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神は何に祈るか

「目を瞑れば美味しそうですよね」

「料理は見た目も大事じゃよ」

 葵と月読のやり取りを見ていた都は戸惑っていた。

(あれ、私の料理センスって悪いの? 一歩先を行く感じな感性って受け止めてきたけど、あれ?)

 そう考えてしまうと、確認せずにはいられない。

「ねぇ二人とも? 私の料理って変?」

「料理の大半の見た目が変じゃな。でも味は良い」

「イノシシとか青色は多少独特だと思います。でも美味しいです」


 口をそろえる二人に、流石にショックを受けたのか、一歩だけ後ろによろめく都。今まで気にしなかったことを、自分で気付いてしまったがために反動が大きかったのかもしれない。

「なんで今更傷つく。そのタイミングは昔から山のようにあったじゃろ」

 月読のツッコミにも答えられずにいると、葵が必死にフォローを始めた。

「大丈夫ですよ。私が一緒に料理を作ります。それで段々と普通の料理に慣れていけば良いんですよ」

 慌てているためか微妙なフォローとなったが、都は感動して目にうっすらと涙を浮かべている。

「葵ちゃんッ!」

 都は葵の両手を包み込むように握りしめる。

「一緒に頑張ろう! お客さんが増えれば葵ちゃんの時給も増やすからね」

 固い握手が交わされ、再度ナポリタンが作られることになった。今度は葵がアシスタントに入る事で解決されそうだ。


 調理をする葵と都の声がキッチンから微かに聞こえてくる。

「店長、食紅は置いてください! あと何ですか、そのエビ!」

いろどりでロブスターを」

「ナポリタンは赤いから、同じ色のロブスターは彩りません」

「だから食紅でロブスターを染めようかと」

「そっち!?!?!?」

 固唾を飲む月読は、何に祈って良いのか迷いながらも最終的に葵に祈った。

「がんばれ葵」

 そう言ってコーヒーを啜る。

 待つこと十数分。月読が待っていたものが出てきた。

「どう?」

 それは間違いなくナポリタンだった。タマネギ・ピーマン・ウインナー・麺という普通の具材が真っ赤に染まっている。

「普通じゃ」

 シルキーで出てきたナポリタンで初めて普通なものが出てきた。感動を覚えつつ月読はフォークを手に取り、ナポリタンを口へ運ぶ。

「美味い」

「そう、よかった」

 安心した様子の都は次々に料理を作っていった。傍で手伝う葵から時折悲鳴にも似た指摘が続きながらも、カルボナーラやオムライスも作り上げた。

「これだけ作れれば問題ないじゃろ。葵、また都が変な物を混ぜないように見ていてくれ」

「任せてください。指摘だけはできます」

 葵の笑顔を見て、都は自分や月読の事を話しだした。

「ねぇ葵ちゃん。神様って信じる?」



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