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ガクテン  作者: 不定音高ふたつ


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01_A__03_03  第1話 Aパート 分割 3 / 3

第1話 Aパート 分割 3 / 3


【 第1話 概要 】

サブタイトル:僕は余談が好きなんだ。/余談から始めてみないか。/(この中から1つだけ採用する)

OP曲前:初回なので、幾何学的なデザインから、混沌とした騒音。すっとOP曲に繋がる。

Aパート。初回なので、謎解きは少なめ、主に定義の議論。ハルが学校備品のクラシックギターで、ハワイアンギターっぽく遊ぶ。弦の中央で音色が変わるのはピタゴラスの倍音。2倍の2倍の……は同名。楽典は2次元、コードなど便利な道具を先にが面倒。

CM明け:転入したステラの、吹奏楽部の初日。トロンボーンの朝顔と、サックスのウツボカズラ。

Bパート:初回なので、謎解きは少なめ、主に音楽理論の利用方法。ハルに、倍音から音階の説明。ステラはトロンボーン担当、先輩から教わる、演奏のスライドのポジションはギターと同じ。謎解き気分の楽典を勧める。ステラはトロンボーン先輩に片想い。

Cパート:倍音を基準にした「純正律」と、ピアノの「12平均律」。トランペットはギターの倍音と同じ、ピストンで迂回は、ギターの1フレット。登場人物の簡単な紹介。

予告:玉がなぜだか傾いて、カレンダーは2か月間も足りなくて、ステラは自宅じゃこんなことをしてるんだ。ブイブイ鳴らすぜー。


 ○ --- ○ --- ○


ここから本文です。

ご感想を頂けると嬉しい。ログイン不要ですので、お気楽に一言をお願いします。

ハル「作曲家は、響きが悪いのは、使わないようにしているんですね」


ヤッ子「そうでもない」


ハル「わざと、悪い響きを使うんですか?」


ヤッ子「響きが悪いはずなのに、綺麗に聞こえる。この話は、第6話で「和音のツナ缶効果」で話す」


ハル「汚い響きが、綺麗に聞こえるとか、あるんだったら、わざわざ、分類しなくてもいいのに」


ヤッ子「響き具合はグラデーション、明確な境界線は無いが、仕事で市場調査をしたり、身近な例では天気予報で「夏日」や「真夏日」の日数で統計をとることもあるから、分類が有効な場合もある」


ミッツ。ヤッ子を凝視して、納得した表情。何度も頷いている。


ハル「3分の1なら、1か所だけ触ればいいんですね。両方を触らなくても」


ヤッ子「そうだな」


ハル「じゃあ、2か所触ったら、どうなるんだろう?」背景に、両手の指で、あれこれ触る例。「3分の1と、4分の1」「5分の1と、7分の1」など。


ヤッ子「どうなるか、実験するのがいいだろう。実験の前に推測はできるが、実験すると推測を外れた結果もある。上手くいかないことを解決する工夫も、有用だな」


ミッツ。思い出したように。「ヤッ子先生、もしかして、絶対音感を持ってますか? フレットを押さえないでチューニングしてたし」ミッツの視線で、ギターの指盤を見る。フレットに指し棒で「この刻みがフレット」で、フレットが一斉に赤く点滅。


ハル「ギターでも、ピアノと同じように、シャープとフレットがあるんですね」


ミッツ「それを言うなら、「フラット」でしょ?」


ハル「どういうことだ?」


ミッツ「ギターの、この刻みはフレット。ハルの言ってるのは、半音高いシャープと、半音低いフラット。言葉は似ているけど、違うものだからね」


ハル「なんだかわからん」


ヤッ子「私は、専門の音楽教育を受けなかったから、絶対音感は持っていない。けれど、これまでの経験から、響きの具合を聞いて、相対的に調弦できたのだよ」


ヤッ子。ギターを抱えたまま、ピアノに近付く。ギターとピアノの音を比べる。少しずれている。「ホラな、ずれているだろ? きっと、ピアノの方が正しい」


ヤッ子。再び座る。「蜜霧君、ピアノに合わせるから、ミの音をくれないか」ピアノを基準として、ギターの調律をする。


ハル「絶対音感って、なんだ?」


ミッツ「聞いた音の高さを言い当てたり、「ド」の音を思い浮かべられる感覚」


ヤッ子「でも、絶対音感を持っていても、歌うのが下手だったら、絶対音感を持った音痴ってことだな」


ハル「いわば、温度計だったり、ヒーターだったりかな」


ミッツ「設定温度の機能があるエアコンは、温度計で計測しながら、冷暖房をするでしょ」


ハル「歌が下手なら、自分の歌声を聞きながら調整するのが下手なのかな? まあ、人間の感覚だから、絶対じゃないだろ?」


ミッツ「それが、かなり正確だって」


ヤッ子「私は絶対音感を持っていないが、相対音感がある。まあ、感覚だから、「有るか無いか」の二択ではなく、「どんな状況で、どれだけあるか」のグラデーションだな」


ミッツ「絶対音感があると、日常の音もドレミに聞こえて、生活が辛いって本当ですか?」


ヤッ子「絶対音感には、色んな都市伝説があるんだ。確かに、そのような人もいるらしいが、そうでもない人もいる。都市伝説になっているのは、人それぞれの感覚を、絶対音感を持っていない人達が伝聞するからだとも考えられる」


ヤッ子「私の知り合いは、街中の音は耳に入るが、絶対音感として聞こうと思えば「ドレミ」に聞こえ、そうでなければ、ただの環境音だそうだ」


ハル「看板の文字みたいですね。読もうと思えば文字だけど、そうでなければ、ただの彩りです」


ミッツ「そうなのかなあ」


ヤッ子「実在する人を都市伝説と呼ぶのもおかしいが、都市伝説だから、どこまで本当なのかは人によるし、絶対音感がある人は「必ずこうだ」とも言えない。グラデーションであるから、ひとりひとり、個別だな」


ミッツ「特定の楽器の、特定の高さにだけ反応する人もいるらしいね」


ハル「へえ、そうなんだ。って、それも都市伝説」


ミッツ「テレビで本人が言ってたから、本当だと思うけど」


ヤッ子「でも、私にとっては、「テレビで見た」という人が言っていたという立場だ」


ハル「僕がヤッ子先生から聞いたら、もう都市伝説ですね」


ヤッ子「ジェンダーの話と似ているが、人に対して都市伝説があるように、個人の人数と同じだけ、絶対音感の種類がある」


ミッツ「いつでも倍音を出せるように、もう、ギターに倍音用の指を固定しちゃえば?」背景に想像図。指盤に貼り付けた突起が、弦を触る。ネックの裏から「U」の字のアームが、弦を触る。


ハル。ミッツの背景の図を見て。「取り付けて固定したら、駄目だろう。弦の長さの半分だから、弦の長さが変われば、半分の位置も変わるから」


この辺りでは、弦の長さを変える場面が多い。視聴者の混乱を減らすために、弦が左右方向の場合、右側を弾き、左側が長さを変えるという向きに統一しておく。


ハル。ヤッ子が持っているギターで説明。左手で弦を押さえて、右手で弾く。「こうして、弦の長さが変わるから、半分の位置も変わる」


ハル。左手の位置を変えて、それに合わせて、右手の「半分の位置」も変わる。左手の位置により、補足図「弦の長さ」も伸縮する。右手の移動に合わせて、指し棒「半分の位置」もずれる。


ヤッ子「ギターはピアノより、弦の数が少ないから、ギターでは毎回、弦の長さを変える。ピアノは、たくさんの長さの弦が用意されている」


ハル「ピアノなら、さっきのミッツのアイディアが使えるな」


ミッツ「アイディアって、固定するってこと?」


ハル「そう。ヨイショ……」ピアノの蓋を開けて、弦を指す。「……ここに、弦を触るものを固定して」ピアノの蓋が重くて、支えながらの説明に苦心している。


ヤッ子「ピアノの蓋は、こうすると、固定できるぞ」支え棒を出す。この時、ハルがうっかり蓋を離すことを懸念し、蓋を上げる補佐をする。


ハル「あっ、こんな所に」


ヤッ子「こうして、弦を剥き出しにすると、弦に細工ができる。ただし、蓋を開けた内部は、触ってはいかんぞ。ピアノはデリケートだからな、唾が飛ばないように、マスクをしてほしいくらいだ」


ハル「そんなにデリケートなんですか?」


ヤッ子「少し、大袈裟な言い方をしたが、それ程のものだと、覚えておいてくれ」


ミッツ「弦に細工?!」


ヤッ子「弦に、消しゴムを挟んだり、洗濯バサミを付けたり、磁石を付けたりする。弦を直接、指ではじいたり、叩いたりすることもある」


ハル「面白そうですね」


ミッツ「そんな、ピアノがかわいそうです」


ハルは面白がり、ミッツは心配そう。


ヤッ子「これは、「内部奏法( )内部演奏)」とか、「プリペアド」とか言われているな」


ハル。ミッツの胸ポケットから、勝手にボールペンを抜き取る。ボールペンは、尻をノックすると、ペン先が出たり引っ込んだりするタイプ。


ミッツ。驚く。「何、勝手に取ってんの! スケベ、変態!」


ハル。ミッツの抗議を無視する。ペンの尻をノックし、ペン先を出したり引っ込めたりする。


ハル「こんな感じに、引っ込んだり、出っ張ったりが、交互になるように、倍音になったり、ならなかったりが、交互になったり、2倍音や3倍音といった、いくつもの箇所にスイッチがあったり」


ハル「他には、重みのある鉄球を置いて、ピアノを弾いたらボールが転がって、戻って来る。ああ、それなら、戻って来るように、ピアノを少し傾けていて」


背景に説明。ピアノの中にたくさん並べられた鉄球が、演奏された順番に転がり、戻って来る様子。


ハル「アップライトピアノなら、鉄球をぶら下げておいて、ハンマーの動きに反応してブラブラ揺れて、エコーのようになったり」背景に説明。


ミッツ「あたしは、ピアノをデリケートだとは思わないけど、ピアノの調律を見ていたら、あたしが愛着を持っているピアノは、大切にしたいな」


ハル「「内部奏法」って名前が付いて、市民権を得ているのだから、きちんとピアノのことを理解して、慎重に、大切に、仕掛けをしているんじゃないかな」


ヤッ子「私もそう思う。ところで、昔のピアノでは、早坂君のアイディアのようなものも、あったらしい」


ハル「本当ですか?!」


ヤッ子「そう。ペダルがもっと多くて、太鼓を叩くものもあったらしい」


ミッツ「大道芸人みたい」背景に想像図。映画『メリー・ポピンズ』( )1964年、ジュリー・アンドリュース)の、大道芸人のバート( )ディック・ヴァン・ダイク)が、いくつもの楽器を演奏する姿。


ヤッ子「現代では、ピアノでそのようなものは少ないが、様々な楽器を搭載している鍵盤楽器と言えば」


ハル「電子オルガンかな?」エレクトーン( )ヤマハの商品名)を思い浮かべる。全体図と、いくつかのボタンのアップ。ボタンには、それぞれ楽器の名前、または、番号やアルファベットが記されている。


ヤッ子「惜しいな。答えは、パイプオルガンだ」


ミッツ「え? パイプオルガンって、要するに、リコーダーをたくさん使っているものでしょ?」


ヤッ子「実は、いくつかの打楽器や、鳥の声のような音を出す水笛など、現代でもあるんだ」


ハル「へえー。だったら、ピアノだって、色んな遊びの音があっても、面白そうですね」


ヤッ子「そうだな。ピアノに、通常のピアノ以外の音色が出るのも、面白い」


ヤッ子「ただし、それらのカラクリを施すのは、自分のピアノでするものだ」


ハル「どういうことですか?」


ヤッ子「ピアノという、デリケートな楽器を、過酷な扱いをするからな。レンタルピアノなど、借り物のピアノでは、やるべきではない」


ヤッ子「ピアノの演奏で、拳で鍵盤をガンガン叩いたり、膝で鍵盤を弾いたりといったことも、借り物のピアノでは、やるべきではない」


ハル「プロの演奏で、プロがしているのを見ますよ」


ヤッ子「プロが行っているのは、肘で弾いているように見えるが、目的は「強く叩く」ではなく、「たくさんの弦を、同時に鳴らす」だ。決して、ピアノを乱暴に扱ってはいない」


ヤッ子「プロがピアノに、カラクリを施すのも、自分のピアノに行う。もしかすると、持ち主から依頼されてカラクリを施すこともありえるが、持ち主の許可も無く、勝手にはしない」


ハル「そうですか? 「内部奏法」とか、ちゃんと名前が付くほどだから、ちゃんと認められたことですよね」


ヤッ子「だったら、早坂君が大切にしている自転車があったとして、他人が勝手にデコレーションしたら、どう思う?」背景に、ハルが「デコチャリ」に驚く姿。デコチャリに、指し棒で「デコチャリ・派手に飾り付け( )デコレーション)した自転車」を添える。


または、サッカーボールを貸したら、ボールの上に乗って( )ボールを両足で踏んで)ジャンプする。文房具の直線定規で、何かを弾き飛ばす遊び。


ヤッ子「過酷な扱い、乱暴な扱い、本来の想定から外れた扱いは、借り物でするのは避けるものだ」


ミッツ「ハルに靴を借りる時、「泥遊びをするから」って言ったら、断るでしょ」


ハル「当たり前だ。汚すんなら、「自分の靴で泥水で遊べ」って言いたい」


ミッツ「でも、靴は履くものだから、本来の使い方だよ。ちゃんと「泥遊び」って名前もあるし」


ヤッ子「そういうことだ。借り物は大切にするもんだ」


ハル「だったら……」机上の電池を見る。「……電池を使ってギターで遊ぶのは、いけないんですね」


ヤッ子「私は、そう思う。しかし、音楽の先生は、早坂君が楽しんでいるのを、尊重していた」回想。先刻の、廊下での、音楽の先生の言葉を思い出す。


廊下での、音楽の先生のセリフ。「面白いことをしていますね」「面白いからいいでしょう」「2人以上いたら、そのうちに悪ふざけが過ぎることもあるでしょう。でも、あの子は、試行錯誤しながら音を楽しんでいます」


廊下での、音楽の先生のセリフ。「鍵宮先生、音楽は、学校の科目の中で、唯一「楽しい」という文字が入っています」「楽しみを邪魔するのは、無粋ですよ」


ヤッ子。気分を変えるように。「ところで、さっきの紛らわしい「フレット」と「フラット」の話をしよう」


ヤッ子「ギターには、ピアノと違って、白と黒の色分けは無い。けれど、この「フレット」と呼ばれる刻みは、ピアノと同じだ。蜜霧君、私と一緒に、中央ドから順に半音ずつ上に、ソまで鳴らしてくれないか」


ハル。割り込む。「「中央ド」って、何ですか?」


ミッツ「もうっ、割り込まないでよ。「ド」って、たくさんあるでしょ」


ハル「ああ、さっきの倍音の話で、振動数が「2倍の2倍の」の関係は、同じ名前だな」


ミッツ「ピアノにも「ド」はたくさんあるから、この「ド」にだけ「中央ド」って名前を付けたの」


ハル「じゃあ、ヤッ子先生は、この「中央ド」を鳴らしてくれって、言ったんだ」背景に「「中央C」「中央ハ」も、同じ意味です」と表示する。


ミッツ「そういうこと」


ヤッ子。この2人の遣り取りを、微笑みながら見ている。


ミッツ。ヤッ子の方を見る。「じゃあ、鳴らします。半音進行ですね」


ヤッ子「早坂君は、私の手元と、蜜霧君の手元を、交互に見て確認するのがいい」


ヤッ子。ピアノの近くに移動し、ピアノとギターが、ハルの視野内にする。生徒用の椅子も移動し、その上に腰掛ける。


ヤッ子。第2弦だけで、1フレット目から順にソまで、ゆっくり鳴らす。


ヤッ子。ミッツに、一瞬だけ遅れて鳴らす。


ハル。視線を、ヤッ子の手元、ミッツの手元の順に見る。画面には、ヤッ子の手元、ミッツの手元、ハルの目の向きの、3つを1画面に入れる。


弾き終わる。


ヤッ子「もしも、ギターも白と黒に色分けしたら、ごちゃごちゃするんだろうな」


ヤッ子「ギターのフレットはこのように、どのフレットも平等だが、ピアノは「よく使う音」を白く手前に配置しただけだ」


ハル「ヤッ子先生の演奏は、ピアノではこうなるのかな?」紙を出して、ピアノの鍵盤の、手前側を隠す。鍵盤の手前の、白鍵だけの部分が隠れ、白鍵と黒鍵の縞模様のように見える。紙の色は、薄い青が良さそう。


鍵盤の、先端から奥までの、全部が見えている状態。鍵盤の先端の手前側から、紙が近寄り、先端から徐々に紙で隠す。鍵盤が少し透けて見えているが、縞模様の状態になったところで、透けない状態にし、縞模様だけにする。


ヤッ子「それが、ギターとピアノの関係だ。もうちょっと言うなら、ピアノっぽい見え方を、弦が1本だけのギターっぽい見え方にした」


ヤッ子「よく使う鍵盤と、それ以外の鍵盤は、色は白と黒だが、平等に並んでいるのがギターっぽいな」


ハル「よく使うって、何か理由がありそう」


ヤッ子「「ハ長調」という言葉を、聞いたことは無いか?」


ハル「うわっ、そういった単語、大嫌い」


ミッツ「ハ長調って、音楽の基本だよ」


ヤッ子「「金管楽器」という言葉からは、楽器の成り立ちとか、知らないと減点されるような気分になるが、「ラッパ」という言葉なら、楽しそうだろう?」


ハル「そうですね」


ヤッ子「なぜ、簡単な「ラッパ」という言い方と、面倒な「金管楽器」という言い方があるのか。「金管楽器」という言い方の意味は何か」


これ以外の例では、簡単な「バイク」の呼称と、「原動機付自転車」「大型二輪車」など。エンジンがあるから「バイク」と呼んだのに、「自転車」なのは、意味があるなど。


ハル「知りたいです」


ヤッ子「楽譜にも謎が多くて、その謎解きをするのが、楽典だ」


ハル「じゃあ、ハ長調って言葉にも、意味はあるんですか?」


ヤッ子「もちろんだ。テストではないんだから、知らなくても減点は無い。謎解きができた喜びがあるが、人生がどれだけ豊かになるかは、まあ、人それぞれってことだな」


ミッツ「よく使う鍵盤っていうのはね、この鍵盤だけでも、曲を作れるってこと」


ヤッ子「ああ、フレットとフラットの話だったな。弦の、振動する部分の長さが、短くなると高い音、長くなると低い音だ」第1弦で、あちこちのフレットを飛び回りながら鳴らすと、振動する部分が色変わりする。


ヤッ子「このフレットという刻みがあり、ギターでは、この刻みに従って、音の高さが変わる」ギターのフレットが、一斉に、赤くなって点滅する。


ハル「電池を使って、フレットとフレットの中間の高さを鳴らすという話は、今の話題とは別な話しですね」


ヤッ子「このフレットの、1つ分、低くするのが「フラットにする」で、高くするのが「シャープにする」だ」


ハル「フレットとフラットは、偶然、似ているってだけで、語源の繋がりは無いんですね」


ヤッ子「語源は知らないが、偶然似ていると思っていても、いいじゃないか。学者じゃないんだから」


ハル。不満気に。「ええーっ」


ヤッ子「興味があって、あれこれ知りたい、調べたいという気持ちは大切だ。しかし、すぐに完全解決できないこともある」


背景に、トランプをめくって、マークと数を確認する。「この場で、すぐに確認できた」


背景に、クイズの書籍のページをめくって、答えを見る。「この場で、すぐに確認できた」


ヤッ子「過剰な期待をされても、こっちは困るんだ。私自身も、このアニメも、音楽のあらゆる事柄が解決できるという期待は、荷が重いぞ。ついでに言えば、専門家でも意見が分かれることに、ここで決着するのも無理だな」


ヤッ子「そもそも、楽典の説明は、例えば音名の説明を始めたら、それに関連することも説明しないと中途半端だ、だからと、関連することに踏み込むと焦点がボケるとか。説明アニメが、万人に高評価されるのは、無理ってもんだ」


ヤッ子「学校では、「教科書の内容」は教えても、「教科書の内容に関連する、あらゆる事柄」を教える義務は無い。教科書から逸脱した話は、「余談っぽいな」「サービスだ」と思ってくれ」


ヤッ子「患者に病状を説明する医者は、医学や解剖学の全部ではなく、病状に関する部分だけ説明するだろう」


ヤッ子「私だって、生身の人間だ。アニメには、時間制約がある。世にある、音楽関連の情報の全部を網羅するなど、不可能だ。過剰な期待は困る」


ヤッ子「生身の人間である私が、これまで時間を掛けて、少しずつ集めた情報にも限界はあり、君達は私とは違った縁をもって、私の知らない情報を得ることはある。その手助けをするだけで、勘弁してくれないか」


ミッツ「ついでに補足すると、余談が好きなハルのために、楽典をメインとしながら、多くの余談を入れてますよね。もし、余談が無ければ、昭和のSFの宇宙旅行の味気ない食事みたいな「栄養満点の錠剤1つ」のような楽典になります」


ヤッ子「楽譜の読み方を、大胆な「要するに」で言うと、「高さと時間」の2次元だけだ」


ハル「2次元? 折れ線グラフのようなものですか? 僕達は3次元の世界で生きているとか」


ヤッ子「そうだ。楽譜を見ると、「高い、低い」は、見てわかる。それを「どれだけ高いか」を知ること。右に進むのはわかる。それを「どのタイミングか」を知ること。たった、それだけだ」


ハル「う……、うん。そうですね」


ヤッ子「楽譜を読むのが「難しい」と言われるのは、高さを、無味乾燥でつまらないのなら、覚えられないからと、あれこれ便利な「調キー」「コード」などがあるからだ。便利な道具の使い方を覚えるのが、面倒に感じる理由だ」


ヤッ子「なぜ便利なのかの前に、不便だな、面倒だな、この規則性なら、まとめたら簡単だと、そうすれば納得できる」


ハル「教室で、出席番号の偶数と奇数で分けたら簡単とか、サッカーやバスケットボールの試合で、ユニフォームがあればチーム分けがわかりやすいとか」


ヤッ子「そう! そんなんだよ! そこで、「偶数と奇数とは何か」の説明が難しく、ああ、本当の「偶数と奇数」だけなら簡単だが、音楽の「調キー」「コード」なら、説明も理解も難しいということだ」


ミッツ「入学式や卒業式で、椅子をどのように配置するか」背景に、横6列に配置した場合と、横10列に配置した場合を表示する。


ヤッ子。少し考えて。「うん、そうだ。その場合は、割り算の「余り」を理解する、その前に掛け算の「九九」を理解する」


ヤッ子「愚直に並べても良くて、椅子が余った。慣れたら、椅子がいくつあって、何列に並べたら、何行になって、いくつ余るか。人数との関係など、実際に並べる前に知りたくなる」


ヤッ子「そこで、便利な道具としての「九九と割り算と余り」があるのだが、「先にそれを知らないと駄目」なら、うんざりする」


ヤッ子「楽典もそうだ。「どれだけ高いか」「どのタイミングか」だけで、楽器を鳴らしてみて、誤ったら自分でわかる。遊びや練習の時期に、たったの一度でも、誤った音を出してはいけないという制約も無い」


ヤッ子「カラオケで、軽い気持ちで、ちょっと歌いたいから、歌詞を読むのと似ている。ちょっと歌いたいだけだから、「韻を踏む」「2つの意味を持つ」「同音異義語」を知らなくても、いいだろう」


ヤッ子「それなのに、便利な道具の「調キー」「コード」を先に知るべきというから、難しいという気持ちになる」


ヤッ子「様々な場面で「こうすれば簡単だ」がある。いきなり「便利な方法を教える」より、「何か、便利な方法が無いかなぁ」という、余談を発端とする。余談で彩る」


ヤッ子「このアニメも、「縦軸と横軸」だけに特化したなら、30分間で終わるだろう。そこに、早坂君という、余談が好きなキャラ、ふと疑問が浮かぶキャラに合わせて、「便利な道具」も共に教えるから、こんなに長くなった」


ヤッ子「この脚本は、30分間の12話として書かれているが、アニメに相応しく、適切な情報の取捨選択をしなければ、とても時間内におさまらないだろう」


ハル「余談があるのは嬉しいけれど、余談ばかりで食べ過ぎの肥満にならないか、心配だな」


▼ CM明け。   ▼──   ──▼


CM明けの定型。他の登場人物は知らない、自宅などの場面。


今回は例外で、吹奏楽部の練習。


吹奏楽部の練習。


転校でステラが入部。


背景に人物紹介。「ステラ」「星山空見( )ほしやま・くみ)」「中学1年生」。既に人物紹介はしたが、改めて行う。


ステラ。部室の正面( )黒板の前)に立ち、自己紹介をする。「今日、転校して来た、1年生の、星山空見( )ほしやま・くみ)です」


ステラ「えっと、前の学校では、星山の「星」のイタリア語で「ステラ」と呼ばれていました。ここでも、そう呼ばれたら、嬉しいです」


ステラ。周囲の反応を見る。心の声。「( )「ステラ」って呼んでほしいなんて、自分から言うのは恥ずかしいな。前の学校で呼ばれていたってのは嘘だけど、信じてくれたらいいな)」


ショージ。心の声。「( )昨日、学校の近くを歩いていた子だ。同じ部活に入ってくれた。神様、ありがとう)」鼻から、大量の花( )花びらではなく、花そのもの)が吹き出す。


背景に人物紹介。「ショージ」「東海林翔児( )しょうじ・しょうじ)」「中学2年生」。


吹奏楽の先生「こら、東海林君、花を撒き散らさないでくれ。後で、ちゃんと掃除しなさい」


ステラ「楽器は初めてですが、よろしくお願いします」お辞儀。


ステラ。ショージの花を見て、心の声。「( )歓迎してくれてるんだよね、きっと)」


拍手。


ステラ。トロンボーン担当になる。席に着く。


ステラの目の前が、クラリネット担当のショージ。


ステラ。軽く見渡すと、ホルンが、ベルに手を入れている。


ステラ「あの楽器、ラッパのところに手を入れていますね」


トロンボーン先輩「ラッパって? ああ、ホルンはベルに手を入れるんだ」


ステラの前に座っているショージが、話に割り込む「ベルって言うんだよ。朝顔とも言う」ショージの鼻が、朝顔になる。


ステラ「朝顔ですか」


ショージ。自分のクラリネットを指して「クラリネットのここも朝顔。トロンボーンもここが朝顔」


ステラ「朝顔が多くて、素敵ですね」


ショージ「でも、サックスだけは、ウツボカズラ」


サックスを持った生徒を表示する。背景に、ウツボカズラの絵と、「ウツボカズラ」の文字と、「食虫植物」の文字。


サックスの生徒「これも朝顔だよ」



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