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disappear  作者: 黒土 計
28/71

chapter1 4人目の男

不良になるって意外と難しい。


昨日の事を少しは反省してくれたのか。


朝いつもの時間に目が覚めてトイレに行こうと部屋を出たら1通の手紙が置いてあった。




優奈へ


今まで本当にごめんなさい。


これからは優奈が話してくれる時以外は


お母さんは何も言わないようにします。


学校は行ってください。


お弁当とご飯はいつもの時間に用意してます。 お母さんより




この手紙を無視して家を出て行こうにも


夏美もいないし相葉さんも1日2日程度ならOKだろうけど


何日もってなるとOKしてくれるか微妙な訳で。


中学の同級生と高校のクラスメートの家に行くにも平日じゃ断られる。


行く当てもないし結局この家で今までどおりに暮らすしかない。


不良になるには何か他にも特別なエッセンスがないとなれない事が私の中で判明した。




「おはよう。昨日はゴメンね言い過ぎ・・」


原因だったお母さんは反省しているようだったけど


逆にコッチがどう返事して良いのか判らなくなって


一目散に家を出て学校に向かった。


私が悪い訳じゃないけどモヤモヤする気持ちを切り替える為に


【もしも】


駅までの道で信号に捕まらなかったら今日はイイ事がある!


とかけた結果はイイ事があるはずなのに。


「お疲れ様。じゃあ来週も仕事入れてもいいのかな?」


学校でもコンビニのバイト先の帰り道も


別にコレと言って何もなく今日1日が終った。


明日の夜はライブハウスに行く予定だけど


誘った夏美と智子の携帯は電波が繋がらない。


1階のテレビがある部屋はお母さん達がいるし


「あ〜暇!」


携帯のアドレス帳を開いて誰かに電話をしようと思ったけれど


もう0時前。


こんな時間に久しぶりにかけられたら相手によっては私なら迷惑。


迷惑メールでも削除して整理する事にした。


この番号は誰だったのかな?


昨日の夜2回着信した番号。


YUIちゃんかもしれないって考えたこの番号は誰?


間違いに気が付いたならもうかかっては来ない。


もし本当に私が用があるのなら


またかかって来るはず。


「これでよし!」


この番号をアドレス帳の名前は


【名無しさん】と登録した。


もし次かかって来たら昨日と同じ人だって判る。


【もしも】


YUIちゃんが名無しさんだったら・・・そう願ってた。


何を言われるのかなんてもう怖くない。


相葉さんと出会って次に進める自信を持った。


でも、何て答えようか・・・。


こう言われたら・・・


色々な言葉を考えながら眠りについた。




夏美から今日の夜の事でメールが来たのは4時間目の授業中。


学校が終って家に帰ってからライブハウスまで直接1人で行った。


「いっぱい話したい事があるけど、もう始ってるから行こう!」


智子と麻紀はもう中にいる。


3回目で少し見慣れたせいか


無愛想に見えた店員の女の子に始めて可愛い所を発見して扉を開けた。


リザードマンってやっぱり凄いバンドなのかもしれない。


3回目の今日は、


あの日のリザードマンと同じ場所とは思えないほど


ステージ前方に人がいるだけで息苦しさも熱さもなく広々と感じる。


「久しぶり!元気!?」


ライブ中だったけど、


智子と麻紀の声も正確に聞こえる。


音楽がどうこうって事は判らないけれど、


リザードマンに感じたような体がじっとしていられない感覚もない。


でも、ステージの上にいるのは、ファンの人達が熱狂してるのが判るほど


今まで見た中で1番キレイなボーカル。


ドラムは見えないけど、ベースとギターも美形。


3人のイケメンのステージをただ1番後ろの壁にもたれ


最初に会った時に聞いた


【そういう系】


じゃない夏美達と並んで見ていた。


暗いからステージからは1番後ろは見えないっていうのは間違いで


逆に目に付きやすいのかもしれない。


「さっきアソコで見てた子達でしょ?」


ライブ終了後ボーカルの人に夏美と智子が話しかけた。


「打ち上げ?まだ決めてないけど。

俺はしたいかな・・・4人とも来る?」


打ち上げって必ずするもんだって思ってたけど


しない時もあるらしく、バンド界の常識をまた1つ知り私は、おりこうさんになっていた。


「すっごくカッコ良かったです。

名前教えてくれませんか?だって!智子超〜ウケルんだけど!」


「うるさいな〜最初が肝心なんだよ!」


「超イケメンでしょ!音はダサイけど優奈は誰がタイプ?」


「え?私?」


確かにカッコ良いけど誰が好きとかそういう感情はない。


「あ〜!どんなSEXするんだろう!」


「私ボーカルがイイ!絶対に落とすよ」


「え〜!!私もボーカルの子が良いんだけど!ッて言うか

ドラムの男さあ。雑誌に載ってたのと違ってない?問題外なんだけど!」


今日は打ち上げに行って仲良くなれたら程度だったんじゃなかったの?


私が今すぐ聞きたいアノ女の事と


YUIちゃんの話はどうなったのやら。


大盛り上がりする3人の会話に


もしまたメンバーと寝るって事になったら


私は何処で誰と何をしていれば良いのか。


きっと問題外視されてるドラムの人と


きっと今荷物を車に乗せてるローディーさん?


やっぱり興味ないし、こんな事になるなら


相葉さんの所に今日から行けば良かったって本気で後悔した時


私の視界に入った女が、そんな気持ちを180度転換させた。


「あの女。アイツじゃない?」


「本当だ!ちょっとマジで!?私ワザとらしく声かけてくるね!」


智子と麻紀がダッシュで


あの女の背後に近づき声をかけた瞬間に


目を見開き顔が急に暗く変わった瞬間を私は見逃さなかった。


「あの女誰狙いなんだろうね」


遠くて聞こえはしない夏美の声に反応するかのように彼女が私達を見つけた。


私の姿を確認して目を合わさずに少し頭を下げたように見える。


「私が何か言ってやろうか?」


「イイよ」


「だってムカつかない!?」


「自分でするから」


「マジで!?」


「誰狙いか判ったら教えて」


「OK。好きにしな」


少しづつ私に背を向けようとするアノ女の顔が見たくて私が立ち上がった時


智子と麻紀が話を終えて戻ってきた。



「超ビビッテルよ!まじ笑えるんだけど!」


「あいつRYOさん狙いらしいよ!」


「RYOって誰?」


「周りにいる子がRYOって言ってた!

誰狙いって聞いたらアイツ隠してやんの!馬鹿じゃねえの!」


「隠した?」


「RYOってベースだよ」


私の気持ちを察したように智子が答えた。


「じゃあ、優奈がRYOに決定ね」


「え〜!私RYOって決めてたのに!」


誰に行くか揉めている3人をよそに1人あの女を目で追った。


チラチラと私の視線を気にしながら


色々な女の子を知ってるんだよ!とばかりに必死に話しかけるけど


話しかけられた子達の雰囲気で


逆に知り合いじゃないのがバレバレなのが笑える。


「あの後ろ髪だけ長いのがRYOだよ」


メンバーが全員出て来たと同時に


私の視線から隠れたツモリだろうけど


RYOという男に群がった女の子達の群れにいるあの女の居場所ぐらい判ってる。


今夜は私が


【あの女】を自分の手で苦しめてやる!


チラ見してる視線を全部狙撃しようと


RYOって男の顔を確認する時間は私にはなかった。



「こんな所じゃ」


「良いんだって!逆にコッチの方が」


予定になかった打ち上げは


一緒に対バンしたバンドと一緒に


YUIちゃんと初めてキスした居酒屋で開催された。


RYOって人の近くに座って


すぐに気に入ってもらえるように努力しようと意気込んでいたのに


夏美達が選んだ席はメンバーから遠い出口に1番近い所。


「こんな所じゃ話す事も出来ないよ」


「大丈夫。今は食べる事に専念!」


「アイツ来なかったね〜ッて言うか好都合だけどね」


来ると思っていた あの女は打ち上げに来ていなかったけど


メンバーが到着して、早くも1時間が過ぎようとしてる。


私達の近くに座ってた子達も立ち上がって


メンバーの近くにすし詰め状態で座り


まるで座敷に4人達だけ別で来ている様に思える。


「ほら。もうすぐコッチ来るよ」


「今トイレって言ってたよ?」


立ち上がった2人のメンバーを見て夏美達がスタンバイに入ったのを感じた。


「トイレだったじゃん!」


「もう大丈夫だって!絶対に来るから!」


本当に夏美の言うとおり2人のメンバーは来たけれど


RYOって人は相変わらず同じ席でファンの子達と話してた。


「優奈ちゃんって言うんだ。ライブどうだった?」


「この子音楽に興味ないけど私が連れて回してるだけだから!」


ボーカルと問題外視されてたドラムの2人と


声色を変えて話す3人をよそに


RYOって人が来てくれるのを祈って、おしぼりでアヒルを作り始めた。


「何してるの?」


「あ〜!この子は気にしないで!」


夏美の足が私の足を蹴ったより早く


智子の足が蹴ってきたけどコレは私のおまじない。


【もしも】このお絞りでキレイにアヒルが作れたら


今日は何もかも上手く行く日。


そう願いを込めて尻尾までキレイに完成したアヒルを


私の手の平から問題外視されてるドラムの男が奪った。


「何コレ?アヒル?」


返して!っ声と手が出る前に


別の手が私の後ろから伸びた。


女の子だと思ってた細くてキレイな腕の持ち主。


「無理やり取り上げたらダメでしょ。

はい。返してあげる」


私のアヒルを手の平に戻してくれたのはRYOって男の人だった。


「すっぴんキレイ?本当?」


ライブ中もRYOさんが美形だとは思ったけれど


私と夏美の間に座った素顔はステージとあまり変わらずキレイだった。


「優奈ちゃんって言うんでしょ?」


「え?何が!?」


「何がって名前だけど違った?」


「当ってるけど何で知ってるんですか!?」


「いやそんなに驚かなくても。みんなに優奈って言われてたから」


「あ・・・そうですね」


「はあ・・・そうですね〜」


イイ女系で行こうと決めていたのに変な沈黙。


突然の登場に心の準備が間に合わず


いつもの空気が読めない素の私を一新したかったけど


「このアヒルの名前は何て言うの?」


「名前はないよ」


「じゃあ、名前をつけようか」


「何て?」


「う〜ん・・・何がイイかな」


「何かな」


「そう言えば、何でこの子は生まれたの?」


「おまじない」


「おまじない?」


「RYOさん気にしないで!この子ちょっと天然だから!」


夏美と智子の焦った顔で


いつもの天然と言われる私の不思議ちゃんワールドを展開してる事に気が付いた。


ハッとした自分の顔がどんな酷い面をしてたのか鏡が欲しくなる。


上品に口に手を添えて、RYOさんがクスクスと笑い始めた。


「いいよ。素のまんまで

そっか。おまじないか。どんな願い事したの?」


「可笑しいですか?」


「別に可笑しくないよ。と言うか」


「と言うか?」


「可愛いよ」


小声で言ったRYOさんの唇が、思いっきり私の耳に触れた。


そのまま立ち上がってファンが待つ最初の席へ戻る前に


振り返ったRYOさんの顔は、私の赤ら顔を見て一瞬笑ったようにも見えた。


「ねえ優奈どうしたの?すっごく顔が赤いよ?」


ファンの子達と話しながらも


RYOさんが時々コッチを見るその視線に


私の事を気にしてるのを感じて。


嬉しくなってもう1匹アヒルを作り始めた手を止めたのは夏美の言葉。


「今日はダメっぽいよね」


全部のバンドがリザードマンみたいにヤレルとは限らないらしく


RYOさん達はファンを食べないと有名なバンド。


「ガードが固いとは聞いてたけどココまでとはな〜」


携帯番号どころか


泊まってるホテルも教えてはくれなかったそうで。


このまま打ち上げが終了して終わりらしい。


「うち等って魅力ないのかな。何か惨めな気分だよね〜」


「あ〜損した感じ!ねえ何処で始発待つ?」


先に店を出たメンバーとファンの子達を続いて


落胆した夏美達の背中を押し店を出ようとした瞬間


ふいに誰かが私の腕を後ろから引っ張った。


振り返る私に人差し指を唇に押し当て、静かにと合図していたけれど。


「RYOさん帰っちゃったかと思った!」


私がいない事に気がつき店に戻って来た智子に発見された。


「あっ・・いやトイレに行って。さあ出ようか」


智子の背中を無理やり押しながら


一瞬だけ振り返ったRYOさんの手から小さな紙を貰った。


その紙に何が書いてあるのか判らなかったけれど


誰にも見られてはイケナイ気がしてすぐにポケットに閉まった。


「さあ。優奈ちゃんも行きますよ」


一瞬振り返えり私の目線の高さで止まったRYOさんのキレイな顔。


「誰にも言っちゃダメダヨ」


このまま目を閉じてキス。


それぐらいの距離に近づいた顔は


私の背後から話しかけて来た女の声に反応して元の高さに戻った。


このドキドキ感って恋?


そう言えば私の人生振り返ると全部一目惚れかもしれない。


きっとコレは恋なのかもしれない!?


私の恋を邪魔するのは誰!?そう振り返った瞬間


背後から話しかけてきた女と目が合って私の心は凍りついた。


「あ・・・」


女の正体はアノ女だった。


「あれ?知り合いだった?」


「知り合いって言うか・・・」


「知り合いじゃないよ。1回だけ見た事あるだけって言うんじゃないの」


RYOさんに嫌われるとか考える前に


毎夜毎時間いつか会ったらと思っていた感情が一気に私の全てを支配した。


「こんな所じゃ」


「こんな所って何」


「後で話すから」


「ココで話しなよ」


「本当に後で言うから」


「友達でもないのにタメ語?」


「ゴメンナサイ・・」


「何が」


「優奈!どうし・・・何でアンタがいるのよ!」


夏美と入れ替えに素早くRYOさんが出て行くのを見て私の気持ちは一気に噴出する。


「ほら!何を謝るのか言ってみなよ!」


「ゴメンナサイ」


「何に対して?」


「だからゴメンナサイって言ってるでしょ!?」


逆キレしたその態度に


ただ謝らせるだけじゃ気が済まなくなった。


「撲ってやればイイジャン!」


「いいよ。触るのもイヤだし」


「じゃあ、代わりに撲ってやろうか」


「したかったらどうぞ。ッて言うか私この後呼ばれてるから」


「相葉さんって明日でしょ?」


「別の人」


「もしかして・・え〜嘘!いつの間に!?」


名前を出さなくたって女の勘は鋭い。


夏美の驚いた顔よりも


アノ女が床に崩れる姿が私に更なる女としての優越をくれる。


顔をうな垂れて泣いてるのか


どんな顔をしてるのか見て笑ってやりたい。


前髪を引っつかんでじっくりと面を眺めた。


涙と興奮で所々赤く変色した汚い肌。


泣き顔の醜い面した女に私の気持ちを淡々と教えてあげた。


別に謝ってくれなくてイイ。


好きなメンバーに相手にもされない可愛そうなオバサンと


仲良くしたいとは思ってない。


ただ、私の事知らないくせに勝手にベラベラ話して欲しくはない。


言いたい事を言い終えた時、智子と麻紀が店に戻ってきた。


「一発撲ってやれば?」


「本当にイイよ」


「何で?」


「だって可愛そうだし」


「また!優しすぎるんだって!」


「違うよ」


【女として可愛そう】


私の言葉に、智子が歌った。


「白け鳥 飛んで行く」


「何その歌!!」


智子が真顔で手で羽を作り羽ばたく。


「惨め〜惨め〜惨め〜!!」


レジ前の店員。


店にいる他の客の事など気にせずに


勝利とばかりに4人で羽ばたき


「ヤダ!何か踏んじゃった!」


蹲って泣く背中に一発づつ蹴りを入れて外に出ると


そこには、機材車所かファンの女の子達も誰1人いなかった。


「マジ撤収するの早くない!?」


「メンバー全員帰ってから、うちらが呼びに行ったんだから当たり前じゃん」


「うっそ〜!携帯番号渡してないのに!!」


人っ子一人といない静かな通り。


アノ女と再会しコケ脅してる時間が、どのぐらいだったのか判らないけど


そんな事はどうでも良い。


「優奈って結構怖いね〜!」


「そう?」


「逆に平然で話されると怖いって!」


「ねえ今どんな気持ち?」


「どんな気持ち?」


幾度と無く描き想像してたアノ女の無様な姿。


自分の目で。


自分の手で執り行った事で得た何とも言えない満足感。


心に残っていた悲しい気持ちも苦しさも一気に消えて


静寂の闇夜を支配する者になったような気分さえ感じてた。


「え〜!でもRYOさんに呼ばれてるっていつの間に!?」


「RYOさん?」


「え?違うの」


「違うよ」


「相葉さんの事だったの?超ビックリして損した〜!」


「だよね〜絶対にファン食わないバンドだからね〜」


夏美達に嘘をついた。


本当はRYOさん。


「じゃあ時間までファミレスに行く?」


白い紙に指定された時間に電話をして


タクシーでホテルに行き


「早かったね」


そのままRYOさんの部屋に入った。


ドラムの人は今日対バンしたメンバーの実家が近く


そこで最初から麻雀大会に行く予定だったそうで


「久しぶりにベッドで寝れるって喜んでたけど」


RYOさんと同じ部屋で眠る予定だったローディーは


他のメンバーには内緒で機材車の中で眠る指示が出されてた。


「ちょっと待って。シャワー浴びてから」


キスから途中まで脱がされたけれど


学校から帰ってそのままの汗の匂いがしないか気になり


髪の毛も洗ってからベッドに戻った。


始めに感じた通り、RYOさんのキスは上手じゃない。


胸を触る手も、吸うのも舐めるのも


一応と言うのか上品と言うべきか。


挿入してこれからと言う時には終了し


事を終えて初めて損したような気分になった。


満足げに腕枕してくれながら眠るRYOさん。


不満足な私の体は眠れずベッドから出てタバコに火をつけた。


「私何やってるんだろう」


人生で7回目のSEXは4人目の男。


初めてから4回目までは


【初恋の男】と同じ苗字の男。


5回目は半分だけ挿入したYUIちゃん。


6回目は【初恋の男】に似た相葉さん。


相葉さんとのSEXが何もかも良く思え


RYOさんとのSEXを冷静に診断してた。


SEXの相性って雑誌の特集を見ても良く意味が判らなかったけど。


4人目にして意味が判った。


カーテンを開けると空はまだ闇夜のまま。


「トキ君今頃何考えてるのかな」


一緒に見た空の色が来るまで起きていようと思っていたけれど昼には相葉さんに会う。


今のうちに少しでも眠ろう


今日だけの男と一緒に・・・


腕枕には戻らないで、隣の空いてるベッドで眠った。


「他の子達に絶対に言わないでね。また電話するから」


RYOさんは笑顔で見送ってくれたけど


もう自分からは2度と電話しないと


番号が書かれた紙はホテルのゴミ箱に捨ててきた。


夏美達は絶対にファンは食べないって言ってたけど


食べられました!と突っ込んでやりたい今日の事は永遠に消去しようと決めた。


夏美達に嘘をついてしまった事への罪悪感じゃなく損した気分に陥ったSEX。


ちょっと自慢したい気持ちもこれっぽちも起こらない。


こんな下手な男としたって知られたら逆に自分の恥になりそうで。


自己嫌悪に陥りながら白昼の繁華街を抜け


相葉さんとの待ち合わせ場所へと急いで向かった。

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