拘留中
内藤信二の意識が完全に回復したのは夕方だった。
「なんだかよく覚えてないが疲れたな」
意識は回復したが、どうにも午前中の事がハッキリと思い出せない。取り調べを受けていたのは間違いないのだが、途中からどうにも記憶が断片的だった。
彼は拘留中のため留置場で生活していた。留置場のボロイ布団に寝っ転がり天井を見上げる。
慣れている事とはいえ、留置場は我が家ではない。多額の金を貰えるからといっても暇なものは暇なのだ。
やることも無いので寝る事にする。
そこで、男にハッキリと異常が現れた。
目を瞑ると訳も無く鼓動が早くなり、冷や汗が溢れてくる。
「なんだ?」
ゴクリと喉を鳴らし、息を整える。そしてまた目を瞑る。
「………………。ああッ!!」
今度は、しっかりと思い出した。
あの暗く輝く瞳。それが頭に蘇っているのだ。
目を瞑るたびに再生される悪夢。それが邪魔をして眠るどころの話では無かった。
一睡もすることなく朝を迎え、取り調べが始まった。
「昨日は眠れなかったか」
貴子が問うと、信二は霞む目で貴子を睨んだ。
「うるせー」
「あいつに睨まれて怖かったか。滅多に怒らんやつだから、たまに怒ると厄介なんだよ」
「アンタの知り合いか」
会話をする気にもなれず、単語のみを返すのがやっとだった。
「信じるかどうかは任せるが、お前がこのままなら一生眠れないぞ?」
「誰がそんなもん信じるか。昨日はたまたま寝つきが悪かっただけだろ」
貴子は、そうか。とだけ告げ仕事を始めた。




