03_A__02_04 第3話 Aパート 分割 2 / 4
第3話 Aパート 分割 2 / 4
【 第3話 概要 】
サブタイトル:コードネームは、スロットマシン。
OP曲前:幼少の頃のハル。シメジ婆さんの家で尾翼付き折り紙飛行機。現在、テスト中に、当時の紙飛行機を再現。先生から新たな紙飛行機の折り方の宿題。
Aパート:ギターのコードから、コードネーム、和音構成音はあちこちに。音程の「完全系」「長短系」。和音構成音「だらけ」。ウクレレを勧める、楽譜をきちんとと言われない、まず絵を真似。「風呂出で 詩へ寝る」。鍵盤ドーナツ。
CM明け:ショージ。テレビドラマのセリフ「学校で優秀でも、現場じゃ何にも役に立たない」に疑問。先生より生徒が、技術が高い例。
Bパート:ハルの父親の、古いスティール弦ギターを、楽器店で保守。コード「F」の押さえ方。コードを押さえて音符が用意されている。和音外音も使われる。カポとコード表、カポでハイコードをローコードに。ムギとトロンボーン先輩。
Cパート:OP曲前の紙飛行機の折り方。
予告:ようこそってここは何の部室か、この楽器の種類は何だろう? あの日のヤッ子は恋人にさよならだ。線が多くて、数えきれないよー。
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ハル「そうなんですか?」第3弦の、5フレット目の「ド」と、第2弦の1フレット目の「ド」を見る。
ハル「あれ? 本当ですね。「ドミソの和音」だから、「シ」は書かれていませんが、これとこれが同じく「ド」ということは、4フレット目で同じ高さですね」
ハル「はい、ここまではわかりました」
音楽の先生「左手で弦を押さえて、「ド」「ミ」「ソ」が鳴れば、どの押さえ方でもいいのです。もちろん、指が届く範囲で」
ハル「ということは、この辺りでも、この辺りでも、いいんですか?」黒板を指で円く指す。
音楽の先生「いいのです。ギター演奏の工夫ですが、この辺を……」7フレット近辺を指す。「……押さえて、この弦だけ開放弦のソを鳴らすことだって、あるんですよ」
ハル「へえ、面白いですね」
音楽の先生「「ドミソ」の和音を、「C(シー)」と呼びます。Cがドミソの和音を示すことを知らなくても、楽譜を読めなくても、Cの形を覚えれば、演奏に参加できますね」
音楽の先生「オクターブ違いの重複があってもいいのです。楽譜で表現すれば、細かく指定できますが、楽譜を使わず、文字だけで頑張って表現したのが「コードネーム」ですから」
ハル「ということは、コードの「C」だけでは、どの辺り……」黒板のギターの絵の、あちこちを指す。「……なのかを、指示することはできないんですね」
ヤッ子「初心者にとっては、意味なんてどうでもいい。「C」を1種類、「Am」を1種類、「G」を1種類。というように、コードの形だけを5つか、多くて10くらい覚えれば、初心者でも参加して楽しめるってことだ」
音楽の先生「授業で使った押さえ方は、たくさんある押さえ方のうち、この辺りを使った押さえ方です」
黒板のある壁の上の方には、いくつかのギターコードの図が貼られている。音楽の先生とハルが見上げる。
ハル「バンドを組む話で聞くんですが、どれとどれを覚えるべきって、あるんですか?」
ヤッ子「覚えるべきというより、出逢った順にというのが、現実的だろうな。バンドで練習する曲で使うコードが、その人にとっての覚えるべきコードだな」
音楽の先生「コードの意味は、コードの研究には必要です。とりあえず、下手でもいいから一緒に演奏するのが目的なら、意味よりも先に、「とりあえず演奏できる」を優先します。それが、ジャズの楽しみだったのですが」
ハル「「だった」って、今は違うのですか?」
音楽の先生「一部の人達だけのようですが、コード理論を知っていることを競って、負けた人を蔑んだり嘆いたりする風潮があります。「とりあえず演奏できる」の経験を経た人なのでしょうか」
ヤッ子「一緒に楽しめるようにと、ジャズはコードを大いに活用した。なのに、せっかくジャズがそのように広げたコードネームを、音楽愛好家の中には、一緒に楽しめない道具にコードを使う人もいるってことだ」
音楽の先生「音楽は楽しいものです。謎解きを楽しみましょう」
ハル「先週の授業は、意味が分からなくても、演奏を楽しめたんですね」
音楽の先生「そう。Cだけでなく、Amなら「ラ、ド、ミ」、E7なら「ミ、ソ♯、シ、レ」が鳴れば良いのです。そんな、「和音構成音」を知らなくても、形を真似して、演奏ができましたね」背景に「和音構成音」と、そのフリガナ。
ハル「「和音構成音」ですか」
音楽の先生「和音に使われている音なので、和音を構成する音、「和音構成音」です」
ハル「和音に使われていないのは、「非構成音」ですか?」
音楽の先生「ここでは「和音外音」と言うようになっています」背景に「和音外音」と、そのフリガナ。
音楽の先生「ところで、音楽では「3+3=5」となりますが、この謎解きをしましょう」
ハル「お願いします。すごく、気になっていたんですよ」
音楽の先生「音程は、ド、レ、ミと、指折り数えて、1度、2度、3度と言うことは話しましたね。ミからラまでなら、指折り数えて4度です」
音楽の先生「和音の基本は、音符の玉をこのように、隙間無く積み重ねます」
音楽の先生。黒板に書こうとしたが。ハルの方を向いて「これからお話しするのは基本ですから、これ以外の和音もあることは、覚えておいてください」
ハル「はい」
ここで、視聴者を安心させるために、「転回形」「ベース音」「テンション」といった単語が、背後で飛び回っても良い。
音楽の先生「「ドミソ」であっても「ラドミ」であっても、指折り数える音程は、こうです」
音楽の先生。積み重ねた3つの玉の、左側に、根音から3度音までが「3度」、3度音から5度音までが「3度」と書く。3つの玉の右側に、根音から5度音までが「5度」と図示。
「ドミソの和音」なら、「ド、レ、ミ」で3度、「ミ、ファ、ソ」で3度、「ド、レ、ミ、ファ、ソ」で5度。
ハル「ミがダブっている」
音楽の先生「これが「3+3=5」の謎解きです。3度でも、長3度と短3度があります。それを、頑張って文字だけで表現したのが、コードネームです」
ハル「先日いただいた鍵盤モノサシで、長3度と短3度の違いですね」背景に、音楽の先生が、ノートの1枚に書いた、鍵盤と音程の紙を表示する。回想のように、その場面を表示するのもいい。
ヤッ子「コードネームでAmと聞いただけで、どっちの3度を使うのかわかるので、和音構成音である「ラ、ド、ミ」がわかる」
ハル「やっぱり、暗号のコードじゃないですか」
▽ 場面変更 ● ── ●
先生ちゃん。バッハ。なぜか広島弁。ただし、ここでは肩の力を抜く効果もあるため、「ニセモノの、大袈裟な広島弁」とする。広島弁以外でも良い。
説明用の別世界。背景は無地。
顔は、輪郭の大きさと、顔面(目鼻口)の大きさがアンバランス。
話の区切りで、顔の輪郭はそのままで、目鼻口の配置の窮屈さが「キュキュ」の音と共に変わる。目鼻口が、時々、顔の輪郭からはみ出しても良い。
先生「おっす。皆どもは、わしのことを、メロディの伸縮や、裏返しばかりしていると思っちょらんか? わしは、和音もよく使っているぞ」
先生「コードネームは、「根音」「コードの種類」「補足の数字」で形作られている。それぞれ、スロットマシンのように、入れ替えできる」
先生「このような、スロットマシンのような表現は、コードネームに限らず、電話番号や、列車の型番など、あらゆる使い方をしているぞ」
背景に、いくつものスロットマシンのような表現をいくつか。電話番号、列車の型番、レジ用バーコード、家電品の商品番号、学校の生徒番号、などなど。
スロットマシンのように、根音、コードの種類、補足の数字が、ゆっくりと、くるくる入れ替わる。スロットマシンの窓の外側は、透けていた方が、見やすいかも。
スロットマシンの、コードの種類には、「(無し)」「m」「aug」「dim」があるが、やや小さな文字で「長3度+長3度=増5度(改行)増和音」なども書かれている。
先生「根音は「ルート音」とも呼ばれ、「ここから数え始める」の、音の名前です。和音の基準となる、1つの鍵盤を示します」画面の下段に鍵盤、上段にはコードネームがいくつか。コードネームの根音が、それぞれ1つの鍵盤を指す。
先生「コードを覚える前は、根音だけを鳴らしても、演奏に参加できる」
先生「では、根音だけの演奏と共に、わしが歌おう」
楽譜とコードネーム。『主よ、人の望みの喜びを』(バッハ)。バッハがスキャットで歌っている顔と、バッハがベースをオルガンで指1本で弾いている手元。バッハの歌は、最高音で裏返る。
コードネームには、根音にイタリア語を添える。弾いている箇所は色を変えて強調。
先生「このように、コードネームの根音だけでも、伴奏はできる。コードを覚える前は、これでもいいじゃろ」
先生「和音の基本は、音符の玉が3つ、隙間なく積み上がっている。これが根音で、コードネームの最初に書かれている。これが3度音、これが5度音」積み重なった3つの玉に、それぞれ指し棒で「根音」「3度音」「5度音」と示す。
先生「なぜ、「3」「5」なのかと言えば、音符の玉をこのように斜めに並べると、根音から数えて3番目と5番目だから」
五線を用いない。画面左に、玉を3つ重ねた和音。画面中央から右方向に、玉を階段状に、和音の玉と、階段の玉を線で繋げる。階段の玉の下には「根1」「2」「3」……を添える。
階段状に並べるのは、横の隙間は狭くしておく。こうすることで、根音と3度音が、上下に隙間無く積まれることが、わかりやすい。
他の表現方法もある。全音符を、隙間なく斜めに配置。左右の両側から板で押され、現実ではあり得ない、一直線に積まれるが、弾力で「プニュ」と反発し、ジグザグに積み重なる。
玉に添えて、「根1」「2」「3」といった音程の数字が玉の左右に出現する。ここから「根」「3」「5」だけを採用すると示す。
先生「和音の基本は、この3つの玉のそれぞれに、♯や♭を付けたり付けなかったりする」背景で、積み重なった3つの玉のそれぞれに、♯や♭が出現したり消えたりする様子を表示する。
先生「例えば、Cmは「ド、ミ♭、ソ」で、音符ではこう、鍵盤ではこう」
先生「ミ♭はレ♯と同じ鍵盤だからって、音符でこう書くと、Cの仲間ではなくなる」音符で、「ド、レ♯、ソ」とする。
先生「では、根音が……」コードネームのスロットで、根音がくるくる回り、「F♯」で止まる。「……F♯はファ♯だから、玉はこのようになる」ト音記号の第1間から、玉が3つ積み重なる。ファには♯が付けられている。
先生「この3つの玉に、♯や♭を、付けたり付けなかったりする。根音がファ♯だから、ここの♯は決まった」
先生「残った2つの玉には、♯や♭が、付くのか付かないのか。それは、次の「和音の種類」で決まる」
先生「次、種類は何だ……」スロットマシンが「m」で止まる。「……マイナーだから、根音から数えて「短3度」と「完全5度」だな。残った2つの玉は、このようになる」玉のドに♯が付く。
先生「和音の種類は、たった4種類」画面の左に、スロットマシンを開いて(解体して)4種類を並べる。
先生「紛らわしいのだが、4種類のうち、長和音だけは、何も書かない。だから、例えば「C」なら、コードネームなのか、音名なのか、迷うことがある」
先生「和音の4種類は、簡単な組み合わせだ」音符の玉が、3つ、隙間無く積み重なっているものを、4セット表示する。
先生「根音から3度音までは3度。これは、長3度と短3度の、どちらか」
先生「3度音から5度音までは3度。これも、長3度と短3度の、どちらか」
先生「ハルは、これを「組み合わせの表」に書いて、納得するのが好きだな」
縦5行、横4列の表を表示する。
表の1列目に、上から「3度音から5度音」「短3度」「長3度」「短3度」「長3度」。
表の2列目に、上から「 根音から3度音」「長3度」「長3度」「短3度」「短3度」。
先生「組み合わせは、この4通りだ。だから、スロットマシンの「和音の種類」も、たった4つなんだ」
表の4列目に、上から「和音の種類」「短和音」「増和音」「減和音」「長和音」。この列は、スロットマシンにも使うので、目立った書き方にする。スロットマシンの絵と同じ書式なら、わかりやすい。
先生「おっと、根音から5度音までの音程も、表に書いておこう」ここで、「書いて」を「記入して」なら、硬い印象(数学が苦手な人にとって、嫌悪を誘発する印象)になるので、避ける。
表の3列目に、上から「 根音から5度音」「完全5度」「増5度」「減5度」「完全5度」。
先生「これで、「和音の種類」の表が出来上がった」
表を埋める順番は、4列目が最後でも良い。「1列目と2列目の組み合わせで、3列目は自動的に決まる」とする。4列目は、1列目と3列目にある「短」「増」「減」「長」の文字が、分身の術で分かれて、4列目に移動する。
表に文字が出る時は、先生ちゃんのセリフを添える。
さっきの「積み重なった3つの玉のそれぞれに、♯や♭が出現したり消えたりする様子」を再表示し、画面左側に寄る。
画面右側には、似た図を表示する。積み重なった3つの玉の右側には、「完全5度」「増5度」「減5度」がパラパラと入れ替わる。3つの玉の左側の、2個所の「3度」の表示位置に、「長3度」「短3度」がパラパラと入れ替わる。
文字の「短和音」と共に、カタカナの「マイナーコード」と、コードネームに使われる「m」も出現する。
先生「補足の数字も」楽譜で、根音から斜めの音符。「根1」「2」「3」……と記す。「このように、根音から数えた数字を書く」スロットで「-5」「7」「M7」「♭9」「11」などが、ゆっくり回る。
ここで、「M7」の別な書き方「maj7」や、「-5」の別な書き方「♭5」のように、別な書き方の紹介をしても良い。
先生「「補足の数字」は、根音から数えて「この数字の音も鳴らす」「この数字の音を変える」などといったものだ。とにかく種類が多いだけでなく、書き方も統一されていないものもある」
▽ 場面変更 ● ── ●
先生ちゃんの説明が終わり、さっきの続き。
ヤッ子「コードネームは英語でいうことになっていて、長和音は「メジャーコード」、短和音は「マイナーコード」と呼ぶ」
ハル「野球の大リーグ? と、関係あるのかな?」
音楽の先生「正解です。メジャーは「主要」、マイナーは「主要ではない」の意味。そのうち、ドイツ語やフランス語の「ドゥア」と「モール」、これは「硬い」と「軟らかい」の意味ですが、これも使うことになるでしょう」
ハル。ヤッ子に向かって。「モールが柔らかいって、飾り付けのモールですか?」
ヤッ子「それは知らない。専門家に聞いてくれ」ちらりと、音楽の先生を見る。
音楽の先生「外国語の単語が、日本でどのように使われているのか、専門家に尋ねたいという、新しい楽しみができましたね」
ヤッ子「外国語では、硬いとかの意味が付いているが、日本語ではそのまま「長い」「短い」の名前だな」
ハル「あ、その、根音からの距離が長いか短いかって意味ですね」
音楽の先生「こんなカラクリがあると、知っておくことは良いでしょう」戸棚から、楽譜雑誌を出す。
音楽の先生「このような雑誌には、ギターとピアノの、両方のコード表があるものです」
ハル「へぇ」
コード表は、見開きの左ページにギター用、右ページにピアノ用がある。どちらも、最上段が見出しで音名が左から右に向かって「C」「C♯/D♭」「D」「D♯/E♭」……となっている。
音楽の先生「表の、上の見出しは「根音」です。表の、左側の見出しは「和音の種類」と「補足の数字」です」
ハル「この「Major」は「メジャー」ですか? 数字が無ければ、補足の数字が無いという意味ですね」
音楽の先生「そうです。スロットマシンの組み合わせを、「行列の2次元」にしたものです。この表は、すぐに見慣れると思います」
ハル。コード表のうちの1つを見て、心の声。「(あ、これは、先週の授業の形だ)」黒板の近くの壁のコード図と見比べる。
ハル「ここには、コードの「C」は、1種類だけ書かれていますよね。さっき……」黒板の、ギターの図に近付く。「……この辺りでも、この辺りでも、指が届けばって言ったうちの1つが、ここに書かれているんですね」
ヤッ子「その通りだ。いくつもある押さえ方の、全部を載せると、情報が多過ぎて困るだろう。「C」の形を1つ、「Am」の形を1つ、という覚え方でいい。カラクリを知らなくても、演奏に参加できるのが目的だからな」
音楽の先生「カラクリをお教えしましたが、カラクリを先に覚える必要はありません。かといって、このコード表の全部を暗記するのも、目的ではありません」
ハル「では、この表は、何の役に立つんですか?」
音楽の先生「好きな曲を、コード表を見ながら鳴らして楽しむのが目的です。そのうち、よく使うコードから、いつの間にか覚えるでしょうし、いつの間にか覚えたら、カラクリも身に付き、便利になりますよ」
音楽の先生「しかし、演奏を目的としてない早坂君にとっては、「よく使うコード」よりも、「共通の間違い探し」で「規則性を見付ける」が、好みに合いそうです」
ハル「間違い探し?」
音楽の先生「ピアノの鍵盤のコード表を、見てみましょう。「C」と「Cm」は、名前が似ています。「D」と「Dm」も、名前が似ています」
音楽の先生「ここで、「どのように似ているか」を見付けて、「m」があるのと無いのとで、共通して変わっているのは何かを探します。これが「共通の間違い探し」で、変わり方の「規則性を見つける」です」
音楽の先生「「C」の仲間と、「D」の仲間での共通を見つけたら、「E」の仲間や、「F♯」の仲間でも、同じ規則性があるかを確認できます」
ハル「では、ピアノのコード表があれば、ギターのコード表は、いらないんですね」
音楽の先生「いえいえ、実は、ギターのコード表も、重要ですよ。ギターのコード表は、「m」の仲間、「7」の仲間で規則性を探します」
ハル「そうなんですか? ピアノのコード表があれば、ギターのコード表は不要だと思うんですが」
音楽の先生「ギターでは、ポジションの都合があります」
ハル「ポジションの都合? ですか」
音楽の先生「そうです」
ハル「もしかして、指が届くかですか」
音楽の先生「その通り。指が届くかの都合です」
ハル。ヤッ子に向かって、小さなガッツポーズ。
ヤッ子。ハルのガッツポーズに対して、表情で褒める。
音楽の先生「ポジションの都合には、もうひとつの理由があります」
ハル「え?」ヤッ子を見る。
ヤッ子。表情で「挑戦してみろ」を表現する。口をしっかり結んで、口角を上げる。眉は、怒ったように眉尻を上げて、上下する。
ハル。少し考える。
ヤッ子「ヒントだ。ピアノでは、1つの音の担当は、1つの鍵盤だけだ」
ハル。心の声。「(当たり前のことだ。でも、今はギターの話。ミスリードで、わざとピアノの話をしたが、ギターで考えよう)」
ハル「わかりました。ギターでは、同じ高さでも、違う弦で鳴らすことができる……ですか?」
音楽の先生「正解です」
ヤッ子。音が出ないように、拍手する。
音楽の先生「ピアノでは、1つの音に1つの鍵盤があります。けれど、ギターの弦は6本だけです。ということは……」ギターの第1弦で、「ファ」と「ソ」を示す。「……このファとソを、同時に鳴らすことはできません」
ハル「勿論、わかります。ええーっと、それが、ポジションの都合ですか?」
音楽の先生「そうなんです。あるコードでは、ファとソの、両方を使いたい、でも、この第1弦では、どちらか片方しか使えない」
音楽の先生「ということは、第1弦がファを担当したら、どこか別な弦がソを担当する必要がある。といった、どの弦が、何を担当するかといった工夫が必要な楽器なのです」
ハル「うーん、難しい」難しいことを喜ぶように、眉と目は怒ったように、口は不二家のペコちゃんのように舌を出す。
音楽の先生「しかも、指の都合もあるので、担当する弦の選び方は、もっと難しくなります」
ハル「そ、それを先に知る必要が、あ、あるんですか」
音楽の先生「いいえ。ここでは、コードの形を考案するのではなく、表に書かれている「m」の仲間の違いの、規則性を発見するのが目的です」
ハル「でしたら、ポジションの都合って、知らなくても良さそうですが」
音楽の先生「知っているべきです。というのは、「どんな都合があるのか」ではなく、規則性から逸脱しているように思えるものがあった時に、気分が楽になります。「きっと、ポジションの都合だろう」と」
音楽の先生「そこで、「規則性が壊れている」は勘違いで、「規則性が壊れているように見えるのは、ポジションの都合だ」と思ってほしいのです。ポジションの都合で、形が異なっていても、和音構成音は揃っている、だから、これでいいと」
ハル「あっ、そういうことですね。ポジションの都合があると知っていれば、僕が迷走しないでいられます」
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