10_B__01_03 第10話 Bパート 分割 1 / 3
第10話 Bパート 分割 1 / 3
【 第10話 概要 】
サブタイトル:これでも楽器なのか。
OP曲前:ミッツの家にハル。小学生時代。台所でグラスハープ。
Aパート:芸術のアイディアの練習。ト長調の音階は「C」で始まらない。タイミングの縦を合わせる。オーケストラ、ビッグバンドの編成の定義。ステラの恋と、ミッツのコブラツイストと、ステラの失恋。ハルがステラを泣かす。
CM明け:ステラ、就寝儀式、マシュマロとチョコレート、自室のコルクボードの写真を、トロンボーン先輩から、ハルに交換。
Bパート:オルゴール館。様々な自動演奏装置の紹介、レコードの原理。現在、最も普及している自動演奏装置は何か。手作りコーナーでカリンバ。ハル、ステラに謝罪。楽器の定義、ノイズ音楽、雑草。そっとティッシュは鉄則。
Cパート:オルゴールの櫛は、同じ櫛を連続するとビビリがある。同音が2本あることも。調律の方法。
予告:ミッツが音楽の先生を引き連れて、湖の水の上にピアノが置かれ、ヤッ子先生は甘すぎですよ。もうやめてよ、お父さん。
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▼ Bパート。 ▼── ──▼
晴れた休日。当アニメでは、季節は明示していないが、春の陽光のように、暑くはなく、眩しい風景。
ハル、ミッツ、ステラの3人で、オルゴール館。
オルゴールの説明で「弾く」は、主に「はじく」と読む。人間の演奏による「ひく」ではないため。
オルゴール館の現地集合で、ハルとステラが先に到着し、入り口の前(屋外)で雑談している。
ステラが、バスから降りて、走って来る。
ステラ「ごめんなさい、バスに乗り遅れて、1本、遅くなっちゃったかも」
ハル。雑談相手のミッツの方を見ていたが、ステラの声が聞こえたので、振り向く前に、ステラの姿を想像する。
ハルが想像するステラ。まずは、吹き出しに、ステラのいつもの制服姿の全身像。吹き出しと一緒にステラも大きくなる。吹き出しが画面全体になっても、ステラは大きくなるのが続く。
ステラの顔が、画面全体になり、大きさの変更が終わる。想像のステラが、現実のステラに変わる。陽光の中で、髪型が少し違う。髪がリボンで飾られている。
画面が引き、ステラの全身像、バス停を背後にして、走って向かって来る。
オルゴール館の入口の手前、陽光の中で、ステラの服装はメルヘン。
ステラ。ハルとミッツの前で立ち止まる。足首を使って、少しピョンピョンするので、スカートがクラゲの泳ぎのように、広がったりする。「待ちましたか?」
ミッツ。ハルを見るステラの顔が、キラキラしているのを見て、心の声。「(何、何? ステラちゃん、スカートの揺れが魅力的に見えるような、その動きは、まさか)」
ハル「いつも制服ばかり見ているから、今日のステラのファッションは新鮮だな」
ステラ「そう? いつもこんな感じですよ」くるりと回る。スカートが広がり、星やキラキラや花が舞う。
ハル「俺は、よくわからん」
ステラ。少し機嫌が悪くなる。
ステラ「もうっ、服もアクセサリーも、どれにするか迷ったんだから。早坂さんのせいですよ」ハルを、軽く叩く。
ハル「なんで俺のせいなんだよ」
ミッツ。穿つように(少し目を細めて)ステラを見る。
ミッツ「ハル、想像してごらん、ステラちゃんが、この服にしようかなあ、どのアクセサリーをつけようかなあ……、ああ、楽しみだなあっていうの」ステラの真似をして寸劇。
ミッツの寸劇が、想像の場面になる。BGMに合わせ、ステラが笑顔で、自宅のファッションショー(ファッションチェック)。
姿見(大きな鏡)の前で、髪飾りを付けて鏡の前で笑顔の練習。スカートを両手で横に広げ、体をねじったり、前屈みになって胸元を気にしたり。
胸元の確認だとわかるように、ブラジャーの肩紐が画面に見える。ブラジャーは、スポーツブラにするか、未定。
ボタンを1つ外して、前屈みで鏡で胸元を見て、顎を上げて確認。外したボタンを元のように閉める。
ミッツの想像のステラが、ポーズを決めたところで現実に。ミッツがハルの前で、可愛らしいポーズ。
ハル。ミッツを見ていない。入口のドアガラス越しに、床の立て看板「手作りコーナー」を見ている。
ミッツ「見てなかったの?」
ハル。ミッツの方に振り返り、ドアを開けながら「で、何を想像しろって?」
3人で館内に入る。右側には「手作りコーナー」がある。
ステラ「あ、手作りコーナーだって。後で行ってみましょうね」
ミッツ「ハルは、ああいうの、大好きなんじゃない?」
ハル「ああ、何を作るのかなあ」一人で、ピョンピョン小走りで行く。売店も兼ねていて、貼り紙などを巡覧。
ミッツとステラは目を合わせて笑う。
ミッツ「ホント、ステラちゃんって、可愛いね」ステラの服をなでたり、少し離れて見たりする。
ステラ「またまたぁ。嬉しいです」
ミッツ「ねえ、ステラちゃん。ハルなら思い付かなくて、ショージなら必ず言うこと」
ステラ「何ですか?」
ミッツ。ショージの声真似と顔真似。「この服は、愚か者には見えるけど、賢い者には見えない。俺は賢いから、衣装が見えない」
ステラ「ああ、言いそうですね」
二人で笑う。
▽ 場面変更 ● ── ●
ショージ。自宅で、アイドルのDVDを見ている。「ああ、俺は賢くなりたい」
この「賢い者には見えない」は、『裸の王様』(アンデルセン童話)をパロディして、逆にしたもの。逆にしない方が面白いかも。
▽ 場面変更 ● ── ●
さっきの続き。
ミッツ。ステラの笑顔を見て、心の声。「(やっぱり、3人で来たから、良かったかも)」
展示場では、客数が少ないためか、数人の客に1人の案内が伴い、共に行動しているようだ。1人の案内によるグループが、数組。それぞれの楽器の前で案内の人が待っている形式ではない。
案内の人は女性。ブレザー姿。
待機していた案内の人が、ミッツとステラに近付く。身長は、ミッツより、僅かに高い。
案内「ご案内しましょうか?」
ミッツ「ありがとうございます。ちょっと、連れを呼んで来ます」ハルを呼びに行く。
ステラ。案内の人に。「素敵な音が聞こえてきますね」
案内「中には、オーケストラを再現したものもあるんですよ」
ハルが来て、3人が揃ったので、案内されながら、様々な自動演奏装置を、順に巡る。
▽ 場面変更 ● ── ●
少し大きめの箪笥サイズの機械。
演奏を始める。
案内「これは、家庭用の、小規模オーケストラの再現です。中身は、笛やクラリネットの仕掛けを用いて、工夫してトランペットに似た音も再現しています」
ミッツ「ストリングスの音色も、ありますね」
案内。ドアを開ける。「ストリングスは、このように、本物のバイオリンも用いることで、管弦楽の演奏ができています」
バイオリンは、弓の代わりに、バームクーヘンのような、大太鼓のバチのような回転物が弦を擦っている。各弦に1つ、計4つの回転物。左手の代わりに、各弦の各フレットの位置に、押さえるカギ状の棒がある。
ハル「これって、バイオリンの調律も必要ですね」
案内「そうです」
案内「電気の普及によって、小型ながらオーケストラを家庭に持ち込めるようになりました」
▽ 場面変更 ● ── ●
洋服箪笥より、少し背が低いサイズの機械。手前の面は、ガラス扉。
大きな金属の円盤型。
ミッツ「これは、ダーツの的のような形ですね」
案内「自動演奏が大きく普及したきっかけになりました」ガラスドアを開ける。
案内「よく知られているオルゴールと、原理は同じで、形と向きが違っています」
案内「この円盤は、このように、プレスによってビンゴゲームの厚紙のカードのようになっていまして、これが奥にあるピンを弾いて、音を出します」
金属の円盤には、「U」字型の切れ込みで、折り曲げ起こした爪が、たくさんある。
案内。手袋をして、円盤を外し、その奥にあった櫛歯を指す。
案内「この櫛歯を弾くのが……」持っていた円盤の、裏側を見せる。「……この円盤の、折り出し部分です」
ミッツ「あ、裏側に、折り出しているんですね。だから、ビンゴゲームの、厚紙みたい」
ハル「レコード盤とは、違うんですね」
案内「お若いのに、よくご存知ですね」
ハル「父の部屋にありました。プレーヤーが無いから、音は聞けませんでしたが、原理は知っています」
案内。笑顔で待ち、ハルがレコードの話を続けるのを促す。
ハル「レコードも円盤で、溝が渦巻き状に刻まれている。円盤がこう、皿回しのように回転していて、溝の開始は円盤の外側、そこに針を置くんだ」
背景に絵。3周程度の渦巻き。回転しているのがわかりやすいように、中央レーベルはメルヘンのキャラの顔など。
ステラ「置く? 刺すんじゃなく?」
ハル「そう。溝はガタガタしていて、それに合わせて針も振動する。針は、刺すのが目的ではなく、ガタガタに合わせて動きやすいから、軽い針になっている」
回転していないレコード盤の渦巻きの線をアップにすると、線がガタガタの溝になっている。レコード盤がゆっくり回転すると、ガタガタも一緒に回転。溝に針を置くと、針がガタガタに合わせて振動する。
ハル「針の震え方は、糸電話のように、声に再現できる。再現できるような形に、溝がガタガタになっている」
ステラ「すっごーい」
ハル。知識を披露できて、ちょっと得意気。
ステラ「どうやったら、声に聞こえる形にガタガタにできるんだろう」
ハル「そっちか」がっかり。
ミッツ「でも、聞くために、ガタガタを擦っていたら、すり減るんじゃないかな」
ハル「金属じゃなくて、塩ビ、塩化ビニールなんだ。レコード盤が塩化ビニール、針はとても細くて軽い金属。だから、レコード盤もすり減るし、針もすり減る」
ミッツ「ひどい」
ハル「そうなんだよ。俺も、実物のレコードを見て、驚いたんだけど、溝の渦巻きって、すごく細かいんだ。お父さんに聞いたら、何度も聞いていると、摩耗するんだって」この「摩耗する」は「すり減る」が良いかも。
ハル「溝はデリケートだし、溝を擦る針もすり減るから、これもデリケート。何だかわからないけど、凄く気を付けていたらしい」
ハル「レコード盤も、針も、命をすり減らしながら音を鳴らすから、新しいレコードを買って来て、針を落とす時って」
ミッツ「落とすって?! デリケートなのに」
ハル「いや、なぜか、そっと針を置くことを、「落とす」って言うらしい。それは、一種の儀式だったって」
ミッツ「儀式?」
ハル「らしいぞ。コーヒーを用意して、椅子のクッションを整えて、じっくりと聞く準備をする。それから、いよいよ、レコードをケースから出す」背景に「「ケースから」というより、「ジャケットから」と言います」を表示する。
ハル「デリケートな溝のあるレコード盤は、このくらいの大きさで、ケースからそっと出す。プレイヤーに設置して、レコード盤も針もデリケートだから、慎重に置く」
実際のLPレコードの儀式と、ハルたち3人が言葉で聞いた想像は、やや違うことを、画面の左右で表す。
ステラ「儀式ですか」空中を見る。オカルトっぽい儀式を想像する。不気味なメルヘンキャラが、身長よりも大きなロウソクを持ち、輪舞している。単に円形に歩くのではなく、不気味な踊りをしながら。
ハル「何か、勘違いした空想をしていないか?」
ミッツ。案内の人に質問。「円盤のオルゴールが普及したのは、どういう理由ですか?」
案内「円盤をプレスすることで、同じ曲を大量生産でき、コストが安くなり、販売価格も下がり、購入もしやすくなったためです」
ミッツ「なるほど」
案内「1枚で1曲ですが、短い曲ですと、1枚に2曲を収録できます。この円盤は2曲入りですね」円盤の中央のラベルを指す。
ステラ「あ、ほんと、曲名かな、読めないけど、たぶん曲名」
案内「人気のある曲は、たくさん生産されたそうですよ」
案内「レコードとオルゴールは、見た目は似ていますが、2か所だけ、違うところがあります」
案内「1つは、レコードの溝のガタガタは、そのまま音の振動であることです。それに対してオルゴールは、円盤は櫛歯のピンを鳴らす指示だけで、実際に音が鳴るのは櫛歯です」
案内「もう1つは、レコードは、先ほどご説明があったように、1本の溝が渦巻き状にぐるぐる回って1曲です。オルゴールでは1周で1曲です」
案内「「同心円」といいまして、中心に近い円が「ド」を担当、少し外側の円が「レ」を担当」
案内「大きさの違う円が、1つの中心点を共有していて、それぞれの大きさの円が、それぞれの櫛歯に対応しています」
アニメ表現の案:オルゴールの円盤用。陸上競技のトラック(徒競走のコース)を図示。各レーンが「ド」「レ」「ミ」……「ド」の7レーン。それが、円盤状になる。内側が短く、外側が長い距離になるが、レーンの担当は同じ。
アニメ表現の案:レコード用。長い直線の線香が端から燃える、または、長い一本道を歩いている。一本道が渦巻き状になり、直線の線香が、蚊取り線香になる。ただし、蚊取り線香を知らない世代もいるので、蚊取り線香にこだわらなくても良い。
ハル「要するに、1本の長い紐に音が記録されているから、コンパクトにする工夫として、2種類が考案されたってことだ」
背景に、2つのコンパクト化の図示を、2頭身のハルが説明する。円盤に紐を渦巻に貼り付けている途中の絵と、完成された円盤を持ち上げて「コンパクト!」と喜ぶ。
円柱形の何かに、紐を螺旋状に貼り付けている途中の絵と、完成された円柱を持ち上げて「コンパクト!」と喜ぶ。
案内。説明用の、円形の厚紙を見せる。同心円があり、「ド」「レ」「ミ」などが書かれている。同心円には、所々に、ビンゴゲームのカードようなカマボコ型の黒いマーク。その黒いマークが斜めにずらりと並んでいる箇所もある。
案内。厚紙を回転させる。「回転して、この黒いマークが櫛歯の所に来たら、音が鳴ります。ここ……」ずらりと並んでいる箇所を指して。「……が櫛歯の所に来ると、ダリラリラリーンっと、鳴ります」グリッサンドの口真似。
3人は納得の表情。
レコードの溝は、3次元を利用した「溝の進行方向」「針の振動の上下方向」「針の振動の左右方向」で、ステレオになるという話もある。ここで説明すると面倒なので、ちょっと字幕で知らせるだけにするか、全く採用しないか、未定。
▽ 場面変更 ● ── ●
機械人形(オートマタ)の部屋。ここだけ、別室で薄暗い。
人形は、手紙を書いている姿。机上にはランプがある。
案内「こちらは、オルゴールとからくり人形が連携した機械人形です。オートマタとも呼ばれます」
ステラ「素敵」
ハル「メルヘン好きなステラは、こういうの好きだろう」
ステラ「うん、大好き!」
案内「人形の動きと、BGMとしてのオルゴールが連動しています。シンプルな動きのため、私達は自由に物語を想像できます」
案内「この人形は、机に向かって座り、ランプを灯し、手紙を書き始めます。机の上のランプをご注目ください」
ランプが灯ったので、3人は驚く。薄暗い別室なのは、このため。
案内「電熱線を使って、アルコールランプに、本当に火を灯します」
ミッツ「どんな手紙を書いているんですか?」
案内「手紙を書いている様子だけですので、実際には文字を書いていません。そのため、ある人はラブレターだと想像し、ある人は故郷の家族宛てだと想像します」
ステラ「手紙が届くって、自分を大切に思ってくれているんだなって……。手紙を書いている間は、あたしのことを、大切に思ってくれている。とても幸せで、嬉しい」
▽ 場面変更 ● ── ●
回想。
ステラ。自宅で勉強している。
コルクボードには、トロンボーン先輩の写真を外した日焼け跡。これにより、オルゴール館に来た、前日の夜で、トロンボーン先輩からの失恋の傷があることを示す。
教科書のページをめくると、1枚の紙切れ。「今日はごめんなさい。 早坂」と書いてある。
読んで、少し微笑む。
スマホが鳴る。ハルからの電話。
ハル「今日はゴメン」
ステラ。単なる返事の「うん」の後、否定の「ううん」
ハル「ステラが、トロンボーン先輩のことを好きなんだって、知らなかったんだ。美術で絵を描いている時に言ったのは、本当は、「ステラに教える時は、丁寧にしてほしい」っていう気持ちなんだけど、悪口になってしまって」
ステラ「え?」
ステラ。心の声。「(あたしのことを、大切に思ってくれてるの?)」ステラの頭上に、2つの「?」が並んで表出する。左側の「?」が左右反転し、ハートマークになろうかどうか、迷う。
ステラ。気にしないで欲しい、否定の言い方で。「ううん、もういいの」
ステラ「でも、どうして知ってるんですか? あたしが先輩のことを好きだったって」
ハル。ステラの「好きだった」の過去形に、少し疑問を持つ。
ハル「ミッツが教えてくれた。ステラを泣かせたって言ったら、怒られた」
ステラ「蜜霧先輩に、ばれていたんですね。心を見透かされているみたい」
ハル「俺も驚いた。いつもミッツには、驚かされている」
ステラ「うん……。お二人、仲がいいですものね」
ハル「まあ、腐れ縁だけど」
ハル。気分を変えて。「そうだ、お詫びだけど、オルゴール館に行かないか? 急で悪いけど、あした、何も予定が無かったら」
背景に、ハルの鈍感さの説明文「ミッツとは、従姉弟の関係だと、ステラに言うのを、思い付いていません」を表示する。
ステラ「オルゴール館、ですか?」
ハル「そう。遊園地とか、動物園も考えたけど、俺達の共通は、音楽ってことで」
ステラ。ハルの「俺達の共通」の部分で、ステラの両目を大きく画面に表示する。黒目が大きくなる。
ハル「入場料くらいは、俺が出すから。お詫びにステラを楽しませたいんだ」
ステラ。意外な言葉に驚く。「えっ?」
ハル「ステラが元気になるために、力になりたいんだ」
ステラ。しっとりとした笑顔。「そんな、気を遣わなくても」片手でスマホを持ったまま、反対の手でハルからの手紙を持って、ベッドに俯せになる。ハルの文字を、指先でそっとなでる。
ハル「いや、これは俺のけじめだ。泣かせたら、その倍は楽しんでもらう、だから行こうよ」
ステラ。目を伏せて、微笑みながら「嬉しいです」
ハル「もちろん、俺の勝手な誘いだから、無理しなくてもいいから」
ステラ。仰向けになって。「どうしよーっかなあ」後頭部で、軽く枕を叩くと、枕からハートマークが舞う。
ハル「もし、ステラが望むなら、トロンボーン先輩も誘うから」背景に注意書きで「ハルは、トロンボーン先輩に彼女がいることも、それによってステラが秘かに失恋したことも、知りません」を表示する。
ステラ。息が止まる。涙が出て、小さな泣き声が出る。
ハル「ステラ? どうした? 何か俺、また悪いことを言ったかな」
ステラ。大きく息を吸って「大丈夫、大丈夫です。早坂さんが誘ってくれたので、元気が出ました」
ハル「そう、良かった」
ステラ「はいっ! 傷も癒えました」
ハル「傷?」
ステラ「何でもありません。ありがとうございます。お供させていただきます」
ハル「良かったあ。実は、ミッツに叱られて、どうすればステラを楽しませられるか考えた。そして、オルゴール館に誘うことを思い付いた」
ステラ「うん」
ハル「ミッツに言ったら、ミッツがトロンボーン先輩と知り合いだから、誘って、ダブルデートにしようって……」
ステラ「ダメッ!」
ステラの周囲には、ハルの言葉でステラの気持ちが浮き沈みするように、ハートマークがふわふわ舞ったり、萎れるように落下したり、激しく飛び回ったりする。
ハル「駄目って?」
ステラ「あ、いえ……」
ハル。少し考えて「……ゴメン。俺ってホントに、鈍感だな」
ハル「こんな、身勝手な設定をしたら、トロンボーン先輩には迷惑だもんな。ステラが自分で、勇気をもって告白するのがいいのかもな」
背景に注意書きで「ハルは、ステラが失恋したことを知らないので、ステラが自分でトロンボーン先輩に恋の告白をしたいんだろうと、勘違いしています」を表示する。
ハルの、この「勇気をもって告白」のセリフは、会話として余計かも。単に、背景の注意書きだけが良いかも。
ステラ「あのぉ、早坂さんは、蜜霧先輩と、お付き合いされているんですか?」
ハル「まさか」
ステラ「でも、さっきダブルデートって」
ハル「そういう形なら、トロンボーン先輩を誘いやすいだろうって、ミッツが言うから」背景に注意書きで「ミッツも、ステラが失恋したことを知りません」を表示する。
ステラ「そうですか」
ステラの周囲で舞っている、たくさんのハートマークに手足が出る。手を繋いで輪になり、輪舞する。
ハル「じゃあ、俺とミッツとステラの3人で」
ステラ。明るく「はい、ありがとうございます!」
ハル「では、待ち合わせは……」
ステラ。ベッドから起き上がり、机の所に行き、メモをする。
打合せする。
ステラ「はい、その時間なら大丈夫です」
ハル「じゃあ、楽しみにしてるよ。って、俺が楽しんだら駄目か」
ステラ「いえいえ、一緒に楽しみましょう」
電話、終了。
ステラ。大きく溜め息。再び、ベッドに飛び込む。うつ伏せ。掛け布団の上に身を投げたので、そのまま掛け布団を抱きしめる。掛け布団は、しわしわの抱き枕のようになる。
ステラ。掛け布団を抱いたまま、仰向けになり、ハルからの手紙を高く掲げる。
メルヘンの小物を飾っているコルクボード。トロンボーン先輩の写真があった場所は、剥がした跡の色違いになっている。
ステラ。立ち上がって、コルクボードの色違いの場所に、ハルの手紙を貼る。ベッドから立ち上がって、数歩は、掛け布団を抱いたままが良さそう。
この、手紙を貼る場所が、トロンボーン先輩の写真があった場所であることを、わかりやすくするために、コルクボード全体を見せ、目立つ何かがあり、貼る場所に画面が寄って、目立つ何かの隣というようにする。
電話の終了から、ハートマークが増え、輪舞は三重になる。それでもハートマークが増えるので、観客のように囲む。花吹雪。
祝福のBGMが終わる。
▽ 場面変更 ● ── ●
回想が終わり、さっきの続き。オルゴール館のオートマタの部屋。
ステラの回想の、祝福のBGMの余韻が、穏やかに終わる。
ハル「ランプの灯りだけなら、本当に正直になるんだろうな」
ステラは、昨日の、教科書に挟まっていたハルからの手紙を思い出し、オートマタが手紙を書く姿を見て、ハルから大切にされていることを思い、涙を浮かべる。
ミッツ。肘でハルを軽く突く。ハルは意味不明なのでミッツを見ると、ミッツは顎でステラを指す。顎で指す時の動きは、「下唇の下の皮膚を上げる。唇が少し「へ」の字になる。首を傾け、顎で指す」の順番。
ステラは震える瞳で泣いている。幸せそうに瞼を閉じると、涙が流れ落ちる。
ステラ。心の声。「(早坂さんと、そっと、手を繋ぎたいな)」手をハルの方に、そっと出す。
ハル。ステラの手が触ったので、それを見る。ステラに小声で。「うん、わかった」
ステラ。心の声。「(手を繋いでもらえるんだ)」ハルの方を見る。
ハル。ステラの手に、ポケットティッシュを渡す。ハルの頭の中には、回想として、ミッツの「女の子には、そっとティッシュ。これは、鉄則!」がある。
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