天使様直々の解説
「さぁ!今からは天使であるこのボクから直々に君にこの世界の解説と洒落込もう!」
ててーん、という効果音がつきそうなほど陽気だ。天使といったら厳かなイメージだったが、案外俺達人間と変わらないのかもしれない。
「そうだよ!少なくともボクはね。うん、だいぶ君達人の子に友好的な方だ。」
「相変わらず、心を読まれると少しびっくりしますね…」
どうやら俺が転移してきた場所は小高い丘のような所だった。少し進むと町、山などいろいろなものが見える。この世界でも普通に生活している人がいるのかと思うと、ほんの少しだけ安心した。
「向こうに見える町は『ルヴェロン』だよ。この町は基本的に平和だ。だから一番最初の町に適している。」
「ルヴェロン…」
その後も天使様からいろいろなことを教えて貰った。
まずはこの世界について。この世界は3つの大陸があり、1つが今俺がいる主に人間達の暮らす『ヒューズ』。2つ目が俺達で言うところの地獄、『ルシフェル』。最後に天使や神様が沢山居る『エンジェリック』。神様も悪魔もいて、魔物もいるらしい。魔法もあるみたいだ。いわゆるよく小説で見かける世界だ。
「悪魔はね、まだなんとかなるんだ。一番厄介なのは神さ!」
天使様はそう言っていた。天使様いわく神様は
「人間性がかけてる!欠如してる!ろくでなし!ろくでなしofろくでなし!」
らしい。そんなに神様はろくでなしなのだろうか。俺は会ったことがないから分からないけれども。特に気を付けるべき神は、レオナウスという男性の神様らしい。
「彼は本当にどうしようもないろくでなしだ。黒い髪に赤と青の目。そいつは左右で目の色が違う。後天的にね。」
「…?つまり、どういう?」
「目を交換したのさ。人間の男の子と。」
「……は?」
「白い髪に青色の目をした男の子がいたんだ。レオナは随分とその子を気に入ってね。その子の青い目をくりぬき、自分の赤い目もくりぬき、交換した。だからその男はレオナと同じで赤と青の目をしている。」
随分と、親しそうに天使様はレオナウスという神様について喋っていた。何か因縁でもあったのだろうか。
そして、俺のステータスについて。この世界ではステータスやレベル、スキルなどという物が存在するらしい。剣と魔法の世界だからな。そういうのも存在するか。ステータスは神様や天使様などの特別な力を持っていないと使えないらしい。だから俺は使えないのかと思ったらそうでもなかった。
「君にはスキル『観察眼』を付けておいたよ。これで相手のステータスとか詳しいことは見られなくても、個人情報くらいならわかる。それこそ名前とか、生い立ちくらいならね」
すごい物を授かってしまった。なるべくこの力は使わないようにしよう。人の心に土足で踏み込んでいる気がして申し訳ない。俺のステータスは全て平均ほど。高校生だったらこれくらいだよね、というステータスらしい。
だがスキルは凄かった。天使様がいろいろ授けてくれたらしい。まずは先程の『観察眼』。そして『状態異常無効化』。毒などが効かなくなるらしい。そして『天使の加護』。これは天使様からの加護で、もし俺が死にそうになったら天使様が現れ助けてくれる、という物だ。つまり俺が死ぬことはほぼない。その他にもいろいろあったけど、今回は割愛する。
「と、まぁいろいろ話したけれど何か質問ある?あとそろそろ敬語やめてよ。」
「えぇ…。うん、まぁわかった。…天使様相手に敬語なしとか…不敬罪とかない?」
「ないない。で、質問あるかい?」
「んー…、あ!天使様の名前は?」
そういえば聞いていなかったな、と思い聞いてみたら天使様は一瞬硬直し、ばつが悪そうに顔を少しそらした。
「あー、ボクの名前?………ルシウス」
あ、多分これ絶対嘘ついてるな。まぁ天使様にもいろいろあるんだろう。それにしても、嘘の付き方が蘭そっくりだな。そこはかとなく天使様は蘭に似ている。
「………蘭、会いたいなぁ」
ついポロリと口からそんな言葉が漏れる。天使様には聞こえてしまっただろうか。わざわざ第二の人生を送らせてくれているのに。聞こえてないことを祈るしかない。
「さ、そろそろルヴェロンに着くよ」
天使様、いやルシウスへの申し訳なさを隠すように歩みを速めた。




