試食
ガチャガチャと調理器具や食器が鳴る事二〇分。試作品という事で一人前で置かれたパスタを見た。
「ふむ、見たこと無い感じじゃな」
月読の感想は正しい。パスタのベースはナポリタンなのだが、普通のナポリタンには見られない具材が入っている。というより具体的に言えば皿を覆い尽くさんばかりに乗っかている。
「この肉、なんですか?」
「イノシシよ」
直径は一〇センチを超え、厚さは一センチを超える猪肉のステーキだった。
また、すごいジャンルの肉が出てきたな。と考える悠人と、若干引いている葵。
「肉以外は普通じゃな」
気にしていない月読は、肉にフォークを刺しかぶりつく。
「少し獣の味が強いな。自分で獲ったのか?」
「そんなわけないでしょ。買ったものよ」
臭みが完全に取れてないのかしら。と悩む都。
「ほれ、お主らも食べて感想を言ってやってくれ」
やって来た肉の下にナポリタンが敷き詰められた料理に手を付ける二人。メインがナポリタンなのか猪肉なのかわからないものは、単品であったり調理法を変えれば美味しいのは確かだった。
「ナポリタンは美味しいです。でもお肉の味が少し移ってる部分があるから、そこが気になります」
「男子高校生には受けるかもしれないですね」
葵と悠人の感想に残念そうにしながらも、次の試作品のパフェを出す。
「普通じゃな」
月読はそう言ったが、悠人は信じなかった。確かにパッと見は普通だが、絶対に何かあると思いよく観察する。
オレンジ色と白が交互に並び、一番上には綺麗にカットされたフルーツが花を咲かせていた。
しかしと言うか、やはりと言うか、パフェの一番上の真ん中に黄色いものが乗っていた。
「これ、スクランブルエッグですか?」
「ええ、たんぱく質も摂取できるスイーツなの」
も。それがフルーツのビタミンをさしているのだろうと思いたかったが、月読と都の会話がそれを打ち消した。
「この生クリームに入っているツブツブはなんじゃ?」
「それは茹でたキヌアにヒエ、それにハト麦よ。栄養価がすごい高いの」
生クリームに混ざる穀物類。悠人と葵は苦い顔をするが都は気付いていない。
「まずは私から食べるかの」
そう言って月読はパフェを食べる。容姿のせいか、パフェを食べる彼女の姿は非常に似合っていた。
ゴクリと飲みこんで、先ほどと違い絶妙に美味しくなさそうな表情をする。
「美味しくなかった?」
都の問いに、
「美味くないというより、慣れない食感が気持ち悪いな」
と、葵にパフェを回した。
「いただきます」
葵も意を決したように一口食べる。
「オレンジのソースやフルーツは美味しいんですけど、穀物が少しボソボソします」
回ってきたパフェを悠人も食べるも、前の二人と同じような感想に終わった。




