06_B__02_02 第6話 Bパート 分割 2 / 2
第6話 Bパート 分割 2 / 2
【注意事項:楽典以外の余談に、児童には不適切な生々しい描写や、心的負担の箇所があります】
【 第6話 概要 】
サブタイトル:音楽を自由に楽しんで、何が悪い!
OP曲前:ヤッ子の姉、鍵宮美音(かぎみや・みね)が、ポップスのバックバンドのコンサートに急遽の出演依頼を受け、失敗。クラシック音楽の基礎はあるが、ポピュラー音楽は経験が無いため。
Aパート:ジャズを簡単に書き直す。シャッフル記号とスウィング。フォルテシモでショージが抱き着く。sfz。長調と短調のジェンダーを宇宙人に教える。「シ、ド」でツナ缶効果。ロックは揺れる。教会旋法。ステラの海老逃げ。
CM明け:左手がテンポ、右手がメロディを叩くのができない。
Bパート:ステラがヤッ子に、吹奏楽の相談。ヤッ子が、姉である鍵宮美音(かぎみや・みね)の話をする。ピアノは好きではないが、継続を強制され、できない仕事を強制され、投身自殺。
Cパート:将来の夢は世界征服。若いなら何でも。シメジ婆さんが言ってた。夢がたったひとつなら、叶わなかったら悲しいね。夢がたくさんあれば、どれかひとつでも叶えば嬉しいって。
予告:猫の肉球がプニプニで、ハルは突然すごくギターが上手になり、ヤッ子がモーツァルトに一喝。酔っぱらっちゃったぜい、ぐでんぐでんだー。
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▽ 場面変更 ● ── ●
ヤッ子の回想。生徒達に話す。
鍵宮美音、大学生の頃。
母親「美音ちゃん、急なことだけど、来週オーディションだって」開封した封筒を見せる。
美音「オーディション? 何の?」
母親「音楽事務所の、ピアニスト募集のオーディションよ。書類審査が通って、実技オーディションだって、今日、通知が届いたのよ」
美音「どういうこと?」
母親「美音ちゃんが、二の足を踏んでいたから、親として背中を押したってことよ」
美音「だから、あたしはピアニストにはならないって」
母親「あなたみたいに、ちゃんとピアノを弾けるんなら、みんなはもっと、演奏活動とかして、スカウトから声が掛かるようにするものよ」
美音「あたしは自分で楽しく弾きたいの。誰かを楽しませる演奏はできない!」
母親「自分の怠けでしょうに。プロは誰だって、ギリギリの努力で、お客様を喜ばせて、お金をいただいているのよ」
美音「だから、あたしはそんなことしたくないし、できないし」
母親「甘えないで!」両手で美音の頬をぴしゃりと挟む。
母親「世の中にはね、ピアノをしたくても、どんなに望んでも、家庭の事情で無理な人もいるんだよ。美音のように、好きなだけピアノが弾ける贅沢がありながら、それが嫌だって言ったら、ピアノができない人に悪いと思わないのかい?」
母親「これまで、あなたがピアニストになれるように、周りの人がどれだけ協力してきたか、今ここでやめたら、周りの人、みんなが迷惑する、迷惑どころか、これまでの努力が全部、無駄になってしまうの」
母親。美音の両手を握り、諭すように。「いい、これからはね、嫌だとか、できないとか言わないの、わかった?」
美音「でも……」
母親「仕事のお話があったら、「できない」とか「難しい」とか、消極的なことは言っちゃだめ。「できます、ありがとうございます」と答えること!」
母親「いざ、引き受けてみると、意外とできるものなんだから」
▽ 場面変更 ● ── ●
ヤッ子の回想。生徒達に話す。
大人になった美音の自宅。マンションの一室で、独居生活。
美音。スマホで母親と話している。「でね、音楽事務所から仕事をもらったんだけど」今回の話のオープニングの、バックバンドの仕事の場面を思い出す。
美音「失敗しちゃって。やっぱりあたし、ピアノに向いていない」
母親「練習が嫌いだからって、ちゃんとやってなかったから、肝心なところで失敗するのよ」
美音「いや、そうじゃなくて……」回想。コンサートスタッフからのクレームに、美音とマネージャーが謝罪。「……うん、そうだね、練習を……(ポピュラー音楽の裏拍の練習を)……してなかったの」
美音は、母親に言い返すことができない。どんなに自分の望みを言っても無駄であること、狂った理屈で否定され、数倍の苦しみを受けることを知っているため。
母親「あと少し、頑張ってみなさい。頑張って、美音がコンサートを開くのを、みんな期待してるんだから」
美音。心の声。「(クラシック音楽の練習はしたけど、ポピュラー音楽の練習を、全然しなかった。ポピュラー音楽を、禁止されていた)」
▽ 場面変更 ● ── ●
ヤッ子の回想。生徒達に話す。
美音。老人ホームの慰問。食堂で演奏する。
この場面の前に、老人ホームの入り口で、音楽事務所のスタッフの後ろに隠れるように立っている美音の姿や、場違いなドレスに着替える美音、演奏前に別室でお茶を出されて話し合う様子、食堂でキーボードのセッティング風景などがあっても良い。
司会者(音楽事務所のスタッフ)「では、ピアニストの紹介です。あのアーティストのバックバンドでも大活躍した、鍵宮美音(かぎみや・みね)です」
美音。キーボードの前に進み、座る。キーボードは、床に据え置く型の電子ピアノではなく、持ち運べる型。折り畳み式の会議テーブルに置いてある。
椅子は、高さを調整するために、雑誌や古新聞を重ね、座布団を載せている。
美音の衣装は、華美ではないドレス。リサイタル衣装という程ではないが、老人ホームの食堂では場違い。
美音。心の声。「(大活躍じゃなく、クレームで、たった1回でクビになったんだけど)」
美音、にこやかに『ゴンドラの唄』『憧れのハワイ航路』など、懐メロを演奏。淀みない演奏。
老人達「上手だねぇ」笑顔でみんな歌う。
慰問の帰りの乗用車。キーボードは、ケースに入れずに、無造作に後部座席に置かれている。
音楽事務所のスタッフ。運転しながら。「鍵宮はトークが苦手なんだな。こうした慰問は、ウチのコマーシャルだ。演奏そのものは収入にならないが、鍵宮なら、もっと金になる仕事ができるだろう」
美音。小声で。「はい、すみません」
音楽事務所のスタッフ「僕が、最初の紹介だけでなく、トークすれば、もっと笑いももらえると思うけど、どうかな」
美音「あまり、無理なことを言わなければ……」
音楽事務所のスタッフが軽く舌打ちしたのを、美音が気付く。画面の左右で、スタッフの舌打ちの口と、美音がそれに気付く目を、同時に画面内に表示する。
ここで、音楽事務所のスタッフが、喫煙を始めるのも良い。煙を吐く、タバコの先の灰を落とす動作と共に、以下の心の声があることで、退屈の回避と、美音が大切にされていない状況を示す。
音楽事務所のスタッフ。心の声。「(クラシックの演奏技術は、及第点以上なんだから、潰しがきくと思っていたが)」
音楽事務所のスタッフ。心の声。「(これだけ弾けるなら、トークの題材として、クラシック作曲家の意外な私生活とか、素人が喜ぶ話題も、あるはずなのに)」
音楽事務所のスタッフ。心の声。「(音楽が芸術だってのは当たり前だが、こっちは、その芸術を使ったビジネスだってこと、わかってないのか?)」
▽ 場面変更 ● ── ●
ヤッ子の回想。生徒達に話す。
音楽事務所。美音はスタッフになっている。
事務所内の風景は、OP曲前の風景と同じ。
美音。電話で。「どうしても、お願いしたいのですが」
電話の相手。怒鳴る。「無理だって言ってるだろ! 大体、いつもあんたのところは……」
美音。涙ぐむ。
▽ 場面変更 ● ── ●
ヤッ子の回想。生徒達に話す。
美音の自宅。マンションの一室。
美音。スマホで母親と話している。「もう限界。辞めたい」
美音。床に座り込んでいる。ソファに背もたれではなく、床に横座りし、顎をソファに載せるようにもたれている。
スマホを持っていない方の腕は、肘をソファに載せ、手は頭を抱えるように、指を櫛のように髪に入れている。顔は、髪の毛の陰になり、暗く見える。
母親「せっかく、あんなにピアノを練習したんだし、お世話になった先生に「ピアノを辞めます」なんて、言えないでしょう。もうちょっと頑張りなさい」
美音「でも、最近は全然ピアノを弾いていないし」
母親「今はそうでも、音楽事務所だから、みんな「いつかきっと」って、期待してるのよ」
美音「何もかも、うまくいかないし、元々あたしは、人前で何かをするのは厭だったし、今の部署で人を動かすのなんて、芸術家を束ねるなんて……」
美音の言葉の途中で、画面は数秒間、母親のいる茶の間の風景になる。ヤッ子も母親も立っている。大学生のヤッ子が、心配そうに、母親を見ている。
母親。きつい口調で。「わがままを言わないのっ!」
母親の言葉の途中で、画面は美音の顔のアップに変わる。美音の顔は、母親の言葉に「驚く」ではなく「即死」のように、一瞬で生気が消える。顔色が変わるだけでなく、ヘッドショットを受けたように、全身が「即死」となる。
美音。もう、幸せになれないと悟り、眼球は光沢の無い漆黒。
母親。静かに、しかし、無理強いの口調で。「意地でも、音楽の会社にしがみついていなさい。結論を出すのは、あと少し、もう少し頑張ってからでもいいでしょ」
美音。もう涙も出ない。スマホが力無く落ちる。四つん這いで進み、ソファにつかまりながら立ち上がり、ベランダに行く。または、スマホが落ちた姿勢のまま、宙に浮き、漂うようにベランダに。
美音。部屋からベランダに、歩いていない。足が宙に浮いたまま、漂うようにベランダに進んでいる。
宙を漂う場合、体の向きは、頭が先頭ではない。ふらふらと漂い、テーブルにぶつかって、体の向きが受動的に変わる。
ベランダの戸は、音も無く開き、風でカーテンもなびいて開く。
美音。手すりの土台に足を掛け、空に向かって、大きく口を開ける。涙は出ないが、瞼から顔がドロドロ融ける。
両腕は力無く垂れている。そのまま前屈みに投身自殺。これにより、「決意した自死」ではなく、「絶望で、死に向かって流される」を表現する。
この部分は、飾りもせずに、単に落ちる表現でも良いし、飾る方法もある。
飾る場合、手すりの上で、肉体と精神が分離し、天に昇る精神の方をカメラが追う。精神は、きらめく粒子。
精神の、きらめく粒子の案は、いくつかある。
案:肉体と精神が、分身の術で分かれる。肉体は頭が下になるように傾く、精神は、きらめく粒子の集合体が肉体から離れるが、体と同じ形で、幽体離脱。天に向かうように、頭が上に。やがて、粒子は雲散霧消し、星空に溶けて行く。
案:精神が肉体から吹き出す。体中から、きらめく粒子が湧き出し、散って行く。肉体は灰色になり、透けて見える、または、網細工(針金で構築したジャングルジム)のように穴だらけ。
カメラワークは、粒子の全体を見るだけではなく、粒子群の中に入り、粒子に限りなく近付く。
粒子に近付くと、写真が映し出されている。これまでの美音の思い出だけでなく、生き続けていたら経験するであろう未来の姿の写真。
写真は、現実の悪い思い出が、良い思い出に変わるものもある。無数の粒子は、パラレルワールドの思い出、そして、パラレルワールドは、死ななかった場合の未来もある。描いた絵を持って走るなど。
悪い思い出の例:美音の顔を斜め前から見る。泣いている。背後には、ドアの前に立つ母親が、片腕は腰に当て、もう片方の手で美音を指す。ドアは開いていて、ドアの向こうの食卓の上には、デコレーションケーキ。
良い思い出の例:母親が笑顔で、デコレーションケーキを食卓に置く。ヤッ子が美音の手を引き、食卓に連れて来る。みんな笑顔。
母親。スマホからの声。「聞いてるの? 返事くらいしなさい。あんたはそうして、都合が悪くなったら黙り込むから、こっちは腹が立つのよ。ね、聞いてるの?」
母親。スマホからの声。「返事しないなら切るよ。ね、美音が頑張っていることは、ちゃんとわかっているから……」
母親の言葉の途中で、画面は母親のいる茶の間の風景になる。ヤッ子も母親も立っている。大学生のヤッ子が、心配そうに、母親を見ている。
ヤッ子は、目に涙を浮かべている、または、涙が流れ落ちる、または、立っている二人の全身でも良い。
立っている二人の全身の場合、部屋を暗く描き、母親とヤッ子だけが明るくても良い。この場合、母親とヤッ子は二人とも白黒、二人ともカラー、片方だけが白黒といった表現がある。
ヤッ子の回想。生徒達に話す。ここまで。
▽ 場面変更 ● ── ●
回想が終わり、さっきの続き。
理科準備室。ステラ、ショージ、トロンボーン先輩の3人に、ヤッ子が姉のことを話し終えた。
ヤッ子。目をつむったまま、やや上を向いている。
ヤッ子「生物とは、生き続けようとする。生き続けるのが正しい、それを疑わないようにできているのが生物だ。……姉は……」長い溜息。
ヤッ子「ポピュラー音楽も、クラシック音楽も、どちらも音楽だ。楽器がピアノで共通している。しかし、それは、卓球とサッカーのように、異なっている。球技という共通点がありながらも、相手との距離や、走る距離が違うように」
ヤッ子「クラシック音楽だけを強要されて来た姉にとって、「音楽」「ピアノ演奏」という共通性がありながらも、異なったことを、できもしないことを強要され、非難されるのは、自分の価値をマイナスにされた、いや、生きることを否定されたことになる」
ヤッ子「「もう少し頑張れ」は、無限ではない。限界まで高くバンザイして、あと1ミリ指先を高くする。たった1ミリでも、100回も繰り返すことは不可能。指示された幸せは、届く場所には無かった」
ヤッ子「姉は、ピアノが嫌いではなかったが、他にも好きなものもあった。自分の意志とは違って、他の好きなものが犠牲にされてしまった」
ヤッ子「楽しいはずの音楽を用いて、多方面から強要され、抗いも否定されて来た姉は……」うつむいて、長い溜息。
ヤッ子「誰がどうすべきだったか、誰がどんな過ちを犯したのか。それを考えることが、私たち近しい者にとって攻撃になるのか、成長になるのかもわからない」
ヤッ子「しかし……」しっかりと生徒達を見る。
ヤッ子。おもむろに(重々しく)。悲しみの中、発音ははっきりと。「生きとし生けるものが、何を差し置いてでも、やるべきことは……」目を閉じる。「……互いに! ……死なないことだっ!」震えながらも、涙声にならないように努めている。
このセリフの「……互いに! ……死なないことだっ!」の「!」の有無は、声優を中心として、話し合いにより決める。これは、ヤッ子の表情の、眉の形、口角の向きと形、目を完全に閉じるか少し開けるかなどとも連携する。
このセリフの「やるべき」の「や」は難しい。歌では、単語が「な行」で始まる独特の手法がある。「や」は、「な行」の効果を減らした文字であるが、強くすべきか、悩ましい。
ヤッ子。一度、目を閉じる。顔を下向きにする。少し目を開け、視線は生徒達の足元に向いているが、何も見ていない。浮かんだ涙で、ピンぼけのような視界が、二重か三重になり、それぞれ大きさが変わったり、揺れたりしている。
ヤッ子「プロの演奏家になるなら、演奏家として起床して、休日だって演奏家として過ごす必要があるけど、青春を謳歌する道具として音楽があってもいいと思うの」
ヤッ子「もし、楽器をしている全員が、その後の人生でプロになるのが絶対条件なら、怖ろしくて楽器なんてできない」
このセリフが、ステラの悩みを「肯定して、責めない」ということに、3人が気付くことを表すように、3人の顔を表示する。
ヤッ子「学校の部活は、青春を謳歌する場である。たくさんの苦難があって、乗り越えた喜び、乗り越えられなかった歯噛み。現実の後で思い付いた理想」
ヤッ子。はっきりと、生徒たちを見つめる。「人との関わりも、自分だけの時間も、あらゆる事柄が、青春のメインストーリーであり、サブストーリーだ。思い出を作れ、若者よ!」
▼ Cパート。 ▼── ──▼
ハルとミッツ。下校途中。
偶然にも、ヤッ子、ステラ、ショージ、トロンボーン先輩が、理科準備室で話していたことに関連することを話し合っている。
ハル「俺の夢は、叶うかなあ」
ミッツ「なんだか、壮大な夢がありそう」
ハル「夢は……」拳を高々と上げて「世界征服だっ!」
ミッツ「それだけ?」
ハル「俺は若い。若いうちは、何にでもなれる。可能性は無限大。そう教わっただろう」
ミッツ「世界征服の他に、夢は無いの?」
ハル「世界征服、これに尽きる」
ミッツ「シメジ婆さんが言ってたよ。夢がたったひとつなら、叶わなかったら悲しいね。夢がたくさんあれば、どれかひとつでも叶えば嬉しいねって」
ハル「言ってたなあ」
ミッツ「だったら、もっとたくさんの夢を持て、若者よ!」激励で、ハルの背中を、「バシッ!」と叩く。
▼ 次回予告。 ▼── ──▼
猫の肉球がプニプニで、
ハルは突然、すごくギターが上手になり、
ヤッ子がモーツァルトに一喝。
酔っぱらっちゃったぜい、ぐでんぐでんだー。
▼ 1コマ漫画。 ▼── ──▼
ショージ。鏡の前で、女装して、何やらアイテムを持っている。
「俺の将来の夢は、魔法少女。叶うかなぁ」
ヤッ子。姉の美音がオープニング前で着ていた衣装に似ている。網タイツで鞭を持ち、床で倒れているハルとショージの上に座っている。SMの女王様のようなマスク眼鏡を持っている。「屁をこいてもいいか?」のセリフの場面のパロディ。
「こっちの眼鏡だったら、セリフが変わるだろうな」
これの、どちらかを採用する。
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