表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Kallisto Go Around!!  作者: LOV
13/15

風に叫ぶ

 ある日、イオは野球部の部室にいた。野球部の部室はソフトボール場の脇にあるソフトボール部の部室の裏に位置しているのだが、部室というよりも用具置き場のような小屋である。実質イオとカリストの2名しかいない野球部の立場は極めて弱く、ほとんどソフト部のオマケのように扱われていた。実際、グラウンドは「ソフトボール場」であるし、そのように造成されているのだ(なので土を盛ったマウンドはないし、塁間や外野も狭い)。イオとカリストは野球の練習をするときにはソフト部の邪魔にならないよう、隅っこの方でキャッチボールや素振りなんかをしているしかないのだ。

 そういう経緯はあったが、野球部とソフト部は表だっては仲は良かった。イオはソフト部の選手の誰よりも球技への適正が高い上に身体能力にも優れていたため、ほぼ常にソフトの公式試合の助っ人をしてやっているし、カリストも野手として何度か試合に出たことがあった。カリストがピッチャーをできなかったのは、ソフトのボールが大きすぎて手に馴染まず、まったくコントロールが付かなかったからだ。


 それはともかく、イオは野球部の部室の窓に木の板を取り付けていた。何かというと、今日の夜半頃には大型の台風が来るらしいからだ。先月の台風の時には、どこからともなく飛んできた木の枝で窓ガラスが割れてしまい、後片付けで大変な思いをしたためである。

「よし……っと。これで大丈夫よね、たぶん」

 元からアテにはしていなかったが、それにしてもカリストは手伝いに来なかった。いちおう声は掛けておいたのだが。イオが頼み事をすれば、なんだかんだ言いながらも付き合ってくれることが多いのだが、今日はまったく放課後から音信不通だ。

「まぁ、いっか。台風が過ぎた後、後片付けをやってもらおう」


 その頃、いよいよ風の勢いも増してくる中、カリストは校舎の屋上で凧を揚げていた。カリストが言うには200メートルの凧糸を4つ使ったとのことなので、かなりの高度まで凧は揚がったらしい。

「えへへ~♪ そいでねぇ、執行部がわたしに出頭するようにって♪ 何かゴホウビ貰えるのかなぁ♪」

「……さあ? そうだとイイわね……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ