はいになった!
このお話は、拙作「KallistoDreamProject」のスピンオフ作品です。登場人物の性格などは「KallistoDreamProject」と近似したものではありますが、設定などは全く異なった、要は異世界/パラレルワールド的な内容になります。ありがちですね^^
しかしながら、実はコチラの方が先に書かれたお話なので、ある意味、「KallistoDreamProject」の方が本作品のスピンオフと呼ぶべきなのかもしれません。一応、体裁上はそれなりに真面目なSF作品として書いたつもりの「KallistoDreamProject」に比べると、こちらはまったく冗談じみた内容になっており、まともなオチや展開もありません。日常系4コマ漫画の文章版のようなものと思って頂いて構わないかと思います。また、そういった成り立ちの作品なので、本編は非常に短くなっておりますが、ご理解頂ければ幸いです。
「KallistoDreamProject」は百合作品と銘打っておりましたが、本作品におきましては一層のこと百合感が希薄なため、強いて「ガールズラブ」に指定しておりませんが、「ほんのり」程度には感じられるやもしれませんので、その点もご理解の程、よろしくお願い致します。
ある日、夕方過ぎにカリストは独りで裏山の枯葉を集めて焚き火をしていた。もちろん、イモを焼いているのだ。そのイモは園芸部が品種改良して作ったという謎の巨イモで、片手で持つのも大変なくらいの大きさなのだった……焼き上がるまで相当に時間がかかりそうだ。
「おイモ~♪ おイモ~♪」
カリストは獲物を捕らえた原住民のように焚き火の周りを小躍りしながら待つ。
その様子を寮の窓からイオが遠巻きに眺めていた。
「あのコ……黙っていればカワイイのに、なんであんなバカなことばっかり……はぁ」
イモが食べたいなら、調理室に立派なオーブンや蒸し器があるのだ。まったくの非効率だ。確かに風物詩的な意味で焚き火でイモを焼きたい気持ちも判らないではないが……。
やがて夕日も沈み、裏山は闇に包まれる。それでもカリストは辛抱強くイモが焼け上がるのを依然として小躍りしながら待っていた。闇の中にポツンと紅く浮かび上がる焚き火と、その周りをグルグル回るカリスト。
その様子をずっと見守っていたイオも辛抱強かったが、しかし先程から何かに引っかかりというか不自然さを覚えていた……カリストがイモを焼き始めてからすでに2時間は経っている。
「ま、まさか……あのコ、焚き火の周りをウロウロしてるだけ……?」
カリストは折を見て枯葉や枯木を焚き火に放り込んだりはしていたが、肝心のイモをチェックしていないような気がするのだ。ついにイオは耐えきれなくなって窓を開けてカリストに向かって叫んだ。
「あんたさっ!? イモ、焼けたのっ!?」
イオの声に気付いたカリストは、嬉しそうにパタパタと両手を振る。
「えへへ~♪ イオもおイモ食べる~!?」
「っていうかさ……そのイモ、いい加減に焼けてるんじゃないのっ!?」
「ふぇ? そなのかなっ!?」
「あんたねぇ……」
呆れるイオを尻目に、カリストは木切れを握り締めると、イモを引きずり出そうと目を細めながら焚き火の中を突っつき回すが、しかしカリストはアタマを傾げて不思議そうな顔をするばかりだ。
「あれ~? おっかしいなぁ……おイモ、どこ行っちゃったんだろ……?」