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 夕方の一八時。いつもは満理月堂で夕食を取るが、土曜日はそれが無い。夕飯をどうするか考えながら家路に着く。

「どうすっかな」

 玄関の扉を開けながら一人ごとを呟いた。

 本来なら暗いはずのリビングから明かりが漏れている。

「消し忘れ、ってことは無いよな」

 朝に家を出たのだから、電気は付けていない。そうなれば家主の居ない間に侵入している人間がいるということだろうか。


 ゆっくりとリビングに近づいて、そっと中を覗く。するとそこには雨村葵がソファでくつろいでいた。

「え、何やってんの?」

「ん? おかえり。洗濯物畳んどいたよ」

 リビングの隅に畳まれた洗濯物を指さす葵。

「ありがとう。じゃなくて、何で家に入れたの?」

 戸惑う悠人に鍵を見せる。

「悠人のお母さんから預かってるのよ。知らなかった?」

 知るはずも無かった事実だがあり得る話だ。彼の両親は彼以上に葵を信用している。

 なるほどね。と納得して悠人は着替えるために部屋に向かった。

「母さんも必要な情報は与えてほしいよな」

 愚痴りながら着替えていると、何やら良い匂いがしてきた。

「どこかの家は今日は揚げ物か」

 一人暮らしで、片付けの面倒くさい揚げ物はしない。買ってきたものがハズレだった場合、油でべっちょりとしているので自然と買わなくなる。いくら男子高校生でも油を飲む気はしない。


 着替えてリビングに戻ると葵の姿は無かった。代わりにキッチンの方で音がする。

「葵?」

 キッチンを覗くと彼女は揚げ物用の鍋と格闘していた。

「今日はコロッケね。あっ、もしかしてもう夕飯食べてきた?」

「いや、めっちゃ腹減ってる」

 一気に空腹が押し寄せてくるのを感じながら、葵の邪魔をしないように手伝った後夕食を迎えた。


「美味しいかどうかわかんないけど、どうぞ」

「いただきます」

 手を合わせ、悠人はコロッケにかぶりつく。

 サクサクした衣の下にはしっとりとしたジャガイモとひき肉と玉ねぎが詰まっていた。

「うめえ」

 素直な感想に気を良くしたのか、葵は嬉しそうに頷いた。

「でしょ? 初めて作ったけど、なかなか良い出来よね」

 そう言って彼女もコロッケを食べる。

 自分で作ったものは美味しいらしく、うんうんと頷いていた。

「なぁ、料理上手な葵さん。喫茶店であったら嬉しいメニューって何だと思う?」

「? なに急に」

「バイト先の店長の友達が、喫茶店を経営してるんだけど、新メニューの提案を任されちゃってね」


「そっか。でも喫茶店のメニューって大体同じじゃない? パフェとかパスタとか」

「パフェにパスタ、か」

 言われてみれば確かにその方が万人にうけるだろう。大げさに考えなくても普通の喫茶店のメニューを考えればよかったのだ。何となくのイメージで、大宜都比売の経営しているから少し特殊な方で考えていた。

「ナポリタンにクリーム、イチゴパフェにチョコレートパフェか」

「そうそう。オムライスも良いよね」

 葵の的確なアドバイスによって何となくの方向性は見えた。なので今は、せっかく作ってくれた料理が冷めないように急いで食べる事に専念した。


最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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