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ガクテン  作者: 不定音高ふたつ


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02_A__01_04  第2話 Aパート 分割 1 / 4

第2話 Aパート 分割 1 / 4


【 第2話 概要 】

サブタイトル:前にジャンプ、後ろにジャンプ。

OP曲前:小学生時代のハルとミッツ。ハノンが気持ちいい。基本技術でコストダウン。

Aパート:ショージのストローオーボエ。スタッカートの意味は複数。音価。8分音符からは符桁。「4分音符は1」を、ピザで単位が重要。小節にぴったり。調号と臨時記号。ナチュラルは必ず白鍵。「6/8」「3/4」拍子の違い。

CM明け:ステラの自宅、蔵書と、おかしなメルヘン。放屁で空気清浄機が稼働。

Bパート:ステラが流行歌の音楽雑誌で、繰り返し記号の確認。リハーサルナンバー。ハルが数学の授業で「オクトーバは8番目の月」「音楽のオクターブは8」と聞き、音楽の先生から音程を簡単に。鍵盤モノサシと「3+3=5」の謎。

Cパート:ストローオーボエの作り方。

予告:父親はささやかに拍手をもらい、QRコードは意味がわからず、ヤッ子はボワワワッ。アクロバット2号が飛んでくぞ。


 ○ --- ○ --- ○


ここから本文です。

ご感想を頂けると嬉しい。ログイン不要ですので、お気楽に一言をお願いします。

■■■■ 第2話。


▼ サブタイトル。   ▼──   ──▼


前にジャンプ、後ろにジャンプ。


▼ OP曲前。   ▼──   ──▼


OP曲前の定型。他の登場人物は知らない、過去の出来事。


ミッツの自宅。自室。


ハル( )小学5年生の頃)、ミッツ( )小学6年生の頃)。


ミッツはアップライトピアノで、ハノンを弾いている。


ミッツの背後から見ると、ピアノの壁にハルが写っている。


ここで、二人の関係が従姉弟であることと、学年を、文字で表示する。「2年前」も表示した方が良さそう。


ハルは、ミッツのピアノの部屋で、トランプ手品の練習をしている。1組のカードの中ほどに入れたカードが、先頭に移動する。どうしても「パシ」という音が出る。


ハル「なあ、ミッツ。そんな曲をやっていて、楽しいのか?」


ミッツ「ハノンって、練習曲だし」


ハル「だから、そんな練習曲が、楽しいのか?」


ミッツ「楽しいっていうか、気持ちいい」


ハル。驚いて「気持ちいいって?!」


ミッツ「なんて言うのかなあ。スポーツ観戦していて、客席で「ウエーブ」ってするでしょ」背景に、野球やサッカーなどの、客席のウエーブ。


ミッツ「トランプでも、すらすらすらーってなった感じ。ハルもできるでしょ」


わざとらしく、相手の名を呼ぶセリフにしたが、まだ第2話ということもあり、改めて人物紹介をするのも良い。ただし、OP前の定型で、過去の出来事なので、視聴者が混乱しない手法にする。


ハル「手品?」


ミッツ「美しく整列したのが気持ちいいっていうか」手振りで説明する。カードを並べる仕草。片手を「へ」の形にして移動する。


ミッツの説明で、ハルがカードで行う。並べたカードの片方から裏返しのようにすると、全体が「へ」の形、「へ」の頂点が移動する。


ミッツ「そう、それ。綺麗でしょ」


ハル「綺麗って言えば、綺麗だけど」


ミッツ「それって、1枚1枚を動かしているというより、まとめて動かしているでしょ。ピアノは違うの。1音1音を、自分の指で操作して、整列させる美しさ。いいなぁ」


ハル「確かに、きちんと並んでいるのは、きれいだよな」


ミッツ「昔は、学校で何かの罰として、漢字の書き取りを延々とさせられていたらしいよね」


ハル「ああ、聞いたことがある。画数の少ない「人」って字を選んで、効率よくするために、「ノノノノ……」って書いて、「人人人人……」にする」


ミッツ「無益な時間だよね。強いて、ここに何らかの益があるとすれば、効率を思い付いたことかな」


ミッツ「そんなの、役に立たない罰だから、漢字が嫌いになるでしょ。罰だとしても、例えば「美しく書けるように、研究しなさい」がいいよね」


ハル「例えば、禾へんの漢字、「私」、平和の「和」の、最初の「ノ」は、少し曲がると教わって、大袈裟に曲げると汚い。手本を見ると、曲がらなくても、軽くシュッ、がいい」背景に「私」の文字のココと差し棒。


ハル「ハノンは、美しくできるのか? 漢字と違うんだし」


ミッツ「さっきの、トランプの話と似ているけど、段々と強くしたり」


ハル「意味がわからん」


ミッツ「漢字のような複雑なものではなく、単純な幾何学的なものが並んでいるのって、ハルも好きでしょ」


背景に例をいくつか表示。


風景。坂道にドーナツの窪みが並んでいる。教室に机が並んでいる。街並みやローマ建築。


直線を並べて湾曲を表すなど、幾何学の美しさを表示。フィボナッチ数で少しずつ花が大きくなる。南京玉すだれ( )演芸)。クイックス( )アーケードゲーム)。スクリーンセーバー( )ウィンドウズ)。


歯車のような器具を使った、花( )菊)を正面から見た図。そこから拡張した、描画の器械。「デザイン定規」「ローリングルーラー」などと呼ばれているが、一般的な名称なのか、商品名なのかは不明。


ミッツ「3つの音だったら、簡単……」ピアノで「ド、ミ、ソ」を、大袈裟にクレッシェンドする。「……だけど、これが、12まで増えたら、段々と強くするのは大変」4オクターブ弾く。


背景に、柱状グラフ( )ヒストグラム。棒グラフで、隣の棒との隙間がないもの)などで、時系列に打鍵の強さが変化する様子を書く。


ハル「あっ、そういうことか」


ミッツ「何が?」


ハル「3つだけなら、大袈裟に強さを変えられるけど、12もあったら、所々デコボコになる」


ミッツ「その通り。弱い音の限界から……」中央ドを、弱く弾く。「……強い音の限界まで……」同じく中央ドを強く弾く。「これを、必ずさっきより強く弾くのは難しい」


ハル「そうだよな。さっきより弱くなることだってあるよな」


ミッツ「これを、誤魔化しが目的ではないだろうけど、飾りを付けた弾き方にすると、「必ずさっきより強く」ってのが、難しい」


ハル「?」


ミッツ「飾りを付けたら、飾りのパターンので考えるから」背景に、強さの違いを、棒グラフの背比べ。「このパターン」が、分身の術で分かれ、少し強く。


飾りを付けた弾き方を、シンプルに表現すると、こうなる。


ジグザグに強くなるのを、強さを数値で表すと「1、6、2、7、3、8、4、9」となる。奇数番目が「1、2、3、4」、偶数番目が「6、7、8、9」と、強くなる。


これが、「1、6、3、7、5、8、6、9」なら、気付きにくい。ジグザグではあるが、奇数番目は「1、2、3、4」のはずが、「1、3、5、6」となっているが、気付きにくい。


ミッツ「さっきの強さのパターンが、少し崩れても気付かない」分身の術で分かれた方の、棒の高さの変わり具合が違っている。直前よりも「弱く」は正しいが、直前よりも「これだけ弱く」が揃わない。


ハル。背景の図を見て。「弾いている自分も気付かないから、訓練にならない。というより、そもそも、弾いている自分も誤魔化されて、上手になったように勘違いするのか」


ミッツ「例えばこの曲は、ハノンの練習曲っぽいよね」少しだけ『花のワルツ( )くるみ割り人形)』( )チャイコフスキー)の、イントロの分散和音を弾く。


ハル「ああ( )頷く)」


ミッツ「これを練習すれば、この曲は弾けても、これに似た別な曲は弾けない。弾きたい曲が増えると、その度に練習するよね」


ハル「ん? どういうこと?」


ミッツ「ハノンをしっかり練習していれば、今の『花のワルツ』……」ちょっと弾く。「……だけじゃなく、これに似た別な曲も、ちょっと練習するだけで、弾ける」


ハル「ああ、それが「基本を大事に」ってことか」


ミッツ。歓喜するように。「そう! そうなの!」少し落ち着いて。「でも、「基本を大事に」は、「基本から逸脱するな」の意味じゃない」


ミッツ「基本のまま演奏するのではなく、曲によって表現を変えるのは大切。新しい曲を始める度に、最初から練習するよりも、基本の技術を流用してコストダウン」


ハル。感心した表情。「譬えれば、野球選手が、野球のためにランニングするけど、そのランニングが魅力的で、独立したスポーツということも、あるってことか」


ミッツ「それはちょっと違うんじゃない? 今は音楽の話なんだから」


ハル「だから、譬え話だって。100%同じなら、譬え話にならないだろう。わかりやすく、主旨を変えずに、別な状況で言っているのに」


ミッツ「音楽とスポーツを、同じだって考えるのが、おかしい」


ハル「だから、主旨は同じだって言ってるだろう」


ハルとミッツ。にらみ合う。二人同時に、画面の方を向く。二人とも、「自分の方が正しいだろう」と、同意を求める表情。


ミッツ「まあ、あたしの場合は、訓練というより、幾何学的な気持ち良さが好きだから、飾りを付けない」


ミッツ「少しずつ、必ず強くするのが、同じ指じゃなく、次の指なのに、必ずさっきより強くする。見ててよ」


ハル「見なくても知ってる」


ミッツ「見なさい! どんだけすごいのか、わかるから」


ハル。渋々、立ち上がる。


ミッツ。弾きながら話す。「この3本の指を、順番に交代しながら、必ずさっきより強くしつつ、しかも時間の間隔は一定で」


ハル「なるほど」


ミッツ「テンポが一定であるのは大切だけど、曲の区切りの近くだったら、テンポも段々と遅くすることもある……」弾き終わる。「……どう? ざっと、こんなもんよ」得意げに強く鼻息を「フン!」と出す。鼻水が出る。


鼻水には、モザイクなどのぼかしがあっても良い。


ハル「ミッツってさ、鼻が高くならないで、洟( )はな)が出るんだな」この部分の「洟が出る」の「は」は、呆れた笑いの「ははは」の、最初の「は」に似ている言い方。


▼ Aパート。   ▼──   ──▼


学校の昼休み。


ステラ( )中学1年生)の教室。メルヘン小物を、同級生が話題にする。


小物の話をするが、ステラはマニアックな内容はせずに、一般の人でも好ましく感じる程度。


廊下から、ショージ( )中学2年生)が来る。教室の中には入らず、廊下から、教室の中を見渡している。ストローのオーボエで、何かしゃべっているようだが、オーボエなので言葉は不明。胸ポケットには、未開封の個包装ストローが、何本かある。


ステラ。知り合いが来たので、ショージに駆け寄る。「ショージ先輩、どうしたのですか?」


ショージ「ステラちゃん、相変わらず美しい。ところで、ハルはいる?」ハルは、ステラと同じ教室。


ムギ( )大吠麦穂、おおぼえ・むぎほ)。ステラに向かって。「誰? 変な人」


ムギは、サブキャラクターなので、人物紹介は行わない。名前を呼ばれることも無く、登場回数も少ない。しかし、なぜか重要な話もするので、忘れられない特徴的な外見。名前の由来は「ストロー、オーボエ」から。


ステラ「あ、吹奏楽部の先輩」


ムギ「ふーん。吹奏楽では、クラリネットか何か?」


ステラ「当たり、すごーい、どうしてわかったの?」


ムギ「だって、今のストロー、クラリネットっぽくて」


ショージがストローのオーボエで遊んでいる。給食で使ったストローで、簡単に作ったもの。しかし、細いストローでは、音が出にくいので、自宅から持って来た太いストローが良いかも。


ショージ。ハルを呼び、ステラも誘う。「ステラちゃんも、一緒にどう?」と誘う。


ステラ。誘われたので、ムギを誘う。


ショージ、ハル、ステラ、ムギの4人で、中庭に出て、ストローで遊ぶ。ショージが作り方を教える。この時は、ショージは優しく教える紳士っぽい。


ムギ。教わった通りにすると、本当に音が出たので、驚きと喜び。「解決」が嬉しい。楽しむことが好き。


ストローの先端、口とは反対側から、よだれが垂れる。


ショージ。ハルが垂らしたのを見て。「きたねぇーなぁ、ションベンか」


ショージ。ムギが垂らしたのを見て「君のなら汚くなんかないね。飲んでもいいよ」


ショージ。ムギが笑っているのを見て、心の声。「( )良かった、ウケている)」


ムギ。苦笑い。心の声。「( )あ、こいつ、勘違いしてる。下ネタって、こっちが好意を持っていないと、虫唾が走るのに)」


ハル。ムギの苦笑いを見て、ショージに。「シメジ婆さんが言ってたよ。下品なことを言って、喜ばれるのが少なくなったら、大人になり始めたんだって」


予鈴が鳴る。


ムギ「あ、ベルが鳴った」


ステラ「お昼休みが終わっちゃう」


ショージ「ステラちゃん、名残惜しいよ。時はいつでも、僕らの幸せを引き裂く」


ムギと、ハルは、さっさとその場を歩き去る。


ムギ。ハルに小声で。「ストローで音が鳴ったのは面白いけど、もう二度としない。あの人を思い出すから」


▽ 場面変更 ● ── ●


放課後。吹奏楽の練習。


吹奏楽の先生「オーボエ。そこのスタッカートは、半分に切らないでお願いします。ここでは、軽いアクセントにしましょう」


オーボエの生徒「え? スタッカートは、音価の半分で鳴らすのをやめるんじゃないですか?」背景に「音価」と、そのフリガナ。「音を鳴らし続ける時間」と指し棒で。


吹奏楽の先生「そうですが、スタッカートには、「半分で鳴らすのをやめる」だけではなく、「1つ1つを明確に」とか、「アクセント」とかの意味もあります」


▽ 場面変更 ● ── ●


先生ちゃん。


説明用の別世界。背景は無地。


先生ちゃんは未定。スタッカートなどを多用した人が、思い付かない。長寿だった人で、最後に脱力オチで「音を長く出すには、長い息、長生き」も良い。


8分音符で「ド、シ、ラ、ソ」の演奏例。


強弱の無い、ブザーのような機械的な演奏。楽譜の下の、音の強弱を表すグラフは、長方形が並んでいる形。指し棒で「この横幅が「音価」で、音を出し続ける時間を示す」と。


この長方形の高さは、音の大きさを表す。


以下、楽譜、変形した長方形、ブザーでの演奏、演奏の現在時刻を色で示す。


演奏の現在時刻は、細い線が移動する方法( )シーケンサなどの一般的な手法)でも良いが、移動の残像がぼんやり残る手法、ぼんやりの残像が点描で消えて行く手法、点描が揺らめかずに上に昇って消える手法など。


スタッカートを付けたら、長方形が痩せて、隙間を開けて並んでいる。「音価が短くなって、その代わりに、音を出さないでいる時間ができた」


これ以外にも、アタックを強くして「1つ1つを明確に」の演奏例と、長方形の左端( )左辺)が高くなり、先頭だけ音が強いのを表現。強弱が一定のブザーでの演奏例と、ブザーだが強弱のある演奏例。


スタッカートと、レガートやテヌートと合わせて、「4分の3の時間で、鳴らすのをやめる」の解釈もあれば、アタックを少しだけ強くなど。


スタッカートに似たマーテル( )楔形のアクセント記号)は、ピアノでは「4分の1の時間で……」「アクセント( )不等号記号のような形)より強く」ということもあれば、バイオリンでは弓で弦を叩く「マーテル」ということもある。


それぞれ、記譜と、音の強弱などを並べて説明。


アクセント記号のように、音符に付く記号では、バイオリンの弓の使い方の指示もある。弓は「bow( )ボウ)」で、その使い方が「ボウイング」で、「運弓」とも呼ぶ。バイオリンの弓は、往復するように動かして、弦を擦る。


「虹」の「レインボウ」は、「雨、弓」の意味。


バイオリンの弓を、上方向に動かすか、下方向に動かすのかを指示する記号もある。アンサンブルやオーケストラでは、複数の演奏者の弓が、バラバラに動くよりも、動きを合わせると、見栄えが良い。そのために、事前の打ち合わせをする。


弓の動きの方向が違うと、音色も違う。波形は、ほぼ逆位相になる。


この辺りは、用語がどんどん出るので、「用語を覚える」よりも「音価を表す長方形」が変形するという方に着目するように。


このように、楽器によって意味が変わったり、1つの曲でも箇所によって変わることがある。


このような記号があって、覚える楽しさもあるし、誰かの演奏を参考に真似るのもいいよね。


合奏の場合は、全員が同じ演奏にするか、わざと違う演奏で合奏するか、話し合ったり、実験しよう。慣れてくると、それぞれの記号も覚えられるけど、最初のうちは、近くにいる誰かに聞くのが早いことも、ありそうだよ。


▽ 場面変更 ● ── ●


先生ちゃんの説明が終わり、さっきの続き。


吹奏楽の先生「というように、楽譜で同じ表記をしていても、表現方法は必ずしも同じではありません」


生徒「でも、楽譜をしっかり読めって、いつも先生、言うじゃないですか」


吹奏楽の先生「はい、そうです。楽譜に慣れていないと、スタッカートがあるのを見ていながら、見逃してしまいますね。音符を読むだけで、てんやわんやですから。そんな時には、丁寧に読みなさいと指導します」


吹奏楽の先生「今のみなさんは、丁寧に楽譜を読んでいます。そこから次は、作曲者はどんな気持ちで、スタッカートを書いたかです」


吹奏楽の先生「作曲者は自分の考えを、楽譜に全部、書くことはできませんね。だからこそ、作曲者の生涯や生きた時代の勉強をする。それが、アナリゼです」


吹奏楽の先生「しかし、アナリゼにも限界はあります」


吹奏楽の先生「演奏家とは何か。人によって考えは様々です。作曲者の代弁者だから、自分の意見は控えるべき。作曲者が驚くような表現をするべき。などがありますね」


吹奏楽の先生「作曲者への敬意を持ちながら、作曲者が最も喜ぶのは、魅力的な演奏でお客さんに喜ばれるという考えもあります」


吹奏楽の先生「どの演奏方法が正しいかを、作曲者に聞くことはできませんので、この楽団では、まずは、音価を短くするより、軽いアクセントで統一しましょう」


ステラ。楽譜にメモで「スターカットは、音譜の半分で切るとは限らない」と書く。誤りを指摘する差し棒。正「音符」、誤「音譜」。しかも、「譜」の右上部分が「業」のように、線が多い。正「スタッカート」、誤「スターカット」。


吹奏楽の先生「そうそう、言い忘れていました。楽譜に不慣れな時期は、スタッカートの見逃しはあるでしょうが、皆さんは楽譜に慣れていますから、細かな記号の見逃しは無いでしょう」


吹奏楽の先生「ところが、楽譜に慣れていても、「見たまま、読んだまま」かと思えば、意外な見逃しは、あるものです」


吹奏楽の先生「その理由は、心理学に関係するのかしないのかは知りませんが、絵画や文芸では、昔から「模写」の文化があります。意味がわからない漢文の模写や、写経という文化もあります」


吹奏楽の先生「これらは、それぞれ、どんな心構えで、どんな方法で、どんな効果が、あるのか無いのか」


吹奏楽の先生「僕は、子供の頃に、たくさんの写譜を経験しました。それが後に、どんな効果があったのかは、明確にはわかりません」


吹奏楽の先生「僕は、初見で演奏する時には気付かなかった、読みにくい配置を、写譜する時にたくさん、見付けます。現在は、パソコンで楽譜を書いて、配ることがありますが、読みやすい配置のために、長い時間を費やします」


吹奏楽の先生「僕がまだ、ピアノを弾けなかった頃、課題で「好きなクラシック音楽の、感想や解析」がありました。そこで、『英雄ポロネーズ』( )ショパン)を選びました」


吹奏楽の先生「いくつかのプロの演奏を聞きながら、楽譜を読んでいて、楽譜の中に2個所の誤りを発見しました」


吹奏楽の先生「その後、自分でピアノを練習して、『英雄ポロネーズ』を弾くと、楽譜に誤りが9箇所あることがわかりました。そのため、別な出版社の楽譜も購入し、見比べると、やはり、その9個所は、誤りでした」


吹奏楽の先生「しかし、新たに購入した楽譜でも、違和感があったので、インターネットで「ショパンの直筆」とされる楽譜があったので、印刷して確認すると、違和感のあった場所だけでなく、いくつもの相違が発見されました」


吹奏楽の先生「相違を発見できたのは、子供の頃に写譜を経験したためなのかは、わかりません。写譜の効果の有無は、いくつもの意見がありますので」


吹奏楽の先生「皆さんは、スタッカートを見逃していませんので、頼もしく思います。その調子で、楽譜の音符の1つ1つ、記号の1つ1つを、丁寧に読んでください」


▽ 場面変更 ● ── ●


放課後。ハルの教室。


吹奏楽の音が少し届いている。


ハル。音楽の教科書の楽譜を、五線ノートに写譜している。五線ノートは、初心者向けに、幅が広いのが良さそう。しかし、幼児向けという程の広さではない。


ハルの席は、教室の後ろの方。紙飛行機を飛ばす場面があるため。


ミッツ。廊下を歩きながら、いたずらを考えている。ハルの教室の前を通り掛かり、ハルだけが残っているのが見えたので、教室に入る。


ミッツは、このまま下校できる状態にするか、学校内でまだ遊んでいる状態にするか、未定。


ミッツ「まだ帰らないで、なーに、してるの?」ここでも、軽く片足ケンケンで近付く。


ハル「写譜だよ」背景に「写譜」と、そのフリガナ。


ミッツ「へぇ、楽譜を書き写しているのか。やっぱり地味なことが好きなんだな」


ハル「好きというより……」顔を上げて、ミッツを見る。「……絵画、文芸、楽譜、書き写すことで、初めて気付くこともあるだろう」


ミッツ「書き写さなくても、見たまんま、読んだまんまでしょ?」


写譜には、肯定派と否定派がいる。「超常現象の肯定派と否定派」とは異なり、写譜では、「楽譜を丁寧に読む」という共通目的があるので、相手を否定したり、揚げ足取りはしない。効率的な方法の違い。


ハル「そりゃ、「しっかり読む」は大切だけど、書き写すことで、初めて気付くことが……」


ミッツ。ハルの言っていることが、さっきと同じなので、聞き流す。



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