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ガクテン  作者: 不定音高ふたつ


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05_B__01_09  第5話 Bパート 分割 1 / 9

第5話 Bパート 分割 1 / 9


【 第5話 概要 】

サブタイトル:ゲオルギア。

OP曲前:ステラが引っ越して来た日。平日で、母親と買い物、学校の近くを通る。メルヘンの服装のステラに、グランドにいたショージが一目惚れ。

Aパート:楽語はイタリア語が多い、ローマ字読み、イタリアの首都がローマ。ローマ数字は音階、和音、大文字小文字は長短。メトロノームとベートーベン。速い6/8拍子。モーツァルトの『鏡』。俳句は4拍子。

CM明け:音楽の先生が自動車免許の更新。今朝の星占いは最悪。ここにいるのは、ほとんどが同じ星座。この場所は、最悪の星座の人の集まりで、びくびく。

Bパート:トロンボーンの楽譜が2声、音符の下に休符。「♯」「#」の違い、紛らわしいカタカナ。ドイツ語の音名「H」の由来。音楽理論を用いた非難は、いじめの構図と似ている。デタラメの効用。新手法の否定。憲法の自由。

Cパート:クラシックギターでは、3声を1段に書いている。

予告:ヤッ子の姉には夢があり、ステラは海老逃げし、ハルはみんなから「好きー!」って抱き着かれる。宇宙人には、どう説明すればいいんだ?


 ○ --- ○ --- ○


ここから本文です。

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▼ Bパート。   ▼──   ──▼


吹奏楽部。


ステラ「これが、新しい曲ですか」楽譜をしげしげと見る。


ステラ。先輩に質問。「これ、音符の上に休符があるんですが、鳴らすんですか? 鳴らさないんですか?」第1トロンボーンと第2トロンボーンが、1枚に書かれているパート譜。


トロンボーン先輩「これは、2声を1段に書いたもの。ホラ、こっちの楽譜と同じだろ」


ステラ「ほんとだ。いつもは先輩の方が忙しいのに、この楽譜は全く同じ」


ステラ。先輩に笑顔を向けて。「お揃いですね」


トロンボーン先輩「ここを見てごらん」パート名の部分を指す。「「Tb.1.2.」と書かれているだろう。「第1トロンボーンと第2トロンボーン」の意味だから」


画面で、2種類の楽譜。いつものは、先輩の楽譜には「Tb.1.」、ステラの楽譜には「Tb.2.」で、中身が違う。文字で「いつもの楽譜は、先輩の方が忙しい」を添える。


今日のは、どちらにも「Tb.1.2.」で、中身も同じ。


トロンボーン先輩「楽譜は、1人の歌手が見るための、1人分の音符だけのものもあれば、AさんとBさんが掛け合いのようにする、2人分の音符があったりするよ」


ステラ「へぇ。そこで、この、音符の上の休符は、音を鳴らすのか鳴らさないのか、どっちです?」


トロンボーン先輩「こういった楽譜の場合、上側が第1トロンボーンで、下側が第2トロンボーンだから、第1が休符、第2が音符を担当する」トロンボーン先輩が指でなぞると、魔法のように、楽譜の第1担当分と、第2担当分が、色分けされる。


トロンボーン先輩「音符の棒が、上向きが第1、下向きが第2の担当だったり、ホラ、ここでは棒は下向きで、玉が2つあるだろう、第1が上の玉、第2が下の玉を演奏する」


ステラ「なるほど。ありがとうございます。あれ? ここは、玉が1つだけ」


ショージが、振り返って何か言おうとしたので、トロンボーン先輩が遮る。


トロンボーン先輩「ここに「a.2」とあるから、「1つの玉を2人で」の意味だ。他には、「一緒に」のユニゾンの「unis.」と書いてあったり、2人に分ける時は「分割」の「div.」と書いてあったりする」


背景に、「分岐」「合流」の表記あれこれ。


ステラ「はい、わかりました」


吹奏楽の先生「みなさん、譜読みは終わりましたか? では、最初はゆっくりと、このテンポで、やってみましょう」背景に「譜読み」と、そのフリガナ。


ステラとトロンボーン先輩が、急いで楽譜を譜面台に置き、構える。


演奏は、所々、上手くいかないが、それなりに最後まで行く。


吹奏楽の先生「はい、初見ながら、よくできました。では、改めて個人練習にしましょう。あの時計で、30分までとします」


ステラ「初見って、何ですか?」背景に「初見」と、そのフリガナ。


トロンボーン先輩「初めて見た楽譜で演奏すること」


ステラ「そんなことが、できるんですか? 日本語でも難しいのに、初めて見た楽譜を演奏できるんですか?」


トロンボーン先輩「要するに「慣れ」って言えばそれまでだけど、慣れるってことは、パターンをたくさん知ってるってことだから」


ステラ「パターン?」


トロンボーン先輩「日本語の文字だって、デタラメに文字が並んでいたら、ゆっくりでも読めない。日本語として書かれていたら読める」


トロンボーン先輩「「甘さひかえめの」と書いてあれば、次は何か食べ物か飲み物が来ると予測できる。「ケーキ」「カフェオレ」「大福もち」とか」


ステラ「そうですね」


トロンボーン先輩「まあ、食べ物じゃなくて、「甘い言葉」ってのもあるけど」


トロンボーン先輩「譬えれば、将棋のプロ棋士は、棋譜を暗記できても、デタラメに並べられたものは暗記できない。丸暗記といっても、手掛かりが必要だってこと」


トロンボーン先輩「臨時記号で♯があったら、次は上がることが多い。♭だったら、次は下がることが多い」


ステラ「本当ですか?!」


トロンボーン先輩「何となく、そんな気がする。まあ、曲ってのは出逢いだから、たまたまなのかも」


ステラ「そしたら、円周率を暗記する人って、すごいですね」


ショージ。振り返って「円周率! って……」


トロンボーン先輩。ショージを遮って。「そう、すごい。けれど、丸暗記のためには、やはり手掛かりとして、独自の物語などを作っているらしいね」


ショージ「丸暗記ってマルの面積は、にーパ……」


トロンボーン先輩「さ、練習しよう」


▽ 場面変更 ● ── ●


先生ちゃん。難解な曲で知られるラフマニノフ。


説明用の別世界。背景は無地。


先生「私は作曲家のラフマニノフだ」急に怒鳴り声で「誰だ! 私の顔を見て、スパイのリヒャルト・ゾルゲだと思った奴は!」


ゾルゲは冗談に使わない方が良いかも。


先生「「曲として」なんて言い方は、余計な誤解を誘うが、よく使われる手法を知っておくと、楽譜を読みやすくなる。とても頻繁に使われる手法には、名前も付けられているから、名前を知っておくと会話にも役立つ」


背景に、いくつかの音楽用語が飛び交う。「解決」「半終止」「ドッペルドミナント」「平行調」などなど。


先生「これらの音楽用語を調べたり、誰かに聞いたら、知らない音楽用語を使われて困ることがある。そんな時は「完全に理解できる超人」「全く理解できないド素人」のどちらかってのは、窮屈な考え方だ」


先生「学んでいる最中は、誤解は付きものだ。他の何かを縁として、誤解が解けることがある。だから、窮屈な考えよりも、「誤解しているかも知れないが、何となく安心」を増やそう」


先生「例えば、曲の終わりが「ああ、終わった」という感じがするなら、それは「完全終止」という終わり方です。完全終止ではなくても、「これは落ち着く」という感じがしたら、「解決した」と言うことがあります」


先生「音階スライドで、ドを根音とした和音、ソを根音とした和音、ファを根音とした和音の3つを「主要三和音」と呼んで、この3つだけで作られている曲も多い」


先生「音階に選ばれた音を、このように積み上げた和音は、よく使われる」ダイアトニックコードの楽譜。


先生「細かい音符が続いているから、覚えるのが大変だと思ったらファとシを使わない「四七抜き」だと気付いて、気が楽になることもある。曲の、ほんの一部分だけ「四七抜き」ということもあります」楽譜のヨナ抜き。


先生「音階に選ばれた音や、ペンタトニックに選ばれた音が使われている部分があって、それ以外の音が使われていても違反ではないよ。珍しいなと思ってみよう」


先生「「珍しい」と思うってことは、「覚えやすい」ってことだね。「珍しい」と思えるのは、「よく使われる」を知っている、「パターンを知っている」、これが「慣れ」だな」


先生「和音外音が、いきなり鳴ったら、和音構成音に行きたがる」


先生「なんていうような、こじつけでもいいから、自分なりの「よく使われる手法」を、自分勝手に見つけよう。「名前は知らないが、あの曲にあった手法に似ている」とかね」


先生「音楽理論を学んだら、これまで普通にしていた手法に、仰々しくも名前が付いていて、「え? わざわざ、これを学ぶのか!」と、驚くこともある」


▽ 場面変更 ● ── ●


先生ちゃんの説明が終わり、さっきの続き。


ステラ。恐る恐る話しかける。「あのお、先輩、ここのところ、音符が多いと思います。1小節の時間から、溢れています」


トロンボーン先輩「あ、ほんとだ。すごいね、よく見つけたね。これはきっと、16分音符が4つじゃなく、32分音符が4つだろう」


ステラ「それから、ここの辺り、前のページと似ているんですが、前のページは♯があるのに、こっちはありません」


トロンボーン先輩「それは、似ていても、別な箇所だから、それぞれの通りに演奏するんだろう? あ、ちょっと待って」先生のところに行き、総譜を確認する。


トロンボーン先輩と、吹奏楽の先生が会話している。先生が驚きと喜びの表情。


トロンボーン先輩。大きな笑顔で戻って来る。「さすがだよ。両方に♯が付くのが正しい」


吹奏楽の先生「皆さんにお知らせです。トロンボーンの星山さん、ああ、ステラさんと呼んだ方がいいのかな、ステラさんが見付けてくださいました。楽譜の誤りが、あります。Cメロの……」


注意書きを表示。現在では、コンピュータを用いた楽譜作成も増え、誤りは少なくなっています。


ステラ。トロンボーン先輩に。「ありがとうございます」


ステラ。手で♯を記入するが、玉の左上に書く。


トロンボーン先輩「あ、そこじゃないよ」


ステラ「え? ♯は左側に書くんですよね」


トロンボーン先輩「左側なのは正しいけど、♯や♭は、玉と同じ高さに書くんだ」背景に、誤りの例と、正しい例。


トロンボーン先輩。自分の楽譜に、正しく♯を記入し、ステラに見せる。楽譜が画面に大きく表示され、音符の玉と「♯」が同じ高さであることを、ぼんやりの色と差し棒で示す。


ステラ「はい、ありがとうございます」消しゴムで、誤った♯を消して、書き直し、トロンボーン先輩に見せる。


トロンボーン先輩。差し出された楽譜を見る。「そう、それで正しい。でも、小さな「♯」だね」ステラが書いたのは、「♯」の横棒2本が共に水平で、五線の間よりも小さくなっている。縦の線が斜めになっている。


ショージ。立ち上がり、割り込んで見る。「ああーっ、本当だ。ステラちゃんは、シャープも可愛い、可愛いシャープ」ショージの鼻に花が咲く。


トロンボーン先輩が、トロンボーンを吹きながらスライドを延ばし、ポルタメントのボケのスライド演奏で、ショージの花を直撃。この時、スライドの先端に、ボクシングのグローブ|( )《 》コミカルなデザインで)があるのも良い。


トロンボーン先輩「ステラちゃんが書いたのは、シャープじゃなくて、井桁だよ」


ステラ「イゲタ?」


トロンボーン先輩「そう」楽譜の余白に、「#」と「♯」を書く。「これが井桁、これがシャープ」背景に、「水平、斜め」「斜め、鉛直」と説明。


ステラ「これって、違うんですか?」


トロンボーン先輩「違うんだよ。ひらがなの「へ」と、カタカナの「ヘ」は、見た目の区別はできないけど、井桁とシャープは、はっきり違うだろ」


ステラ「ありがとうございます。書き直しますっ!」


ショージ。振り返って。「ステラちゃんは、いつも「ありがとうございます」って言うね」


ステラ「え? はい。え? おかしいですか?」


ショージ「おかしくない、おかしくない。感謝されるのは、こっちも嬉しい」


ステラ。ショージの言葉を無視する。今度こそ正しく書こうとする意気込みで、不二家のペコちゃんのように舌を出して、真剣な眼つきで書き直す。トロンボーン先輩に見せる。


トロンボーン先輩「そう、綺麗に書けたね」言いながら、トロンボーンのスライドを伸縮させる。ショージが振り向こうとするのを、牽制している。


トロンボーン先輩「場合によって違うけど、ちょこっとしたことを、大袈裟にすると、綺麗になることがあるよ。例えば、漢字では「成」の、ここや、ここって、意外と線が長いんだ」


背景に、漢字の「成」が表示される。右下の、上に向かうはねが、意外と長い。次の、線を切るような「ノ」の線も、意外と長い。この2つの「意外と長い」を、ぼんやり色で示す。「ここが、意外と長い」の文字も表示する。


ステラ「イゲタって、何に使いますか?」


トロンボーン先輩「番号の「ナンバー」のように使ったり、電話のボタンに使ったり、普通に使われているよ。それと比べて、シャープは音楽専用」


ステラ「電話のボタンは、みんな「シャープ」って言ってますよ」


トロンボーン先輩「正しくはないけど、井桁と言うよりも伝わりやすいからだと思う。まあ、俺は違和感があるけどね」


▽ 場面変更 ● ── ●


先生ちゃん。ジョン万次郎。


説明用の別世界。背景は無地。


先生「はっはっは、英語の「今は何時ですか?」を「掘った芋、いじんな」と記したのは、この僕なのだよ」


背景に、英語の「WHAT TIME IS IT NOW」、カタカナのフリガナ「ホワッタイム・イジット・ナウ」、ひらがな「ほったいも・いじっ・な」、漢字「掘った芋、いじんな」を、順番に。


先生「シャープと井桁は、よく似ていて紛らわしいよね。これ以外にも、似ていて紛らわしい文字は、多いよね。特に、カタカナが多いと思うけど、どうかな?」


先生「手早くメモすると、後で解読が難しい。楽譜に手早くメモして、でも、このメモは残しておきたいから、後で書き直すか、丁寧に書くかで、迷うよね」


先生「カタカナの発祥は、お経の漢字の隙間という、狭いスペースに、発音記号を書いたことなんだ」


先生「お経の意味や、漢字の意味とは無関係でもいいから、狭い場所に単純な線で表現したんだよ」


先生「でも、デザインの参考にしたのは漢字であることと、単純な線で表現したことで、似ていて紛らわしい文字もできてしまった」


先生「紛らわしいから、デザインを変えてくれないかなあ。今のうちに変えたら、やがて50年か100年もしたら、「昔は、このように書いていた」というものになるかもね」


以下の、紛らわしい例は、先生ちゃんが話しているところで、背景を飛び回るようにする方法もありそう。


カタカナの「カ」と、漢字の「力」。


カタカナの「ロ」と、漢字の「口」。


カタカナの「タ」と、漢字の「夕」。


カタカナの「エ」と、漢字の「工」。


カタカナの「チ」と、漢字の「千」。


カタカナの「ト」と、漢字の「卜」。


カタカナの「ニ」と、漢字の「二」。


カタカナの「ハ」と、漢字の「八」。


カタカナの「ヒ」と、漢字の「匕」。


カタカナの「ヒ」と、漢字の「七」。


カタカナの「ホ」と、漢字の「木」。


カタカナの「オ」と、漢字の「才」。


カタカナの「ヌ」と、漢字の「又」。


カタカナの「カロ」と、漢字の「加」。


カタカナの「タト」と、漢字の「外」。


カタカナの「ムロ」と、漢字の「台」。これら、2文字の例は、とにかく多い。


カタカナの「ヘ」と、ひらがなの「へ」。


カタカナの「ベ」と、ひらがなの「べ」。


カタカナの「ペ」と、ひらがなの「ぺ」。


カタカナの「レ」と、ひらがなの「し」。


カタカナの「ヒ」と、ひらがなの「と」。


カタカナの「フ」と、ひらがなの「つ」。


カタカナの「ニ」と、ひらがなの「こ」。


カタカナの「ユ」と、数字の「2」。


カタカナとひらがなの長音「ー」と、記号の「-」と、漢字の「一」。


カタカナの「リ」と「ソ」。


カタカナの「リ」と「ン」。


カタカナの「ソ」と「ン」。


カタカナの「ナ」と「メ」。


カタカナの「シ」と「ミ」。


カタカナの「シ」と「ラ」。


カタカナの「ク」と「ケ」。


カタカナの「ア」と「マ」。


カタカナの「ヤ」と「カ」。


カタカナの「ヤ」と「セ」。


カタカナの「コ」と「ユ」。


カタカナの「シ」と「ツ」。


カタカナの「ス」と「ヌ」。


カタカナの「ル」と「ノレ」。


ひらがなの「わ」と「ゆ」。


ひらがなの「に」と「しこ」。


ひらがなの「に」と、数字の「12」。


カタカナの「ワ」と「ク」と、数字の「7」。


カタカナの「フ」と、数字の「7」。


カタカナの「メ」と、記号の「×|( )《 》バツ)」。


先生「古い資料を見ると、今とは違う文字があって、「昔は、このように書いていた」を見付けることがあるよね。今の時代にカタカナのデザインを変えたら、50年後の人が驚くかも。このアニメが歴史を変えたってさ」


先生「余談だけど、ひらがなの発祥は、カタカナとは別なんだよ。ひらがなとカタカナは、別々に広まって、現在に至ったんだ。どちらも、意味よりも音を優先した表音文字だね」


先生「日本と同様に、中国から漢字を輸入した朝鮮は、今は韓国と北朝鮮になっていて、そこで使われているハングルも、表音文字だ」


先生「発音を文字にしたのだから、ハングルで漢字を表現した場合、別な漢字なのに、読みが同じだったら、どちらも同じハングルになるものがあるよ。これは、日本語のひらがなで、漢字の読みを表すのと同じだよね」


先生「漢字は、2つ以上の漢字を組み合わせて、1つの漢字にすることもあるね。でも、意味とは無関係に、読んだ音で組み合わせたものもあるよ」


先生「例えば「語」だ。これは「言」と「吾」だけど、「吾」は「私の」の意味とは関係ない。「言葉がお互いに通じる」で「言」と「互」を合わせればいいのに、なぜか「互」と同じ音の「吾」と合わせた」


先生「この場合、「「吾」は「互」の音符」と言うよ。音符だけど、楽譜とは関係無いね」


▽ 場面変更 ● ── ●


音楽室。


放課後。


ハルがピアノで、ペンタトニックを確認している。音階スライドをずらしながら、各調のヨナ抜き。


鍵盤モノサシは、鍵盤が3オクターブ、音階スライドが2オクターブ。音階スライドは上半分を向こう側に180度折り曲げて、鍵盤モノサシにかぶせるように工夫している。こうすると、譜面台に立て掛けられる。


ヤッ子「おお、早坂君。ピアノで遊んでいるな」


ハル「あ、ヤッ子先生、ピアノをお借りしてます」


ヤッ子「私はいいが、音楽の先生の許可はとったか?」


ハル「もちろんです。ところで、今、ペンタトニックで作曲しようとしているんですが、うまくいかなくて」


ヤッ子「作曲か、面白いな」


ハル「どうしても、ペンタトニック以外の音も使いたくなって」


ヤッ子「ペンタトニックは、目安のひとつだ。芸術に制限はいらない。ペンタトニックで選ばれた音以外も、気分次第でどんどん使いたまえ」


ハル「いいんですか?」


ヤッ子「もし、ペンタトニックだけという課題なら、それ以外の音を使うのは反則だ。しかし、芸術では、制約は不要だ。ペンタトニックからも、音楽理論からも、自由になって良し」


ヤッ子「奔放な発想の妨げになるのは、「普通はこうだ」というのが、最初に思い描かれることだ。その呪縛から、解き放たれるのが大切だ」


ハル「でも、それが面白くなかったら?」


ヤッ子「出来上がりが面白いかが、芸術だ。呪縛から解き放たれるのはいいが、デタラメだったら面白くない」


ハル「ですよねぇー」


ヤッ子「そこで、迷走したり行き詰まったら、「普通はこうだ」を思い出したり、音楽理論を思い出すのも、脱出の方法のひとつだな。奇抜に思われる表現、安定していると思われる表現、手法は様々だ」


ハル「課題じゃなくって、奔放な発想の指針に、「普通は」とか、音楽理論が役立つんですね」


ヤッ子「芸術は、単体で評価されることもあれば、状況を含めて評価されることもある。思い付いた時につまらなくても、別な状況では面白くなることもある」


ハル「状況によって評価が変わるって、ずるくないですか?」


ヤッ子「場所柄ということだな。例えば、何かの冗談を言って、ある場面でウケたから、「この冗談は、いつでも面白い」と思うのは、気を付けたいな」


ハル「なるほど。場所柄を誤って、ウケないからと言って、「冗談も通じない、下らない人達」と、周囲を恨むのは、誤りですね」


ヤッ子「音楽に限らず、映画や書籍も、期間を経て、見たり読んだりすると、感じ方が違うこともあるだろう」


ハル「年齢によって、人生経験によって、好みが変遷することって、あるらしいですね」


ヤッ子「デタラメは面白くないとは言ったが、デタラメや失敗の中から、思わぬ効果が見つかることもある」


ハル「失敗なのにですか?」


ヤッ子「そう。例えば、ピアノの鍵盤で「ド、ミ、ソ、ド」を弾こうとして、高い「ド」を弾くのを失敗して、「ド、ミ、ソ、シ」になったらどうだ?」


ハル。弾いてみる。「あ、きれい」


ヤッ子「失敗やデタラメから、そんな思わぬ効果が発見できる場合もある」


ハル「思わぬ効果が、これまでに無い、新しい音楽理論が発明されることもありそうですね」


ヤッ子「そういうことだ」


ハル「でも、あまり期待はできないような気がします。そうだ、演奏が下手な今だからこそ、新たな発見がありそう」


ヤッ子「ははは|( )《 》笑う)、そうだな」


ハル「そういえば、岡本太郎も、「デタラメをやってごらん」って、言ってましたね」背景に、岡本太郎の似顔絵や、太陽の塔などを表示する。


ヤッ子「その話は、私も聞いたことがあるが、「デタラメが正しい」という意味なのか?」



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