スイーツコンテスト
時間と共に幾分和らいだが、微妙な空気のまま六限目の授業が終わり放課後になった。
「なんであんな奴、人気があるのよ」
(まぁ、予想はしてたよね)
葵の愚痴は悠人に向けられた。珍しく一緒に帰ろうと誘われた際、嫌な予感はしていたが葵は逃がしてはくれなかった。
下校中に永遠と続く愚痴を聞き、悠人はアルバイトへ葵は自宅に帰るのかと思いきや、
「ねえ、家に帰るんじゃないの?」
彼女は満理月堂までついて来ていた。
「愚痴りたい。このままじゃストレスで爆発しそう」
(葵の相手は月読さんに任せよう)
そう心に決めながら満理月堂に顔を出した。
「お疲れ様です」
「ん、悠人か。彼女同伴で出勤なら減給じゃが葵なら許す」
いつも通りテーブルで本を読んでいた月読が、本から目を離してそう告げた。そして、許された葵は月読の正面に着く。
「それで、葵はどうしたんじゃ?」
何かに気付いているらしい月読が、本に視線を落したまま尋ねた。
「実は、」
今日、学校で有った事を逐一話し始めた。
その光景を横目に悠人はアルバイトを始めていた。
掃除機をかけながら散らかったものを片付け綺麗にしていく。棚に戻し、汚れを吸い取っていく。十五分ほどで掃除と片付けは終了した。
そこで、ふと月読を見ると、彼女は頬を膨らまして怒っていた。
「なんじゃソイツは。けしからんから罰を当ててやる」
月読がその気になれば人に罰を与える事は容易だろう。しかも神罰となれば証拠も残らない完全なる犯行だ。しかし悠人は止める事にする。
「罰でどの程度の事が起きるか知りませんけど、やめてください」
うーん。と、どこか納得しきれない月読。暫く目を閉じて考えていたが、ハッと何かを思い出したように、まだ片付けていないテーブルの上を漁り始めた。
葵もただ黙って見つめる事しかできずに固まっていると、月読は一枚の紙を引っ張り出した。
「これじゃよ、これ。これに参加すれば良い」
差し出された紙を悠人と葵が見る。
そこには、
『第一回スイーツコンテスト 参加要項』
と書かれていた。




