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ガクテン  作者: 不定音高ふたつ


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05_A__02_02  第5話 Aパート 分割 2 / 2

第5話 Aパート 分割 2 / 2


【 第5話 概要 】

サブタイトル:ゲオルギア。

OP曲前:ステラが引っ越して来た日。平日で、母親と買い物、学校の近くを通る。メルヘンの服装のステラに、グランドにいたショージが一目惚れ。

Aパート:楽語はイタリア語が多い、ローマ字読み、イタリアの首都がローマ。ローマ数字は音階、和音、大文字小文字は長短。メトロノームとベートーベン。速い6/8拍子。モーツァルトの『鏡』。俳句は4拍子。

CM明け:音楽の先生が自動車免許の更新。今朝の星占いは最悪。ここにいるのは、ほとんどが同じ星座。この場所は、最悪の星座の人の集まりで、びくびく。

Bパート:トロンボーンの楽譜が2声、音符の下に休符。「♯」「#」の違い、紛らわしいカタカナ。ドイツ語の音名「H」の由来。音楽理論を用いた非難は、いじめの構図と似ている。デタラメの効用。新手法の否定。憲法の自由。

Cパート:クラシックギターでは、3声を1段に書いている。

予告:ヤッ子の姉には夢があり、ステラは海老逃げし、ハルはみんなから「好きー!」って抱き着かれる。宇宙人には、どう説明すればいいんだ?


 ○ --- ○ --- ○


ここから本文です。

ご感想を頂けると嬉しい。ログイン不要ですので、お気楽に一言をお願いします。

▽ 場面変更 ● ── ●


先生ちゃん。


説明用の別世界。背景は無地。


先生「私はベートーベン。世界一有名な作曲家だ」


先生「私の友人であるメルツェルが発明したメトロノームは、発明されるまでに長い年月を要した」


先生「1581年、振り子の原理に最初に気付いたのはガリレオだ。「ガリレオ・ガリレイ」で、なぜか姓の「ガリレイ」よりも、名の「ガリレオ」で呼ばれる、フランクな人なのかな?」


先生「振り子の振れるテンポは、錘( )おもり)の重さではなく、振れの大きさでもなく、糸の長さに由来する」


先生「1656年、振り子を時計に利用したのは、ホイヘンスだ。糸でぶら下げただけなら、錘は円形に振れる。ホイヘンスは、サイクロイド曲線で振れるようにした。これにより、正確性がアップした」


先生「1728年、航海する船の中でも使えるように、携帯できる時計を発明したのは、ハリソンだ」


先生「そして、1816年、我が友人のメルツェルが、メトロノームを発明した」


先生「現在は、水晶とコンピュータを用いたメトロノームも使われている」


先生「ガリレオから始まったメトロノームの歴史は以上だ」


先生「私はそれまで曲のテンポを言葉で記していたが、過去に発表した曲のメトロノーム表記を新聞発表した」


先生「普通は、「音符=数字」だけで通じるが、「M.M.音符=数字」と書くこともある。「M.M.」とは「メルツェルさんのメトロノーム」の意味だ」


先生。『メリーさんの羊』の替え歌で、「♪メルツェルさんの、メートロノーム」と歌う。


背景に「M.M.音符=数字」の、「M.M.」部分に差し棒で「メルツェルさんのメトロノーム」と表示。


先生「しかし、音楽は、気分の高揚をもたらすので、気分によって途中でテンポが変わることはあるだろう」


▽ 場面変更 ● ── ●


先生ちゃんの説明が終わり、さっきの続き。


ステラ「イタリア語が使われているのは、楽語だけですか?」


ミッツ「ローマ数字も使われている」紙に、ローマ数字を1から11まで書く。


ローマ数字は、環境依存文字なので、当脚本では用いない。


ミッツ「ローマ数字は、右側に「1」を書くと「プラス1」、左側に「1」を書くと「マイナス1」の意味になるんだよ」


ミッツ。ローマ数字に添えて、アラビア数字を書く。ローマ数字の4は5の左に1、ローマ数字の9は10の左に1。


ミッツ「音階の番号にも、ローマ数字が使われる。そういえば、ハル、鍵盤モノサシを持っていたよね」


ハル「ああ」


ミッツ「曲は、大まかに長調と短調があって、長調ならドが主音、短調ならラが主音。主音から数えて何番目かを、ローマ数字で表すんだよ」


ステラ「あ、ノートを出すんで、ちょっと待ってください」


ステラ。さっき、メトロノームの話題の時にもノートを出していたのを忘れて、鞄を開ける。そこで、既にノートを出していたことに気付く。今度は、鞄を閉めるのを忘れる。


口が開いたままの鞄からトロンボーンの楽譜が見えている。紙が逆さまなので、最後の段だけが見えている。ハルが気になっている。


ハル。心の声。「( )あれが、トロンボーンの楽譜か。ちょっと単純な曲かな? メインメロディの部分ではなく、機械的な伴奏部分かな)」


ハル。心の声。「( )でも、おかしいな、あの楽譜、音符の旗が左右逆だ。トロンボーンだから特別なのか、逆にする書き方には意味があるのか。楽譜は、基本的にはどの楽器でも同じだけど、楽器によって少し特徴があるのかな)」


ミッツ。ノートを受け取り、書き始める。


画面の上方に「ド、レ、ミ……」と、ローマ数字の大文字で「1、2、3……」。


画面の下方に「ラ、シ、ド……」と、ローマ数字の小文字で「1、2、3……」。


ハル。ミッツがメモしているノートも見るが、ステラの鞄の口から見えている楽譜が気になっている。


ミッツ「聞いてる? ハル」


ハル「あ、聞いてる聞いてる」


ミッツ「ステラちゃん、気を付けてよ、ハルがさっきから、鞄を覗き込んでる」


ステラ「え? やだ、見ないでください」鞄を閉める。


ハル「あ、ゴメン。その楽譜、おかしくない? すごく気になって」


ステラ「楽譜? ああーんと、楽譜ね」鞄を開け、見えていた楽譜を取り出す。


ステラ「これだけど、おかしい?」ハルに、正しい向きで手渡す。


ハル「音符の旗が、左右逆だ。あれ?」紙の向きを正しく持つと、上部にタイトルが書かれている。さっき見た状態を映像で思い出す。


ハル「あれ? あれっ? これか? でもさっきは、ここ……」タイトル部分を指す。「……が、タイトルじゃなく、五線だった」


ステラ「持って来た楽譜は、それ1枚です」


ミッツ「逆さまだったんじゃないのー?」構わず、ハンバーガーを頬張る。


ハル「あ、なるほど。たしかに、さっき見たのは、この向きだ。楽譜ってさ、逆さまに見ても、何となく楽譜っぽく見えるな」楽譜を逆さまにして、さっき鞄から見えた状態を2人に見せ、指でその箇所を円く指す。


ミッツ「そうかなあ。旗の向きが逆だし、付点も玉の左だし」画像。8分音符と、付点4分音符。分身の術で2つになり、逆さまにすると違う箇所を赤円で囲む。


ステラ「細かい違いはありますが、ぱっと見た感じなら、似ているので、みあややまることもありますね」背景に、あらかじめ「見誤る」と、フリガナの「みあやまる」が表示されていて、ステラの言い間違いで瓦解する。


ミッツ。おかしくて吹き出す。笑いながら。「笑わせないでよ」


ステラ「あっ、ごめんなさい」鞄から、ポケットティッシュを出して、ミッツに渡す。


ミッツ「ありがと」ティッシュで口を拭いたり、噴き出したハンバーガーを摘まむ。


ハル。ステラが出したティッシュで、テーブルよりも飛んでいる、ハンバーガーのカスを摘まむ。


ステラ。ハルが掃除をしているのを見て、心の声。「( )早坂さんって、優しいんだな)」


ミッツ「さすが、ステラちゃん」


ミッツ。ハルに向かって。「わかった? こうしてすぐに、ティッシュを出すのが、女の子に対する優しさなんだよ。……、待って、鼻に入ってる」力強く、鼻をかむ。


ハル。楽譜を逆さまに見た話を再開する。「符桁で繋がっていたら……」符桁で繋がっている箇所を指す。背景では、分身の術で、その箇所が2つに分かれ、逆さまになる。「……そのまま読める」


ハル。楽譜をテーブルに置く。「こうして、2人で向かい合って1枚の楽譜を見て、同時に演奏して」


ミッツ「合奏ってこと?」


ハル「そう。俺にとってはこの順番が普通だから、この順番で演奏。ステラにとっては、この順番が普通だから、この順番で演奏」


ステラの楽譜をテーブルに置くと、なぜか『鏡』( )モーツァルト)の楽譜( )これは、1ページで完結する曲)になる。


ハル「それで合奏したら、ちゃんと曲になっているって、できないかな?」向かい合っているハルとステラが、なぜかモーツァルトの時代の服装とカツラ姿になり、バイオリンを持ち、『鏡』( )モーツァルト)を合奏する。


ミッツ。演奏が終わってから。「そんなの、無理に決まってるでしょ」


ハル「そうかなあ」


ミッツ「それより、こっちの説明をするよ」


ハル「あ、そうだった。これの、大文字と小文字が違うのは?」


ミッツ「長調とか長和音とかは大文字、短調とか短和音は小文字なの」ポテトを1本、口にする。「まあ、現代なら、どっちも大文字を使うことも多いけど」


ステラ「大文字と小文字で区別されるのって、なんだか、苦手」


ハル「そうなんだよな。すぐに思い出せないけど、日常生活に、あれこれありそうだな」背景に、大文字と小文字で区別する例が、いくつか漂う。


ステラ「でも、どうしてわざわざ、数字にするんですか? 何か便利なの?」


ミッツ「ハルは知ってるけど、文字だけで和音を表現する方法があるでしょ」


ハル「ああ、コードネームだな。「ド」はたくさんあって、高い「ド」とか、低い「ド」とか、区別はできないけど、「ラ、ド、ミ」の和音を「Am」という、文字だけで頑張って表現する方法だな」


ミッツ「そう、それと似ていて、このローマ数字を使う方法は、主音から何番目かっていうのを、ローマ数字を使ったの」


ミッツ「ローマ数字と、補足の数字を使ったり、あれこれ頑張って、文字だけで和音を表現している」


ステラ「主音ですか」ステラは「主音」を知らない様子。


ハル「主音っていうのは、歌が「ああ、終わった」と感じた時に、鳴っているメロディ。曲によって、どの鍵盤が使われているのかは違うけど、その時に使っている鍵盤が主音だ」


ハルは、ここで「完全終止」という音楽用語を使わない。「主音」を知らないので、「完全終止」も知らないだろうと思い遣った。


ステラ「なるほど」納得した様子。


ハル「主音の話は、まだまだあるけど、今はローマ数字が便利だっていう話を続けよう」


ミッツ「そう。ある曲は、この鍵盤が主音だったら……」テーブルに鍵盤があるつもりで、いくつかの鍵盤を、ポンポンと指で叩き、主音の鍵盤で止まる。「……この和音が鳴る」主音を根音とした和音を鳴らす仕草。


ミッツ「でも、これには重大な不便さがあった」


ステラ「便利のためが、不便?」


ミッツ「曲の途中で主音が変わったら、数え直ししなきゃ」


ハル「曲の途中で、主音が変わる?」


ミッツ「珍しくはないよ。長調の曲でドから数えていたのに、短調になったら、ラから数え直し」


ミッツ「短調の特徴が出てきたら、短調に変わったと判断するか、変わっていないと判断するかで、ローマ数字の番号が変わる、数え始めが変わる」


ミッツ「転調では、主音が同じで、長調と短調が入れ替わることもあるよ。そしたら、番号は同じまま、大文字と小文字が入れ替わる」


ハル「そうか。だったら、コードネームのように、「要するに、この音が鳴ればいい」の方が、素人には便利だな……」


ハル。ちょっと考える。「そういえば、どこかでローマ数字を見たなあ。どこだっけ……」


ステラ「時計の文字盤じゃなくて?」


ハル「うーん、楽譜で見たなあ。あ、ギターだ!」


ミッツ「ギター? コード表記で?」


ハル「違う、クラシックギターの楽譜の、フレット番号を示していた」


ハル「でも、それなら、何本かの弦を同時に押さえる「セーハ」で、「C.3」とかって書けるだろうし」


ハル「んー、なんだかわからないけど、弦の番号はマル数字で書かれているし、意味がわかるから、理由はどうでもいいかなって、気付かないふりをしてた」


▼ CM明け。   ▼──   ──▼


CM明けの定型。他の登場人物は知らない、自宅などの場面。


音楽の先生。道を歩いている。服装は、ハードボイルドの殺し屋っぽい。


この場面の、心の声に限り、一人称は「俺」とする。ハードボイルドの気分で。


音楽の先生。心の声。「( )俺は今日、非常に緊張している。もしかすると、何か、運の悪いことが起きるのではないか)」


音楽の先生。心の声。「( )なぜなら、今朝の星占いでは、俺の星座は最悪だった)」


近くで、どこかのおっさんが、おおきなくしゃみ。音楽の先生がビビビリリと震える。


音楽の先生。心の声。「( )ここではない、普通の繁華街の混雑した場所なら、最高の運勢、最悪の運勢、様々な人がいて、運勢は相殺され、危険ではないだろう)」


音楽の先生。心の声。「( )しかし……)」手には、自動車運転免許証。写真は、ハードボイルドのコスプレ。心の声の続き。「( )……この場所は危険だ)」


立ち止まって見上げた建物は、運転免許の更新する施設。


音楽の先生。心の声。「( )免許の更新は、誕生日が近い人。ということは、ここには……)」恐怖の顔になる。心の声の続き。「( )……俺と同じ正座の、最悪の運勢の人が集まっているのだ!)」


音楽の先生の頭上に、星座や十二支とは無関係の、動物や怪物がヤバい表情でダンス( )輪舞)する。


▽ 場面変更 ● ── ●


回想。


今朝の自宅を回想。


洗面所から、歯磨きしながら遠目に見た、テレビを思い出す。画面の手前に花があり、はっきり見えないが、「踏んだり蹴ったり」などの声が聞こえる。


▽ 場面変更 ● ── ●


回想が終わり、さっきの続き。


敷地内。並んでいる人がいる。


音楽の先生の、心の声が続く。うっかり傘を忘れたが、驟雨でずぶ濡れになるのではないか。つむじ風の突風で、看板が外れ、こっちに飛んで来るのではないか。並んでいる通路には、様々な看板があるため。


バスター・キートンの映画のような場面を想像する。


ただし、実際の災害を連想するのが苦痛な視聴者への配慮のため、「何かが崩れたりする場所には、人物は描かない」の手法や、「風景が歪んだり、二重になって遠近が崩れる」などの手法を用いるのが良いかも。


建物の中に入り、受付をし、講習を受ける間も、心の声が続く。


音楽の先生の背景には、様々な災難の妄想が溢れる。


食堂では、ガス漏れで爆発するのではないか。トイレの水道管が破裂して、ずぶ濡れになるのではないか。地震が起き、天井が落ちて来るのではないか。衝撃映像ギリギリセーフの主役になるのではないか。


免許の更新が終わり、帰宅の道すがらも、心の声。黒猫がよぎる。電車( )またはバス)内で向かいに座っている人の靴紐が切れている。凶兆におびえる。その他、凶兆あれこれ。


音楽の先生。心の声。「( )そうか、こういう時は、おまじないの言葉が、なんだっけ?)」


音楽の先生。小声で。「ベントラ、ベントラ……」背景に補記「これは、宇宙人を呼ぶ言葉です」を表示する。


空にUFO、トンネルに入ったら窓ガラスに宇宙人の顔。どちらも、音楽の先生は気付かない。


音楽の先生。帰宅して、妻に「良かった。無事に帰って来られた」


妻「無事にって?」


音楽の先生。ハードボイルドの衣装から、さっさと着替える。デカパンにランニングシャツ。シャツは、奇抜なTシャツのようなデザイン。体形は未定だが、デカパンはゴムの部分だけギュッと細い。


音楽の先生。洗面所で顔を洗う。「今日は、星占いで最悪の、牡羊座の集団の中にいたから」


音楽の先生。整髪料も洗い落とし、地毛のドレッドヘアになる。


妻「え? 最悪は、牡牛座よ。あなたの牡羊座は、一番ラッキーだって、テレビで言ってたでしょう」


音楽の先生。洗面所からテレビを見る。テレビが、花で邪魔されて、見えにくい。


音楽の先生「そこに花を置くのは、やめようか」


ここでは、画面の見誤りのために、牡羊座としたが、物語の特性として、星座を特定しない方が良さそう。または、星座や十二支とは無関係の、動物や怪物( )渾沌、バジリスク、クマムシなど)を星座にしても良い。



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