1話
シカモノガタリと申します。
感想何卒。
2023年1月21日
「やっとここまで来れた」
新卒で入社したIT会社で数年営業職として働いていた。
毎日迫りくるノルマの数字と現状の売上金のギャップ・プレッシャー。
売上のため何とか契約に繋げるアクションをする。
毎日5件、顧客との打ち合わせ。疲労困憊。
仕事に忙殺されるとは聞こえがいいものの、数字に身体が振り回されているだけだ。
休日はもちろん平日残った宿題を持ち込んでいる。
なくても洗濯機すら回す事が出来ないほど、心身ともに疲れ、何も出来ない。
ここ数ヶ月は友達とも会えていない。というよりそんな時間があるなら寝たい。
最近は特に
数字が未達のため、全ての行動に対して上司から詰められる。
「いつ、数字達成できんの?」から始まり
最終的には「お前が話す日本語は分からない、声が小さい」と文句のある部分は全て浴びせてくる無意味な時間が多々ある。
自宅でも仕事可能な制度も影響しているのか、
20時を過ぎるとオフィスには大抵5.6名しかいない。若手では自分一人だけだ。
先輩がポツポツと帰っていき、帰る頃には自分が最後というのは当たり前だ。
限界まで精神が擦り切れていき、会社から駅までの帰り道、心が噴火した。
「俺、何やってんだろう」
「こんなことに人生を費やしたくない」
「今死んだら後悔する」
そんなことを思いながら帰宅した。
浴槽を溜め、風呂に浸かりながら、なぜかスマホの写真を一番上までスクロールした。
上から少し下にスクロールしていくと、1枚の写真に目が止まった。
小学校の頃、クラスのお楽しみ会で、自分含め男子6人で行った劇の写真だった。
「懐かしいな」
「何でこの劇やったんだっけ?」
「クラスの男子女子の反応は覚えてないなぁ、ただ劇をしている自分達は凄く楽しかった」
と思い出した。
「この頃から好きな事を本気でやっていれば、もっと向いている仕事が出来ていたかもしれないのに」
疲労のあまり、脳に思いついたことを置くスペースがないため、代わりにポツンと独り言が出た。
「戻せる」
聞き馴染みのない声が聞こえた。
驚きと恐怖が襲い、ビクビクと身体が動いた。
同時に視界がどんどんとボヤけていき、暗くなってきた。
真っ暗になったあと、目を開けると見覚えのある教室にいた。
視界が低く、自分の手が小さい。
横から声が聞こえた。
「プロフィール帳知ってる?書いてよー」
と金髪で可愛らしい声の女の子が小さいノートのようなものを渡そうとしてきた。
覚えている。これは小学校5年生の時の記憶だ。




