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職業:中の人2:自作自演?

作者: 秋月心文
掲載日:2026/05/18

最近のオンラインゲームには、サポーター機能というのがある。


パーティメンバーが足りない時、

ソロプレイを貫きたい時、

NPCを味方につけ、ボス戦に挑める機能だ。


このNPCは、メインシナリオで、何度も出るキャラで、

それと一緒に戦えるというのも、うれしい!!


そして、このNPCは、

声優さんのイイ声で、しゃべってもくれるのです。

そこも、なかなかにうれしい!!


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


でも……

プログラムされた動きでは、いろいろ問題が生じる……


・敵が攻撃を始める前に、先に回避……


・盾役と同じ方向に移動するアタッカー…


・アタッカーが攻撃を始めても、別の敵を攻撃する盾役…


・全員違う場所で攻撃を受けないといけない時に、

 突然プレイヤーの方に飛び込んできて、共倒れするヒーラー…


……と、なんだか、あれれ?という動きをしてしまう。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


最近、これが「模範」と勘違いしちゃう、プレイヤーが増えてきたんだよ。


そして、NPCのいない普通のパーティで、

こういう動きをして、迷惑をかけるという事が起こっているらしい。


そこで、当社のオンラインゲームでは、このサポータ機能にも「中の人」を採用する事を決めました。


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


前置き長くなったけど、今日の俺の仕事は、サポーター機能の「中の人」だ。


求められているのは……

・プレイヤーを勝たせる事

・プレイヤ―を置き去りにしない事

・模範的なプレイをする事

……です。


ですが、当社のオンラインゲームでは、ボス側も「中の人」です。


今日は「中の人」対「中の人」なのです。


こちらは、今日、誰がボス担当なのか聞いていません。


でも、たぶん、佐藤か、長嶋が来ると思っています。

佐藤は、先にアタッカーを潰し、勝てる要素を無くす戦術を取る。

長嶋は、セオリー通り、先にヒーラー潰し、次に盾を潰して、煽りまくる。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


ピピピ……。


おっと、呼び出しがかかった。「中の人」の出番だ。


えーと、今日の仕事は「先遣拠点ガードナー」で、……。

俺の役は「NPC:セラフィナ:ヒーラー」か……。


さて、頑張るか……。


で、プレイヤーは「レイン:遠隔攻撃アタッカー」か……。

古参のプレイヤーみたいだな……。


 ◇ ◇ 戦闘開始 ◇ ◇


あれ?、レインさん、全然動かないな……。


……と思ったら、盾役のキャラが、先行して、敵を潰しに行ってる。

ちょ……プレイヤー置き去りにしちゃ、いかん…って


でも、この動き、どっかで見た事あるな……。

新入社員の青島じゃないか……。


ちょっと、メッセージとばしとくか。

「プレイヤー置き去りにしちゃいかんて……」


ん?、返事ないな……。


しかたない……。

メッセージ連打してみるか……。

「プレイヤー置き去りにしちゃいかんて……」

「プレイヤー置き去りにしちゃいかんて……」

「プレイヤー置き去りにしちゃいかんて……」

……気づかねぇ……


電話してみるか……

トゥルルル~、トゥルルル~、

「はい、青島です」


「あぁ、俺だけど。青島ぁ、お前、今、中の人やってるだろ?」


「あ、先輩。え? ナンすか? 中の人って…」

一応、中の人っていうは、守秘義務があるから、気を使ってるようだ…。


「メッセージみてくれた?」


「あぁ……。そういう事っすね。すみません。気をつけます」

……ようやく伝わったか……


……って、おいおい、電話してる間に、

  レインさん、特攻しちゃってるぅ~


瀕死じゃん……。あ、やべ……。死んじゃった…。


 ◇ ◇ リスタート ◇ ◇


今度は、大丈夫だろ……。

ん?、NPC役のアタッカー動いてないぞ……。


おいおい、マジか……。

NPCが寝落ち…って、最悪じゃん……困るな……。

中の人、誰よ?


チャンチャラ~、チャ~ララ~

俺のスマホが鳴る。青島からだ……。

「はい」


「先輩~ぃ。どうしましょう」


「今度は、どうした?」


「盾でもアタッカーでも出来るって、この仕事受けたんですけど……」


「うん」


「両方、同時に来ました」

ちょ……。マジか……。


「仕方ない、アタッカー俺の方にまわせ!」


「どうすればいいんすか…、えーとな…」


俺は、2台めのPCでアタッカーの操作を始める。

まさか、両手使いでやらされるとは……。


さて、頑張るか……、て、あれ?、レインさん死んでるじゃん。


 ◇ ◇ リスタート ◇ ◇


ここからは、危なげなく、進んでいきました。


まず、1人目のボスと対峙。

なんか、動きがNPCっぽかった。


レインさんが、避けたつもりで、敵の攻撃をもろに受け即死……。

おぉぅ……


 ◇ ◇ リスタート ◇ ◇


また、危なげなく、進んでいきました。


そして、また、1人目のボスと対峙。

今度も、動きがNPCっぽかった。

無事、勝利~!


俺は、声優さんの声を出すボタンを押す。

「この調子で、やっていこぅ~!!」


そして、危なげなく、進んでいきました。

ただ、右手でヒーラー、左手でアタッカーしてるので、ちょっと余裕ない。


そして、2人目のボスと対峙。

開幕から、執拗にヒーラーの俺を狙ってくる。


中の人は長嶋か……!? こいつ、しつこいんだよな。

くそ……。両手操作で、余裕ないちゅうのに……。


あぁ、また来やがった。

両手操作で、こいつの攻撃を受けるんは、しんどい。


あぁ、また……。

盾役の青島が、俺をかばってガードしてくれた。

お、サンキュー青島!。声には出さない、心の中で、そう思ってるだけ。


……て、あれ?、レインさんも一緒に来てんじゃん……。

レインさんが、盾役の前に移動してきて、ひとり攻撃を受け死亡……。


マジか……


 ◇ ◇ リスタート ◇ ◇


また、危なげなく、進んでいきました。


そして、また、1人目のボスと対峙。

今度も、動きがNPCっぽかった。

盾役、死にかけたけど、無事、勝利~!


俺は、声優さんの声を出すボタンを押す。

「この調子で、やっていこぅ~!!」


内心思う、マジ、この調子で頼む……。


そして、2人目のボスと対峙。


今度は、こっちにも考えがある。

今やってるヒーラー役は、ヒーラーモードと、

アタッカーモードを切り替えられる。


そして、今回は、道中、アタッカーモードで、

ゲージをMAXにしておいた。


開幕いくでぇ~!!

案の定、長嶋は、攻撃モ―ションを始めている。


ゲージMAXの「ホーリーレイ」を喰らいやがれ。

こっちは、即時発動だ!!


2人目ボス、もとい長嶋が、

HPを大きく削られ、攻撃モーションも止められる。


よっしゃ~!


そして、もう一人のアタッカーでも、

攻撃を叩き込んだ。うん、いい調子……。


ピロロン……。

メッセージが届く。

「先輩、プレイヤー置き去りにしちゃ、ダメですって……」


え?

あぁぁあぁ!!!


レインさん、ボス戦の場所に来てないじゃん。

ボス戦のエリアには、ヒーラーの俺と、アタッカーの俺しかいなかった。


やっちまった~~!


――プレイヤーのレインさんがログアウトしました――


おぉぅ……;


今回は、見事に失敗してしまいました。

みんなは、こんな失敗しちゃダメだぞ~


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