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disappear  作者: 黒土 計
56/71

chapter2 夏風邪

「今?大丈夫だよ」


「でも、何か声が違うよ?」


「あ〜まだ風邪っぽいかも」


夕食を食べてお風呂に入り、いつもより早くYUIちゃんへ電話をした。


相葉さんの事を思い出してから、すごく体が火照る。


「コンビニでバイトしてんのか」


「前も言ったよ」


「そうだっけ」


「憶えてないの?」


「憶えてねえな」


「何かいつもと違う」


「気のせいじゃねえか?」


言葉の語尾もトーンも何処か不自然。


でもYUIちゃんの携帯だし、何か怒ってるのか不安になった時


「そう言えばさ」


「何?」


「お前男作ってないか?」


「作ってないよ」


「淋しいからって浮気してんじゃねえの?」


「してないよ!」


「本当か〜?」


また誰かのデマでYUIちゃんが怒ってる。


そう感じて必死に撤回する私の言葉を電話の主はクスっと笑った。



「じゃあ、どうしてるんだよ」


「何を?」


「何ってHしたくなった時は」


「ならないもん。」


「嘘だね」


「じゃあYUIちゃんは?」


「俺?」


学校のトイレでした行為を思い出し切り返した聞きたくても聞けなかった事。


年末に途中までした時だって抜いてない。


YUIちゃんは、他の誰かとSEXしてるのかな。


私と出会ってから他の女の人とSEXしたのか。


聞くに聞けない事。


「オナニーで我慢してんじゃねえの?」


「してんじゃねえのって」


「さあ。どうだろうね」


「じゃあ、誰かとしたんだ」


「さあ。それはどうだろうな」


私の不安を撤回する事もなく


どっちにも取れる曖昧な答えが無性に切なくて問い詰める為の尋問は


「そうだ。お前風呂入ったんだっけ?」


「入ったよ。」


「後は寝るだけか?」


「誤魔化さないで!」


「じゃあ、布団の中に入れよ」


「は?」


「電気消してさ」


「どうして?」


「イイから消せ」


少し低く強制的になった声に胸がドキドキしてる。



「電気消したか?」


「うん」


「布団に入った?」


「ベッドだよ」


「どっちでもイイよ」


携帯越しに少し興奮してるのが判る。


「会いたい?」


「誰に?」


「誰って決ってるだろ?」


「YUIちゃんに?」


【会いたいよ】


素直に言えた言葉。


淋しい心と体が小声でささやく次の指令を待ってる。


「生で揉んでみ」


「しません」


「で、乳首を挟んで」


「絶対にしません」


「俺はやってるぜ?」


本当は指示に従ってる私の手。


言葉では断っても受話器の向こうには、本当の事がバレテいるのかも知れない。


「上から摩ってみ」


「嫌です」


「濡れてるか触ってみ」


「触りません」


「声出してもイイんだぜ?」


「出ないよ」


「聞きたいな〜」


「意地悪」


「俺の指だと思って入れてみ」


指示の主は服従しベッドの中で指示されるがまま


少し指を入れる私に気が付いてる。


「俺も固くなってるよ」


私もご主人様が興奮して人には見せられない行為をしてる事は判ってる。


でも、ご主人様は


携帯の持ち主ではなく


「本当だよって?ちょっと待って!!」


「もしもし?お前誰?」


「へ?誰って」


「もしかして優奈か!?」


「YUIちゃん?」


「ちょっと待ってろよ!篤テメエ!」


YUIちゃんがお風呂に入っている間に


暇だったからと勝手に携帯に出た篤君の悪ふざけ。


YUIちゃんの声と言い訳をする篤君の声が聞こえる。


電話を切らずに待ってる間


真剣に考えた言い訳。


「本当か?」


「本当だよ」


「篤さあ」


「うん」


「まじチ●コ出してたぜ?」


勝手に篤君がHな事を言ってるのを


YUIちゃんが言ってると思って聞いてただけで


そんな微妙な言い訳が嘘だと知ってるのは篤君。


ただ1人だけ。


「俺が言う訳ねえだろ!」


「じゃあ、どうしてるの?」


「何が」


「だから・・・」


「ご想像にお任せします」


「気になる!」


「うるせえよ!」


人には言えぬ自慰行為の話。


男同士なら言えるのかも知れないけれど女には言えない事。


「クソして寝ろ!」


「出ないもん!」


「そういう問題じゃない!じゃあな!」


突然降りかかった災難から逃れるように


【おやすみ】


その言葉は忘れずに電話が切れた。


今頃篤君の事怒ってるのかな?


でも、どうして篤君が?


そんな事を思い浮かべながら横切るのは


勘違いから知った恥ずかしい行為の仕方と感触。


誰もいない自分の部屋で自然と指を動かした瞬間


YUIちゃんではなく心も体も求めたのは相葉さんの記憶。


パジャマも全て脱ぎ捨て記憶が欲しがるままに自分の指を求めた時


急に素に戻り萎えた攻められない事への欲求。


「あ〜SEXした〜い!」


リアルに男との行為が欲しい。


本格的に欲求不満に変わった翌日。


「バカは風邪引かないって言うのに!」


「うるさいな」


「バカは夏なのに風邪引くんだよ」


「自分で学校に連絡しなさいよ!恥ずかしくって電話できないわ」


お母さんと裕貴の私をバカにするネタがまた1つ増えた。

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