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ガクテン  作者: 不定音高ふたつ


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09_B__01_02  第9話 Bパート 分割 1 / 2

第9話 Bパート 分割 1 / 2


【注意事項:楽典以外の余談に、児童には不適切な生々しい描写や、心的負担の箇所があります】


【 第9話 概要 】

サブタイトル:×って何だ( )バツってなんだ)。

OP曲前:翌日。ステラが、ショージを追い出したことを思い出す。

Aパート:ショージは昨夜、母親から説教されたので、昼休みにステラに謝罪。最大の発明は消しゴム、消したい過去。楽器の練習はゆっくり。家業を継ぐので不要な教科。オーパーツ。恋って何かのついで。あたし、キスしていません。

CM明け:ハル。「ミ♯」は低い黒鍵だっけ? この「×」は何だ? あーわけがわからん。「×」は2種類。フェルマータは何倍延ばすか。

Bパート:ミッツとヤッ子が、昭和の男の話。ミ♯、ダブルシャープとダブルフラット。臨時記号の範囲。不定音高。フェルマータは延ばすじゃない。音符の玉の形は、特に打楽器では様々。コードのsus。半音は2種類。

Cパート:音符の部品の名も、資料によって、異なる記述もある。

予告:ミッツのプロレス技が決まり、今度はハルがステラを泣かせ、誰も弾いていないのにピアノが鳴り始める。先輩、隠していたんですね。


 ○ --- ○ --- ○


ここから本文です。

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▼ Bパート。   ▼──   ──▼


放課後。音楽室。


ミッツがピアノの椅子に座っている。ヤッ子はピアノに肘を突いている。ガールズトーク。


適宜、注意書き「※この会話は、この2人のキャラ設定です」を表示する。


ヤッ子「それで幸せに気分になるんだって」


ミッツ「なーんでぇ?」


ヤッ子「しかも、失敗よりも偶然がいいって」


ミッツ「偶然?」


ヤッ子「立ち上がる時に失敗して見えたら半日幸せ。風で、しかも、マリリン・モンローのような地下鉄の通気口じゃなく、天然の風で見えたら、一日中が幸せなんだって」


ミッツ「どっちだって同じなのにぃ」


ヤッ子「男が、そんな程度だから、見られたくないことにも気付かないんだろうな」


ミッツ「そう。パンツくらい、ただ見られるだけなら、減るもんじゃないし、平気なんだけど、男が遊び半分のスケベな気持ちだから、見られたくないですよね」


ヤッ子「男の子が、そんな気持ちでスカートめくりをするから、本気で怒るのに、男の子は「女の子の反応が面白い」って言うんだよな」


ミッツ「先に攻撃したのは男で、女の防御が面白いから、もっと攻撃する。男って、何であんなことをするんだろう?」背景に、小学生の頃に、ハルがミッツのスカートをめくった思い出を表示する。


ヤッ子「永遠の5歳児だなって思うのは、下ネタを喜々として言う時」


ミッツ「ただのエロネタ、セクハラなのに」


ヤッ子「男にとっては、いい年になっても、エロはおもちゃなんだ」


ミッツ「愛想笑いなのに、「受けている」って勘違いされて」


ヤッ子「「女が笑うと、男は幸せになる」だって」


ミッツ「だからって、面白くない冗談を言われても困りますよね。くすぐられて、無理に笑わされるより、喜ばせてほしいのに」


ミッツは、ステラがショージから何をされたのかを知りません。視聴者向けのメッセージとして、「脚本上の演出、脚本上で偶然を装い」の形式を用いて、加害者の勝手な理屈「喜んでいるように見えるから、喜んでいる」を非難しています。


ヤッ子「笑いたくないのに笑うのも疲れる。男女のどちらでも同じであるし、どの年齢にも通じるが、ある場面でウケたから、「この冗談は、いつでも面白い」と思うのは、気を付けたいな」このセリフは、第5話の繰り返し。


ミッツ「早くこの時間が終わってほしい。別な楽しい時間を過ごしたいし、片付けたいこともあるし」


ヤッ子「愛想笑いをしたら、変に喜ばれて、もっと、もっとと、要求が増えて行く」


ミッツ「いい加減にしろって」


ヤッ子「そのくせ、女は付属物だとか。あ、知ってる? 女心の未練の歌があるって」


ミッツ「うっそー。そんなの、絶対に売れないですよ。ネットでは、大炎上しそうです」


ヤッ子「昭和の歌なんだ。失恋した自分が可哀想で髪を切ったり、書いている手紙が涙で濡れたり、着てもらえないのがわかっているのにセーターを編んだり」


注意書きを表示する。「歌の解釈には、諸説あります」


ミッツ「ありえなーい。セーターを編むって、そんなに長い手間の時間、未練を維持するのって、あたしには信じられない。現実世界では、男の方こそ未練で事件が起きる方が多いのに」


ヤッ子「女に冷たくして捨てたのに、女は未練で追い掛けて来るから、男は女の頬を叩いて立ち去る。それでもこの女は俺に惚れている」


ミッツ「女が悪かったら叱ったり、教えてくれたらいいのに、叩かれるの、あたしは厭だな。カッコ良ければ憧れて近付くけど、近付いて攻撃されたら、恋愛は終わりですよ」


ヤッ子。ハードボイルドの男のような声色で。「脱げよ」


ミッツとヤッ子。面白さで、下品な大笑い。


ヤッ子「女が男の付属物で、男が主役の社会であり、同時に、男は女を、危険から庇護するという役割もあったな」


ミッツ「それは助かります」


ヤッ子「地震や火事があれば、女、子供を先に逃がし、助ける。寒ければ男は自分で衣服を脱いで、着せる。見栄っ張りなことを言ったり言わなかったり」


ミッツ「あれ? でも、さっき、女の頬を叩くとかって」


ヤッ子「それが、「釣った魚に、エサはやらない」なのか、「レディーファースト」ではない文化なのか、ファンタジーを信じているのか」


ミッツ「女が自分の意思で、結末を決めるなんて話は、昭和の頃には無かったのかな?」


ヤッ子「あっても、とっても珍しい……」思い出す。「……あった、あった」


ミッツ「ホントに!?」


ヤッ子「2人の男が、1人の女を奪い合うという構図で、男が勝負して、勝った方が女を手に入れる」


ミッツ「それって、人間の話ですか? 動物の、群れのボスが、雌を独占するんじゃなく」


ヤッ子「それが、人間ドラマ、青春ドラマで、子供向け漫画でも、少なくなかった。それが、「男らしい」というもので」


ミッツ「2人の男から好かれたなら、女は、好きな方を選べるってことですよね。女には、選択権が無いのか! って思います」


ヤッ子「1人の女を、2人の男、ギャングと大泥棒が奪い合うの。最後は、女が銃を撃つ。しかも、その銃は、男がいつもそこに銃を持っていると知っていたから」


この場面は、アニメ『ルパン三世( )TV第1シリーズ)』、第9話『殺し屋はブルースを歌う』の結末。


ヤッ子「でも、昭和の物語は、男にとっての女の理想って、こんなものかなってのばかり」


ミッツ「ねぇねぇ、昭和の男達って、そんなこと本気で思ってたのかな?」


ヤッ子「知らなーい」


ハルが入って来る。「ヤッ子先生」


ヤッ子。今までの話を誤魔化すように、顔の輪郭がコミカル。「ピアノの鍵盤が88なのは、星座が88あるからで……、おや早坂君、どうしたんだい?」


ハル「♯は、高くなるんですか? 低くなるんですか?」


ヤッ子「高くなるんだが」


ハル「じゃあ、この楽譜……」昨夜、自宅で見ていた、クラシックギターの楽譜集を開く。「……ここ、「ミ♯」って、「ファ」は黒鍵じゃないですから、なぜなんだろうって」指してヤッ子に見せる。


ヤッ子「これは、クラシックギターの楽譜だが、早坂君はクラシックギターを弾くのか」


ハル「あ、持っているのはスティール弦ギターですが、クラシックギターの曲も弾きます」


ヤッ子「ほほう。ところで、この音符の話に戻すが、「ミ♯」は「ファ」でいい」


ハル「どういうことです?」


ヤッ子「♯や♭は変位記号、ナチュラルは本位記号といって、ナチュラルは必ず白鍵だ。変位記号は、白鍵であるナチュラルからずれるのだが、ずれた行き先が、必ずしも黒鍵とは限らない」


ハル「なるほど、わかりました。でも、なぜファじゃなくて、わざわざミ♯にしているんですか?」


ヤッ子「これは、コードが「Cの仲間」だからだ。Cの仲間は……」黒板に楽譜。「……このように、ドミソの玉を書いて、それぞれに♯や♭を書くことになっている」


ハル「はい、覚えています」


ヤッ子「では、Cmの「ド、ミ♭、ソ」のうち、「ミ♭」を「レ♯」にしたらどうだろう。Cの仲間ではなくなるな」


ハル「はい、それも覚えています」


ヤッ子。ミの♭を消して。「では蜜霧君、コードのCを弾いてくれないか」


ミッツ。弾く。


ヤッ子「ありがとう。早坂君、今弾いてくれたのがCで、「ド、ミ、ソ」だ」


ヤッ子「では、これの全部に♯を付けてみよう」黒板に、新たに「ド、ミ、ソ」を書き、全部に♯を付ける。


ヤッ子。コード「C」と「C♯」の2つの音符を指しながら。「さっきのコードはC、こっちのコードはC♯だ。蜜霧君、今度はこれを頼む」


ミッツ。弾く。


ハル「あ、全体が高くなった」


ミッツ、コードのCとC♯を、交互に弾く。


ヤッ子「蜜霧君の手を見たまえ、C♯の時は、ファの鍵盤だろう。しかし、音符ではファではなくミ♯を書くことで、Cの仲間になる」


ハル「そういうことか」


ヤッ子「ただし、演奏の都合や、見やすい楽譜の都合で、「ファ」と書いても良いのに「ミ♯」と書くこともあるから、必ずしもこういう理由だとは、思わない方がいいな」


ハル「だったら、ここ」別な曲のページを開く。「この「Csus4」は、Cの仲間なのに、ファです」


ヤッ子「これは、独立したコードではなく、前のコードの音を引き継いでいるのが由来だな。「sus」は維持するの意味だ」


ハル「維持?」


ヤッ子「「タイ」のことは、覚えているか?」


ハル「はい。タイで繋がっていれば、鍵盤を弾き直さず、そのまま音を鳴らし続ける。第8話で、ショージさんが、未練の人や、浮気の人になりました。コードが変わっても、メロディがさっきのコードを維持している」


ハル。ヤッ子の言った「維持」を、自分でも言ったことに驚く。少し大きな声で。「維持、維持する」


ヤッ子「そうだ。まだ、完全に「Cの仲間」にはなっていないから、「ミ♯」ではなくても良い」


ヤッ子「未練の人に譬えたのは「掛留」といって、和音が変わったのに、直前の和音の一部の音が、タイで繋がっていて、まだ鳴り続いていることを表す。浮気の人に譬えたのは「先行音」だ」


「掛留」と「係留」の2つの表記がある。


「先行音」と「先取音」の2つの訳がある。


ハル「和音構成音とは違う……、えっと、和音外音って、クラシック音楽の音楽理論では、違反ではないんですか?」


ヤッ子「意外と思うか?」


ハル「はい。むしろ、コードネームの方が、和音構成音が、ぴったり決まっているようです」


ミッツ「それは、誤解だよ。知らないから誤解することもあるって、第5話で教わったでしょ」


ヤッ子「これ以外にも、和音を自分流に変更したり、普通に使っている手法が、実はクラシックの音楽理論で紹介されていたりする」


ハル「だから、アイディア集なんですね」


ヤッ子「用語や小ネタの名前も、例えば、早坂君が「和音非構成音」と思っていたら、「和音外音」と載っていたりする」


ミッツ「新しいアイディアを思い付いて、ハルが「俺って天才」と思っていたら、既にクラシックの時代から使われていたら、「俺はクラシックの技術を、独自に編み出した」と喜ぶか、「先駆者じゃない」と悔しがるか」


ヤッ子。楽譜を書く。1小節目が全音符の「レ、ファ、ラ」のDm、2小節目が全音符の「ド、ミ、ソ」のCで、音符とコードネームを書く。


その下に、別な楽譜として、1小節目が全音符の「レ、ファ、ラ」のDm、2小節目は、「ド、ミ、ソ」の「ミ」が2分音符で「ファ→ミ」になっていて、ファが前の小節からタイで繋がっている。2小節目には、まだコードネームは書かない。


ヤッ子「ここでコードがCに変わるはずが、途中までファが残っている」


ハル「そういうことって、ありますよね」


ヤッ子「Cの和音構成音は、ドミソだが、前のコードのファが、まだ残っているなら、「Csus4」とする。ファは、前の和音の音だから、Cの仲間とは考えない。Cになるのは、ファがミになってからだな」ここで、コードネームを書く。


ハル「だから、ミじゃなくて、ファであっても、まあ、仕方ないってことですね」


ヤッ子。少し笑いながら「そうだな、仕方ないってことに、しておこう」


ミッツ「由来ってことは、今は意味が変わっているんですか?」


ヤッ子「元々は、直前の和音の一部を引き継いでいるから、独立したコードではなかった。しかし現在では、直前の和音がどうであれ、「この音を鳴らしたい」として独立した使い方がされる」


ミッツ「だったら、維持するって意味の「sus」なんて名前、おかしいでしょ」


ハル「おかしいけど、そういう言葉って、あれこれあるよ。「こんな名前はおかしい」だけど、由来を知って納得って」


ヤッ子「音楽理論の種類によっては、引き継ぐ時間は、半分以内にとされている」


ハル「半分以内って?」


ヤッ子「本来は「C」なのだから、「Csus4」の時間は短くすべきだ。「C」がこの時間なら、「Csus4」は半分の時間以内の、短い間にすべきだということだ」


ヤッ子が両手で幅を表現。その空中に楽譜が出現。「C」の範囲の前半に、「Csus4」が、伸びたり縮んだり。音符の代わりに、ピアノロールのようなリボンが伸縮。


ハル。ヤッ子の両腕の前の楽譜を指す。「もし、「C」が全音符の時間なら、「Csus4」は、長くても2分音符の時間以内にしろってことですね」楽譜に、音符が出現。


ミッツ「え?」


ハル「どうした?」


ミッツ「だって、『結婚行進曲』では、半分どころか、ずっとsus4の部分があるよ」立って、本棚に向かうが、ハルが止める。


ハル「いやいやいや、話が横道に逸れるから、いいよ。今は僕が質問しているんだから」


ミッツ、少し不機嫌な顔。


ヤッ子「「ミ♯」の話のついでに言っておくが、臨時記号があるか無いかの違いで、半音は2種類ある」


ミッツ「あ……」


ヤッ子「どうした?」


ミッツ「その話、あたしにさせてください」第2話で、言おうかと迷って、言わずにいた場面と、文字の「半音階的半音」「全音階的半音」が表示される。


ヤッ子「いいぞ」嬉しそうに微笑む。


ミッツ「ハル、音階スライドを持っていたでしょ」


ハル「ああ」


ミッツ「あれは、調号に合わせて、使う鍵盤を選んでいるよね」


ハル「ああ」


ミッツ「音階スライドに選ばれた鍵盤の中で、隣同士の半音があるよね」


ハル「ああ」


ミッツ「音階スライドに選ばれていないところでも、半音の関係があるよね」


ハル「ああ」これまで、知っていることの確認が続いたので、少し苛立っている。


ミッツ「調号に逆らった鍵盤を鳴らすには、音符に♯や♭やナチュラルを付けて、半音の関係にすることがあるよね」


ハル「何が言いたいんだ?」


ミッツ「つまり、音符に臨時記号を付けない半音と、臨時記号を付けた半音は、違うってこと」


ハル。がっかりする。「どっちにしても、半音だろ? 何が違うんだ」


ミッツ「それはぁ……」答えに窮する。


ヤッ子「雰囲気が違う」


ミッツ「そう、雰囲気が違う。音階スライドの鍵盤だけを使ったら、シンプルというか、素直というか、そんなメロディだけど、臨時記号を使ったら、洒落た雰囲気になる」


ハル「そういうことがあるのは、知っている」


ミッツ「洒落た雰囲気にならないこともあるけどね」


ハル「それも知ってる。『森の熊さん』は、「ソ、ファ♯、ソ、ミ」「ミ、レ♯、ミ、ド」があるけど、洒落た雰囲気ではない。むしろ、臨時記号を使わないと、違和感がある」


ヤッ子「その、違和感の有無も含めて、音階スライドで選ばれた鍵盤での半音は「全音階的半音」で、音階スライドで選ばれなかった鍵盤を使えば「半音階的半音」だ」


ミッツ「そう、名前が違う」


ヤッ子「作曲する時に臨時記号を使おうかと判断する選択肢に含めたり、洒落た雰囲気の曲を聞いて「和音を工夫している」と思ったりする」


ハル「ああ、そうですね」


ミッツ「名前を知っていると、会話で役立つこともあるよ」


ヤッ子。ミッツに向かって。「あれこれ、有用なこともあるが、紹介するだけでいいだろう」


ミッツ「そうですね」


ハル「それから、×マークは何ですか? 弾いちゃいけないんですか?」


ヤッ子「どれどれ」ハルが、2種類の×を指す。


ヤッ子「ああ、これか」黒板に、「ラ、ド、ミ」の玉を、2セット書く。左側のセットのドには♯を付ける。


ヤッ子「蜜霧君、度々で悪いが、今度はこれを頼む」左側のセットの「ラ、ド♯、ミ」を指す。


ミッツ。弾く。


ヤッ子「ありがとう。早坂君、今、弾いてくれたのがこれだ。コードの「A」だ。「A」の仲間には、この3つの玉に、♯や♭を、付けたり付けなかったりする」


ヤッ子「では、さっきと同じように、全体を高くする「A♯」というコードでは、どのようにする?」右側のセットを指す。


ハル。ラとミには♯を書く。「ヤッ子先生、ドの、「♯の♯」は、どうするんですか?」


ヤッ子「ここで必要なのが「ダブルシャープ」だ」ダブルシャープを書く。


ハル「あっ、この×は「♯の♯」なんですか。それで、ええーっと、鍵盤ではレですか?」


ヤッ子「その通り、レの鍵盤だが、「ドのダブルシャープ」としたいのだよ」


ミッツ。コードAとA♯を、交互に弾く。ハルが手を見る。


ハル「本当だ、レの鍵盤だ」


ヤッ子「ついでに、ダブルフラットも教えよう。コードの「Gm」と「G♭m」だ」黒板に、コードGmとG♭mの玉を書く。


ミッツ。コードGmとG♭mを、交互に弾く。ハルが手を見る。


ヤッ子「このように、調号で指定した♯や♭に逆らって、特別に玉に付ける♯や♭は、「臨時記号」と呼ぶ」


ハル「臨時記号ですか」


ヤッ子「臨時なので、効果は限定的だ」


▽ 場面変更 ● ── ●


先生ちゃん。ガーシュウィン。『ラプソディー・イン・ブルー』を弾きながら登場。


説明用の別世界。背景は無地。


ガーシュウィンの先生が重複しているので、別な人が良さそう。ただし、「ソ♯、レ、ソナチュラル」のような、オクターブ違いで臨時記号の有無が違う曲に縁のある人が良い。


先生「ジャズでも、飾りのために、装飾音符と臨時記号が多いんだな。ショパンと僕、どちらが、装飾音符と臨時記号をたくさん使っているんだか」


先生「臨時記号の有効範囲は、この3種類」


先生「1つ。新しい臨時記号が書かれる直前まで」楽譜を表示する。ソばかり。途中から、ソ♯、ソナチュラル、ソ♭、ソ♯。新しい臨時記号が出るまでという範囲を表す。


先生「2つ。オクターブ違いではない、同じ高さの音符であること」楽譜。ソのオクターブ違いで交互に。下のソの途中からソ♯になる。上のソは♯が無効。


先生「3つ。同じ小節であること。タイで繋がっていたら、弾き直さないから、小節をいくつ跨ってもそのまま有効」楽譜。8分音符で、4つのソ。途中からソ♯になり、次の小節にもソがある。有効範囲を色分け。次の小節は、♯が無効。


楽譜。タイの説明で「タイで繋がっていたら、弾き直さない」を添える。タイで繋がった後ろの方の玉には、♯を書かなくても、♯が付いたままとなる。


先生「と、まあ、こんな具合なんだな」


小節を跨った、♯が付いたタイの説明「小節を跨っても、タイで繋がっていたら弾き直さないから、♯もそのまま有効」「その次のソは、小節を跨った意味になるので無効。必要なら、改めて♯を書く」。


先生「このように言ったら、「臨時記号は、♯か♭の、どちらか」と思われそうだけど、正しくは「調号以外の音を出す」なんだ」


先生「調号で、シに♭が付いていれば、白鍵のシを鳴らすために、臨時記号でナチュラルを使う。白鍵なのに、臨時記号だから、有効範囲のルールは、さっきと同じだよ」


先生「ただし、念のために、余計に臨時記号を書いたり、余計に調号の記号を書くことはあるんだ」楽譜。「ソ♯、レ、ソナチュラル」の和音。


先生「この場合、上のソはナチュラルだから、わざわざ書かなくてもいい。だけど、楽譜を読んだ人が「あ、ここに♯を書き忘れている」と勘違いしないように、念のために書くと親切なんだな」


先生「あ、それから、♯やら♭やら、調号やら臨時記号やら、ごちゃごちゃしているけど、ナチュラルは必ず白鍵なんだな、これが」ガーシュウィンのウインク。


先生が、ショパンでも良い。『小犬のワルツ』では、調号でソ♭。右手はメロディでソナチュラル。同時に鳴る左手は和音でソ♭。


先生が、ヨハン・シュトラウス2世でも良い。『春の声』では、調号でミ♭。右手はメロディでミナチュラル。同時に鳴る左手は和音でミ♭。


できれば、1つの和音だけで臨時記号の有無の違いの例が欲しい。



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