表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
欲しがり王女の侍女はつらい  作者: 碧井 汐桜香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/8

5.研修

 侍女服の試着を終えたところで、侍女に報告に来た侍従が耳元で囁く。了承した侍女がわたくしに向かって宣告した。


「国王陛下が了承なさいました。ウェルティン商会は、王女殿下の管理下に移行する手続きに入ります。明日から、引き継ぎを頼んでもよろしいでしょうか?」


「は、はい!? え、国王陛下が了承なさったんですか!? ……あ。申し訳ございません。動揺しすぎました。し、しかし、ジャリジャールが商会の管轄の変更を了承するのでしょうか?」


 わたくしの返答に、侍女は淡々と答えた。


「はい。王女殿下からすでにジャリジュール家に打診し、了承済みです」


 なんで!? 他の商会が乗っ取られて別商会になったら交易を絶ったって聞いたことあるんだけど?! それも、一件どころか何件も! それがあって、我が家はどこにも頼れず自力で頑張ってきたんだけれども!?

 わたくしの表情を見て、侍女が説明らしきものを加えた。


「実情を説明し、業務を引き継ぐと説明しただけです」


 なんで!? それだけで!? わたくしは混乱しながらも、商会引き継ぎのために帰宅してから明日までに準備するものを考える。


「……では、また明日商会の資料を持参しますので、」


「いえ、結構です。こちらが指示するものがあればご準備していただくだけで。明日以降は、身一つでお越しください。それと、この後新人侍女研修が組まれております。受けてからご帰宅ください。なお、明日以降の学園についてですが、卒業扱いになっております。王宮侍女に採用される=学園の卒業に達していると判断されるので。今回はウェルティン子爵家ご令嬢ザシュリア様が、御優秀な成績で助かりました」


 淡々と説明して、研修を行なっている部屋の案内を済ませ、侍女は去っていく。……どういうこと!? わたくしが断りきれずに、国王陛下が了承するってことも、全て想定内ってこと!? 怖すぎるんだけど!? なにあの侍女……ていうか、王女宮の侍女長って言っていたよね!? あの無表情の人が上司になるってこと!? あぁぁぁ。それなら、平民に混じって働いている方が向いているって。絶対! わたくしには無理だよぉ〜。



 そんなことを思いながら、わたくしは案内されるがまま部屋を進む。この広大な敷地も頭に入れないといけないのか。不安しかない。そう思って、名前の書かれた場所の席につく。準備されている時点で、わたくしに断るという選択肢がなかったことがはっきりと浮き彫りになった。そりゃ、子爵令嬢ごときが王女殿下の願いなんて、断れないよね。


 そう思っていると、隣の席についていた少女が、わたくしに声をかけてくる。


「あなたも今回の侍女登用試験に合格なさったの? どこ配属かもうお聞きになった?」


「……王女宮です」


 そうか、普通登用試験を受けないと、王宮侍女になれないのか、と思いながら、回答すると、少女が息を呑んで口元に手を当てて小声で囁いた。


「あの欲しがり王女の? あなた運がないのね。王女殿下があれこれ欲しがるのは本当と聞いたわ。それに、」


 いろいろと教えてくれる少女の言葉を聞き流しながら、わたくしはため息を落とした。そんなわたくしの様子に、少女が励ますように口を開いた。


「でも、きっと大丈夫よ。王女殿下ももう少しご成長なさったら、きっと欲しがりも落ち着かれるわ」


「え? 成長?」


 どういうことだろうと首を傾げると、少女がなんでそんなことも知らないのという表情をして、教えてくれた。


「王女殿下は御年十四歳でいらっしゃるでしょう? 少し悪いことに憧れるご年齢じゃない。もう少ししたらきっと落ち着かれるわ」


 その言葉を聞いて、王女殿下の風貌を思い返す。メイシアよりも少し背の低いくらいの身長だったかもしれないけれど、あの整った顔に落ち着いた雰囲気。ジャリジュール家の了承を得たということは、おそらくかなりご優秀……いいや、それはさすがにあの侍女長の功績だろう。わたくしと変わらないくらいだと元々は思っていたけれど、実物を見て年上だと勝手に思い込んでいた。あれが十四? 本当に化け物じゃない……。


 わたくしの表情が、暗くなりすぎたようで、少女は他の話に話題を変えてくれた。王宮侍女としてどのようなことが昇格の試験に出るのか、王宮で気をつけた方がいいこと。かなりの情報通なようで、いろいろと聞かせてくれた少女は、王宮侍女の中でも花形、第一王子殿下の侍女として配属されるらしい。名をジュディーといった彼女は、家名を明かさず、友人になろうと笑ってくれた。



 ジュディーと別れ、馬車に乗る。何もいらないと言われたけれど、多少の資料は必要だろう。そう思って準備して明日に備える。学園も卒業扱いか。きちんとメイシアに話をしたかったな……。そんなことを思いながら、眠りについた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ