占えば簡単
取りあえず無駄な事は諦める。
「今日はシルキーに行って試作料理の途中経過を確認しに行くぞ。もちろん葵にも来てもらうぞ」
「私も?」
「ああ。料理の意見は多い方が良いからな」
そして三人はシルキーへ向かった。
ドアを開けると、がらんとした店内に都がいた。彼女はコーヒー豆を煎っている最中らしく、誰が来たかをちらりと確認し、いらっしゃい。と小さく呟き焙煎機を再び注視した。
「適当に座るかの」
そう言ってカウンターに座る月読に習い、悠人と葵もカウンターに座る。
そのまま待ち続け、焙煎が終わると都は三人に謝罪を口にした。
「ごめんなさいね、焙煎は神経使うから。コーヒー飲む?」
「ではコーヒーを三つくれ」
「かしこまりました」
コーヒーを注ぎながら、都の視線が一瞬だけ葵に向く。
「ねぇ月読ちゃん。その子が言ってた子でしょ? ちゃんと謝った?」
首をかしげる葵。
「オイやめろ都。まだばれてないんじゃ」
慌てて止める月読に、悠人は半目を作って告げる。
「どうやったかは知らないですけど、うさん臭い出会いだってことは見当ついてます」
なおも戸惑う葵に悠人が自分の知っている事情を話す。
「ほら、この前喫茶店のメニューの話したじゃん。コロッケ作ってくれた時」
葵は黙ったまま頷く。
「その案をその人に伝えたら、是非会いたいって言い出したんだ。その時に葵の事を彼女かどうか詮索し始めたから、会わせませんよって言ったんだよね」
そして都が続けた。
「その後かしらね。ウチに来てメニューを伝えてくれた時に、貴女にどうしても会いたいからって此処で占いを始めたのよ」
月読之尊は占いの神様でもある。その結果をもとに葵と無理やり出会ったらしい。
この神様に罰は当たらないものか。と真剣に祈る悠人をよそに、
「占い?」
と、本日一番の疑問が葵の頭に浮かんでいた。
月読が何者なのか知っている悠人からすればべつに疑問でもないが、知らない彼女からすれば占いで人の居場所がわかると言われても理解できない。
その事にいち早く気づいた悠人が無理やり話を逸らす。
「そういえば料理は何品くらい出来たんですか?」
都は手元から目を離さずに進捗状況を教えてくれた。
「一応二品は形には出来たけど、完成はしていないわね」
一方の葵は、急に会話を変えた悠人に不信に思ったのか軽く眉間に皺を寄せている。
「パスタとパフェらしいぞ」
この流れの張本人である月読は、呑気に足をぶらつかせて遊んでいた。
出来上がったコーヒーを人数分置き、都はすぐさま試作品の調理にかかる。




