あらし
ある日、カリストは寮の自室で鬱いでいた。なんだか昨晩から前歯の具合が悪いのだ。
「なんか前歯がムズムズするんだよねぇ……」
「あんたさ……甘いモノばっかり食べてるから虫歯になったんじゃないの?」
それ見たことかと鼻で笑うイオ。しかしカリストは不満げだ。
「わたしってば、ちゃあんとハミガキとかしてるよ~?」
「歯の弱い体質ってあるらしいのよね。いくら磨いても虫歯になる人はなるんだって」
「そなことゆわれてもねぇ……わたしってばムシバになったことないんだけどなぁ……」
「どれどれ、それじゃ見てあげるから、クチ開けてみなさいよ」
カリストにクチを開かせて覗き込んでみたイオだったが、確かにカリストの歯は治療痕も虫歯もなく、やたらと真っ白に輝いている。歯並びも良好で羨ましいくらいだ。
「調子悪いのは前歯? でも何ともなってない……歯ぐきも腫れてないし……」
そう言ってイオは指先でカリストの前歯をコツコツ叩く……即座に悶絶するカリスト。
「あうわ~!?」
「え? やっぱり痛いの? どこ? ここ?」
意地悪っぽくニヤリと笑って、わざとらしく再び前歯を指でつつく。
「はらわ~!?」
「あはは、ゴメンゴメン……って、え?」
カリストが悶える姿を見て笑っていたイオだったが、次の瞬間に愕然とする。
「信じられない……カリスト……ホントにゴメン……前歯、折れちゃった……」
カリストの折れた前歯を手に取るイオ。ちょっと突いただけなのに、ポロッとモゲてしまったのだ。だがしかし、案外とカリストはケロッとしている……前歯が1本抜けているので、普段よりも間抜けさが一層増している。
「ふぇ~!? わらひのはら~!?」
「……これって……まさか……?」
イオがよく見れば、カリストの取れた前歯には根っこが無いのだ。
「……乳歯?」
ところで、ほとんど説明らしい説明もないままに始まった本作ですが、現状、拙作「KallistoDreamProject」のスピンオフとして成立しているので、もしよろしければ「KallistoDreamProject」の方も御一読のほど、お願いいたします。