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僕らの --  作者: 甲一
2/3

予感--

投稿が遅くて申し訳ございません。楽しんで読んでいただけたらなと思います。

  チャイムの音で目が覚めた。

  やっと、4時間に渡るテストが終わったらしい。大きな欠伸を一発して、周りを見回した。ぱっと見で、みんなが憔悴しきっているのがわかる。僕はというと、速攻でテストを終わらせ、残りの時間は爆睡していた。

  テスト後は清掃をして、SHRだった。クラスの全員が着席をして、5分ほど経った後に坂本誠教諭が急いで教室に入ってきて始まった。坂本教諭は息を整えるとすぐさまベラベラと喋り始めた。

「今日はおつかれさまでした。テスト4時間つかれたなあ。まあ、わしは椅子に座って、本を読むだけだったから、楽だったけどな」

  そこで、何人かのせ生徒がクスクスと笑った。誠先生は咳払いを1、2回して、話を続けた。

「ええと、配った入部届はあるか?昨日は、テスト前じゃけん、家で勉強しとけと言ったのにもかかわらず、部活見学に行っとったやつもおるらしいな」

  そこまで言うと、先生はジロリとある生徒の方を見た。その生徒は、少し肩をすくめたように見えた。

「まあ、入部したいと思っとう部活のある人は今日ぐらいから見学に行くのがのがいいですね。明日からは普通に授業がありますから、教科書を忘れないように。じゃっ、今日の終学活はこれで終わり。さようなら」

  『さようなら』の『さ』の余韻が消えないうちに、クラスの大半は教室から出て行ってしまった。

僕はこの日は珍しく教室に残っていた。読みかけの小説を読破するためである。昨日くらいから読み始め、さっきのSHRが始まるまでの5分ほどの空き時間にも少し読んだのだが、これがたまらなく面白い小説なのだ。それで、早く結末を知りたいために、家に帰る時間も惜しんで読書を続けることにしたのだ。


それから、1時間ほど経ったのだろうか。読み終わってふと周りを見回すと、教室には誰一人としていなかった。外からは野球部ものと思われる威勢のいい声が聞こえてくる。僕以外に誰一人いない教室は暗く、何か得体の知れない不気味なものが潜んでいる様に思われた。

もう特に何もすることがないので、荷物をまとめて帰ろうとしていた時、足下に落ちていた入部届の用紙に、目がついた。そういえばSHRの時に先生が部活について少し話をしていたの思い出した。

部活かあと思う。特に入部するつもりはなかったが、それを拾って少し目を通してみた。ふむふむ、この学校には部活動がおおよそ20ほどあるらしい。そのうち約3分の2が運動部で残りの約3分の1が文化部だ。

縦に羅列されている部活動名の中である1つの部活動名に目が引きつけられた。それは『文芸部』である。

文芸部といえばよく小説にも出てくる部活動の一つで、おもに小説、詩、俳句、短歌などの創作を行う部活動だ。

僕は文芸部というものに少し憧れを抱いていた。なんといっても、小説を書く人がいるのだぞ。僕はどんな小説を書く人に対しても尊敬の念を持っている。それは、自分が満足に小説を書くことができないからだ。

文芸部が舞台となる小説を読むたびに、文芸部っていいなと思ってきたのだった。文芸部にもしが入れば、小説が書けるようになるかもしれないと思った。先輩や先生、OBの人たちに教えてもらえば自分のひどい小説も少しはマシになるかもしれないとも考えた。

そんなことを思い出して、少し文芸部の活動を見学に行こうかなと考えた。もしここで逃げれば一生、満足に小説を書けないと、警鐘が鳴っているように感じた。

気がつけば、学生カバンを引っ掴んで教室を飛び出していた。と、数秒も経たずに何かにぶつかった。前を見ると、そこには我がクラスの担任、坂本誠が少しよろめいていた。

「ああ、すまん。あ、君は確かわしのクラスの、……誰やったっけ」

少し僕は憤慨した。教育者として自分のクラスの生徒の名前ぐらい覚えとけよ。

「陰影です」

少しブスッとして答えた。

「あ、そうそう。で、陰影、こんな遅うまで教室に残っとったんか。もう家に帰るところか」

坂本は名前を覚えていなかったことに対して詫びるつもりはなさそうだ。

「いえ、文芸部に見学にでも行こうと……」

「おお、そうか。あ、やけど、文芸部は図書室で活動しようきに、方向が逆やぞ」

文芸部の活動場所も知らずに教室を飛び出していたアホな自分に気づいた。

「そうなんですか。ありがとうございます。では、さようなら」

「おお、さようなら」

僕は逃げるように、坂本の横を通り抜け図書室に向かった。背中に少しの間、坂本の視線を感じた。

何度か道に迷いながら、やっとこさ図書室の前に着いた。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

これからも、少しずつ投稿していこうと思うので、よろしくお願いします。

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