に管理者のムルとフラ(一応、主神と副神)は見守り、
星の消失の危険が無い限り干渉をしない。
他にも数柱の従属神、従下神がいるが
それぞれの仕事をしている。
説明はここまでにして
俺達は坂口先生達と短い挨拶を交わし
坂口先生の転移魔法で
森スーサイドのログハウスへ転移する事に。
「お約束か・・・そうだよな?うん。うん。」
「主殿~?呑気ですね~?
腕組みなんてしてますしね~?」
「キュウゥゥゥウゥゥ」
「なんとなく予想してたし…2回目だしな…」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
ゴオォォォォォォォォォォ
・・・現在俺達はスカイダイビングしている。
・・・スーサイドの森の上空で・・・
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