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説教好きな冒険者~全てに怒れる召喚されし者~  作者: アールエス
第8章 反乱軍
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行軍開始

トキは今リケラの頭の上にいる。

集まったもの達がどんな様子で宣言を待つのか?

どんな人物が集まったのか見たかったからだが・・・


「なあリケラ?これって出張相談室か?」

「ガルァ?」

「いやだってよ、戦争に行くのによ?

不安だからといってフィルやルティのところ行くか?

長蛇の列が出来ているしブラッドが管理してるし、

しかもアイサとアーニアがガチバトルしてるし…

何処に戦争に行く雰囲気あるんだよ?」

「ワゥゥ…」

「シルも何故か気配感じさせずに現れるしな?

シル、一度鑑定して良いか?

そろそろ種族知りたいから!」

「ワン!」


トキはいつの間にか隣にいるシルを抱えて

鑑定を行った。

「・・・レド達は各色のメッシュと同じ様に

同じ属性持っていたんだがな?

レドならファイアウルフ、ブルならアクアウルフ、

でもお前は違うんだな?ファントムウルフ…

ケル夫妻の何処に幻要素が有ったんだ?」

「ワゥゥ?」


鑑定した結果、シルはファントムウルフと判明した。

トキは胡座となりシルを膝の上に置いてから

ストレージから図鑑を取り出し

ファントムウルフについて調べる。

『ファントムウルフ:狼型魔物。

闇魔法を得意とする狼。

幻影の様に姿を現れ消す事が出来る。

低確率で極稀に生まれる。進化先は不明。

レア度:5段階中3.5。

レア度としてスライムは0.5とする。』


因みにグリフォン、オクタマーブルテイルは4、

牛鬼侍は4.5のレア度となる。

トキは無言でストレージに図鑑を戻して

シルを再度抱き上げる。

「お前ってスーパーレアなんだな…

フィル達がウルトラレア、

伝説の生き物がアルティメットレアかな?

だからあの時執務室に現れたのか…」


以前孤児院の執務室で情報収集している時に

ヴァイスからシルが居なくなった事が有った。

ヴァイスが全部屋を見て調べても居なかった為に

執務室にいるのでは?と判断して名前を呼ぶと

執務室の扉下にある子扉から出てきた。

その前にヴァイスが入っている為、

見てない事は無い筈なのだが

正面から入ってきた為に驚いた事があった。


「ワゥゥ?」

「あぁ、知らなくて良いぞ?

シルの種族が分かったから

あの時の問題が解決出来た。

だが何故ここにいるんだ?

ルティと愛でられていただろう?」

「ワン!」


シルが前足でルティの出張愛護部屋を指していたので

シルを膝の上に置いてから

双眼鏡で覗くと子犬ぐらいの大きさの石を

愛でてる冒険者がいた。

他の列に並んでる人達も違和感を感じてなかった。


「・・・あれは無いわぁ…

なに石をシルと思わせてんの?

良くあの石を準備出来たな?」

「ワン!」

「うん、分からん!

あれか?ルティも俺の隣に居る理由もそうなのか?

ルティが石を作り出してシルが幻術を掛けたのか?」

「キュイ!」

トキの隣にルティがいつの間にか現れていた。

そして前足を繋げて輪を作る。


「正解って丸を手で作るな!全くお前らは…

まあ、バレなければ問題無いが

商売舐めるなよ?そろそろ気付くぞ?

ほら、メリルの番に・・・

居なくなりやがった…

あれが敵なら戦いがいがあるんだがな?

リケラ俺と戦ってみるか?」

「ガルァ!?ガルァァ!」


トキはシル達が敵なら良かったのにと

思いながらリケラに戦闘申し込むと

嫌がり声を上げて首を横に強く振りだす。

トキは強く揺れる頭から落ちないように

必死に掴んで離さない。

「冗談だから!冗談だから首振り止めろ!

俺が落ちるから!!酔うから!!」

「ガルァ…」

リケラはゆっくりと首を戻していき

トキはホッとした。

「頭の上で冗談言わないようにしよ…

お、そろそろ行軍宣言始まるみたいだぞ?」


トキが双眼鏡で門を見るとハリーギルド長が前に立つ。

「皆の者、そろそろ場所を弁えろ!

今からクリプス辺境伯スーサ様よりお言葉がある!」


ハリーの言葉に一斉に動きを止める。

今までの不安を取り除こうと動いていた者達が。

送る相手への言葉を綴る為に現れた者達が。


広い範囲に散らばっていた人達全てが

門へと意識を向けている。

狭くもない場所に響き渡るハリーの威圧ある声。

魔法「スプレッド」で響かせ拡散させた声が

全員の耳に入ってくる。

今までの感情が消え去り辺り一面に

緊張感が漂う中スーサがハリーの前に立った。


「さて、皆。この度の戦はどう思ってるだろうか。

単なる内乱だと思っているか?

国を巻き込んだ家族喧嘩だと思ってるか?

正解だよ!今回の反乱は子供の我が儘によるものだ!

さて?そんな反乱軍に私達は悩まされている。

他国からの侵略なら簡単に考えられる。

国を守るために!家族を守るために!とな?

だが今回は違う!子供の我が儘なら大人は?

私達はどう行動したら良いと考えるかな?

叱らないといけないよな?

駄目なものは駄目だと教えないといけないよな?

さて諸君!私達は子供の我が儘の為に戦う。

そしてこの戦いによって政治が変わるだろう!

王様が代変わりするのだから!

もしかしたら悪政を敷くかもしれない!

私達の未来の子供達、子孫が苦しむかもしれない!

そんな事許されるのか?許されないよな?

決して許すことは出来ない!

ならどうする?反乱を納めないといけない!

悪政という我が儘を通したら道理になる?

否!そんな道理は許されない!

他の貴族は我が儘で侵略されている!

さて諸君?私は思う!そんなの知るかと!

私達の場所を侵略している反乱軍が存在している!

他領の為にではない!私達の未来の為に戦うのだ!

私達の未来や親愛なる友人や隣人が傷ついている!

そんな状況を見て見ぬ振りをするのか?否!

勇猛な勇者である諸君は許すことは出来ない!

反乱軍の道理を跳ね返すには

私個人では跳ね返せない!だから力を貸してほしい!

皆で道を作ろうではないか!

子供の敷いた道を、凸凹の道を均しに向かおう!

我らが手に染まるのは赤ではない!

栄光ある未来をその手に染める為に

行こうではないか!!」


朗々と語り響くスーサの声に一瞬、笑いが起きるが

直ぐにその場で静まり声が続き流れる。

スーサが拳を高く上げて宣言し終えると

次の瞬間・・・

「うおぉぉおぉぉおおおおおお!!」

その場にいる全ての者達が冒険者、騎士、兵士、

魔物、見送りに来た者達も含めて喚声を上げる。


周囲から聞こえて来る喚声に、

満足そうに頷くスーサとハリー。

拳を下げて手を大きく横に払うように一閃すると、

次第に興奮して騒いでいた者達が静まり返っていく。


「では、向かおうか。クリプス軍!出陣する!」

「うおおぉぉぉおおぉおお!!」


再度上がる喚声と共に動き出すクリプス軍。

先頭は騎士と狼型魔物。

狼の嗅覚を使い周囲へと警戒を行う。

次に冒険者、魔物、スーサ率いる集団、魔物、冒険者、

魔物と列を作っていく。

殿にはケルとトキ、ガデル、アーニアが

配置されている。

フィルは中列からの監視を上空から行う。

スーサの馬車にはヴァイスとルティ。

ヴァルカ、アイサも座っている。

護衛としてブラッドが並び歩く。

シルド達のパーティーは分断して

魔物と共に荷馬車での行動となる。

孤児院の子供達とシルド達の子供達は

後列の馬車に乗っている。

最初は怯えていた馬と人達だが

スーサイドの魔物の性格のお陰か

直ぐに打ち解けている。


「ガデル?何か悩んでるみたいだが何かあったか?」

殿を務めているトキは牛程の大きさのある狼に

馬車を引かせている。

馬車はトキの改造している馬車であり

凸凹の道でも揺れない設計の物である。

そんな中で首を傾げて唸ってるガデルに

トキは質問をする。


「いやな?この軍は異質だからな?

他の貴族は認めるかどうか疑問に思ってな?」

「魔物が軍に付いてるからな…

テイマーが居るからで済ませられないのか?」

「100匹近く居てか?

テイマーの数としては冒険者が少ないぞ?

それに・・・いや…何でもない…気にしないでくれ」

「なんだよ?気になるだろ?」

「行軍中になにもなければ良いなと

思っただけだ。不安要素が多すぎるからな?」

「不安要素?」

「魔物、アマゾネス、食料、色々とな?

おっと、そろそろ業者の

交代に入るから終わってからな!」

ガデルは言葉に含みを持たせてから

業者をしていたアーニアと交代する。

実際は業者は要らない仕様にしてあるが

見張りとして業者席を設けている。


「なにもないと良いか・・・」

「どうかしたの?」

「いや、何でもない。

さて、アーニアには交代しても補習があるからな?

今から一般教養の補習だ!」

「え~疲れてるのに…」

落ち込むアーニアを気にせずに机と教本を出して

補習を始めるトキ。


バルハラ平野への行軍は遂に始まった。

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cont_access.php?citi_cont_id=565217839&s お読みいただきありがとうございます。 評価や感想、ブックマーク等して 頂ければ励みになりますので よろしくお願いします。
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