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ガクテン  作者: 不定音高ふたつ


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02_A__04_04  第2話 Aパート 分割 4 / 4

第2話 Aパート 分割 4 / 4


【 第2話 概要 】

サブタイトル:前にジャンプ、後ろにジャンプ。

OP曲前:小学生時代のハルとミッツ。ハノンが気持ちいい。基本技術でコストダウン。

Aパート:ショージのストローオーボエ。スタッカートの意味は複数。音価。8分音符からは符桁。「4分音符は1」を、ピザで単位が重要。小節にぴったり。調号と臨時記号。ナチュラルは必ず白鍵。「6/8」「3/4」拍子の違い。

CM明け:ステラの自宅、蔵書と、おかしなメルヘン。放屁で空気清浄機が稼働。

Bパート:ステラが流行歌の音楽雑誌で、繰り返し記号の確認。リハーサルナンバー。ハルが数学の授業で「オクトーバは8番目の月」「音楽のオクターブは8」と聞き、音楽の先生から音程を簡単に。鍵盤モノサシと「3+3=5」の謎。

Cパート:ストローオーボエの作り方。

予告:父親はささやかに拍手をもらい、QRコードは意味がわからず、ヤッ子はボワワワッ。アクロバット2号が飛んでくぞ。


 ○ --- ○ --- ○


ここから本文です。

ご感想を頂けると嬉しい。ログイン不要ですので、お気楽に一言をお願いします。

ミッツ「ピザから、単位の話になった。あんた、ピザの話をしてたこと、その前に手拍子の話をしてたの、覚えてる?」


ミッツ「主題は「楽譜の謎解きエンターテインメント」なんて銘打っているのに、話が横道に逸れるから、「雑学アニメ」でもない「雑談アニメ」になっているんだから」


ハル「ああ、大丈夫だって。センチメートルとミリメートルを習った時に、単位を大切に、単位を忘れずにって言われるだろ」


ミッツ「うん」


ハル。黒板に「2=100」を書く。


ハル「2個で100円の消しゴムを、こうして「2=100」と書いたら、こんなのは、おかしい。だから「2個=100円」と、単位を書けば、解決する」黒板の「2=100」を「2個=100円」にする。


ハル「それなのに、分数の割り算では、「4分の1を、1と考えて」って、その説明が単位を忘れているだろう! ってことだ」


ミッツ「そもそも、分数の割り算がわからない。計算方法は習ったからできるけど、なぜ、あの計算方法なのか、意味がわからない」


ハル。黒板の上、または黒板の横にある、時計の文字盤を指す。ここでは、円盤状のアナログ時計であること。


ハル「あれが、ピザだとして……。図に書くか」黒板に、時計を模した円を書く。円周を12等分した目盛りも書く。


ハル「このうち、3分の1を食べ終わって、残りが3分の2」黒板の円の左上側の、8時から12時までの範囲を、無くなったを表すようにする。


ミッツ「うん」


ハル「3分の2のピザから、4分の1ずつ、食べようとしたら、どれくらいか」


ミッツ。黒板に近付く。12時から3時までを示す太い線を書き、「1」と書く。3時から6時までを示す太い線を書き、「2」と書く。


ミッツ「ここは、中途半端」


ハル「そう。そこに、さっきの「単位を忘れずに」とすると、ここは「1」が「1切れ」になる。単位は「切れ」だ」黒板の、「2個=100円」の下に、並べるように「1切れ=1/4枚」を書き足す。


ハル「計算式は、「2/3÷1/4」だな。残った「3分の2」の中に、これから食べる「4分の1」が、いくつあるかだ」


背景に図を表示。文字盤の12時から8時までの範囲を囲んで、指し棒で分数の「2/3」を表示。12時から3時までの範囲を囲んで、指し棒で分数の「1/4」を表示。


分数は横並びにして、間に「÷」を挿入する。


ハル。ミッツの書いた「1」を指す。「設問は「いくつあるか」だから、ここに「1」と書くのは正しい。しかし、これが「4分の1を、1と考えて」だろう? それならわからない」


ミッツ「うーん、そうかー」


ハル「ここは「1」だけじゃなく「1切れ」と、単位の「切れ」を忘れずにだ」


ハル「すると、1切れ、2切れ、3分の2切れ。答えは「2切れと、3分の2切れ」だ」黒板の式に、答えを帯分数で書き足す。


ミッツ「計算したら、分母と分子を交換して、掛け算にするから、「8/3」だよね。あ、仮分数を帯分数にすると、合っているか」黒板に、計算式を掛け算にして書き直す。


ハル「そこで、単位だ。ピザの残った3分の2から、4分の1切れずつ食べたい。何切れなのか」


ミッツ「何か、おかしい?」


ハル「わからんかなあ。ピザの全体は1枚。単位は「枚」だ。そして、ここ、4分の1枚を「1」と数えたいなら、単に「1」じゃなく、「1切れ」だ。単位は「切れ」なんだ」


ミッツ「ああ、そういうことか。「切れ」という単位を書き忘れたのが、気に入らなかったんだね」


ハル「そうだよ。要するに、分数の割り算は、「1切れ」「2切れ」という単位を忘れているから、わからない」


ハル「さっきのこれ……」黒板の「2個=100円」を指す。「……の、単位を書かなかったら、計算がおかしい」


ハル「音楽も、4分音符が「1」、2分音符が「2」じゃなく、4分音符が「1拍」、2分音符が「2拍」。そして、4分音符の音価を表す四角を数える。四角の長さは、全音符の長さを基準にして、4分の1ってこと」


ハル。疲れて、椅子に身を投げて座る。天井を見上げる。疲れた声を出す。


ミッツ「あ、それから、さっき教科書を写譜していたから、気付いたと思うけど、小節の横幅は、音価とは無関係だから」背景に「写譜」の文字とフリガナ。指し棒で「楽譜を書き写すこと」を添える。


ハル「えっ?」疲れているので、呆けた反応。


ミッツ「音符が多いか少ないかで、小節の横幅は変えていいんだよ」


ハル「あ、そうか。全音符だけなら横幅は狭くてもいいし、16分音符ばかりなら横幅が広いな。時間が同じでも、横幅が違うってのは、違和感があるけど」背景に、全音符だけの小節と、16分音符ばかりの小節の例。


説明の「音符の数が少ないと、小節の横幅を狭くしても良い」を添える。


ハル「音価が、半分の半分のってことは、128分音符とか、1024分音符も、あるのか?」背景に、1024分音符だけの小節が、遠近法で画面の遠くで消失。


ミッツ「理屈としてはそうだけど、そんな楽譜は、見たことはない」


背景に補足「細かな音符の場合、装飾音符などを使います。それ以外は、コンピュータが無かった時代であり、人間には演奏不能で識別不能なので、使われた例の有無は不明です」を表示する。


ハル「それを使う人がいたとしたら、天才かな? 紙一重の意味で」


ハルとミッツ。空想でショージを思い描く。空想のショージの鼻がラフレシアになり、重みで倒れる。


▽ 場面変更 ● ── ●


ショージ。下校途中の後ろ姿。ストローのオーボエを鳴らしながら、くしゃみ。正面の、顔の目のアップ。涙目。


ショージ「誰か噂してるのか?」鼻にストローが刺さっている。少し鼻血。


注釈を表示。「ストローオーボエを、歩きながら使うと危険です。安定に座って使いましょう」


▽ 場面変更 ● ── ●


下校中の生徒2人。


1人は女子生徒のムギ( )大吠麦穂、おおぼえ・むぎほ)。ストローのオーボエでショージ達と遊んだ女子生徒。


もう1人は男子生徒、吹奏楽部のトロンボーン先輩。顔は画面の外だが、後ろ姿の髪型や、トロンボーンのケースに付けられた小物などで、それとなくわかるようにする。


二人は、付き合っていることを、周囲には隠している。視聴者には、この二人が付き合っていることを、わざとらしく、それとなく伝える。


トロンボーン先輩「待たせて悪かったな」


ムギ「大丈夫ですよ。練習が終わったって、スマホに連絡が来るまで、図書室で勉強していたから」


トロンボーン先輩「そうか。連絡した後、片付けに手間取って、余計に待たせたんじゃないかって、ごめん」


ムギ。空を、ぐるりと見渡す。「いいえ。ここで、色々な音を聞きながらの、4分33秒も、楽しかったです」


この場でのムギの口調は、軽い敬語。


ムギに、軽い方言があっても良い。「図書室で勉強していたんだから」「景色の音も、いいんでないですか」「4分33秒も、あっちゅう間」など。ただし、はにかんだ雰囲気が薄れないように。


これにより、普段は歯に衣着せない物言いをするムギが、トロンボーン先輩にだけ、はにかんだ態度をすることを表現する。


トロンボーン先輩「で、明日からのテストで、音楽のことを知りたいんだよな」


ムギ「そう、クラシックの作曲家の、並べ替え問題が出るって」


トロンボーン先輩「バッハ、ショパン、ベートーベンとかを、年代順に並べ替えるって、あれか。俺も、去年やった。どうやら、恒例らしい」


ムギ「あんなの、音楽じゃないのに」


トロンボーン先輩「音楽そのものじゃないけど、音楽の一部ではあるな」


ムギ「一部なの? 音楽のテストだからって、作曲家を使っているけど、歴史のテストのパロディだよ」


トロンボーン先輩「ベートーベンは、バッハの手法から影響を受けたそうだから、ベートーベンよりもバッハの方が昔だってわかるよね」


ムギ「それは、音楽が好きな人だけが楽しむものでしょ」


トロンボーン先輩「じゃあ、料理で言えば、盛り付けや器も料理のうち。絵画で言えば、額縁や掲示場所みたいなもの」


ムギ「えーっ! そうかなぁ」


トロンボーン先輩「例えば、ダビンチの『最後の晩餐』は、大きな食堂の壁に描かれていて、壁の向こうにも食堂の続きがある、食堂が広く見えるようになっている」


ムギ「そうだったんだ」


トロンボーン先輩「だから、テレビや画集で絵だけを見る場合と、実際に食堂で見る場合とでは、感じ方が違うよね」


ムギ「それはわかるけど、作曲家の並べ替えなんて、興味無いし」


トロンボーン先輩「テスト用紙の余白を埋める、余談の問題じゃないかな」


ムギ「余談?」


トロンボーン先輩「がっちりとした、音楽の問題が出たら、本当に困るだろう?」


ムギ「確かに、本当に困る」


トロンボーン先輩「だから、単なる並べ替え問題なら、テストのために暗記して、すぐに忘れてもいいってもの。音楽が苦手で、並べ替えが得意な生徒でも点数が取れるような配慮だと思えばいい」


ムギ「そっか。これからの人生で、まーーーったく! 役立たなくても、点が取れるのか。釈然としないな」


トロンボーン先輩「俺のように音楽をやっていると、並び替えだけじゃなく、作曲家の生きた時代とかって、アナリゼで役立つんだ」


ムギ「アナリゼ?」


トロンボーン先輩「演奏の時に、「ババンバ、バン」とするのか、「ガガッガ、ガッ」とするのか、どっちもいいけど、この曲ではどっちが相応しいか、作曲家の人生を参考に、選択するんだ」


ムギ「えーっ、なんでですか? 人生から、そんなことがわかるなんて」


トロンボーン先輩「お客さんの中には、こだわって聞く人もいれば、どっちでもいいって人もいる」


ムギ「あたしも、どっちでもいいです」


トロンボーン先輩「どっちでもいいって人には、そのまま、どっちを聞かせることもある。既に、どっちでもいいと言っているのに、「どっちが良いか」「こっちが良いに決まっている、わからないのか」なんてさ」


ムギ「しつこいですよ」


トロンボーン先輩「そうだよね。だから、そんな人は、「ババンバ、バン」でも「ガガッガ、ガッ」でもいい」


ムギ。ホッとした表情。


トロンボーン先輩「そもそも、人の好みは様々だから、「正しさ」は決められない。他人の好みを否定する必要も無い」


ムギ「あたし、おでんの「ちくわぶ」が嫌いです」


トロンボーン先輩「そう、そういうこと。ちくわぶは、好みが分かれている。あれを大好きと言う人もいる」


トロンボーン先輩「飲食店なら、自分はちくわぶを注文しなければいいし、自宅で食べるために「おでんセット」を買って、ちくわぶが入っていたら、食べて死ぬものではないから、食べればいい」


トロンボーン先輩「そこで、アナリゼと演奏だったら、お客さんの中には、こっちがいいと「決まっている」という人もいるし、どっちにしろ「面白い演奏を」という人もいるから、できれば、みんなを楽しませたいよね」


ムギ「そうですね。無料で聞くにしても、楽しくない時間なのに、演奏に付き合うのは、嫌です」


トロンボーン先輩「「決まっている」という人は、アナリゼをして、答えを知っている人。どっちにしろ「面白い演奏を」という人には、アナリゼの結果に従った方が、無難だよ」


ムギ「無難……ですか」


トロンボーン先輩「一般的な解釈が「ババンバ、バン」で、自分の好みが「ガガッガ、ガッ」なら、自分の好みの演奏をするのも自由だ」


トロンボーン先輩「でも、自分がどっちでもいいんなら、一般的な演奏をした方が、トラブルは避けられる」


ムギ「「長い物には巻かれろ」ですか?」


トロンボーン先輩「自分の意に反しているなら「長い物には巻かれろ」は苦しいけど、自分がどっちでもいいんなら、巻かれても害にはならない」


トロンボーン先輩「アナリゼには、そういった意味もあるんだ」


ムギ「あたしも、クラシック音楽の解説をする番組を見たことはありますけど、「作曲者は、この時期、悲しみの中にあった」って言っていて、作曲者は24時間、悲しんで生活していたのかって思います。一日に、一回も笑わない生活?」


トロンボーン先輩「もちろん、現実はどうだったかは、知りようがないけど、友人からバカンスに誘われても断ったり、友人も無く、部屋から出ることも無かったのかも」


ムギ「そうかも、ですね。今なら、テレビを点けっぱなしで、家の中にいられても、昔なら、ずっと読書か、楽器を触るかだけ」


ムギ「あれ? 電気製品とかが無かった昔だから、日常生活を維持するだけでも、今よりも手間が多かったから、一日中、座って、時間を持て余すことは、なかったのかな?」


トロンボーン先輩「うん、それも気にしながら、アナリゼしたいね」


トロンボーン先輩「楽譜を見て、作曲家の頭の中の音楽を、再現しようとするんだから、楽譜だけじゃ足りない。楽譜はしっかりと読み込んで、更に、もっとたくさんの情報を勉強する」


トロンボーン先輩「なぜ、こんなところに、こんな記号があるんだろう。その記号が無い場合と比べる。作曲者が、この記号を書こうと決めた時の気持ちとか」


ムギ「それって、むしろ逆じゃないかなぁ。テレビの人が、楽譜は忘れようって言っていましたよ」


トロンボーン先輩「その人は、楽譜は「どんな場合でも、害悪だ」と言ったのか?」


ムギ「そこまでは、言ってないけど」


トロンボーン先輩「好きな歌があって、歌おうと思ったら、歌詞がよくわからない。そんな時、歌詞カードが役立つよね」この「歌詞カード」は、年代によっては馴染みが無いので、単に「資料」や「書いてあるもの」としても良い。


ムギ「当たり前でしょ。知らない英単語だと思ったら、日本語だったりするし」


トロンボーン先輩「それと同じで、耳で聞いただけでは楽器で演奏できない。文字の歌詞を読むのと同じように、楽譜を読む。曲のテンポのままじゃなく、自分のテンポでゆっくり練習するために、楽譜は役立つよ」


ムギ「歌の、早口の所を、文字を読みながら、ゆっくり練習するのと同じように、楽譜も、ゆっくり練習できる……っていうことですか?」


トロンボーン先輩「その通り。歌が「聞いたまま、歌えばいい」とはならないこともあるから、楽譜も似ている。絶対音感とかが無ければ、聞いたままは難しいし、楽譜なら手書きのメモもできる」


ムギ「まあ、そういうことも、あるかな」


トロンボーン先輩「テレビの人が言っていたのは、「自由奔放な発想を目的とした場合」、なんじゃないかな。オリジナルの歌詞のまま歌うだけじゃなく、歌詞の一部を自分なりに変えて歌いたいこともあるよね」


ムギ「そうかも知れない」


トロンボーン先輩「オリジナルの歌詞にこだわらないで、自分なりの歌詞にしたり、自分なりにメロディを変えてもいいんだよ。もしかしたら、テレビの人が言ったのは、そういう意味だったのかも」


トロンボーン先輩「自由奔放な発想とはいっても、感性を磨いたら、より多彩な発想ができる。そのために、絵画なら名画をたくさん見たり、作曲なら名曲をたくさん聞いたり」


ムギ「そうだね」


トロンボーン先輩「教科書の、歴史上の人物の肖像画や顔写真に、いたずら書きをしたことがあるだろう」


ムギ「あるある」


トロンボーン先輩「そういった遊びやパロディのアイディアのために、資料を探したり」


ムギ「「何々といえば、これ」って特徴を見付けたり」背景に、白衣に聴診器で「医者」、夜光ベストに誘導灯で「交通誘導警備員」、ジャージに首から笛で「体育の先生」など。


これ以外の例。唐草模様の大きな風呂敷包みを背負い、口の周囲がドーナツ型の髭で、泥棒。昭和の時代は、髭剃りは面倒な作業だった。


これ以外の例。セリフの末尾が「……じゃ」「……じゃろう」で、爺さん。


これ以外の例。ベレー帽で、右手の中指にペンだこ、手がインクで汚れている。漫画家。


トロンボーン先輩「そう、それ」


ムギ「感性を磨くために、先人の作品を、注意深く研究しろってことですね……」少し考える仕草。「……でも、それって、テストと関係無いじゃないですか!」


トロンボーン先輩「だから、学校の音楽という教科に無関心でも、短期間の頑張りで点数を稼げるための、サービス問題だと思ってみようよ」


ムギ「どうせ、すぐに忘れるけどね。だって、これからの人生で、クラシックの作曲家の並べ替えなんて、使うとは思えない」


トロンボーン先輩「まあ、たった1回だけの、やりたくもないゲームで勝つために頑張るってこと、人生の中には何度もあるもんさ」


ムギ「忘れてたでしょう、明日からのテスト対策」


トロンボーン先輩「ああ……。それは、俺が教えるっていうより、一緒にやろうか」


ムギ。嬉しそうに、笑顔になる。「うん」


トロンボーン先輩「たった1回だけのテスト対策だから、バラバラにした単語帳に作曲家の名前を書いて、何度か並べ替えてみたり」


ムギ「天才!」


トロンボーン先輩「それから、こじつけでもいいから、語呂合わせとかしてみたり」


ムギ「語呂合わせ?」


トロンボーン先輩「原子の周期表で「水兵、リーベ、僕の船」のようにさ、「バハ、ベト、モッツ」で「バッハ、ベートーベン、モーツァルト」って覚えておくとか」


ムギ「まあ、たった1回だからいいかな」


トロンボーン先輩「小学生の頃に、覚えさせられた九九は、大人になっても覚えているのは、日常的に使っているからだよね。それと比べて、せっかく暗記したのに、使っていなければ、忘れるもんだ」


ムギ「あっ、そうだよね。面白いのは、体で覚えた自転車の乗り方は、大人になって久し振りなのに、覚えているって」


トロンボーン先輩「不思議だよな。楽器の演奏も、体で覚えたなら久し振りでも思い出せるのに、頭で覚えたなら思い出せなかったり」


ムギ「本当ですか?!」


トロンボーン先輩「そうらしいよ。みんながみんな、そうなのかは知らないけど」


ムギ「へえー」


トロンボーン先輩「突然、問題を出すぞ。「6かける3は?」」


ムギ「え? え? さぶろく、じゅうはち」


トロンボーン先輩。にやりとする。


ムギ「何ですか?」


トロンボーン先輩「「6かける3は?」と聞いたのに、「ろくさん」じゃなく、「さぶろく」って答えたよね」


ムギ「あっ、本当だ」


トロンボーン先輩「答えが同じだから、どっちでもいい、こっちを使おうって回数が多いんじゃないかな」


ムギ「そのうち、突然「ろくさんは?」って聞かれたら、迷うようになるかも」


トロンボーン先輩「迷うようになるかもな」


ムギ「でも、使っていないってことは、忘れても困らないってことでしょ」


トロンボーン先輩「普通はそうだけど、普通じゃないものは違うんだろうな」


ムギ「普通じゃない?」


トロンボーン先輩「緊急通報の電話番号って、いざ必要な時になって、慌てていると、警察と救急車と、どっちがどっちか、とっさには思い出しにくいとか」


ムギ「うん、うん。信じられないけど、本当だって聞いた」


トロンボーン先輩「元素の「水兵、リーベ、僕の船」や、今回の音楽のテストの「バハ、ベト、モッツ」は、使わずにいて、忘れるようになるかも」


ムギ「音符の名前も、小学校の時に習ったけど、全然覚えていないよ」


トロンボーン先輩「普段は使わないからな。もちろん、意味まで含めて覚えたらいいんだけど。例えば、「きゅうきゅうしゃ」って、漢字で、どう書くと思う?」トロンボーン先輩の背景( )左右)に、「救急車」と「急救車」が表示される。フリガナも添える。


ムギ「え? いきなり言われても、知らないよー」


トロンボーン先輩「でも、これは、こじつけや駄洒落を使わなくても、覚えられる。というのは、「救命措置」という言葉と並べて、「救急」「救命」が正しいとわかる。「急命」なんておかしいとわかるからね」


▼ CM明け。   ▼──   ──▼


CM明けの定型。他の登場人物は知らない、自宅などの場面。


ステラの自宅の自室。部屋には、メルヘンの小物やキャラ。おかしなキャラもある。メイド服のカンガルーのぬいぐるみ、すね毛ボウボウの脚があるマックロクロスケのポスターなど。


この場面は、最初は書棚をアップで表示し、誰の部屋か、わからないようにしておく。本棚には『面白い姿の生物』『面白い食性の生物』『面白い生活の生物』などの生物シリーズが並んでいる。


その近くには、別な書籍『救急救命のABCは、気道と呼吸と循環( )キ・コ・ジュン)』『毎日100リットルのオシッコ』といった、医学や解剖学の関係書籍。


その近くには、別な書籍『鳥のダンスは愛のキャッチボール』『ここまでわかった! 変態する生物』『棘皮動物の住む世界』など、動物行動学。


以上の書名は、架空のものなので、実在していた場合、別な名前にする。


画面が引き、誰の自宅部屋か、謎が少しずつ解明される。


メルヘンのキャラクターグッズには、吾妻ひでおの漫画に登場するような、不気味だがかわいいものもある。


メルヘンの小物を飾っているコルクボードには、隠し撮りしたトロンボーン先輩の写真も貼っている。コルクボードの、どの位置かを、さり気なく印象付けるために、トロンボーン先輩の写真の近くには、特徴的な小物がある。


ステラ。勉強机で、流行歌の楽譜雑誌の楽譜を読んでいる。真剣な雰囲気。机上には、別な楽譜雑誌が2冊。


ステラ。左右の指で、歌詞と楽譜を辿る。指が1本だけでは足りないので、人差し指と小指も使う。


ステラ。真剣な目で凝視。尻を片方上げて、高音で長い放屁。ピンク色の文字で「ぷぅーー」が表示される。


空気清浄機が稼働を始める音。見ると、「自動」のランプが点滅。テレビのボリュームの都合で、空気清浄機の音が聞こえにくいと、意味不明なので、空気清浄機の音ははっきりと鳴らし、オノマトペ「ゴォー」も表示する。


ステラ「よしよし、ちゃんと仕事をしておるわい」


ぬいぐるみや、机上の文房具に描かれたキャラクターが、臭さに顔をしかめる。写真のトロンボーン先輩も、顔をしかめる。



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