11_A__01_04 第11話 Aパート 分割 1 / 4
第11話 Aパート 分割 1 / 4
【 第11話 概要 】
サブタイトル:それ以上でも、それ以下でもない。
OP曲前:ショージの自宅。ドアがゆるりと開かないように、ハルの案で磁石で工夫。
Aパート:幹音の3種類。ダイアトニックコード、主要三和音。導音。転調、一時転調。短音階。アナリゼの解釈は多く、楽譜を変える人もいる。楽典の説明のわかりやすさは、人による。富士山の高さ。仕事には人柄も大切。
CM明け:ヤッ子。砂糖壷の中で固まった砂糖を、踵で崩す。別な日(別な服装)マグカップに砂糖どっさり。
Bパート:分数和音。転回形和音、ギターではベース音や、ベースのメロディも。ジャンルの特徴と定義は、国境線の無い文化。シメジ婆さんから聞いた、イソップの話と、三人菩薩の話。ミッツが姓の理由。
Cパート:吹奏楽の先生の自宅、子供の頃に書いた絵の前に黒リボンのタロットカード、回想でその理由。
予告:ハルがヤッ子にギターの弾き語りをして、存在しない模様が浮かび上がり、手拍子の数がおかしくなるぞ。ショージ、その手に持っているのは、何だ!
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■■■■ 第11話。
▼ サブタイトル。 ▼── ──▼
それ以上でも、それ以下でもない。
▼ OP曲前。 ▼── ──▼
OP曲前の定型。他の登場人物は知らない、過去の出来事。
ショージの家。小学6年生のハルが遊びに来ている。
ショージ「いいか、俺は中学生、お前は小学生。尊敬しろ」
ハル。土下座のお祈りのように。「ははーッ」
ショージ「これからは、俺を、「ショージ様」と呼べ」
ハル「それはやりすぎでしょ」
ショージ「では、「ショージさん」と呼べ」
ハル「承知いたしました、ショージさん」
ショージ「うん、わかればよろしい。今、コーラ持って来るから」
ショージ。廊下に出て、ドアを勢いよく閉める時、「ほいせっ」と声。ショージの髪がふわりとなびく。ドアは空気圧の影響で、きちんと閉まらない。ゆっくり開いてゆく。
ドアは外開き。
ショージ。お盆に載せてコーラを持って来た。「このドア、自然に開くんだよな。何とかならないかな。もちろん、手でドアノブを回して、カチャっと閉めたら、いいんだけど、勢いよくドアを閉めると、ふわっとなって、閉まらないんだ」
ハル「うーん」
ショージ「紐と滑車を使って、自動的に閉まる方法も考えたけど、大掛かりにしたくないんだよな。開けたままにしたい時もあるから、必ず閉まるってのは困る」
ショージ。ドアの外に出て、ハルに説明。ショージの動作が、説明の簡易な図に変更。滑車を通した紐の、片方に錘、片方をドアに付け、錘が下がることで自動的に閉まる。
ハル。部屋の中からドアを開け閉め。廊下に出てドアを開け閉め。
ハル。心の声。「(開けたままにしたい時もある。閉めたままにしたい時もある。手を離すと、自然に開くのか)」
ハル。心の声。「(閉まっている位置で、効果が出るものか。近付いた時に、ドアの位置を保持する工夫。ドアを開けるのも、引っ掛かる仕掛けは駄目だ。手間を増やさず、開けられる)」
ハル。心の声。「(摩擦で閉まったまま。いや、それなら、閉める手間が増える)」
ハル。心の声。「(手を離したドアは、自然に開くだけだから、位置を保持するのは、弱い力でいい)」
ハル。ドアノブの上、ドアの上の角(カド)に、手を伸ばすが、届かない。
ハル。心の声。「(磁石だな。ドアの角が近付いたら、磁力でドアを維持。磁力だから、ドアを開けるのは簡単)」上の角を見ながら、ドアを少し開け閉め。
ハル。心の声。「(くっ付いた磁石を、引き離す瞬間は、力が必要。それなら、滑らせて離すなら)」
背景に、くっ付いた磁石を、引き離す方向なら、強い力が必要の様子。2つの磁石の間に、板があり、「板から離す」方向ではなく、「板の上を滑らせる」の方向なら、離す力が小さい様子。
ハル「磁石、あります?」
ショージ「あるよ」
ハル「ボタン型の磁石、2枚あります?」
磁石は、ボタン型でも、コイン型でも良い。目的は、近付いたらくっ付き、ドアが自然に開くのを防ぐ磁力。
ショージ「えーっと、あるよ」引き出しを漁る。
ハル「さすがショージさん。何でもありますね。それから、厚紙も」
ショージ「ホイ」お菓子の箱を渡す。工作用に保存していたもの、または、今食べているもの、または、ゴミ箱から。
ハル。椅子を廊下に出して、短冊のような厚紙を、ドアに貼る。ドアの、蝶番から離れた位置(回転の先端近く)の、外側の面に、上にはみ出すように厚紙を貼り、画鋲で留める。上端はプラプラしている。
ドアを閉め、壁にはもう1枚の厚紙が、ドアの厚紙と少し重なるように貼る。ぶら下がるように上端に画鋲、下端はプラプラ。
壁からぶら下がった厚紙のプラプラと、ドアの上にはみ出している厚紙のプラプラは、数センチメートルの重なりとなっている。
ハル。両方の厚紙に、それぞれボタン型の磁石をテープで貼る。
ショージ「完成か?」
ハル「うーん、完成かな」
ドアを開けて、勢いよく閉める。完全には閉まらないが、磁石が寄り、くっ付くことで、ドアがゆるりと開くことにならない。
ハル「良さそうです。しかも、開けっ放しにしたい時は、勝手に閉まらない」
ショージ「すげぇ。シンプルなのに、すごく便利」背景に、喜びの文字「小さな手間で、大きな効果」を表示。
ハル「手品と同じです。目的があって、それを実現させる方法を考えて、シンプルな解決ができたら、葉巻を吸う」
ショージ「バーボンをロックで」表情は、「子供だから、そんなことは、あり得ない」のような、冗談だとわかりきっているような、歯がノコギリ。
ハルは、片方の目と眉が怒った形、反対の目と眉が笑った形。
ハル「数学でも、「エレガントな解法」といって……」何度かやっているうちに、上手くいかなくなる。
ハルとショージ「あ……」
ハル「まあ、何度か調整したり、厚紙の代わりにプラの板を使ったり」
失敗例:ボタン型磁石が、短冊から滑り外れる。テープを十字形にして、磁石を短冊に固定して解決。
失敗例:壁からぶら下げている短冊の画鋲が外れる。短冊を長くし、ドアを開ける方向と、画鋲の抜ける方向で、角度が大きく違うようにして解決。
ハル「手作りでは難しいけど、ドアが閉まるところでは、ダイラタンシーもいいですね」
ショージ「ああ、片栗粉や、コーンスターチの、あれか」
ハルとショージに、指し棒で「ふたりとも、工作が好き」を表示する。
ハル「ダイラタンシーって、速い動きには抵抗して、ゆっくりな動きには従う性質がありますよね」
所謂「科学実験」のような場面を表示する。アニメと実写の、どちらでも良い。ハルとショージが、ダイラタンシーの逆の性質の、チキソトロピーまで思い付くのは難しい。
ハル「それを、例えば病院の引き戸に使ったら、ドアが静かに開閉するかもって」
ショージ「抵抗の度合いを工夫して」
ハル「自転車の空気入れのような、筒状がいいのか」背景に、筒の伸縮する動きを表示する。引き戸の開閉に合わせて伸縮する。
ショージ「筒なら、太さも利用できるかもな」ハルの思い描いた伸縮の隣に、筒の太さが変わる図を表示する。2つの図の案を採用した図も表示する。
ハルとショージは、互いにアイディアを出し合う。「液体だから」「劣化しないように」「可動型だから」など。
▼ Aパート。 ▼── ──▼
理科室でヤッ子の授業中。ハルとステラがいる。
ヤッ子「分子を登場人物に譬えると、化学は登場人物が多いから苦手だという意見もある」
ヤッ子「しかも、外国文学のように、呼ばれる名前が、苗字だったり、名前だったり、愛称も誰が呼ぶかによって変わるから、わけがわからん」
ヤッ子「まあ、あれこれ化合物が多いが、基本は同じだ」
ヤッ子「原子と原子がくっ付いて、分子になるのだが、どうやってくっ付くのか」黒板に、電子殻が1層の原子。電子は1つだけ。
ヤッ子「原子は、このように原子核の周囲を、電子が周っている。2つの原子で、電子を共有すると、原子と原子がくっ付き、分子になる」黒板に2つの原子が1つの電子を共有する絵。
ヤッ子「原子が共有する電子の数は、このように1つだけの場合と、2つの場合、3つの場合がある」黒板に絵を追加。電子を2つ共有する絵と、3つを共有する絵。
ヤッ子「原子が1つだけで分子になるものもあれば、3つも4つも、もっとたくさんの原子がくっ付いている分子もある。たくさんの原子がくっ付いている分子は「高分子」と呼ぶ」
ヤッ子「分子結合の図で、このようなものを見たことは無いか?」黒板に「H-H」と「O=C=O」「N≡N」を書く。
ここで使っている「-」「=」「≡」の文字(文字コード)は、実際の構造式で用いているものかは知らない。要するに、この形がアニメで表示されていれば良い。
欄外に、元素の凡例で「H:hydrogen:ハイドロジェン:水素」など、ここで用いている元素を書き加える。
ヤッ子「これまで、「原子がくっ付く」と表現していたが、面倒なので、これからは「結合する」と言おう」
ヤッ子「これは「構造式」といって、いくつの電子を共有しているかを、線の本数で表現したものだ」
ヤッ子「さっき、「化合物」という言葉を、さらりと言ったが、異なった種類の原子が結合して、分子になった物が、「化合物」だ」
ヤッ子「同じ種類の原子が結合すると「等核分子」だ。何にしろ、1つの分子を構成している原子、まあ、「分子の参加メンバー」だな、これが変わるのが、化学変化だ」
ヤッ子「ある種の化合物が発見されたら、工業的に大量生産したいが、それが難しいものも多い。というのは、原子を結合させたり、分解させるには、電子が関わっているからだ」
ヤッ子「原子の1粒を摘まんで、電子の1粒を摘まんで、結合や分離ができない。化合のためには、化合できる環境を用意して、原子に自ら化合してもらうためだ」
ヤッ子「化学変化で、結合の形が変わる、つまり、別な原子と結合すると、共有する電子の数も変わり、電子が余ったり、足りなくなったりする」2つの箱を電線で繋ぐ絵。
ヤッ子「この2つの箱で、それぞれ化学変化が起こり、左の箱では電子が余り、右の箱では電子が足りなくなると、このように電子が移動する」電子が左の箱から右の箱に移動するのを、矢印で書く。
ヤッ子「電子が移動することが、電気が流れるということだが、発電とは電子を作ることではない。元々あった電子を、工夫して移動することが、発電だ。電子は、左の箱にあったものを移動させる」
ヤッ子「モーターを回転させて、電子の移動を促したのが、多くの発電所で使われている。水力発電、火力発電、原子力発電、どれも、モーターを回転させて、発電する」
ヤッ子「それと比較して、電池、バッテリーといった、分子結合を変えて、電子を移動させる発電を……」
ヤッ子「このような仕組みを、何と言う?」生徒を指す。
生徒「電池、または、燃料電池です」
ヤッ子「正解!」
ヤッ子「乾電池などの普通の電池と、燃料電池とは、何が違うのか。というのは、行く行く説明する」
ヤッ子「それでは、この場合、電気はどのように流れているか?」生徒を指す。
生徒「え? えっ? その矢印の向きじゃないですか」
ヤッ子。答えを誤った生徒を責めないような笑いで。「ニヒヒ……。違うんだな。この絵では、左の箱がマイナス極、右の箱がプラス極」絵に「+」「-」を付加。
生徒「ヤッ子先生って、僕達が答えられないと、喜ぶんですよね」
ヤッ子「2つの意味で、嬉しいんだよ。1つは、私の方が、よく知っていることだ。もう1つは、君達が成長する瞬間に、立ち会える喜びだ」
生徒達。笑い汗。
ヤッ子「昔、電気が発見されて、プラスとマイナスがあるとわかった時、「電気はプラスからマイナスに流れる」と決めたんだ」
ヤッ子「その後、電気とは電子が移動することだとわかり、電子はマイナスからプラスに移動するとわかった。だから、電流の向きと、電子の向きは、逆なんだ」
ヤッ子「このように、基準によって方向が逆になるなど、ややこしいのも、科学の特徴だな」
ヤッ子「基準が変わったといえば、余談だが、ガリレオの時代は、地球は宇宙の中心だとされていた」
生徒「天動説ですね」
ヤッ子「そうだ。当時は、万物は宇宙の中心に向かって落ちる、地上では地球の中心に向かって落ちる、宇宙の中心と地球の中心は一致している、だから、地球は宇宙の中心である」
ハル。心の声。「(無茶苦茶だが、理屈は合っている)」
生徒「無茶苦茶だな」
生徒「今の時代なら、無茶苦茶に思えるけど、理屈は通っているから、当時は正しかったんでしょう?」
ハル。心の声。「(とはいえ、「万物は宇宙の中心に向かって落ちる」というのが、確認不能の、偽の原理)」
ヤッ子「時代によって正しさが変わったり、基準があれこれあったりする例だな」
ハル「原理は証明不要だそうですが、原理が誤っていたんですね。納得できる理由が見付かったら、それ以外は無いって思って、考えるのをストップしてしまったんですね」
ヤッ子「まあ、そういうことだ」
▽ 場面変更 ● ── ●
放課後。音楽室。
ハル「ヤッ子先生、今日の授業で、時代によって、科学の基準があれこれって言ってましたが、音楽でもそうですか?」
ヤッ子「ああ、そうだな。科学と音楽の、どっちが多いかは、数えてはいないが」
ハル「例えば?」
ヤッ子「そんな、いきなり言われても、思い出せないぞ」
ハル「ですよねー」
ヤッ子「早坂君は、工作が好きなら、レモン電池を作ったりしないのか?」
ハル「本当は、謎が好きなんです、謎解きです。謎解きから派生して、カラクリがわかったら再現する工作や、手品や推理小説、オカルト、あ、それから楽典も」背景に「謎」「謎解き」「派生」「再現」などの文字が、ポンポンと表示。
ヤッ子。ハルの言葉の途中に割り込む。「派生音!」
ハル「え?」
ヤッ子「ああ、済まない。早坂君が「派生して」と言ったもんだから、「派生音」を思い出してな。悪かった」
ハル「派生音って、何ですか?」
ヤッ子「派生音の話題になっていいか?」
ハル「お願いします」
ヤッ子。ピアノの鍵盤をなでる。「これらの鍵盤のうち、主要となるものを「幹音」、それ以外の全部を「派生音」と呼ぶ」
ヤッ子「「幹(かん)」は、「新幹線」「幹線道路」「木の幹」などだな。それを基準に枝分かれしたのが「派生」だ」
ヤッ子「しかし、幹音の基準が、時代によって3種類あるんだ」背景に「幹音」「派生音」と、そのフリガナ。
ハル「3種類も?」
ヤッ子「最初は、ここ」中央ドを鳴らす。「中央ドからの1オクターブの白鍵が幹音だっだ。次に、白鍵を幹音と呼ぶようになった」
ハル「そんな呼び方じゃなく、「白鍵」でいいんじゃないですか?」
ヤッ子「私もそう思う。その後、そうだ、あの音階スライドがあったな。あれで音階に選ばれた音を幹音と呼ぶようになった」
ハル「それだったら、「音階」でいいんじゃないですか?」
ヤッ子「まあ、より相応しい基準を採用したり、これまでに無い言葉を作って、その言葉を知っている者を仲間としたいのか、知っていることを自慢したいのか、そんな人は、昔からいたんだろうな」
ハル「いつでしたか、ミッツが突然、「思う」の漢字の代わりに「想う」を使うようになりました」背景に「思う」から、矢印で「想う」に変わるを表す。
ハル「小学生の頃ですが、低学年の頃に習った漢字と、同じ意味で違う漢字を知ったら、何だか素敵に感じたのか、こっちの方が高級だとかって」
ヤッ子「気持ちはわかるぞ」
ハル「「幹音」の使い方も、若者言葉みたいですね」
何らかの弊害が無ければ、背景に中二病のキャラと用語。「集会」を「サバト」とするなど。
ヤッ子「江戸時代の若者言葉(ギャル語)が、今の普通の日本語として辞書に載っているものもある」
ヤッ子「仲間内で通じる暗号を作るだけでなく、使う漢字の選択を変えたり、意味を変えたり。そうして、仲間であることを再認識するなどは、小学生の頃に通過するギャングエイジの特徴のひとつだ」
背景で、古今の若者言葉が、いくつか飛び交う。「夜露死苦」「チョベリバ」など。
ヤッ子「しかし、実は、大人になってからも、使う単語を増やすことはある」
背景で、古今のビジネス新語が、いくつか飛び交う。「御社」「マスト」など。
通常の辞典ではなく、死後辞典なら、当時の新語が多くて資料に有用だが、読みふけって仕事が進まなくなる危険がある。
ヤッ子「そうそう、音階で選ばれた音だけで作られた和音は、「ダイアトニックコード」と言って、よく使う」黒板に3和音を7つ。
ヤッ子「これは、ハ長調の例だが、調が違えば、つまり、音階スライドを合わせる位置を変えると、こうなる」黒板に、変ホ長調も書く。
ハル「ヤッ子先生は、魔法使いのように、あっという間に楽譜を書けるんですね。訓練したんですか?」
ヤッ子「まあ、なぜなのかは、触れないでおこう」
ヤッ子「このうち、ローマ数字の1、4、5が付くものは、特によく使うから「主要三和音」と呼ばれている」ハ長調と変ホ長調で、主要三和音を四角く囲む。
ヤッ子「音階の、音符の玉1つなら、それぞれ「主音」「下属音」「属音」で、それを根音とした和音は「主和音」「下属和音」「属和音」だ」
ハル「第6話で、ロックンロールの、スリーコードの話で教えてくれたものですね」
ヤッ子「そうだ」
ヤッ子「ついでに言えば、主和音は「トニック」、下属和音は「サブドミナント」、属和音は「ドミナント」という呼び方もあるぞ」
ハル「「よく使われる」っていうのは、助かります。ペンタトニックもそうでした」
ヤッ子「そうか。主要三和音は、音階だけと言ったが、短調ではシャープやナチュラルが付く」イ短調の主要三和音。ハ短調の主要三和音。
ハル「本当に、書くのが早いですね」
ヤッ子。素早く書いてくれた妖精ちゃんに向かって。「良かったな、お前たちのお陰だ。ありがとう」
妖精達。喜びの声。
ハル「そっちは、シャープではなく、ナチュラルですか?」
ヤッ子「ああ、そうだな。正しくは、調号の♭を半音上げるから、ナチュラルになったんだ。こうすることで導音になり、属和音には導音を含むってことだ」
背景に「半音」と、そのフリガナと、「ギターでもピアノでも、隣の音」の説明。画像で、ギターの隣のフレット。ピアノでは、「ミ、ファ」と「ソ♯、ラ」に「隣だから、半音の関係」と示す。
ヤッ子「早坂君、第1話の君のアイディアの、鍵盤の手前を隠して、奥側だけが見える状態での、隣の関係が「半音」だ。主音の、半音下の音が、「導音」だ」
背景に、鍵盤の手前側を紙で隠して、白鍵と黒鍵が、白と黒の縞模様に見えるようにする。
ハル「導音って?」
ヤッ子「ああ、実は、音階スライドで選ばれた音には、ひとつひとつに名前があるんだ。「主音」や「属音」だけでなく」
ハル「そうなんですか?! 何だか、覚えるのが多くて、大変だな」
ヤッ子「私もそう思う。だから、覚えていない」
ハル「いえいえ、ヤッ子先生は、覚えているでしょう」
ヤッ子「実は、資料を見て、何度か覚えようとしたが、会話で使うことが無いから、忘れてしまう」
ハル「つまり、覚えていても、得にはならない?」
ヤッ子「これは、私の欠点でもあり、教え方、話し方の特徴だが、早坂君が相手だから、このような順番にしている。まずは驚かせて、続けて「実はこうなんだ」と話す」
ハル「え?」
ヤッ子「つまり、私の音楽活動の中では、会話で使っていないから、忘れるということだ。「万人にとって、無用だ」ということではない」
ハル「はい」
ヤッ子「早坂君にとって、今後、有用になることもある。最初に「覚えていない」と言い、早坂君を驚かせる。早坂君が「なぜだろう?」と、理由の候補を思い付く。そこで、改めて答えを言う。このような順番だ」
ハル「あっ、そうなんですね。納得しました。順番が面白いです」
ヤッ子「そこでだ、音階スライドで選ばれた音のうち、「主音」「属音」「下属音」は、これまで何度も話題になったな。いよいよ「導音」の話だ。私が覚えているのは、これで終わりだ」
ハル「さっき、びっくりして、気が重くなったのに、あっという間に軽くなりました。銭湯の熱いお湯から出て、コーヒー牛乳を飲んだような、心地好さです」
ヤッ子「ハハハ。さて、「導音」だが、これは主音の半音下だ。主音に上がろうとする使い方が多い、主音に導くから、この名になったそうだ」
ヤッ子「音階スライドで、主音の左隣が導音だ。長調なら「ド」の左隣の「シ」が、短調なら「ラ」の左隣の「ソ♯」が導音だな」
ヤッ子「無論、「導音」と名があっても、他の音と同じように、普通にメロディに使うことも多い。しかし、わざわざ「何か、特徴的な」を見付けて、「導音」とした」
ヤッ子「音階スライドを見たまえ。短調の主音のラの、半音下の音は、音階に選ばれていないだろう」
ハル「そうですね」
ヤッ子「だから、音階スライドのソの代わりに、ソ♯なら良さそうだとなった。すると、ファとソ♯が離れてしまうので、ついでに、ファにも♯を付けた」
ヤッ子「短調には、音階が3つもあって、ややこしいと思わないか?」
ハル「あ、思う思う、思います。なになに的短音階ですね。メロディ的短音階とか」
ヤッ子「簡単に言えば、「よく使う音高」が、短調では多いのだが、どんな風によく使うのかの説明のために、3種類あるってことだ」
ヤッ子「私にとっては、ソに♯を付けたいことがとても多い、ファにも♯を付けたいことも少し多い。私は、単純に「そのようなことが多い」と思うだけだが、「なぜなのか」の理由で命名した」
音階スライドの「ソ」を、カーブの矢印で「半音上げたいことがとても多い」を表示する。
音階スライドの「ファ」を、カーブの矢印で「半音上げたいことが少し多い」を表示する。
ヤッ子「どんな時に、なぜ使いたくなるのかの意味から、「自然短音階」「和声短音階」「旋律短音階」の3種類だ。♯やナチュラルを、短調のダイアトニックコードに付けることもあるし、メロディに付けることもある」
ヤッ子「だから、臨時記号が付いても、ダイアトニックコードは音階に選ばれた音だけってことに違いない」
ハル「増えたら、「よく使う」じゃなくなる。結局は、全部が「よく使う」じゃないかと思います」
ヤッ子「ははは、まあ、そうだな。これらは、食器と似ているな。箸は和食でよく使う、フォークとスプーンは洋食でよく使う。場面によって「よく使う」に偏りがある」
ヤッ子「短調では、「ソ」を「ソ♯」にすることがあるが、長調では「ソ」のままだ。長調なのに「ソ♯」が使われたら、「長調なのに、短調の特徴がある」と思う」
ハル「あ、それが、第6話で、ステラから質問のあった「長調と短調」の話で出た、「短調の特徴」ですか」
ヤッ子「そうだ。ただし、短調の特徴でもなく「ソ♯」が使われることもあるがな」
ハル「楽典って、「そういう場合もある」が多いですね」
ヤッ子「第1話で、楽典と音楽理論は、一部の重なりがあると言ったな。これまでの話での「そういう場合もある」というのは、どちらかと言えば、音楽理論の話だ」
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